最新情報(2002年8月)
 



8月31日 神科医ら「うつ病学会」設立へ 患者と連携、情報発信

 ストレス社会の中で増えるうつ病の研究を深めようと、精神科医らが「日本うつ病学会」(仮称)を設立することになった。まず「研究会」として来年7月に立ち上げ、「学会」に衣替えする。医師だけでなく、心理学者や社会学者、企業関係者ら幅広い会員を募り、これまで縦割りだったうつ病に関する情報を共有する。患者団体とも連携し、最新情報を市民に発信する。
 うつ病は、7人に1人が生涯に一度は発症するとされる頻度の高い精神疾患。国内の患者数は、潜在的なケースを含めて数百万人ともいわれる。しかし、精神科にかかるのはその一部にとどまっている。
 うつ病の発症には、その人の性格や職場、家庭のストレス、時代の社会状況など様々な要因がからむ。このため、学会は幅広い職種の参加を求め、職場の休業補償や自殺の問題は企業関係者や弁護士、家庭状況の変化は社会学者が研究に加わるなどして、学際的なアプローチを進める。
 患者団体との連携も学会活動の柱の一つにし、うつ病の自助グループに講師として精神科医を派遣したり、就労支援プログラムの内容について助言したりしながら、患者団体を支援。このほか、市民公開講座によるうつ病の啓発活動や、最初にうつ病の患者を診ることが多い内科医との連携も進める。
 うつ病研究会の副代表幹事になる樋口輝彦・国立精神・神経センター国府台病院院長は「患者さんとともに歩む開かれた学会にしていきたい」と話している。


8月30日 <職場のいじめ>自殺職員の上司ら13人を処分 大阪・岸和田市

 大阪府岸和田市下水道部の男性職員(当時30歳)が5月24日に自宅で自殺していたことが分かった。市は30日、この職員に対し職場内でいじめや秩序を乱す行為があったとして、いじめに関与した職員や管理責任のある上司ら13人を同日付で懲戒免職を含む処分をしたと発表した。

 市によると、自殺した職員は昨年6月21日深夜、同僚ら3人に呼び出され、仕事のやり方をめぐって口論となり、うち1人から包丁を突きつけられた。職員は昨年夏に「仕事をやめたい」と申し出ていた。

 遺族から「職場でいじめを受けていた」との訴えを受けて、市が職員から聞き取り調査を実施。その結果、他の同部の男性職員(32)も昨年末、同僚から職場内で椅子を投げつけられ、頭に1週間のけがをしていたことなども判明した。市は、自殺した職員に包丁を突きつけたり、別の職員に椅子を投げるなどした当時の同僚男性1人を懲戒免職にした。

 松村博史助役は「13人の大量処分は非常に残念。職場規律の指導を徹底したい」とのコメントを出した。 【服部正法】


8月27日 研修医自殺、遺族が労災申請 最大で週120時間勤務

 2年前に自殺した横浜市大病院の研修医だった男性(当時30)の遺族が27日、自殺は過労によるうつ病が原因だとして、横浜南労働基準監督署に労災申請した。
 遺族の代理人によると、男性は99年4月、外科の研修医になったが、同年9月に過労で倒れ、直後に自殺を図ってうつ病と診断された。00年3月に精神科に移って復帰したが、7月に睡眠薬を大量に飲んで意識不明になり、2カ月後に死亡した。
 外科での勤務は毎日深夜まで続き、倒れるまで休日もなく、月数回ある当直日は翌日夜まで40時間も勤務が続いたという。勤務時間は週100時間を超え、最も多い週で120時間に達し、精神科でも長時間労働が続いたと主張している。
 死亡した関西医科大の研修医の遺族が起こした民事訴訟で、昨年8月、大阪地裁堺支部が「研修医は労働者である」との判断を示したことから、申請することにしたという。厚労省によると、研修医の過労死にかかわる労災申請は現在1件が審理中で、認定された例はないという。
 横浜市大病院は「不幸な結果を生じ、誠に残念に思う。労基署の調査には誠意をもって対応したい」とコメントしている。


8月23日 企業の半数で「心の病」増加

 社会経済生産性本部が、上場企業を対象に心の健康に関する調査を実施したところ、約半数が、うつ病やノイローゼなどにかかる従業員が増えていると回答した。8割以上が「今後も増加する」とみているが、積極的に対策を取っているのは3割強で、対応の遅れが浮かび上がっている。
 調査は今年3月に実施、282社の人事労務担当者から回答があった。
 この3年間、心の病が「増加傾向」にあると答えた企業は48・9%で、「横ばい」は24・8%、「減少傾向」はわずか3・5%だった。規模の大きい企業ほど「増加傾向」と回答する割合が高かった。約6割の企業に1か月以上休業している従業員がいた。
 「うつ病」が72・3%と大多数を占め、「心身症」は9・2%、「ノイローゼ」は8・5%だった。原因は「本人の問題」(28・0%)、「仕事の問題」(27・7%)、「職場の人間関係」(23・4%)の順。
 同本部では「不況の影響で仕事が不調になると、人間関係まで悪化する場合がある。
もっと多くの企業が、予防対策を講じるべきだ」と話している。



8月22日 厚労省、うつ病社員のための「復職プログラム」作成

 厚生労働省は、職場のストレスでうつ病などを発症し、休職する会社員が増えていることから、在職精神障害者のための「職場復帰支援プログラム」を作成した。対人関係の訓練や職場への「模擬出勤」などが内容で、近く休職中の会社員を対象にモデル訓練を実施して効果を分析、必要な修正を加えた後、都道府県の地域障害者職業センターでも実施する方針だ。
 プログラムは、精神科医が「復職可能」と判断し、本人に復職意思がある場合に実施する。モデル訓練は厚労省の関連施設である障害者職業総合センター(千葉市)で行い、テクノストレスが発症の引き金になった人にはパソコン講習、人間関係でつまずいた人には上司や同僚との上手な接し方の練習などを行う。受講者はストレス対処法なども学ぶ。
 講習を終えると、復職先の会社への「模擬出勤」を始め、午前中だけ職場に滞在するなどし、徐々に時間を増やす。同時に、職業センターのカウンセラーが企業を訪問して本人と面接、上司や人事担当者にも復帰後の仕事内容や本人への接し方などを助言する。
 精神障害で最も多いうつ病による休職後の職場復帰は、本人の張り切り過ぎや職場の理解の欠如が原因で失敗し、再発するケースも少なくない。大手企業の中には自前で復職プログラムを実行しているところもあるが、中小企業ではほとんどない。
 プログラム作成に関与した東京臨海病院の荒井稔精神科部長は「独自の取り組みが遅れがちな中小企業などが利用し、復職を進めてほしい」と話している。


8月19日 ダムで揺れた村の助役の自殺、公務災害に 徳島・木頭(朝日新聞8月20日付)

 旧建設省の細川内ダム建設計画で揺れた徳島県木頭村の助役藤田堅太郎さん(当時61)の自殺について、地方公務員災害補償基金徳島県支部は19日、「公務によるストレスや疲労が原因」として公務災害と認定した。遺族の代理人弁護士によると、自分の裁量で仕事をこなすとされる自治体の助役の自殺について、公務災害が認められるのは極めて珍しいという。
 ダム計画に反対してきた同村は当時、第三セクターの健康食品加工会社を設立するなど、「ダムに頼らない村振興」を模索していた。代理人らによると、藤田さんは三セクの設立・運営の実質的責任者で、職員採用をめぐる村内の民間会社とのトラブルや、ダム問題への立場の違いを背景とした一部村議の追及に直面。長時間労働による疲労も重なり、自宅の納屋で96年9月、首つり自殺をした。

 99年に遺族からの認定請求を受けた同支部は「公務による精神的ストレスや肉体的疲労によって精神疾患を発症し、自殺につながった」と結論づけた。

 公務災害が認定されると、遺族が遺族補償や遺族特別給付金の請求をすることが可能になるという。

 代理人弁護士で東京過労死弁護団に所属する尾林芳匡弁護士は「ダムに頼らない村おこしの中心にあった助役のストレスを正面から認めた決定。ダムをめぐる地域内の摩擦に警鐘を鳴らすものだ」と評価している。

 細川内ダムは、旧建設省が同村を流れる那賀川に計画した総貯水量7310万立方メートル、事業費約1100億円の多目的ダム。72年から調査費などが計上されたが、村民らの根強い反対運動で事業は膠着(こうちゃく)。00年、与党3党の勧告を受けて同省が中止を決めた。



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