カンちゃんの

きままにインタビュー

安達和俊 先生
2006/6/172号

醫王堂無血療法カレッジ事務局
〒507-0072
岐阜県多治見市明和町4-5-415
TEL 0572-29-3245
1948年生 愛知県出身

今回は、岐阜県多治見市の醫王堂カイロプラクティックセンター院長の安達和俊先生です。先生は、柔道整復の技術とカイロプラクティックの技術を融合した手技療法のセミナーを毎月上京して開催されています。今回は宿泊先のホテルで、治療家になったきっかけや、これからの治療について伺いました。
慶応大学の法学部を卒業されていますが、畑違いの治療家になろうというきっかけは何だったのですか?
もともと武道が好きで、大学に入ったらそれまでやれなかったスポーツをやろうと思って柔道を始めたのです。もっとも柔道に限らずアマチュアレスリングや相撲、空手など、さまざまな武道の研究もしていました。そのなかで柔道整復の仕事のことを知りました。大学では教職をとったので社会科の教師になるつもりでいたのですが、教師は自分に合っていないのでは?と考えるようになって名古屋の米田柔整に行ったのです。卒業してからは近くの接骨院や米田病院の医局で修行をしてました。
それがカイロプラクティックの勉強にアメリカへ留学されたのは何故だったのですか?
医局にいたとき、カイロプラクティックに関する公演を聞く機会があり、研究してみたいと思っていました。その後短い期間でしたがアメリカに行く機会があり、その時カイロプラクティックを見に行ったのです。これは研究する価値があると確信し、翌年、一念発起して留学したというわけです。アメリカでのカイロプラクターは社会的にも認められ、日本の柔整師ができないレントゲンや血液検査、尿検査もできるので、パッと見にはそういった点に目がいく人が多いようです。しかし私にとっては、技術的なこともさることながら、その背景にある構築された理論体系が魅力的に思えました。たとえば、捻挫や靭帯の損傷をどのように考えて治療するのか。炎症そのものをなくすということではなく、損傷をもたらしたねじれなりを調整することに主眼をおく、つまりからだの構造からいってもまず関節の調整を優先すべし、というような考え方ですね。とはいえ、私は柔整を納めてからアメリカに行きましたから、当然柔整的な観点も大いにあります。カイロの中で柔整は使えないかという問題意識は常にありました。
柔整の治療とカイロプラクティック的な手技は、矛盾なくミックスされるものでしょうか。
現在の柔道整復は、西洋医学としての整形外科の補佐的位置にあるといってもよく、学校でも専門科目は医師が、柔道は別の教師が、実技はまた別の人が教えるといった状態です。しかし、本来柔道と整復とはもっと有機的に結びついたものであったはずです。私にとって柔道は柔整の資格のための一教科としてではなく、武道としてありますし、柔道整復は日本における伝統的な治療といえます。現在は法的な制約から後療法などごく狭められた領域でしか用いられていませんが、本来はそんなものではないでしょう。私がカイロを学ぶにあたっても柔整の手法を取り入れることができました。骨折における治療の考え方が、関節などの調整において利用できるのです。カイロにはパーマー系といわれる手技療法のみのストレートカイロと、ナショナル系といわれる手技と物理療法とをあわせたミックスカイロというものがあります。留学したのはパーマー系のクリーブランド大学でしたが、私は欲が深いのでナショナル系といわれるミックスカイロも勉強しました。カイロにあってもさまざまなものを取り入れながら発展しているのです。その意味で、私の中でも整復とカイロは融合されたかたちであるのです。私は自分で納得のいかないことはどこまでも追求してきましたし、自分の考えの中ではすべて有機的につながっています。ですから私が独自に考えた手技というものもたくさんあります。そうしたテクニックには『安達の〜』という名前をつけていますが、それは日本で生み出されたテクニックであるということを示しておきたいからです。
治療家に向けたセミナーを15年も続けていらっしゃいます。
手技療法として、いい技術、いいテクニックの体系を作りたいのです。自分ではだいぶ構築できたのではと思いますが、いくら構築したといってもそれを受け継いでくれる人がないければいけません。要は、いい治療をしてもらいたいのであり、いい治療家を育てたいのです。残念ながら年間10回ですから、限界があります。みんな今日、明日にでも使いたいテクニックに目がいきがちで、なかなかその土台にある考え方までをじっくり伝えるというわけにはいっていないかもしれません。しかし、しっかりと継続して学んでもらえれば1回目にわからないことが2回目、3回目とだんだんわかってくるものです。その中で元になる考え方も身についてきますから、患者さんに確実に喜んでもらえる治療をしていただきたいのです。
先生は大学でも教えられるそうですが。
大学の中でも課程の中に柔整学科を取り入れているところがあります。私はその中でも東京福祉大学で教えることになりました。国家試験に受かるためだけの勉強では理論と実技がバラバラになりがちです。しかし理論と実技というのは有機的につながっていて、これをしっかりおさえておけば、そこからいろいろな考え方、テクニックが派生的に出てくるものです。だからこそ、その元になるものをしっかりと勉強しなければならないと思っています。東京福祉大学では名古屋に教育センターがあり、そこは4年制なので、じっくり教えることができるので私も楽しみにしています。
現実的には柔整の学校が増えて柔整師が増えすぎるうえに、医療費抑制という面からも厳い状況になっていますが。
私が卒業したときの柔整学校は14校。現在は70校以上もの学校が出来て毎年5000人の卒業生が出ています。はっきり言えばつぶれるところも出てくるでしょう。その中で生き残るとすると患者さんが求めているのは何かということを考えざるを得ません。また柔整というのは、現在の法の中では言ってみれば取り締まりの対象になってしまっています。ここまではやっていいけれどここからはダメだというように。本来柔道の整復は日本の伝統的な療法ですし、整形外科の下請けではありませんでした。誇り高い人間は、自分たちの伝統を捨てたりしないものです。中国には中国伝統医学が、韓国には韓医学、インドにはアーユルヴェーダがあります。ある面、西洋医学が一番進んでいるというのは認めますが、なんでも西洋医学である必要はないでしょう。このままでは柔整そのものの存亡にかかわるのではないでしょうか。柔整が生き残っていくにはどうしたらいいか。保険も大事ですが、それに頼っていては成り立たないでしょう。選択肢としての手技も考慮に入れ、やれるだけの技術を身につけるしかないと思います。
治療院が多くなり、競争も激しくなっています。さらに情報化社会の中で患者さんの目も厳しくなってきています。生き残っていくためには、先生のお話のように、常に治療技術の向上を計り、独自色を発揮することが大切だと思いました。4月から大学の柔道整復科で教鞭をとられることを楽しみにされていました。