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69.家庭教師(橋本 宅)−6
祐輔は全身びしょ濡れの蘭を抱え、シャワー室から出した。
「ゴメン、せっかくのドレスなのに……」
「うぅん、先生こそわたしの為に濡れちゃって……」
蘭は来客用のバスローブを祐輔に渡した。
「乾くまでこれで……」
蘭は自分もバスローブを片手に隣の部屋に向かった。
祐輔はバスローブに着替えると、蘭の着替えている隣の部屋のドアをノックした。
「あ、丁度、着替えたとこです。濡れたものは、そこに置いておいてください。すぐに乾かしますから……」
蘭の手には、黒のブラジャーとパンティ、それにドレスが握られていた。
(蘭のものなのかな? 母親のものだったら、何と言い訳するんだろう?)
祐輔は先に蘭の部屋に戻った。
ソファに座りコーヒーを飲んでいると、蘭がバスローブ姿で戻ってきた。
「温かいコーヒーを……」
祐輔は蘭にコーヒーを差し出した。
「ありがとう……」
ソファに座りコーヒーを一口飲んだ蘭は、ふぅ〜〜と大きく息を吐いた。
「先生……」「蘭……」
ふたりは同時に呼び合った。
「ハハ……ゴメン。頬、痛くないかい?」
「いいえ、痛いのはココ……」
蘭は胸を指差し言葉を続けた。
「わたしのほうこそ、子供じみた真似をして……先生の気持ちも分からずに……スミマセン……」
「そんなことは……僕の方が軽はずみなことを……それと……キス、ゴメン……」
「イヤ! 謝らないで……わたしのファーストキス……大切にしたい……」
蘭は憂いを帯びた大きな瞳で祐輔をチラリと見た。
(この表情……遠くを見る時も、何か物想う時も、この何とも言えない魅惑的な表情だ)
祐輔は股間の肉棒が堅くなってきたのを感じた。
しかし、こんな状況なのに股間のものを反応させていることに情けなく思った。
(こんな時に、僕は蘭を淫欲の対象に……)
目の前に座る蘭の姿は確かに眩しい。
長い黒髪は完全に乾かずに艶やかに光り、薄い桜色に輝く肌は、まるで美しい真珠のように神秘的だ。
バスローブの開いた胸には、ふっくらと盛り上がった乳房が覗き見え、バスローブの裾からは、触れるのが勿体ないような太股が見える。
(全てが透き通るように美しく神秘的だ……)
祐輔は蘭に気づかれないように脚を組んだ。
蘭は何故、女が男を求め、男も女を求めるのか? 自分なりに分かったような気がしていた。
「先生……今日は勉強、中止にしましょう……」
「そうだね……」
何となく不自然な空気が部屋の中に充満していた。
「あのぉ〜わたし、洋服が乾いたかどうか見てきます」
蘭はどうにも居ずらくなり部屋を出て行った。
(ふぅ〜何か空気が重かったなぁ……このまま着替えて帰るのか? それとも……)
祐輔の本心は……、今日という日をこのまま終わらせたくない! だが、どうすればいいのか? 答えの出ない禅問答を繰り返していた。
5分経っても10分経っても蘭は戻ってこなかった。
(どうしたんだ?)
祐輔は蘭が居るはずの乾燥機のある場所に向かった。
(まだ回ってる……と言うことは……)
蘭が着替えた部屋を覗いてみることにした。
ドアは中途半端に開かれ、中は薄暗かった。
(ここにも居ないのかな?)
一応、中を見てみることにした。
祐輔は静かに部屋の中に入り、窓から射す明かりを頼りに蘭を探した。
(居た!)
蘭はベッドの端に腰掛け、物思いに耽っているようだった。
(ここは蘭の寝室か……)
「蘭……」
ベッドの傍まで歩み寄り、蘭に声を掛けたが反応は無い。
「蘭、横に座ってもいいかい?」
祐輔は蘭の前に立ち、もう一度問い掛けた。
「あっ、先生……まだ乾いてなくて……」
「何を深刻に考えていたんだい?」
そう言うと、祐輔は蘭の了解を得ず、隣に座った。
「いえ、チョッと……」
「今日は勉強は中止にしたんだから……今は、蘭と祐輔……ひとりの男と女……」
「え、えぇ……そうすると、ふたりの関係は、何になるんですか?」
蘭は大きな瞳を少し曇らせ、祐輔を見つめた。
「どういう関係がいいのか? 蘭の気持ちは?」
「わたしは……先生の気持ち次第で……」
「先生じゃなく、祐輔……それでいいから……」
祐輔は、どういう風に答えればいいのか? 素直な気持ちを伝えてもいいのか? と迷いながらそっと蘭の肩を抱いた。
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