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129.河村 香穂里ー1
祐輔は哀しい環境や過去に引き回されたオンナたちに出会い、結果はともかくとして、何だかやりきれない気がした。
(それでも、セックスは男女において大きな比重を占める……)
セックスを考え直していた祐輔に、合コンの話しがきた。
「イヤ、僕は……」
「祐輔は合コンなんて必要ないのは分かってるけど、頼むよ! 人数合わせだと思って……」
気が進まない祐輔だったが、気晴らしのつもりで承知した。
金曜日の夜、5対5の合コンが行なわれた。
相手の女子大生は、T大とよく合コンをしてきたN女子大だった。
(N女子大とT女子大の女の子とは、よく接するよな〜)
祐輔は終始、静かにしていた。
女子大生たちは、カッコイイ祐輔に盛んに話しかけてきたが、あまり反応の無い祐輔に見切りをつけ、他の4人の男子たちと仲良く盛り上がっていた。
(おや?……あの娘はどうして?)
向こうの5人の中にも、祐輔のように外れた女の子が居た。
祐輔はその女子大生の耳元に囁きかけた。
「ねぇ、ここを出て、どこかに行かないか?」
「エッ! わたしを誘ってるの?……フッ、変な人ね!」
ふたりは静かにその場を立ち去った。
外に出たふたりは、お互いの顔を見合い大笑いをした。
「長いトイレだと思ってるわ!」
「いいさ! どうせ、人数合わせで付き合っただけだし」
「エッ! そうなの? ふふっ、実はわたしも……」
「なぁんだ、やっぱり! そうじゃないかと思って誘ったんだ」
「うふふふふ……あなたって、可笑しな人ね!」
「君だって! 僕は中島 祐輔、君は?」
「わたしは河村 香穂里……でも、これからどうするの?」
時刻は22時を回っていた。
「明日は講義も無いし……一晩中、バカやって過ごすかな?」
「わたしもフリーだけど……どうしようかな?」
「とりあえず、何処かで軽く飲みながら決めるか?」
「そうね! やっと気が許せそうだし……」
ふたりは近くのホテルのバーに入った。
他愛も無い時間が過ぎていった。
祐輔には珍しく新鮮な時間だった。
(こんな時間があってもいいよな……)
少し酔いが回った香穂里が話し始めた。
「最近、男女のことが分からなくて……」
「どうしてだい? 彼氏と喧嘩でもしたのかい?」
「うぅん! 彼氏という固定的な存在は作らない主義だから……男女の付き合いって言うと、何となく女性が受身のようで……」
「まぁ、一般的にはそうかな……」
「そうよね……男性から快感を与えられるのを待ってるみたい……それがどうしても、何となくイヤと言うか偏ってるような……」
「まぁ、セックスに限って言えば、そうなるかな……でも、与え与え合うものは、いろいろあるから……」
「でも、若い時は、どうしてもセックスに目がいくわ! あなたのように深い考えで接する人なんて少ないわ!」
祐輔には、香穂里が何を訴えているのか分からなかった。
それどころか、話しがセックスになるのは避けたかった。
(しばらくはセックスから離れたい……)
そんな祐輔の気持ちとは関係なく話しは進んだ。
「女性から求め、女性が快感を与えるってのも、あってもいいような気がするんだけど……」
「そりゃそうだけど……香穂里さん、酔ってる?」
「少し酔ってるけど、自分が何を言ってるかぐらいは分かるわ。祐輔さん、和泉式部ってどう思う?」
「あぁ、確かに日本も中世の時代には風情があったね。奔放なセックス……愉しむ気持ちは同感できるかな……」
「そうよね! でも、今の世の中、理解されないわ!」
確かに、この頃の日本は変わってきたとはいえ、自由奔放にセックスを愉しむなんてことは有り得なかった。
祐輔はこのままだと香穂里がどこまで脱線するか不安だった。
「ねぇ〜自由奔放な時間を過ごさない?」
「エッ!」
祐輔は香穂里の暗い文学少女というイメージから、こういう発展は想像してなかった。
しかし、今、目の前に居る香穂里は、全く別人のようだった。
合コンで誘い出した時の香穂里は表情は暗く陰湿な感じで、とても自由奔放なセックスなどと口にするようには思えなかった。
身長は160cm余り、3サイズは83・55・84ぐらいに見えた。
顔は整っているが故に暗く感じていたが、目の前の香穂里は、大人っぽい美人に見えた。
(酔って瞳が潤んで、澄んでいるように見えるからかな……)
祐輔はとにかく、これ以上、ここで話しをしているのは、少し恥かしい気がしていた。
(一応、周囲の目もあるし……)
仕方なく、祐輔は香穂里を連れ出すことにした。
「帰る?」
「エッ! だから〜自由奔放な時間を過ごすの!」
香穂里は頑として言ってきかなかった。
祐輔は香穂里の肩を抱いて歩き始めた。
(酔ってるのに、放って行くわけにはいかないよな……)
祐輔は寝かせてしまおうと裏街のホテルに連れて行った。
「ここに入るけど、いい?」
「えぇ、ここなら騒いでも大丈夫そうだわね!」
香穂里は祐輔の手を払い、どんどんと中に入っていった。
(全くぅ……どうして問題の多いオンナばかりなんだ!)
祐輔は大きく溜息をつき、香穂里を追っていった……。
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