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日本漢文へのいざない


第一部 日本文化と漢字・漢文


第二章 漢文と中国語


       

 

(10)古文(漢文)の声調3(日本漢字音の復元声調)

 日本漢字音では(9)で述べたように、入声以外の声調は失われてしまったのですが、金田一春彦(きんだいち・はるひこ)博士は、日本語のアクセントの歴史的変遷について研究される中で、仏教の「声明(しょうみょう)」や、古代の文献で声調に言及したもの、諸方言に残されたアクセントを詳細に調査され、古代における日本漢字音の声調を推定されました(「日本四声古義」、『日本語音韻音調史の研究』、吉川弘文館、所収)。それを非常に単純化して示しますと、次のようになります。

  平声 低平調(うち軽声は微下降調)

  上声 高平調

  去声 顕著な上昇調

  入声 低平調の入破音(うち軽声は高平調の入破音)

 

  そこで、これに基づいて、『論語』の冒頭の文章を、日本漢字音の漢音で、声調をつけて読んでみます。平声を_、上声を、去声を、入声をrで表しますので、平声は低く、上声は高く、去声は低い音から高い音へと上昇するように、入声は詰まるように、読んでみてください。なお、平声と入声の「軽声」については、むずかしいので、ここでは無視することにします。字音かなづかいは、「歴史的かなづかい」とします。

 

()(ゑつ)(がく)()()(しふ)()(ふつ)(えき)(えつ)()

 ‾   r、  r  _ _ r _、 r    r    r _

(いう)(ほう)()遠方(ゑんぽう)(らい)(ふつ)(えき)(らく)()

 ‾  _ ╱  ‾ _ _、   r   r   r _

(じん)(ふつ)()()(ふつ)(うん)(ふつ)(えき)君子(くんし)()

 _  r __  r   ╱、  r   r  _ ‾ _

 

  いかがですか? 面白いでしょう? このような音読法もあります。漢和辞典で日本漢字音の歴史的かなづかいと声調とをしらべて、気楽に読んでみてください。

 

     


公開日:2004年11月3日


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