佐藤 清 氏 講演
健康住宅研究会・厚生省アレルギー研究班・(財)ビル管理教育センターからの報告
ただいまご紹介に預かりました佐藤です。今、通産省、厚生省、林野庁、建設省の三省一庁で組織する健康住宅研究会で住宅の安全性を確保するための基準を、来年の3月に出版しようということになっています。
私は現在、設計事務所をやっておりますが、それ以外に住宅公団のアドバイザーという形で6年近く「環境問題と住宅作り」というテーマで委員という形でかかわっており、3年ぐらい前から住宅公団の仕様書、スペックの、見直しを含めて今建っている建物が安全かどうかという全体的なチェックをしています。今年からは研究の内容と、自然塗料と木製サッシで、アルミサッシを木製サッシに変える試みと塗り壁の具体的な素材の研究ということをやっております。
これは寒冷地でできるのかという問題と、東京以南、大阪を含めてビニールクロスに変わる材料としてが何があるのかということを研究しています。レポートとしては、まだ発表されていませんが、住宅公団から「健康と集合住宅の係わり合いについての報告書」というのが出版されようとしています。それから厚生省のアレルギー総合研究事業で、「アレルギーと住環境」が出版されます。
次に(財)ビル管理教育センターというところから「住宅建材ガイドライン」が出版される予定ですが、住宅で使う建材にどのくらい有害物質が含まれているかということが詳細に調査されています。
日本の建築資材メーカーの3割くらいが厚生省の問い合わせに対して回答を出しているのですが、のこりの7割が回答を出していません。どういう素材を使っているのか、どういう危険性のあるものを使っているのか具体的な問いに対して回答をよせていない会社が7割あります。
それはなぜかというと、回答を科学的に出せない、わからないという零細企業もありますし、中小企業もたくさんあります。現実問題として大手の建築資材メーカーは出せるのです。ただし出てきている回答のほとんどは、安全性を危惧しているものばかりです。
ダイオキシンと環境ホルモン
最近の話題として避けて通れないもののひとつにダイオキシンの問題があります。
ダイオキシンは家庭から出るゴミに焼却するとダイオキシンが発生するものがあります。
また、建築廃棄物の中にも相当量のものがあり、私が知っている範囲だけでもダイオキシンの量は大変なものだと想定しています。
ただ現実的として数値的に解析されたものがひとつもありません。
それからもうひとつの大きな問題として、アメリカのゴア副大統領が「奪われし未来」という本の中で書いているホルモン素材という問題があります。
日本では「環境ホルモン」といっていますが、環境ホルモンが人体に悪影響を及ぼしていることです。
身近な例としては男性の精子の数が減ってきているということが言われてきています。
問題は、その環境ホルモン物質が建築素材系由来のものがかなりありそうだということです。
これからどうすればいいかということですが、例えばイギリスでは、環境や人体に影響を与えるものは、明確には解明されていないけれども取締まりをしていこうと国家として打ち出しています。
ダイオキシンの問題で一番積極的なドイツと比較すると、髪の毛に含まれているダイオキシンの量は、日本人はドイツ人の100倍から200倍といわれています。
ダイオキシンの問題についてはドイツの方が先に対策が進んでおりますがホルモン素材に関してはまだ出しておりません。今出しているのはイギリスだけで、環境上に悪さをするような(環境ホルモンの原因物質というのは明確には解明されていません。)
PVCであるとか、プラスチック系の問題、ダイオキシン、要するにそれを燃やしたときに出てくる二次生成物、すず、これは船体の底に塗装材として塗ってあるもので魚網などに使われていて、1年前に禁止になったのですが、ほとんど野放し状態でした。有名な話として、三浦半島の貝が、本来雄と雌がいるのですが、みんな雌になってしまったという発表もあります。この環境問題は、東京でも、あらゆる分野で勉強会が行われています。建築の行き着くところもこの問題になるのだろうな思われます。
最近の話題では、メルボルンのオリンピックがあるのですが、日本ではオリンピックというと競技としてしか捉えませんが、メルボルンでのオリンピックは「環境オリンピック」という副題がついています。長野で、なぜ環境面でコースの数十メートルで大騒ぎしているかというと、IOCが今やろうとしている大きな目標の中に環境という問題があるからです。メルボルンは環境オリンピックという側面を持っていて、PVC・・塩ビ系の廃止ということを施設作りのなかでやろうとしています。現実はなかなか難しく、たとえば配水管に塩ビを使ってはいけないという徹底した運動があるのですが、まだそこまで実ってはいません。そういった動きがあるということです。
しかし、建築の世界で具体的にそういった対応をしているかというと、住宅公団の中では、とりあえず塗料に含まれる有機溶剤系のものを自然系に変えられるか検討していますがコストの問題があります。内装材については、壁紙でいうとビニールクロス系からとりあえず紙系に変えたのですが、紙の中にも重金属が入っていて、この問題はクリアできそうにありません。そこで最終的には塗り壁に変えていこうという動きがあります。なぜそういうことになったかと言うと、ビニールクロスは張り替えで廃棄物が出ますが、廃棄物に関しては、絶対規制がかかる予定なのです。(今までのビニールクロスを400度から800度で燃やすとダイオキシンが発生します。)
合板
次に合板の問題があります。現在安全な建材を作ろうと言う業界の動きが出てきているのですが、本当に安全かどうかを認定する機関が日本にはありません。F1と言うのはホルムアルデヒドの含有量がF2、F3より少ないというだけです。実例として、F1だけを勉強部屋に張ったとしても、中にいる人は気分が悪くなる人もいます。これはF1合板を使用したとしてもどのくらいの量で揮発するのか、すなわち単位面積あたりの揮発量はわからないのです。たとえば扉1枚だけF1合板ならいいのですが、内装材つまり壁から天井、フローリングすべてをF1合板にしたとしても、部屋の数値がWHOの基準をラクに越してしまうのです。これは今日配りましたレジメの2枚目に出てきます。ここに出てくる普通合板と言うのはF2,F3と解釈してください。
低ホルム臭普通合板というのはF1と言われているものです。最近F0という合板が出ていますが、これはホルマリンが入っていないものということになっていますが、これにも基準はないのです。農林省や建設省で作っている基準はあくまでもF1、F2、F3しかありません。F0というのは、あるメーカーが勝手に名前をつけて売っているだけで、ホルマリンを減らした代わりにイソシアネートという接着剤、これはかなり有毒物質なのですが、これを接着剤の代わりに使っています。これは接着剤の役目も持っているが、殺虫剤の役目も持っています。ノンホルムアルデヒドにすることで、接着剤が別の代替え物質になったために、別の問題が起こるかもしれないという状況です。あくまでも、ホルムアルデヒドは、建築建材から出る危ないものを総合的に表す指標であって、ホルマリンがゼロだからいいということではありません。
なぜ、こんなことを言っているのかというと、実は建築建材から出る有害物質と言うのが大体大きく分けると300種類くらい、細かく分けると3000種類くらいありますので、分析不能になってしまいます。これを総合的にひとつの指標で置き換えようと今ホルムアルデヒドに決めただけのことなので、ホルムアルデヒドがないから良い材料ということではないのです。先ほど出ましたイソシアレ−トなどは木工ボンドなどに入っている酢酸ビニルで少量であればたいした問題ではないのですが、大量になってくると大変な問題になります。廃棄物になって燃やされたときに大きな問題になるということです。
化学物質過敏症
もうひとつ、化学物質過敏症という問題が出てきています。私自身化学物質過敏症のかたの相談を3人ほど受けています。
実例をあげますと、一人は東京の大森に住んでいる方なのですが、某メーカー住宅と契約し、基礎を作った段階で、念の為、再度メーカー住宅の展示場と建築中の建物を見にいったところ、体がおかしくなってしまったということです。その方の場合、その方が住んでいらっしゃる家の二軒隣が塗装店であるために、日常的に塗装の匂いを嗅いでいるという問題がありました。すでに体の中の適応を超えてしまっていたのです。
このアレルゲンのようなものを、例えば建設中の現場で大量に嗅いでしまうと、からだが筋肉硬直してしまうという症状も現れることがあります。アメリカではビデオで紹介されていますが、この方は明らかに有機溶剤に反応している方です。アメリカではこういった人たちのためにダラスに病院があります。日本人も何人か行って帰ってきていますが、そこで実際に血液の成分を分析してみると、トルエン、キシレン、ベンゼンなどがたくさん検出されます。これは北里大学の石川哲さんの本でも紹介されていますが、血液検査をしてみると、建築物から出ているであろうと思われるものが結構あります。
ただ、これに反応する人と反応しない人がいるのでわかりませんが、現状として化学物質に反応する人がかなり増えてきているということです。厚生省では化学物質過敏症の人のための調査費が計上されていて、今後かなり詳しい調査に入るのではないかと思われます。建築建材をどうするかはそのときになって考えればいいのかもしれませんが、社会的には大きな問題を抱えている中で、健康な住宅、安全な住宅を作ろうという動きがあるということです。
多分、ここ1年建築材料の見なおしをやらないとだめだと思います。例えば私が仙台の河原町でやっている住宅ですが、ここでは壁紙を使っているのはほんのわずかで10uくらいです。それ以外は塗り壁です。しっくいを塗ることは大変でもなんでもありません。ただし、職人さんは残念ながら仙台ではなく福島の原ノ町からきてもらっています。以前福島で家を作ったときのメンバーにきてもらっています。
価格的には、ビニールクロスに比べれば割高ですが、リフォーム時に、はがしてゴミにするということはありませんので、そういった面では優れていると思います。それからその現場でも使っていますが、生石灰クリームという材料がこれから出てくると思いますが、タナクリームと言う商品名でこれは田中石灰で出しています。これは人間の顔に塗っても大丈夫なほど安全性に優れたもので、これは石膏からできたもので、地中海の灯台に白く塗ってあるあれが生石灰クリームです。日本でも歴史的に見ると少しあったのですが、同じ石灰でも消石灰、同じ成分ですが、製法が違います。作るプロセスが違う石膏が使われてきたわけです。それに代えてヨーロッパ方のプラスター、これはコテでも塗れますし、刷毛でも塗れます、また素人がやってもできます。1uあたり1500円くらいで材料と工賃込みで非常に安くできます。それを今実験的に河原町でやっています。この生石灰クリームは住宅公団では2年くらい前から実験的にやっていて、やっと商品化できたわけです。動きとしてはかなりダイナミックなうごきになっていると思います。
中央環境審議会大気部会
3ページの「有害大気環境基準設定」と言う新聞記事は1996/8/7の環境新聞に掲載されたものです。こ。これは、大気汚染物質で絞り込まれた234物質から、健康リスクが比較的高い22物質について「優先取り組み物質」として中央環境審議会大気部会で選定したものです。
実は、室内の汚染を取り締まると言う法律は何もないのです。唯一、中央環境審議会が出しているのは大気汚染だけなのです。この大気汚染を研究している専門家が室内汚染に非常に着目しています。屋外の外気をサンプリングする時にその中に含まれている有害物質はどこから出てくるのか、例えば車の排気ガス、工場での生産過程で発生する物質、建設現場での発生材、いろいろな状況が考えられます。この優先取り組み物質は22項目決めていますが、実際には300とか3000とか、きりがないのが実状です。その中で特に危険度の高いものを選定して22項目に絞って優先的に規制をかけようとしているのが中央環境審議会大気部会の中間答申です。
この中で1から22まであるのですが、22の六価クロム化合物と言うのがあります。この六価クロムは大気汚染として危険物質なため規制をかけたのですが、アメリカやヨーロッパでは、クロム自体が危険物質に入っています。クロムというのは熱により、例えば火災などにより三価から六価に六価から三価に化学変化をします。ですから六価クロムだけではなくクロム化合物すべてに規制をかけたわけです。建築材料の中では、クロムは椅子などにクロムメッキがされています。建築材料としてはきってもきれないものです。
21のマンガン及び化合物、これは建築材料ではなく、防腐剤などに入っていますので、かなりいろいろなところに使われています。20のホルムアルデヒドと言うのは、接着剤、防腐剤の役目を持っていて、非常に安くて大量に作られている物質です。
18のベンゼンは有機溶剤で、塗料の一部もしくは車の排気ガスにたくさん含まれています。日本石油のベンゼンフリーは、地球にやさしいエコマークをもらったガソリンですが、ベンゼンが非常に少ないということでエコマークをもらったのです。なぜベンゼンが少ないのにエコマークがもらえるかというと、大気汚染物質にベンゼンが大変多いと言うことなのです。車の規制をかけないと本当はダメなのでしょうが、とりあえずベンゼンが少ないものを使おうということです。
15のヒ素及びその化合物、ヒ素と言うのはCCA木材に代表されるような木材保存材です。木材に圧入するCCA加工、緑っぽい化合物がそうなのですが、「CCA」というのはヒ素とクロムと銅の化学的な頭文字をとってCCAと言います。ヒ素の問題としては、日本では廃棄された木材は燃やしてしまいます。燃やしたらヒ素が大気に飛散するので規制をかけようというわけです。ところが建築の世界には規制がありませんので、大気汚染の側から、総量規制をかけようとしているのです。
13のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンは洗浄剤に、主に使われていて、クリーニング店のドライクリーニングというのはこの辺のものを使っています。ドライクリーニングと言うのは油で汚れを取っているのですが、このトリクロロエチレンのような有機溶剤は油分を取ることはできても塩分をとることはできないのです。つまり人間が汗をかいてそれをドライクリーニングしても汗は落ちませんので、お湯で洗った方がきれいになるということです。
次に11のダイオキシン類があります。ダイオキシンにはいろいろな範囲があって、ダイオキシンになる前の前駆体がありますのでいろいろなところからダイオキシンが発生する可能性があります。このダイオキシンは日常生活での建築の生産活動、自分達が生活している中からも出てきます。
それから10のタルク、このタルクというのはアスベスト様繊維も含みます。これは大気中に細い繊維が飛散することによって、呼吸器系から人間の肺に入って、肺に腫瘍を起こすと言う物質です。
あと9の水銀イオン化合物これもご存知ですね。次に、塩化ビニルモノマーがあります。これは塩化ビニル、PBCと言われているプラスチックです。これはテープレコーダーのケースからテープレコーダーそのものまで全部PBCでできています。
クロロホルムというのは水道水に含まれていますから、朝シャンをするとクロロホルムが出てきます。例えば普通の水道水には塩素が入っています。日本の水道水は残留塩素が0.1以上と決められているのですが、ヨーロッパでは、塩素が入っていなくてもよいとことになっています。法律的に改正したのは、一部プールでの取締り条例の中で、プールでは残留塩素がなくてはいけないことになっているので、プールの腰洗い槽の中に塩素が顆粒状であるとか、粒形状のもの、水にといていれるものたくさんの塩素が入っています。つまり人間の下半身の部分を塩素で消毒しようと発想です。これ自体は悪いわけではないのですが、塩素そのものが大きな問題を持っています。例えば、シャワーを浴びますとクロロホルムが出ます。というのは、シャワーは小さな飛沫になって人間の体にぶつかりますので、水道水の中に入っている塩素が揮発してクロロホルムが出てきてしまいます。それを人が呼吸系から吸い込んでしまうことになります。ですからシャワーブースのような狭いところで水道の水を浴びると、クロロホルムの数値が一気に上がります。しかし、ヨーロッパ人のように入浴しない習慣の人達の国、それからヨーロッパの水道事情、塩素を入れないということが法的に許可されている国ではクロロホルムの発生が非常に少ないです。その代わりUV(ウルトラバイオレット)とかオゾンであるとか別の処理方法をとっています。日本でもそういう処理方法をとった浄水場が関東や関西にありますが、たとえそういう処理方法をとったにしても基本的に法的に残留塩素量が決まってしまっているので限界があります。
ここには有害大気環境基準設定と建築の絡みがここにあるのです。現代の建築は、建築基準法も含めて内部のことに関してザル法なので、取締りをどのようにするかというときに、建築の法律ではなく、周囲の法律から責められていると言う現状です。特に建築建材に関しては最終的に環境庁と通産省が取締りをするという形にしないと非常に難しいのではないかなと思います。極端なことをいうと何でも作れるわけです。法律に罰則規定があろうとなかろうと自分の家、他人の家どう言う作り方をしてもある意味わからない部分が多いので、そう言う物質を出さないような作り方をしなくてはならないと言うことです。
建材の測定結果
次に放散の問題があります。建材からの揮発成分の表は、横浜国大の環境研究所の花井先生のグループで測定結果を出したものです。国内で建築建材の成分を調査している大学は、残念なことに現在のところ横浜国大しかありません。他大阪大の植村先生も測定していますが、植村先生は少し違う分野なので、建築建材を調査分析しているのは横浜国大の花井先生のグループだけといういことになります。
次に室内空気質汚染でどんなものが揮発しているかの調査ですが、これは住宅公団がタイアップしています。これはガスクロ(GC)、つまり室内の空気を吸引して、小さな風船のようなものに封じ込めて、これを分析します。そのような一連の調査の中で、建築建材からどのようなものが揮発しているのかがわかる非常に貴重な資料だと思います。しかし測定条件等が明確にされていないので、一般論として見るということでいいと思います。
木材からはリモネンもピネンもたくさん出てきます。これの是非を判断するのは非常に難しいのですが、森林浴などでは、ピネンの影響を受けているといわれています。このαピネン、βピネンは自然界にあるものですが、人間の体に若干ダメージを与える場合があります。これは建築建材の自然素材が全て安全ではないということです。個人差はありますが、人によっては自然素材にも反応を起こす人もいるわけです。これは私の経験の中でもあります。また、ヨーロッパなどではαピネン、βピネンの量に規制をかけようという動きもあります。ですから、自然素材で作ったものが必ずしもよいとは限りません。・・しかし、化学物質でできたものよりははるかに人間が長い間なじんできたものですから安全度ははるかに高いということは事実です。しかし、人によっては、アレルギーが起こることもあり得るということです。
次の合板と言うのはラワン合板のことを言っています。ラワンからはピネンとホルムアルデヒドが出ます。ラワンも木材ですので当然のことです。
畳などは、藁床からナフタリンが出てきます。これは藁床にはナフタリンを入れなければならない仕様があるからです。住宅公団でも宮城県の住宅でも日本国中防虫処理を義務づけている基準があります。防虫処理の中に大量に使われているのがナフタリンです。防虫シートにはフェンチオン、フェニトロチオンなどが使用されていますが、これは農薬です。畳表の後ろに一枚、藁床の下にもう一枚サンドイッチ状に入っています。防虫シートを設置することが義務づけられ、かなり有害なものが義務付けられているという状況です。
壁紙については、ビニールクロスのことを言っています。断熱剤は建築の専門ではない人が調査しているので、少し大雑把過ですが、断熱剤のウレタンフォームの場合と考えればいいです。ウレタンフォームは、作る過程でフロンを使って発泡させます。フロンは今オゾン層の破壊物質とで規制がかかっていますので、発泡剤としてはメタンに代わってきています。しかしメタンそのものもCO2の増加や地球の温暖化に寄与すると言う物質で、あまり良い代替え物質とはいえません。断熱材のウレタンフォームを使うとプロセスに問題があるわけです。アメリカではウレタンフォームの中に少し違う物質を入れています。アメリカの場合は、断熱剤にカビが生えないようにホルムアルデヒドを入れていました。これがアメリカの50万所帯の断熱材による不良事故として報告されています。そして訴訟問題になっていますが、換気という解決策しかないという状況です。次に接着剤ですが、問題がたくさんあり、私のところではアレルギー体質の人は、全部自然系の接着剤を使っています。値段が非常に高いのですが、どういう材料かと言うと、基本的にはニカワかミルクカゼインです。これは昔から使われていたのですが、化学接着剤になってからはだんだん使われなくなり、いまドイツを中心にそういうものが使われていて、日本でもかなり輸入がされてきています。
次にペイントというと油性ペイントの範囲が非常に大きいのですが、今使われている建築建材の中ではペイントの問題が非常に大きくて、ここにもいろいろ出ています。かなり危ないものがたくさん入っています。それからペイントを油性から水性に代えようという動きがありますが、これもまたはたして正しい選択かと言った時には、疑問があります。水性だから安全だと思いがちですが、水性のほうが悪い場合もあります。塗料の精度を知っている専門家の話を聞くと、油性塗料の方が製造工程においては危険性が少なく、水性塗料のほうが製造工程ではかなり危険性があるそうです。要するに作る過程でたくさんの廃棄物を出してしまうと言うことです。また、水性塗料は油性塗料に比べて耐久性が半分と言うこともあり、使用する絶対量が増えるのではないかという心配もあります。他塗料に関しては、塗装の施工方法に問題があります。日本の施工仕様では、例えば鉄パイプがさびればサビ落しをしますが、アメリカではサビ落しをすることを禁止しています。なぜかと言うと、サビ止め塗料に鉛が入っていて、例えば橋梁の塗り替えをする時に日本の施工方法やり方では、サビ止め塗料の鉛が海や川に落ちてしまいます。そうしますとそれを生物が摂取してそれが鉛毒になります。生態濃縮によりその魚を人が食べれば、人が鉛中毒になります。それでアメリカでは、サビ止めに使った鉛系のものにはケレンはしないで、その上から塗り重ねる施工方法をとっています。こういう点で考え方が少し違うわけです。
クレオソートは防腐剤一般のことで何が使われているのかわからないと言うのがクレオソートです。非常に安くて1缶1000円くらいで、石油のタール系に何か薄めてもクレオソートになってしまいます。これは、皮膚ガンの危険性がありますので、イギリスでは禁止されていますが日本では何も規制がないのでいろんな現場でいまだに使われています。
倒壊家屋の廃材の野焼きによって発生する可能性のある主な有害物質
これは大阪大学の植村先生が作った表なのですが、神戸の地震のときに分析したものです。しかし、これはあまり表に出てきませんでした。それは神戸の被災地の人達にどういう影響を及ぼすかわからないので、一部の新聞は取り上げたのですが、大々的に取り上げなかったと言う経過があります。これを神戸地震のような特別の場合なら仕方がないかもしれませんが、一般廃棄処理の場合は全く別です。
例えば、今、私が住んでいる埼玉県の所沢、みよし、大井町2市2町が抱えている一番大きな問題がダイオキシンの問題なのです。これは母乳の問題で、県と国と市町村で今年から母乳をサンプリングしダイオキシンが実際どのくらい入っているのか検査をしますと、また血液検査もしますが、このデータを公表するのかどうかを含めて非常にあいまいな状況になっています。なぜかと言うと研究者が研究をしてデータが出たときに子供に飲ませるか飲ませないかの問題が出てきます。日本の現状ではダイオキシンが入った母乳を飲ませてはいけないという法律は今現在ありませんし、指導もありません。
ヨーロッパ特にドイツではダイオキシンの対策の先進国なのですが、先ほども言ったように絶対量が日本人の200ぶんの1なのですから、まるっきり違うわけです。ドイツの場合は基本的には初乳を含めて3ヶ月だけを飲ませてそれ以降は飲ませていないのです。粉ミルクに転換しているのです。ただしダイオキシン量がだんだん減ってきているので4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月と伸ばす傾向にあります。
日本では数字的にはドイツの何倍にもなりますので、飲ませては行けないと言うことになりますと、粉ミルク会社が儲かってしまうこと、母親と子供の関係になりますので、ダイオキシン量だけでは割り切れない部分もたくさんあります。それでどのように公表するか決められていない段階で、血液検査を含めた母乳検査をすることになっています。
そういうことが今始まろうと言うところです。今回「倒壊家屋の廃材の野焼きによって発生する可能性のある主な有害なガス」の表を皆さんに資料としましたが、なぜ資料にしたかと言うと、このような有害ガスは廃棄物が燃えることによって普通に出てくるということを知ってほしかったからです。中央環境審議会が22項目を優先的に規制をかけた化学物質のほとんど出てきてしまいます。
例えばスチレン、ベンゼン、トルエン、・・ベンゼンは石油系のものですがトルエンも有機溶剤、ホスゲン・・これはナチスがユダヤ人の大量虐殺をしたガスがホスゲンです。・・建築材料を燃やすとホスゲンが出てしまうのです。ホスゲンは少量で何千、何万の人を殺す力を持っているものです。これが建築物から出ると言うことです。あと右に比重、毒性等のメモが書いてありますが、比重が空気より重いことで、ガス発生時に地べたを這うと言うのはこういう意味があるのです。この中で塩化水素が出てきますが、これも日本では規制をかけていません。塩素消毒と同じように考えていいと思います。
世界で環境問題に取り組む人たちは、塩素系の製品の使用禁止を訴えています。脱塩素社会と言うのがキャッチフレーズになっています。次にプラスチック、これはPVC、主な発生源樹脂と書いてありますが、塩化ビニルのことです。これを燃やすと塩化水素が出るということがわかります。次に塩素化ベンゼン、これはダイオキシンの前駆体といわれ、非常に危険なものです。次にフェノール、フェノールとは、例えば歯医者さんに行くと麻酔として使われています。また、接着剤にも使われています。私は、2度歯医者さんの家をリフォームしたことがありますが、相談は3度ほどあります。歯医者さん御自身とか家族の人に非常にアレルギーの人が多いのです。なぜかと調べていくと、歯医者サンで使用している素材が建築材料と似ていました。フェノール・・これは麻酔です。ほかにホルムアルデヒド、接着剤というかコーキング剤です。
埼玉県の越谷市に面白い歯医者さんがいます。この方は建築がすごく好きで、自ら現場監督をして、職人の手配まで全部やりました。設計だけは私がやりました。普通は工務店が監督・手配等をするのですが、その監督を全て自分でやったのです。その方は、すごいアレルギー体質を持った方なのです。その人の娘さんも歯科大に行っているのですが、やはりアトピーの症状があります。最初に娘さんとお母さんがすんでいるマンションの環境がすごく悪いというので、その部屋をリフォームしたことがあるのです。リフォーム後半年か〜1年経過して娘さんのアトピーの症状が減ってきて、いいということになり、自分の病院と宿舎を直すことになりました。歯医者さんもそういうことに目覚めてきて、自分が現場監督になってやっていると言う状況です。その後いろいろ話をして解ったのですが、フェノールやホルムアルデヒドは、歯医者さんが使用しているコーキング剤に非常によく似ているようなのです。それで歯医者さんにはアレルギーやアトピーの体質が多いのではないかと思います。
最後に二酸化イオウと言うの出てきます。二酸化イオウと言うのは空気中の空気を分析する時にひとつの指標にしているもので、大気汚染を調べるのに非常に重要なものです。室内の空気汚染を調べる時にもこのSO2、二酸化イオウの検査をしています。私自身も調査していて15検体ましたが、1検体12000円くらいします。東京では東京顕微鏡院で、空気質測定をしてくれます。仙台の人でもサンプラーがありますので(小さなタバコみたいなもの)それを部屋に置き、24時間経過後、回収し、東京顕微鏡院に宅急便で送れば空気質の分析をしてくれます。12000円くらいかかりますが、非常に正確なものが出てきます。二酸化イオウとホルムアルデヒドに限れば、建物、部屋、家具から何が揮発しているかという分析ができます。その他のトルエン、キシレンというような有機溶剤系のものはガスクロにかけなければならないのです。ただし、室内の空気汚染を調査したところで国内に基準がないということと、皆さんがその数値を見て安全か危険か、この人にどんな問題が起きるのかどうかを評価することができないと思います。建築の分野に関しては、私達の専門分野では、測定された数値が安全か危険かと言う判断ができないことが今自分の中のジレンマとしてあります。こららに関しては先ほど言った国の4省庁の研究の中で暫定基準を作ろうとしています。現在のところでは、ホルムアルデヒドだけ指針をつくると聞いています。それ以外の300種類近く有る有害物質には何の規制もかけないと言う中間報告がでています。ですから、今までと何も状況は変わらないのではないかと思っています。
木材保存材
私達が予想もしない・・こんなことをしてもらわなくていいよ・・というのに木材メーカーがやっていることがたくさんあります。例えば木材の防腐、防虫でいろんな化学物質が使われていますがここに出ているだけでも大変な量が使われています。なぜこのようになってしまったかと言うと、業界の構造的な体質と言うものを調べる必要があると思います。
それから健康住宅に関する統一的な物を作るための推進協議会があるのですが・・これ建設省を含めた100団体くらいが集まっています。女性建築士の方も設計部会に何人かいます。しかし、誰が座長をやっているのかと言うと、白蟻協会(シロアリを駆除するための協会)の親分が健康住宅の座長なのです。これを聞いて私はすごくショックでした。木材保存材のような薬剤をたくさん使うところの協会の理事長が健康住宅の推進協議会の座長をやること自体がおかしいと思います。この方は大学の教授なのですが、もともと建設省のお役人で、そこから大学教授になり、国が作る基準の作りには必ず会議に出席する教授なのです。いまだにそういう体質でやっています。
各業界では、例えばプレハブの2×4のメーカーに方たちも何人か入っていますか。そのような業界の人達の作り方は変えようがないですよね。アメリカの2×4ではCCA木材をたくさん使用していて日本の4倍くらい使っています。そういう材料が日本に入りこんできますので、そういうものが使えない基準を作れば彼らの生きていく場がなくなるわけです。そういう利益団体の人たちも含めて基準作りをしていますからうまいものが作れるわけはないのです。設計事務所関連の人が設計部会の中に数名入っているのですが、業界の中での力としては、設計業界はまるっきり微力ですので、この人達の力が反映されることは難しいだろうと思っています。
それでは、どうすればいいのかというと、現実的な方策としては、化学物質等で被害を受けた人がかなり出てきていているので、大変申し訳ない話だけれど、そういった被害者の方たちが出てきてアピールするしかないのだろうなと思います。化学物質過敏患者の会の人や、それを支援するグループができてきているのだけれど、日本では、どういうわけかこういうグループができると必ず分裂したり、またその中でややこしいことがおきていったりで、なかなかこの被害者たちがまとまりにくいという状況にあります。
こういう状況の中で女性建築士の方たちがどういうスタンスでこれを解決していくかは、これからの問題だと思います。どちらにしてもここ数年の間に日本建築の作り方は大きく変わると思います。それから市民グループが作る住宅白書のようなものが出版されています。その中で私も何ページか書いていますが住宅と健康と言うのを今回取り扱っています。その中にでは、いろいろな立場の人が多方面から書いています。
いま動き始めた方法として、各自治体の保健所の職員、特に環境衛生監視員の人たちが住居衛生まで業務範囲に入れようというのがほぼ合意されています。国立公衆衛生院に建築部があり、そこで主催する講座があり、その講座の中で各都道府県の環境衛生監視員を30日くらい、建築の衛生学その他の講座を始めたころなのです。だいたい3年くらいそういうことをやりましたけれども、これからその人達が職場に戻って、建築と環境衛生をどう絡んでやっていくかということが実務レベルで始まろうとしています。
なぜそのようにしなければならないのかというと、今の状況では民間主導型ですから、建築の安全性や、取締りをするとなかなか有効にはならないのです。(消防士がよく火をつけるといいますが)取締る側と工事をする側が一緒だったら「この家危ないですよ」といって家を自由に直させることが難しいのです。あくまでも中立的な立場の保健所などで、住居の危険性や、環境についても公正な立場での資料ができると思います。こういう住居衛生に関して公的な指導が入るか入らないかは瀬戸際なのですが、とりあえず3年間近い研修は終わっています。
次に、イギリスにあるハウスインスペクターという住宅を調査する業務があるのですが、それと同じような制度を日本の中に入れようかというのを検討しています。それから東京のエバラ保健所では、(確認申請の段階でどういう風にチェックするのかをもめていますけど)、確認申請の段階で住居衛生の立場からアドバイスをするということが、現実的に今始まっています。
ス ラ イ ド
屋上緑化・まきストーブ
ドイツは環境先進国で、環境問題については20年くらい先をいっているのではないかと思います。建築の分野で言っても、テクニックのことも含めて、かなり違ったものを造り始めてきていて、21世紀型の住宅かどうかわかりませんが、ドイツがはじめているということです。代表的なものが屋上緑化で、屋根の上を緑化や、暖房にまきを使用することもかなりやっています。まきを使用するきおとが大気汚染を起こしているのではないかという人もいますが、石油という地下に潜ったドラキュラを地上に出して排気ガスを出しているのと比べれば、地上でCO2を固定しまた地上に出すというのは、最終的にはCO2の増加を招かないので、ドイツでは、エネルギー源としてはまきの方が非常に優れているという評価をしています。
自然系塗料・木製サッシ
また外壁に日本人には考えられないような色が塗ってありますが、これも自然系の塗料で塗られています。外壁の塗料もいろいろな工夫がされていて、これはハイビスカスを塗っているものです。サッシも木製サッシが彼らの中では常識です。しかし、ヨーロッパの中ではドイツは木製サッシの使用率がわりと低く、60パーセントくらいです。先進国のデンマーク、スウェーデンでは、木製サッシの普及率は95パーセントで、ほとんどアルミを使っていない状況です。冒頭でお話しましたが、日本の建築は、ある環境的にみれば異常な造り方をしているといえます。例えば公共建築では、アルミサッシが常識的に使用されています、ヨーロッパでは公共建築でもほとんど木製サッシが使われています。
これは、木製のキッチンです。キッチンの天板も側板も全て木で作られています。水槽の部分だけがステンレスで造られています。なぜこういう作り方になっているかというと、建物を造る上でのトータルエネルギーの使用量を極力減らすためです。それから建物を使っていくメンテナンスとか使っていく上で排出ガス、CO2というのが出ます。それで建築物物の評価をCO2換算をするという方法が国際的な常識になっています。日本では筑波の建築研究所の小玉さんが日本の代表で国際会議に出席しています。基本的にはCO2換算をして、この家は作るときにCO2が何kg出る。それから生活していく上で1年間にCO2を何kg出しているということを評価しているわけです。木というのは炭酸ガスを吸って酸素を出しているのですが、エコロジーの材料というのは、基本的に全部炭酸ガスを吸収して酸素を出すという材料だけなのですね。紙もそうですし、畳もそうです。みんなそういったものばかりなのです。逆にいうと炭酸ガスの封じこめが出きるわけで、炭酸ガスの排出量を極めて少なくすることができます。
自然系ワックス・塗り壁・塗料
このような表面に塗られているものも自然系のワックスが塗られています。これは塗り壁ですね。塗り壁といっても日本みたいな塗り壁の技術ではなく、チョット見るとわかるのですが、レンガ状の物を積み上げていった土の上に塗っているというプロセスをへています。の中には稲藁ではなく小麦系統のものが入っています。断熱材に関しても土と藁を利用し始まっているというのが実態だと思います。アメリカなどではストロー建築というのがあるくらいで、藁だけで作った住宅があります。これは塗料ですね。粉状になった塗料の顔料で、塗料というのは大体が使う段になると水溶液になって、運搬の段階では粉状、顆粒状です。これは色は赤系、茶系で、これは鉛とか金属系は使っていませんので鉱物が使われていると思います。
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