第34話 北海道浦臼町の「しいたけ飯店」
しいたけの絵
ご存知の方も多いかもしれない。たぶん一度見た人は一生忘れない、
そんなインパクトのお店である。
浦臼町は札幌の北、約60kmに位置する石狩川沿いの町。
275号線という、ほとんど高速道路化した人気のない国道をぶっ飛ばしていき、
市街地を抜けるといきなり場違いな大きい建物が目に飛びこんでくる。
外観は2階建てなのだが、中はひょっとして3階までありそうな、そんな建物。
以前は真っ赤な建物だったが、今は真っ白に塗り変えられている。
店の名前は「しいたけ飯店」。
看板に描かれた妙にリアルなしいたけの絵は、はっきり言って不気味で怖い。
「中国人コックのいる店」とも書かれている。こんな辺鄙な場所に中国から
はるばるやってくるなんて、いったいどんな事情があったのかと考えてしまう。
なにしろ平日の午後とはいえ、札幌を出てからこのお店につくまでの約60kmの間、
私は歩行者を2人しか見かけなかったのだから。
人生はバクチだ
人生はバクチだという。私が生まれて初めて人生というものを意識したのは、
小学校1年生の時に初めて「人生ゲーム」で遊んだときだった。
たとえ火星から使者が来てご馳走する羽目になろうと、はたまた謂れのない
「仕返し」を受けて10万ドルを奪われようと、最後に賭け用ナンバーボードに
全財産をはたいてルーレットを回す覚悟さえあれば、人生はいつでも
挽回可能なのだ。(そんなことする気はないけど)
なんの下調べもなしに、初めてのお店に入るときの気分もバクチに似ている。
食べ歩きをしていて、おいしい店に当たったら天国、ハズせば地獄。
何故いきなりこんなことを書いたのかというと、じつは理由がある。
白く塗り替えられた「しいたけ飯店」の建物。それは今でも私の実家に残る
30年前の「人生ゲーム」の、2つのゴールのうちの1つ、「貧乏農場」に
よく似ているからなのである。
浦臼の中国
店に入る瞬間のドキドキ感はかなりのレベル。はやる胸を押さえ、
店のドアを開けると・・・うーん、これは。
ファミレスのような、ドライブインのような、微妙な怪しさ。店に入ると真っ先に
目に付くのが、お土産コーナーというのもなかなかだ。
ただしメニューは圧巻。餃子・ラーメン・炒飯などの一品料理から、
鮑、ふかひれ、スッポンなどの本格中華までなんでもあり。
例えば「ポークラーメン」。普通の2倍はありそうな巨大丼に、大きな角煮風の
叉焼がゴロゴロ。あっさり正油味のスープに、極細の縮れ麺がシャッキリした茹であがり。
ここに自家製のしいたけとエノキ茸が入って、なにやらラーメンというより
鍋料理のような風情でおいしかった。
スープと麺を純粋に味わいたければ、塩味スープの「ワンタンメン」や
「ザーサイラーメン」もまた良し。
ちなみに最高額の料理は8800円の北京ダッグだった。
(02年6月17日)