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日本漢文へのいざない


第一部 日本文化と漢字・漢文


第五章 読解のための漢文法入門


第2節 詞と短語


       

(16)聯合短語

 聯合短語は別名を並列短語ともいい、同じ種類の詞や短語を並列させたものです。

 まず、名詞を並列した聯合短語を見ていただきましょう。名詞や名詞性詞組を並列する場合は、それらを並べて書けばよいだけです。

 

【例句1】

風雨・霜露・寒暑之変、此疾之所由生也。(蘇軾『教戦守策』)

(訓読)()風雨(ふうう)霜露(そうろ)寒暑(かんしよ)(へん)は、()(やまい)()って(しよう)ずる(ところ)(なり)

(現代語訳)風雨・霜露・寒暑などの気候の変化は、病気を起こす原因となる。

 

<>   風雨・霜露・寒暑之変、 此 疾之所由生<>

     名詞 名詞 名詞     主   謂

 └─────────────┘   └─────────┘

       (聯合短語)     (主謂短語)

└─────────────────┘

之字短語(定中短語)

<助詞>      主語        謂語  <助詞>

(第1句式)

 

 上の句では、「風雨・霜露・寒暑」の3つの名詞が並列されています。この三つをまとめた聯合短語の後ろに「之」字がついて、名詞「変」を修飾する定語となり、「風雨・霜露・寒暑之変」全体で定中短語の之字短語になっているわけです。 (→定中短語)名詞の聯合短語は、このように他の短語の一部になっていることが多い。

 風雨・霜露・寒暑 (聯合短語)

 風雨・霜露・寒暑 之(定語)→変

 風雨・霜露・寒暑 之変(定中短語=之字短語)

 

次は動詞(形容詞を含む)と動詞性の短語が聯合短語を形成している場合を見ていただきます。この場合は、二つの動詞(動詞性短語)を連詞「而」でつなぎます。

 【例句2】

匹夫見辱、抜剣而起挺身而闘。(蘇軾『留公論』)

(訓読)匹夫(ひつぷ)(はずかし)めらるれば、(けん)()きて()ち、()(てい)して(たたか)う。

(現代語訳)身分の低い男でも、辱めを受ければ剣を抜いて立ち向かい、体を張って戦う。

 

匹夫 見辱、  抜 剣 <> 起、  挺 身 <> 闘。

主   謂  (動賓短語) 動詞  (動賓短語)動詞

└───────┘  └─────────────┘  └───────────┘

(主謂短語)  (聯合短語)    (聯合短語)

主語       謂語       謂語

(第1句式の複句)

 

 上の句では、動賓短語「抜剣」と動詞「起」が並列され、また動賓短語「挺身」と動詞「闘」が並列されています。

 昔の漢文法教科書では、「抜剣」は動賓短語なので第2句式、「起」は賓語のない動詞なので第1句式だと考え、それらが「而」でつながって形成された謂語は、句式の決まらない「複雑謂語」だとしていました。しかし、そのような面倒な分類をするよりも、聯合短語が謂語となっている第1句式だと考えるほうが実際的です。

 

     


公開日:2007年7月16日


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