最新情報(2002年7月)
7月25日 リストラされる訳には…うつ病の果て命絶った39歳
「働き盛り」が次々と命を絶つ悲しい現実が、警察庁が24日に発表した昨年の自殺統計で改めて浮き彫りになった。東京都内の証券準大手のある部次長(39)も昨年秋、首をつった。会社の合併、業務量の急増……。うつ病と診断された3か月後だった。「夫は働くしか選択肢がなかった」。妻(35)の言葉を通し、リストラを恐れて「過労自殺」にまで至る現代サラリーマン像が見える。
◇
昨年9月、平日の午後8時すぎ。3歳の長男と一緒に妻が遊園地から帰宅すると、玄関に夫の靴が脱いであった。家中は真っ暗で物音ひとつしない。不審に思い夫を探すと、無残な姿が目に飛び込んだ。浴室で首をつっていた。
「あまりにも大きなものを抱え込み過ぎて、どうにもならなくなってしまった。うつ病と診断されたことがショックだった」
愛用のシステム手帳には、遺書代わりにそう走り書きがしてあった。妻はそれまで、夫の病のことは全く知らなかった。
夫が部次長に昇進したのは一昨年夏。会社は大規模なリストラを行い、他の証券会社と合併したばかりだった。社員1人あたりの負担が増えたところに、昇進による仕事が重なった。年上の部下との人間関係に悩み、家族と一緒に食事する機会もほとんどない。半年が過ぎたころ、「夜眠れない」とこぼすようになった。夫婦の会話は慌ただしい朝だけ。話しかけても、ボーッとしていることが増えた。
昨年6月、夫は1人で病院に行き、うつ病と診断された。だが、妻には「不眠症」としか説明しなかった。突然、帰宅時間が早まったのは8月。「部内で担当が変わった」。夫はそう答えた。この時、診断書を会社に提出し、部内異動になったことは、自殺後に会社側の説明で知った。
休職するか、降格して他の部に異動するか、次長待遇のまま部に残るか。会社側の提案に、夫は部に残ることを選んだが、仕事は事実上なくなった。8月中旬になると、再び帰りが遅くなった。「早く帰るよう上司に言われても、最後まで残っていました」。同僚が教えてくれた。
「私もOLだったので、職場でのプライドはわかる。夫は次長のまま働くという選択しか出来なかったのだろう」。幼い長男を抱えた妻は今、夫の死を「過労自殺」として労災申請するつもりだ。
[2002-07-25-05:33]
7月25日 フリーカメラマンに労災適用へ…労基署が上告断念方針
映画のロケ先で脳こうそくを起こして死亡したフリーの映画カメラマン瀬川浩さん(当時59歳)の遺族が新宿労働基準監督署を相手に労災認定を求めた訴訟で、同署は25日、上告を断念する方針を固めた。遺族側敗訴の1審・東京地裁判決を覆し、遺族補償不支給処分取り消しを命じた東京高裁判決が確定するのを受け、厚生労働省は、製作スタッフの労災対象範囲を拡大する。
瀬川さんは、1985年10月から記録映画の製作に参加し、86年2月、東北のロケ先で脳こうそくで倒れ4日後に死亡。遺族は「長時間の真冬の野外ロケなどが原因」として88年2月、新宿労基署に労災申請したが、再審査請求も棄却されたため98年に提訴した。
訴訟の争点は、瀬川さんが労働基準法上の「労働者」か否かという点。厚生労働省では〈1〉指揮監督を受けているか〈2〉時間的・場所的に拘束されているか――などの面から総合的に判断している。契約形態が多様な製作スタッフや俳優らについては、96年に判断基準を定め、撮影助手は「労働者」だが、裁量の余地が大きいカメラマンは「労働者」ではないとしてきた。
[2002-07-25-14:32]
7月24日 心の悩み、相談相手なく=自殺の労災認定急増、昨年度31件
働き盛りの中高年を中心に勤労者の自殺に歯止めが掛からない。警察庁の集計で昨年の勤労者の自殺は4年連続で6000人を超えた。自殺の労災認定も、1996年度の1件から昨年度は31件に増えた。専門家は「職場では精神的な悩みは人事面でマイナスとみられる風潮があり、相談相手もなく孤立したまま自殺する人が多い」と指摘する。
企業や官庁など209団体の172万人が加入する「心の相談ネットワーク」(東京)は臨床心理士が相談を受け、昨年は約5000件の相談に応じた。相談室チーフ藤森由比子さん(60)は「うつ病は治りかけたときに自殺を考える人が多く、治療には周囲の人の理解が不可欠」と話す。
しかし、「不況による競争の激化や終身雇用の崩壊で職場が余裕を失い、職場で相談相手を探すのは困難になっているのが実態」(藤森さん)。 (時事通信)
[7月24日18時3分更新]
7月24日 生活苦の自殺者、過去最多
昨年1年間の全国の自殺者は3万1042人で一昨年より2・9%(915人)減少したものの、「経済苦・生活苦」が理由とみられるケースは6845人と過去最悪だったことが、警察庁のまとめでわかった。全体の40・3%が40―50歳代。景気低迷と、それを背景にした構造改革に追いつめられる中高年サラリーマンの苦しみが数字に反映している。
年間自殺者数は、警察庁が統計を取り始めた1978年から97年までは2万―2万5000人前後を推移。しかし、98年以降は4年連続して3万1000人以上を記録している。
昨年の自殺者を動機別にみると、最多の「健康問題」(1万5131人)が一昨年比2・6%、3番目の「家庭問題」(2668人)も同3・7%、それぞれ減少したのに対し、2番目の「経済苦・生活苦」は一昨年(6838人)をわずかながら上回り、97年(3556人)の倍近くになった。
同庁が、「経済苦・生活苦」の自殺者のうち遺書を残した2872人を分析したところ、40―50歳代が63・7%(1829人)に上り、特に50歳代は41・7%(1198人)と突出して多かった。
職業別に「経済苦・生活苦」を見ると、自営業が一昨年比5%減の4149人、無職者が同2%減の1万4443人などと減少した反面、被雇用者は7307人と微増(6人増)。このうち民間企業の社員や銀行員などサラリーマンは、自殺者全体の8・9%に当たる2779人を占めた。
7月19日 <労災請求門前払い>調査前に取り下げ書送付 名古屋北労基署
パソコン入力で頚肩腕(けいけんわん)症候群にかかったとして労災認定を求めた名古屋市の介護関係会社の女性社員(29)に対し、名古屋北労働基準監督署が請求の「取り下げ書」を送り付けて事実上、断念するよう勧めていたことが18日、分かった。取り下げ理由まで書かれていた。十分な審査もせずに労基署が門前払いしようとしていた事態に、厚生労働省の愛知労働局は「請求権の侵害ととられても仕方がない」として同労基署に職員の再研修や再発防止策づくりなどを命じた。 【大島秀利】
女性は98年の入社以来、仕入れや売り上げのデータ入力を担当し、昨年10月からは介護保険の報酬請求書(レセプト)の入力も始めた。関係職員3人の退職なども重なり、月に最高約1000人分のレセプトを入力し、多い時では約11時間も休みなく作業を続けたという。
女性はこの間、首から肩、腕に至る部分が痛くて眠れなくなり、頭痛や吐き気、腰痛などの症状も表れた。今年4月末に労災指定医院で頚肩腕症候群、右手関節炎などと診断され、「職業病」と説明された。このため女性は6月、医院を通じて治療費の労災認定を名古屋北労基署に請求した。
ところが、労基署の担当職員は6月21日、女性の自宅に電話し、「労災認定は難しい」と言った後に、仕事の内容などを詳しく尋ねたという。翌日、労基署から「取り下げ書」が郵送されてきた。「理由」の欄には鉛筆で「労災制度認識不足であったため」と書き込まれ、ボールペンなどで清書すればいいだけになっていた。
女性側の指摘を受けた愛知労働局が調査。電話では単純な質問にとどめておくべきなのに詳細な調査をした▽本人の労災請求の意思に干渉した▽求められずに取り下げ書を送付した――など、やってはいけない対応があったことを確認した。
労基署の担当職員は今月16日、女性に「説明不足だった」などと謝罪したという。女性は「取り下げ理由まで書いてあってびっくりした。とても心外だ」と話している。
愛知労働局の岩瀬昭夫・主任地方労災補償監察官の話 本人の意思に反した取り下げ書の送付が行われ、局でも驚いている。全国的にも聞いたことがない。組織的ではないと考えているが、結果を重く受け止め、体制上問題がなかったか点検したい。
◇ ◇
【視点】名古屋北労基署が労災認定請求者に「取り下げ書」を送付していた問題は、本格的な調査の前に、担当職員が電話のやり取りだけで事実上、適否を判断しようとしたずさんな対応ぶりを示した。愛知労働局は特殊なケースであることを強調するが、同様の「取り下げ指導」の素地がないのかどうか、徹底した調査が求められる。
愛知労働局は「請求者に電話する場合は、字句の確認などにとどめるべきで、事実の調査をしたり、認定の難易を判断して伝えるようなことはないよう指導してきた」と話す。ところが、労基署の幹部は「請求者に電話をして概要を尋ねたうえで『労災認定は難しい』との表現で伝えることはある」と語り、現場の実態は異なっている。
問題の背景について、元労働基準監督署長の井上浩さんは「労基署の担当者は頚肩腕や過労死、腰痛などの調査で大変苦労する。労基署は多数の労災認定請求の事例を抱え、できるだけ受理したくないという意識が働くのだろう。現場に必要な人員をもっと配置するべきだ」と指摘する。
請求者の女性を支援する名古屋労災職業病研究会の繁野芳子事務局長は「労災請求の門前払いは、労働行政上あってはならない人権侵害。労基署は、請求者に与える影響について認識が甘い」と近く、厚生労働省に改善を求める。 【大島秀利】(07/19 03:05)
7月17日 (青森)県秘書課、時間外100時間以上も (東奥日報)
木村守男知事を支える県秘書課の主要職員の時間外勤務時間が月に百時間を超え、突出していることが本紙の集計で明らかになった。中には二百七時間に達した職員もおり、長時間勤務が常態化している実態が浮き彫りとなった。知事部局全体の時間外勤務を減らし、適正な労働時間の確保を促す県人事委員会の要請にもかかわらず、同課の実績を見る限り、改善の跡は見られない。
本紙が情報開示請求して入手した二〇〇〇年四月以降の時間外勤務の実績報告書によると、知事秘書、技能技師(運転手)、課長補佐、総務班長などが平均して、月百時間以上の時間外勤務をこなしていた。
最高は〇二年六月、知事公用車の運転手が記録した二百七時間。同月は知事秘書も百九十三時間を数えた。
知事公用車の運転手は二年間で百五十時間を超えた月が十四回あり、激務ぶりを裏付けた。
多忙な知事に合わせ、秘書業務は本来の秘書だけでなく、課長補佐、総務班長、総括主査たちが交代で担ってきた。これら職員に長時間勤務が目立った。
労働基準法が、条件付きで民間事業所などに適用する時間外勤務の上限は、月四十五時間。病院や保健所などを除く一般官公署職員は、労基法の時間外規定から除外されているので、ただちに違法とは言えないが、民間感覚とは懸け離れた労働環境となっている。
秘書や運転手の長時間勤務に対する見解を、本紙が木村知事にただしたところ、小堀安雄総務部長が文書で回答した。
小堀部長は「知事は多くの県民に直接会うようにしており、県内各地、土日祭日、日夜を問わず活動している」と理由を説明。改善策として「(知事が)県庁から帰宅の際は(職員を)つかせないとか、(知事の帰宅が)遅くなった場合や翌朝早い場合は(知事が)青森の宿舎に泊まるなどの配慮をしている」と述べている。
◇驚きの超過勤務 改善遅く
本紙記者が持ち込んだ県秘書課職員の時間外勤務時間一覧表を見て、青森労働局の担当者がうなった。
「これは普通じゃないですね」
驚くのも無理はない。。月ごとの時間外勤務実態をまとめた表には、三けたの数字が並んでいた。知事秘書百六十時間、技能技師(運転手)百五十七時間、総務班長百四十五時間−。働き詰めを物語る。
仮に、これが民間事業所ならどうなるか。労働局担当者は「法を厳格に適用すると、使用者は六月以下の懲役または三十万円以下の罰金もあり得る」と説明した。
日程調整、情報収集、あいさつ文の作成など、県政を引っ張る知事ら三役を陰で支えるのが秘書課職員だ。指示を受け機敏に行動しなければならないので、気の休まる暇はない。知事の多忙がそのまま長時間勤務につながる。
常に知事と行動を共にしなければならない知事秘書はとりわけ激務だ。一九九九−二〇〇一年度の三年間、一人で年間を通して務め上げた人はいない。知事に秘書一人という原則を覆し、年度途中から課長補佐、総務班長、総括主査らが加わり、交代で秘書役を担ってきた。
労働基準法は原則として月四十五時間を超える時間外勤務を認めない。しかし、この規定は県庁はじめ一般官公署には適用されない。公務員は、住民の安全にかかわる重大事が起こったとき、万全の態勢を取らなければならないからだ。
だからといって、日常的に過重労働を強いていいということにはならない。労働者に健康的な生活を保証する同法の精神は生きている。
知事部局から独立している県人事委員会は毎年のように、時間外勤務を削減するよう「積極的な取り組み」を知事に進言している。
これを受け人事課は、毎週水曜日のノー残業デー実施、午後八時を超える勤務の原則禁止−を打ち出した。徐々に効果が表れているというが、西野正・人事課長は「人を増やしても改善できない部分がある」と、職場によって事情が異なることを認める。
滅私奉公がもはや死語になりつつある今、黙々と仕事をこなす職員たち。不平、不満は外には聞こえてこない。
職員にノー残業を呼び掛けたのはほかならぬ知事だ。「効率的に仕事をして、家族との時間を持ち、一市民として社会貢献もしてほしい」と人間性回復を説いた。庁内に言行不一致をとがめる人はいない。
7月17日 過労死の労災不支給処分問題 基準緩和で逆転認定−−中津労基署 /大分
中津労働基準監督署は、過労死による遺族補償を求めて労災認定を申請した管内在住のタクシー運転手(当時60歳)の妻に対し、一度決定した不支給処分を取り消し、昨年12月に緩和した過労死認定基準を適用して労災を認定した。厚生労働省によると、同様のケースは県内初で今回を含め、全国で10人(死者4人)という。
同労基署などによると、運転手の男性は92年5月30日、体調不良を訴えて仕事を早退。翌日くも膜下出血で死亡した。妻は97年5月、「長時間労働による過労死」として同労基署に遺族補償を求めて労災認定を申請したが、同労基署は「業務との因果関係は認められない」として不支給を決定。妻は大分労働局の労災補償保険審査官に審査請求したが、これも棄却され、労働保険審査会(東京)に再審査を請求していた。
その後01年12月に厚生労働省が過労の認定基準を疲労やストレスの蓄積を重視する方向へ一転して緩和。業務との因果関係を判断する期間を原則発症前1週間から6カ月間に拡大したため、同労基署が再調査し、今年4月に支給が決まった。男性は残業時間が月平均80時間以上だったという。【船木敬太】(毎日新聞)[7月17日21時2分更新]
7月17日 沖電気関連会社「沖エアフォルク」(福島)の労働者 サービス残業是正させた
「残業日誌」作り労働時間管理 本紙報道 三菱電機労働者に学んで(2002年7月17日(水)「しんぶん赤旗」)
ただ働きをおしつける違法なサービス残業がまた是正されました。沖電気工業の関連会社、沖エアフォルク(本社・福島市)は、退勤時のタイムカードを打刻させず、サービス残業の温床をつくっていましたが、労働者有志が労働時間を自己管理する「残業日誌」運動をすすめ、会社の姿勢を改めさせました。(東北総局・矢野昌弘記者)
沖エアフォルクは一九九八年に東北沖電気から分社化した会社です。分社してからも「毎年リストラをやっているようなもの」と労働者から声があがるほど、「合理化」や賃下げを実施してきました。
九九年、会社は労働者一人あたり平均22%の賃下げを実施。さらに業務別賃金や成果賃金制度を導入し、時間外労働の割増率を引き下げました。
分社後は、退勤時のタイムカードの打刻をしないことに改め、自動的に「定時退社」したことにされました。昨年八月以降はさらに改悪され、残業は“職場能率”100%を達成した職場だけが残業申請をした上で、できることになりました。
この方針になってから、職場ではサービス残業がまん延し、とくに職制のサービス残業が連日のようになりました。
今年になってからは、賃下げを緩和していた調整給を段階的に削減し、労働者の暮らしはますます厳しくなっています。
こうしたなか、労働者のAさんは昨年十一月に福島労働基準監督署に相談にいきました。
労基署の監督官は「ひとり分でもいいから正確な勤務実態を知らせてほしい。そうすれば受けつけることができます」と回答しました。
Aさんはどうして正しい労働実態を伝えようかと考えている矢先、「しんぶん赤旗」で兵庫県の三菱電機労働者が「残業日誌」をつけて、ただ働きをなくそうとよびかけている活動を報じた記事(〇一年十二月七日付)を目にしました。
「これだ」。Aさんはワープロで「残業日誌」を作成。まわりの労働者に呼びかけて、一月から日誌をつけました。
Aさんは、時間外手当の算出方法を書いた用紙をつくり、協力してくれた人に給料明細に書かれた時間外手当の額を書いてもらいました。
「残業日誌」をつけた結果、多い人では六十時間に相当する八万円分のただ働きの実態が明らかになりました。
三月、Aさんは福島労基署に再び申告。同労基署は沖エアフォルクに対して、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」として昨年四月の厚生労働省通達をもとに指導しました。
沖エアフォルクは四月十一日に通知を出し(1)タイムカードの打刻を退勤時にも行う(2)一時間未満を端数として切り捨てた残業時間を十五分単位で算定し、昨年十月分にさかのぼって時間外手当を支給する―としました。
一定の改善がありましたが、Aさんは「会社の方針に従って残業時間を記録しなかった職場では恩恵を受けることができませんでした。改善を命じられた後もタイムカードを押してから残業をさせる職場が今もあり、経営陣は今回の指導を真剣に受けとめてほしい。会社の違法行為をただすため、『残業日誌』を続けたい」と話します。
7月15日 健康なくして企業発展ない 労基署が過労死予防求め説明会
過労死の労災認定基準の緩和などを受け、中央労働基準監督署(東京)は十五日、従業員の健康管理の徹底やサービス残業の撲滅などを求める企業説明会を東京都内で開いた。昨年十二月の基準緩和後、大手企業を対象にした説明会は全国で初めて。
この日は、大手企業約三百六十社の人事労務担当の約五百人が出席した。
東京労働局の坂本由紀子局長が、監督行政に対し違法残業の摘発、改善を求める従業員らからの告発が増加傾向にあると指摘した。
その上で「健康なくして企業の発展はない」と、労働環境の改善に向けた企業の取り組みを要望。中央労基署の署長は、従業員本人や家族から届いた「これ以上、仕事をしたら死んでしまう」「残業代を払っているからサービス残業は当然と言われた」などという投書を読み上げた。
説明会では労働基準監督官が、数億円の未払い残業代を支払うなどした大手企業七社の実例を報告。長時間残業の従業員に健康診断を実施しなかった場合は残業をさせなかったり、管理職の評価に部下の残業時間管理を取り入れたりした企業などを紹介した。
7月10日 出版社、250万円支払い和解=元社員にサービス残業謝罪−大阪高裁 (時事通信)
情報誌を発行する「サンマーク」(東京)大阪支社の元社員高橋映美さん(26)がサービス残業分の時間外手当など計約230万円の支払いを求めた訴訟は10日、同社がサービス残業を謝罪し、遅延損害金を含めた約250万円を支払うことなどを条件に大阪高裁(吉原耕平裁判長)で和解が成立した。
訴状などによると、高橋さんは1999年7月、同社に入社。連日、夕方まで広告主などへの営業活動をした後、支社に戻って編集業務を行っていた。翌年9月に退社するまでの残業時間は約700時間に及んだが、時間外手当は支払われていなかった。
【別の記事】
<サービス残業>不払い認め和解し元社員に248万円 大阪高裁 (毎日新聞)
大阪府八尾市の高橋映美さん(26)が以前勤めていた教育機器販売会社「サンマーク」にサービス残業約700時間分の手当支払いを求めた訴訟の和解が10日、大阪高裁で成立した。同社が高橋さんに謝罪したうえで、1審の大阪地裁判決が命じた支払い額を上回る248万円を支払い、業務改善を約束するとの内容。
7月10日 働き過ぎは心臓発作に 国立がんセンター調査
週に60時間以上働き、睡眠不足の人は心臓発作になる確率が2倍、3倍に−。10日に発売された英医学誌「職業と環境医学」にこんな調査結果が掲載された。調査をまとめた東京の国立がんセンターの研究者らは、寝不足が神経を高ぶらせ、血圧の上昇と心拍数の増加につながるためと見ている。
調査は、日本に住む40歳から79歳で心臓発作で初めて治療を受けたと答えた男性260人と、発作の経験がない445人が対象。過去1年間の週当たり労働時間や休日、睡眠時間を調査、比較した。
この結果、週60時間以上働く人は40時間以下の人に比べ、発作に見舞われる確率が2倍にもなることが分かった。
また、平均睡眠時間が5時間以下の人や、5時間に満たない日が週に2日以上ある人も、発作の確率が2倍から3倍に跳ね上がるという。
調査は、発作を避けるためには勤務時間の上限を40時間にするほか、働く時間の長い人は睡眠を十分にとり、月に最低2日間は休むことが必要だと結論付けている。(共同)
7月6日 過労死トラック運転手に請求通りの解決金(読売新聞7月6日付)
1991年2月、勤務中に急性心不全で亡くなったトラック運転手、西原道保さん(当時46歳)の妻松子さん(63)ら遺族3人が、「過酷な労働が原因」として、勤務先の「名糖運輸」(東京都武蔵野市)を相手取った損害賠償請求訴訟は5日、大阪高裁で、会社側が責任を認めて謝罪し、解決金7250万円を支払うことなどで和解が成立した。解決金は遺族側の請求通りの金額で、労災をめぐる訴訟では異例。
和解条項によると、会社側は「健康に配慮せず過重な業務に従事させた結果、西原さんが死亡した」と認め、再発防止を約束。労災訴訟では通常、賠償額の20―60%とされる過失相殺をせず、逸失利益や弁護士費用も全額支払うことで合意した。
松子さんらは、97年に堺労働基準監督署が労災申請を認めなかったため、翌98年、会社への損害賠償と同署に対する不認定処分取り消しを求めて大阪地裁に提訴。1審は遺族側が勝訴。労基署も昨年12月、「過労死」と逆転認定していた。
名糖運輸広報室の話「和解を会社として真摯(しんし)に受け止めている。西原さんのごめい福をお祈りし、安全衛生管理をより一層強化していく」(読売新聞)
【別の記事】
過労死で解決金7千万円=名糖運輸と運転手の遺族が和解−大阪高裁
大阪府茨木市で1991年2月、牛乳配達中に急性心不全で死亡した名糖運輸(東京都)の運転手西原道保さん=当時(46)=の遺族が、長時間労働で過労死したとして同社を相手取り、約1億円の損害賠償を求めた訴訟は5日、同社が労災給付金約3000万円分を差し引いた約7000万円の解決金を支払い、謝罪することで、大阪高裁(武田多喜子裁判長)で和解した。
遺族側代理人によると、過労死をめぐる民事訴訟で原告側の過失相殺を認めない解決金支払いは異例という。 (時事通信)
7月3日 過労運転容認の疑いで運送会社を送検、県警/当て逃げ物損事故が発端(秋田魁新報)
県警高速隊と交通指導課は2日、小野田運輸(本社宮城県宮崎町、加藤貞男社長)と同社業務課長(47)=同県小野田町=を、道交法違反(過労運転容認)の疑いで、同社運転手(26)=同県田尻町=を同法違反(過労運転、事故不申告)の疑いで、それぞれ秋田区検に書類送致した。当て逃げ物損事故での過労運転摘発は異例という。
調べでは、運転手は4月19日午前3時半ごろ、10トントラックで宮城県から青森県に荷物を運ぶ途中、小坂町の東北自動車道下り線で過労のため居眠り運転し、ガードレールに衝突しながら通報せず立ち去った疑い。
その後の調べで、運転手は事故を起こす前の約1カ月間、休暇なしで1日23時間も拘束され、帰宅は週1回程度で、高速道のサービスエリアで仮眠していたことが判明。臨時雇用を含め約20人いる運転手のうち、突出して過酷な勤務状況だったという。
県警は、この運転手の勤務状況を知りながら、過労運転防止の措置を取らなかったのは、会社ぐるみだった疑いが強いと判断。5月に同社を家宅捜索するなどし、運転手本人のほか、運行管理者の業務課長、さらに法人としての同社の送検に踏み切った。
同社は「運転手本人がやりたいというので任せていた。まずいとは思っていたが、繁忙期に入り、人手が足りずどうしようもなかった」と話している。
(2002/07/03 08:33)秋田魁新報
7月3日 新基準で一転労災認定 (神奈川新聞)
◆6ヵ月間の勤務状況で判断
脳梗塞(こうそく)で倒れたのは月平均約百四十時間の残業など長期間に及ぶ過労が原因として、元タクシー運転手の横浜市緑区東本郷、橋本孝治さん(58)が休業補償の支払いを求めていた労災申請で、横浜北労働基準監督署は二日までに、不支給処分を取り消し、休業補償を給付する決定をした。昨年末、大幅に緩和された過労の認定基準に沿い、労基署が自ら決定を改めた。
代理人の弁護士らによると、橋本さんは県内のタクシー会社に運転手として勤務していた一九九八年五月三日夜、同市中区の桜木町駅前ロータリーに止めた車内で脳梗塞を発症した。左半身のまひと高次脳機能障害が残り、現在もリハビリ中という。
橋本さんは九七年四月の入社から、午前六時から翌朝まで乗車する勤務で月平均約百四十時間の残業をしていたため、「疾患は過労が原因」として労災認定を求めたが、横浜北労基署は九九年九月、不支給を決定。不服として労働保険審査官に審査を請求したが、昨年一月に棄却されたため、橋本さんは労働保険審査会に再審査を請求中だった。
旧基準では、発症前一週間の労働実態で判断していたが、新基準では蓄積疲労として過去おおむね六カ月間の勤務状況を判断の対象としている。今回の決定変更について、横浜北労基署は「新基準に照らし検討した結果、業務上の疾病と認め、労働保険審査会の決定を待たずに今回の決定をした」とコメントしている。
橋本さんは「正しく認定されてうれしい」と話している。
蓄積疲労の判断変更が救済に道
「蓄積疲労」の考えを取り入れるなど労働災害の認定基準が昨年末に大幅に緩和されたことで、「業務外の原因」とされた疾病が一転、労災認定されるケースが相次いでいる。県内では既に五件で、厚生労働省が把握しているだけでも全国で十件。いずれも労基署側が自ら決定を覆している。神奈川過労死問題対策弁護団事務局長の影山秀人弁護士は「新基準が労働者救済につながっている」と評価している。
一九八四年に運転中、くも膜下出血を発症し重度の意識障害となった横浜市内の元運転手(72)の労災認定をめぐり最高裁が二〇〇〇年七月、「慢性疲労が原因」として労災を認定したことを受け、脳・心臓疾患について厚労省は昨年十二月、「蓄積疲労」を新たに考慮、判断の対象とする期間を発症前一週間から六カ月間に大幅に広げるよう基準を緩和した。
神奈川労働局によると、県内では、九五年七月に脳幹出血で死亡した五十代の男性店長が労災認定されるなど、二日までに計五件で管轄労基署が不支給処分を取り消した。いずれも新基準に基づき、蓄積疲労を考慮したという。
厚労省によると、昨年十二月に新基準に基づいた処理をするよう各労基署に通達した。これまでに労働保健審査会に再審査が請求されたうち計十件で、管轄労基署が不支給処分を取り消したという。
今後の幅広い救済に期待が集まる一方で、なお懸念もある。新基準は、蓄積疲労の目安として時間外労働時間を発症前一カ月間は約百時間以上、発症前二〜六カ月間は月約八十時間以上と、具体的な数値を示している。このため影山弁護士は「残業時間を明確にする資料がない場合は、救済されないケースも出てくるのでは」と指摘している。
神奈川新聞 (3日14時43分)
7月2日 下請け業者の作業員に労災適用
「労災保険の休業補償給付を支給しないという労働基準監督署の決定は誤り」として八戸市在住の男性(60)が出していた審査請求を受け、青森労働者災害補償審査官は一日までに男性の主張を認め、八戸労基署の不支給処分を取り消す決定をした。
男性は二次下請け業者の代表だが「従事した作業は一時下請け会社の指導監督によるもので、同社とは使用従属関係にあり労基法上の労働者だった」と主張してきた。
代理人の社会保険労務士によると、男性は二次下請け業者として配管工事に従事していた昨年六月七日、作業中の事故で負傷、意識不明の重体になった。
男性側は昨年九月、同労基署に休業補償給付を請求したが、労基署は男性が従業員二人を雇っていたことなどから、労災保険法上の労働者とは認められない−として、不支給決定処分とした。
男性側は処分を不服として今年四月中旬に審査請求。青森労働者災害補償審査官は六月二十八日、「(一時下請け)会社で工事に従事している関係は使用従属関係が認められ、同社に使用される労働者とみるのが相当。事業主とみることは適当でない」とし労基署の処分を取り消した。
決定により男性には労災保険が適用されることになり男性側は今後、改めて休業補償給付、療養補償給付、障害補償給付の請求を行う。
2002年7月2日(火) 東奥日報 (2日12時16分)