よくある質問集
第1 欠陥とは
- Q:どのようなものを住宅の「欠陥」というのでしょうか。
- A:住宅の「欠陥」とは、法令違反、契約違反、一般的な技術基準違反の不具合をいいます。
- 法令違反とは、建築基準法等の法規に違反する場合をいいます。
- 契約違反とは、当事者間において合意した内容に合致しない場合をいいます。
- 一般的な技術基準違反とは、建築学会基準・旧公庫仕様書等で要求される基準を達成していない場合、建築部材の施工仕様書を守っていない場合などをいいます。
第2 請求の内容
- Q:欠陥住宅の被害にあった場合、誰に対して請求ができるのでしょうか。
- A:
-
ア 注文住宅の場合
請負業者が相手となります。建築士の設計監理上のミスによって欠陥が生じたような場合は、建築士も相手になります。
-
イ 建売住宅の場合
売主が相手となります。建築士の設計監理上のミスによって欠陥が生じたような場合は、建築士も相手になります。施工業者の施工上のミスによって欠陥が生じたような場合は、施工業者も相手になります。
- Q:契約の解除ができるのは、どのような場合でしょうか。
- A:
ア 注文住宅の場合
民法635条但書の規定により、住宅が完成した後は解除をすることはできません。
ただし、取り壊し建て替えをするほかないほどの重大な欠陥がある場合には、取り壊し建て替え費用相当額を損害として請求できます。-
イ 建売住宅の場合
欠陥が重大で売買契約の目的を達成することができない場合には、解除することができます。
- Q:欠陥住宅では、どのような損害を請求できるのでしょうか。
- A:
ア 注文住宅の場合
- 補修費用
- 転居仮住まい費用(住みながら補修できない場合)
- 調査費用
- 慰謝料(詳しくは別記)
- 弁護士費用(詳しくは別記)
-
イ 建売住宅の場合
- 売買契約を解除する場合
- 売買代金(消費税を含む)
- 売買の際にかかった経費(仲介手数料・登記費用・印紙代)、税金(不動産取得税・固定資産税)・住宅ローンの既払利息・火災保険料等
- 引越費用
- 調査費用
- 慰謝料(詳しくは別記)
- 弁護士費用(詳しくは別記)
- 売買契約を解除しない(できない)場合
- 補修費用
- 転居仮住まい費用(住みながら補修できない場合)
- 調査費用
- 慰謝料(詳しくは別記)
- 弁護士費用(詳しくは別記)
- 売買契約を解除する場合
- Q:慰謝料の請求は認められるのでしょうか。
- A:裁判所は、欠陥住宅被害は財産的被害であるとして、財産的価値が回復されればよいとし、慰謝料を原則として認めていませんでした。
- しかし、欠陥住宅被害にあった場合、生活の本拠が脅かされるため、財産的被害だけでなく、精神的にも多大な負担を負ってしまうことがあります。
- そこで、近時の判決では、雨漏りや床の傾斜など、生活を阻害する欠陥現象が明らかとなっている案件では、慰謝料が認められることも多くなってきています。
- 慰謝料の額は案件によって様々というほかありません。重大な欠陥の場合でも概ね100万円程度が多いと思われますが、300万円を認めた事案もあります。
- Q:弁護士費用を相手方に払わせることができるのでしょうか。
- A:欠陥が生じたことにつき業者に過失が認められる場合には、住宅取得者側が勝訴すれば、損害額の10%を上限として、弁護士費用の請求が認められることがあります。
第3 裁判所における手続、かかる時間
調停の場合
- Q:調停は、どのように進みますか?
- A:調停は、裁判所に調停申立書を提出することによって始まり、月に1回程度、裁判所において調停が開かれます。
- 調停期日の具体的な進み方は、次のようになります。調停委員2名が、調停室に待機しています。まず住宅取得者側が調停室に入り、調停委員に対して言い分を述べたり、書面を提出したりします。その間、業者側は相手方待合室で待機します。その後、業者側が調停室に入り、その間、住宅取得者は申立人待合室で待ちます。このような入れ替えを何度か行い、期日の終わりに、次回の期日を決めます。
- 期日の間に、書面を提出することも多いです。また、複雑な案件では、現地での調停期日を1回設けることが多いでしょう。
- 調停が成立する際は、担当の裁判官も立ち会ったうえ、調停調書を作成します。この調停調書は、判決と同じ効力を有します(強制執行が可能です)。
- Q:調停委員は、どのような人たちなのですか?
- A:調停委員は原則2名です。うち1名は一級建築士、もう1名は弁護士であることが多いでしょう。なお、建築士は専門分野が細かく分化しています(構造・意匠・設備等)ので、事案に応じた建築士が選任されます。
- なお、調停委員は、担当の裁判官の指導のもとに調停を進めることとなっています。
- Q:調停には、毎回出席しなければならないのですか?
- A:弁護士に依頼した場合、必ず出席しなければならないということはありません。
- ただし、調停は基本的には話し合いですので、特に調停がある程度進んだ後は、調停の場で受託取得者の意向を確認すべきである場合もあるため、出席をお願いすることも多いと思われます。
- Q:調停には、どのくらいの期間がかかりますか?
- A:調停は、基本的には話し合いですので、話がまとまりそうな案件かどうかによって、かかる期間も変わります。
- まず、調停を申し立てたものの、相手方が話し合いに積極的でない場合や、話にならないような提案しかしてこない場合には、申立から2〜3ヶ月で不成立となって終了します。
- 調停で実質的に話し合いが進む場合には、争点の多さや、必要な調査などによって変わります。目安としては、だいたい申立から半年から一年程度で、話がまとまる(あるいは結局不成立)ことになるでしょう。
- なお、1回の期日にかかる時間は、待ち時間を含めて、1時間から2時間程度です。
訴訟の場合
- Q:訴訟は、どのように進みますか?
- A:訴訟は、話し合いではなく、主張と立証を行う場です。したがって、口頭よりも書面を中心にして進められます。裁判期日は、通常、1ヶ月から1ヶ月半に1回程度開催されます。
- 訴訟の前半では、書面による主張のやりとりと証拠書類の提出が行われます。その後、双方の主張が出そろって争点が整理されると、証人尋問が行われることが多いでしょう。また、裁判所が第三者の鑑定人を選任し、鑑定が行われることもあります。その後、和解の期日が設けられることもあります。
- 最終的には判決が出ます。その後、控訴が行われることもあります。
- なお、訴訟手続の途中で、当事者双方の同意のうえで、調停に付される場合もあります(付調停事件と呼ばれます)。
- Q:訴訟には、どのくらいの時間がかかりますか?
- A:訴訟は、調停よりも長くかかるのが一般的です。
- 訴訟の進行はまさに案件によって様々ですので、一般化することは難しいのですが、欠陥の主張がある案件では、通常1〜2年程度かかると思われます。難事件であれば、2年を超えることもあります。
- Q:訴訟には、毎回出席しなければならないのですか?
- A:弁護士に依頼している場合は、弁護士が代理人として出席しますので、原則として本人の出席の必要はありません。証人尋問や和解の際など、出席することもあります。
第4 費用
- Q:予備調査にはどのくらいの費用がかかりますか?
- A:1 時間につき1万円の時間制(消費税別)とします。また交通費、写真撮影等の実費は別途いただきます。相談中の弁護士が立ち会う場合も、これに準じます。なお、時間数には現場までの往復の時間を含みます。
- Q:本調査にはどのくらいの費用がかかりますか?
- A: 予備調査の結果を踏まえ、その建築士と協議して決めていただきます。
- Q:訴訟手続に入った後に、建築士に対して払う費用には、どのようなものがありますか?
- A:相手方の技術的な主張に対して再反論をするための調査や意見書作成の費用、弁護士との打ち合わせや、裁判に出席する場合の費用がかかることがあります。
(費用について詳しくは、調査・依頼に関する費用をご参照ください)
- Q:法律相談には、どのくらいの費用がかかりますか?
- A:弁護士による法律相談には、30分あたり5,000円+消費税の費用がかかります。
(費用について詳しくは、調査・依頼に関する費用をご参照ください)
- Q:弁護士に事件を依頼するには、どのくらいの費用がかかりますか?
- A:事件の難易等により金額も変わります。通常、弁護士に依頼するときに委任契約書を作成することになりますので、その際によく話し合ってください。
- 弁護士費用には大まかに、着手金・報酬金・日当があり、その他に実費がかかります。
- 着手金とは、事件に着手する際に支払う費用です。その額は、目安としては、請求金額の5〜8%です。
- 報酬金は事件が解決した際に払う費用で、解決によって経済的利益を得たときに発生します。その額の目安は、解決によって得た経済的利益の10〜16%です。
- 日当は、遠方に出張して1日を要するような場合に発生するもので、概ね3〜5万円の日当が必要となります。
- なお、弁護士に対し、謄写費用・通信費・交通費等の実費を支払う必要もあり、これらは合計で数万円程度です。なお、裁判所に対して納める印紙代・郵券代・裁判所鑑定費用については下記のとおりです。
- Q:裁判所に払う費用はどの程度ですか?
- A:調停申立や訴訟提起の際に、印紙代・郵券代が必要となります。印紙代は、訴訟提起の場合、請求金額の1%〜0.3%程度(請求額が高くなれば割合は減ります)です。調停申立の場合は、その半額程度です。郵券代は4,800円〜9,000円程度かかります。
- また、訴訟における鑑定を行うこととなった場合、鑑定人に支払う鑑定費用が必要となります。鑑定費用は、鑑定が行われる前に予納する必要があり、一般には鑑定を申し立てた側が予納しますが、原告被告が折半して予納することもあります。なお、鑑定費用は、どちらの側が予納したかにかかわらず、判決の際に、裁判所が原告被告間の最終的な負担割合を定めます。原則として、敗訴した側が鑑定費用を負担することになります。
その他
- Q:示談で解決する場合の注意点を教えて下さい。
- A:示談による解決は、これ以上の紛争をやめるためのものですから、示談の内容を取り交わす書面(「示談書」、「和解契約書」等と呼ばれます)では、「当事者の間では、本件に関してはこの示談書に取り決めた以外の権利義務はない」といった内容の条項(「清算条項」といいます)を入れるのが通常です。
- そのため、いったん示談してしまうと、あとで裁判をすることはできないのが原則です。そうでないと、いつまでも紛争を蒸し返すことができ、紛争をやめるという示談の意味がないからです。
- ただし、その示談のときに前提となっていなかった事実に関しては、後からでも再度請求や訴訟ができます。もっとも、そのようなことは例外的ですので、当初の示談の際に、双方の間で何がどのように紛争になっているのかをしっかり見極めておく必要があります。
- Q:調停や訴訟中に、先に補修工事を行なうことができますか?
- A:できますが、その場合は欠陥を正確に記録しておく必要があります。裁判官や調停委員に見てもらってから補修するということも考えられます。
- Q:住宅に欠陥がある場合、請負代金の残金を払わないことはできますか。
- A:欠陥が軽微である場合を除き、「修補しなければ払わない」あるいは「修補代金を賠償しなければ、工事代金は払わない」と主張することができますので(同時履行の抗弁権、民法634条2項)、残金を支払わないことができます。