ちょっとたまらん本たち
「たまらん本たち」よりここは軽めにいきます(笑)

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「菜穂子」
堀 辰雄
新潮文庫
大学3回生の時に、ひたすらこの「菜穂子」を研究した。読みづらい文章だと思っていたが、深く読むにつれ、堀辰雄の文章は一文一文、一語一語に意味があるのがわかってくる。

なんとなく黒川と結婚してしまった菜穂子は、結核になり療養所へ入る。そこへ訪れた幼馴染の都築明。彼の真摯な生き方を見て、菜穂子は初めて勇気を出して雪の中、療養所を飛び出す。けれど、黒川の反応は菜穂子が思っていたようなものではなかった・・・
2人の関係、思いがすべて「目」の描写で伝わって来る。それが堀辰雄のすごいところだ。


「路傍の石」
山本 有三
新潮文庫
極貧の家に生まれた吾一は、奉公に出されるが、苦労しながらも見習を経て一人前の文選工になっていく。
昔の日本人が好きな「辛抱」の話だが、中学生や高校生の時にこの本にみんなが出会っていれば、もっと立派な大人になれるんじゃないかと思う。
どんなに苦しい境遇におかれても、絶対にくじけず、純粋で、常に前に前にと進んで行く吾一の姿には本当に心打たれる。
でもこれは確か途中で筆を折ってるんだよなぁ・・・なんでやったかな?


「小僧の神様」
志賀 直哉
新潮文庫
「小説の神様」と言われた志賀直哉。彼の著作も何冊か読んでいるが、その作品以上に彼の人柄に惹かれる。この表紙の写真もいいしな。
彼は自分の身の回りのものにはとても気を遣ったという。人からもらったものでも、気に入らなければ決してそばには置かなかったらしい。
たとえばハサミはどこどこ製の何とか、パン切りの俎板はこれとか、そんなことまでこだわっていた。

秤屋に奉公する小僧が寿司を食べたくてしかたなかった。それを知ったある人が小僧に寿司を食べさせてやる・・・という単純な話なのだが、なんともほっこりするようないい話である。


「砂の女」
安部 公房
新潮文庫
安部公房も一時ハマッてしまい、かなりの数を読みこんだ。難解すぎるものもあったが、この世界にはまりこむとやめられなくなってしまう。
中でもやはりこの「砂の女」は名作だ。
砂丘へ出かけた男が砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。そこには女がいて、2人で生きるために砂と戦い続ける。
何度も脱出しようとするが、女が逃がさない。また、村人たちは2人の様子を眺めている。
そんな不思議でちょっぴり怖い物語。
でも、引き込まれてしまうのはどうしてだろう。きっと最後にはこの男は逃げられるのに逃げなくなってしまう、その心理に惹かれてしまうからなのだろうな。


「たけくらべ」に収録
「十三夜」
樋口 一葉
新潮文庫
樋口一葉という人の人生にはとても興味がある。
貧しく、「お金のために」文学を志した一葉。初めの頃に書かれたものは駄作ばかりだったのに、死ぬ13ヶ月前から次々と「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」などの名作を発表し、文壇に名を残した。これは「奇跡の1年」と言われている。

私が特に好きなのは「十三夜」だ。
親のために金持ちに嫁いだが、どうにも嫌になって実家に帰ってきた女。だが、親のため、また嫁ぎ先へと戻る。その帰りの車屋が偶然にも昔心惹かれた人であった・・・というストーリーが、一葉の美しい文体で書かれている。

一葉についてもっと知りたいならこの本がおすすめだ。
読みやすいので、すぐに読めるだろう。


「一葉の口紅 曙のリボン」
群 ようこ
筑摩書房