居酒屋のふすま
すわ!テロ?
誰もがそう思ったに違いない。
事件は去る日曜日の夜、某ビル最上階の某居酒屋にて起きた。
突然「バーン!」となにかが爆発したような大音響。
同時に食器類が割れ、砕け散る音・・・。
犯人はテロリストではない。じつは私である。
ことの起こりは職場の宴会であった。40〜50人くらいの賑やかな宴だった。
地酒が飲み放題で楽しかった。
なんだかんだで結構飲んだ。日本酒の2合徳利が3〜4本空になった
ところまでは覚えているが、あとはよく覚えていない。
最後の締めの乾杯を終え、幹事による会計も済み、殆どの人はすでに
エレベーターで降りていた。私は最後に誰かと二人で広間の忘れ物チェックを
していた。そのときにふっと、隣りの部屋との仕切りの黒いふすまに
軽く寄りかかるように手を触れたのだ。
と、次の瞬間、ふすまは音も無く、スーッと隣りの部屋へと倒れていくではないか!
あぁーーっっ!
人生の走馬灯のように、スローモーションでスーッと倒れていく黒いふすま。
あとは冒頭の通りである。
テーブルの角に当たったふすまはバーン!とほとんど爆発音に近い音を
店中に響かせて、テーブル上に立っていたビール用のグラスなどを粉々に
打ち砕いたのである。
「こ・・・これは、まずいっすよ、ひでとしさん! マジで!」
もう一人の忘れ物チェックをしていたC君の顔が引きつっている。
びっくりして走ってきた二人の店員に謝ったのだが、一人の店員はむっとしつつも
「いいです」という。もう一人はむっとしたまま返事も無い。
どうやら帰ってもいいらしいというか、居場所がなさそうなので、話がこじれないうちに
さっさと店を後にした。
最後にエレベーターに乗った私に、職場のみんなが口々に声をかけた。
「なんかもの凄い音がしましたけど、大丈夫ですか?」とか、「怪我はなかった
ですか?」とか。
「うん。たぶん大丈夫だと、思う。」と狼狽しつつ、エレベーターで店を後にする私。
たしか以前にもこんなことは何度かあった。
たぶん誰かが背中で寄りかかったときにふすまが突然外れて隣室に倒れていき、
隣室で宴会中の違う会社の人達とあわててふすまを直したこともあった。
職場の宴会がよく行われるような居酒屋のふすまは、なぜかときどき倒れるのだ。
わかっていたはずなのに、とうとうやってしまいました。ごめんなさい。
でも居酒屋の方々も、簡単に外れないふすまにしてくれるとうれしいです。
地震にも備える意味で転倒防止金具をつけてみるとか。
急に敵が現われてもいいように戸じめきをかけるとか。
それにしても今にして思うと、ふすまが倒れて席が目茶目茶になった様子は、
ドリフのコントのオチか、時代劇の乱闘シーンのようでちょっとだけ面白かったです。
もうあの店には行けない。
(04年3月24日)
<参考文献>
学研まんが ひみつシリーズ 忍術・手品のひみつ
(漫画:今橋さとし 監修:名和弓雄・初代引田天功・平岩白風)