最新情報(2003年12月)
12月27日 松本・過労死訴訟 労基署側、争う姿勢 /長野
(毎日新聞)
出張先の東京都内で01年10月、セイコーエプソン(本社・諏訪市)に勤める犬飼敏彦さん(当時41歳)が急死したのは、海外出張の繰り返しなど過重な労働が原因だったとして、松本市の妻洋子さん(47)が松本労働基準監督署を相手取り、労働災害補償の不支給決定の取り消しを求める訴えを起こし、長野地裁で26日、第1回口頭弁論(辻次郎裁判長)があった。被告側は請求の棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。
訴状などによると、敏彦さんは01年10月4日、東京都内へ出張中にホテルで死亡しているのを発見された。死因はクモ膜下出血だった。亡くなる前の320日間だけでも、中国やフィリピンなど計5カ国に延べ9回にわたり183日間の海外出張を繰り返していた。
敏彦さんは東京出張前から頭痛を訴えており、原告側は「(敏彦さんの)死亡が出張が連続する過重な労働に起因することは明らかだ」と主張している。一方、被告側の東京法務局は「今後は死亡にかかわる業務の起因性について争う」とコメントしている。
◇「真実審理を」−−妻が意見陳述で悔しさ訴える
「夫が家族の元にいれば、私が夫を死なせはしなかった」――。過労死訴訟を起こした妻洋子さんは、26日の口頭弁論で意見陳述を行った。繰り返される海外出張で心身ともにすり減らされた末に、最愛の夫敏彦さんを亡くした悲しみを語った。
洋子さんは敏彦さんの中性脂肪値が海外出張が増えたのに比例して跳ね上がったグラフを示し、「一目で業務起因性が浮かび上がっていることが分かる」と主張。そのうえで、「夫は会社支配下の出張中に頭痛をこらえて仕事をし続けて死に至ってしまった」と声を詰まらせた。
労災補償を不支給とした松本労基署の判断について、「どうしてもどうしても理解も納得もできない」と悔しさをぶつけた。最後に裁判所に対し「どうか真実をよく審理し、正義にかなった判決を」と訴えた。洋子さんは訴訟に関する意見などを募っている(電子メールアドレスはinukai_yoko@hotmail.com )。【木村健二】(毎日新聞)
[12月27日19時41分更新]
12月19日 市職員死亡は公務外災害 原告請求を棄却−−静岡地裁 /静岡
(毎日新聞)
脳出血で死亡したのは過重な公務が原因で、地方公務員災害補償基金が公務外災害と認定したのは違法として、熱海市議会の事務局長だった男性(当時54歳)の妻が同基金に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が18日、静岡地裁であった。佃浩一裁判長は原告の請求を棄却した。
判決によると、男性は96年5月、出張先の東京で意識を失い、4日後に脳幹部出血で死亡した。当時、市議会の混乱などで忙しく病院で診察を受けられなかったとして、妻は同年8月に公務災害の認定請求をしたが、同基金は「死亡は公務に起因しない」としたため、提訴していた。【小松雄介】(毎日新聞)
[12月19日19時51分更新]
12月18日 経営効率を最優先する労災保険民営化には反対 日医が要望書
(労務安全情報センターのサイトより)040124up
日本医師会(坪井栄孝会長)は18日、政府の総合規制改革会議(議長=宮内義彦オリックス会長)が22日にまとめる規制改革の第3次答申に「労働災害補償保険(労災保険)の民営化」が盛り込まれる見通しであるのを踏まえ、これに反対する「要望書」を宮内議長はじめ、小泉純一郎総理大臣、坂口力厚生労働大臣、福田康夫官房長官、額賀福志郎政調会長、青木幹雄参院幹事長ら政府関係者に提出した。
要望書は、労災保険の民営化は「労働者の権利を侵害し、事業主の利益を損なう改悪」とするとともに、「労働者が安心して就労できる環境の確保は、医療・年金・雇用等とともに社会保障制度の一環として憲法が担保している国の責務である」と訴えた。
過労死などの労災認定が急増する中で、労災保険が民営化されると労働者保護の概念が後退してしまうのではないかと危惧する声が労働団体の間でも強い。要望書は、「営利を目的とする民間保険会社が労災保険を扱うことになれば、被災労働者に対する医療から年金に至る現行の各種補償体系の給付水準が著しく低下する恐れがある」と指摘。国民の健康を守るためにも「労災保険の民営化に強く反対する」と明言した。
(JMA PRESS NETWORKの配信記事より)
12月16日 <過労自殺>労災「不支給」取り消しを 妻が提訴
(毎日新聞)
厚生労働省八女労働基準監督署(福岡県八女市)が出向先でうつ病を発症して自殺した会社員(当時48歳)の労災遺族補償給付を「業務起因性が認められない」などとして不支給決定したことについて、会社員の妻(50)=兵庫県在住=が15日、決定取り消しを求める訴えを福岡地裁に起こした。妻は「仕事以外に自殺の理由がないのに、労基署側に『業務による心理的負荷が支給に必要な強度に足りない』などと言われ、納得できない」と話している。
訴えによると、会社員は化学工業大手(大阪市)で設備設計などをしていたが、99年8月から福岡県筑後市の子会社に出向。兵庫県から単身赴任して24時間操業の生産ラインの保全業務に就いた。初めての仕事だったことなどから「自信がない」などと社内で漏らすようになり、保全要員2人のうちベテランが同12月に抜けることになってもいて不安が増大、11月下旬ごろにうつ病を発症して、12月15日未明に会社倉庫で自殺した。自殺前1カ月間の時間外労働は108時間だった。
八女労基署の不支給決定は01年。妻は不服として今年3月、労働保険審査会に再審査を請求したが、3カ月以上たっても裁決がないため、提訴に踏み切った。【笠井光俊】
▽八女労働基準監督署の話 訴状を見ておりませんので、コメントできません。
■ことば(心理的負荷の強度) 厚労省が99年9月、労災認定のために作った「職場における心理的負荷評価表」によると、強度1は「日常的で一般には問題とならない程度」、強度3は「人生の中でまれに経験することもある強い程度」、強度2は1と3の中間。評価表では31の具体的出来事が1〜3に割り振ってあり、例えば「重大なミスをした」は3▽「出向した」は2▽「同僚とトラブルがあった」は1。強度3に認められると、仕事量や責任の変化などが「相当程度過重」な場合、強度2なら仕事量の変化などが「特に過重」な場合、労災認定に向けて業務以外の心理的負荷が評価される。
[2003-12-16-00:08]
12月17日 賃金不払いで2社書類送検/名古屋西労基署
メールマガジン労働情報/No.20 2003/12/17 040124up
共同通信によると、名古屋西労働基準監督署は12日、社員に賃金を支払わなかったとして、労働基準法違反(賃金不払い)の疑いで、自動車部品製造加工業「吉岩(よしいわ)製作所」(名古屋市西区)と運送業「共栄トランスポート」(愛知県西春町)の2社と両社の社長を書類送検した。
調べによると、吉岩製作所は社員5人に対し、2002年10月分の賃金計約58万円を支払わなかった疑い。共栄は社員計87人に、02年11月と12月分の賃金計約930万円を支払わなかった疑い。
両社はともに経営不振で、それぞれ昨年10月末と12月末に事業所を閉鎖した。賃金の大部分は、国の未払い賃金立て替え払い制度で既に支払われている。
12月9日 厚労相、労災保険民営化「受け入れるつもりない」
(日本経済新聞)
政府の総合規制改革会議が月内にも労災保険の民営化を盛り込んだ最終答申提言を検討している問題で、坂口力厚生労働相は9日の閣議後の記者会見で「(民営化を)受け入れるつもりはない」と述べ、反対する考えを明かにした。
総合規制改革会議は労災認定の基準は国が決めたうえで、民間保険会社が労災保険を運営することを求める方針。坂口厚労相は「過労死の問題が大きくなっているなか、公的な機関が(認定作業を)やってもこれは過労死なのかとの問題が生じている。民間がやればさらにこの問題が拡大する」と懸念。「規制だけ作って事務的なことだけやれといっても応じるはずもなく、これは国がやることと思っている」と述べた。 (11:46)
12月9日 規制改革会議:労災保険の民営化など提言へ 最終答申案
(毎日新聞2003年12月9日)
政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)の最終答申案が8日、明らかになった。焦点の労働者災害補償保険(労災保険)は、強制加入の損害保険として既に民営化した自動車賠償責任保険(自賠責保険)と共通点が多いとして、「民営化を図るべきだ」と明記した。外国人研究者らに永住権を与える「日本版グリーンカード」の創設や公共施設・サービスの民間開放、自家用車の車検期間の延長などと合わせ計5項目を提言する。
労災保険の民営化は「労働者保護が後退し規制緩和はなじまない」として厚生労働省や労働団体などが反対している。これに対し答申案は「何が労災かの認定基準を国が定め、管理・運営を民間が行う」と官民を役割分担し、事業者の強制加入原則などの現行制度を維持すれば民営化しても問題ないと結論付けた。
日本版グリーンカードは優秀な外国人の人材獲得を目指すもので、永住許可要件のガイドラインづくりなどを提案。車検は「初回3年・2回目以降2年」の現行制度を「初回4年・2回目以降3年」へ今年度中に改めるよう求めている。
9日の会合で答申案を固め、16日にも小泉純一郎首相に提出する。【平元英治】
[毎日新聞12月9日] ( 2003-12-09-03:00 )
12月7日 タイムカード書き換えも リストラ・残業110番に続々 日本労働弁護団
2003年12月7日(日)「しんぶん赤旗」 031220up
日本労働弁護団は六日、二十八都道府県、二十九カ所で「リストラ・残業110番」を実施しました。東京の同弁護団本部では、午前十時から常時十五人の弁護士が七台の電話で相談に応じました。
寄せられた相談では、「月十時間までしか残業代が支払われない。実際に残業してタイムカードを押せば払われるが、厳重注意される。タイムカードを押さなかったり、修正液で修正している」(大手商社・男性・正社員・42歳)、「残業代が支払われていなかったので、労基署が調査に入り、七月分から九月分に限り支払うことになったが、みな百時間を超えていたため、会社は就業規則を変え、就業時間を七時間から八時間にして、さかのぼって計算して残業代を減額した」(大手生命保険会社・女性・正社員)をはじめ、不払い残業をめぐる声が目立ちました。
また、「リストラ部屋に入れられている。『仕事を探すのが仕事』。自分で職安にいくが、なかなか決まらない」(大手石油会社・48歳)などの退職強要も依然として多く、「黒字にもかかわらず、部門成績が悪いとして『来月から賃金を10%カットする』といわれている」(不動産会社・男性・50歳代)という一方的な賃金切り下げの相談もありました。
12月7日 <労災保険>総合規制改革会議の民営化案に厚労省など反発
政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は、重点検討事項に加えて論議を進めてきた労働災害補償保険(労災保険)の民営化について月内にも答申を出す予定だ。労災認定と監督行政を一体として行ってきた厚生労働省は「生身の人間を扱う労災保険は経済の規制緩和とは違う」と民営化に反発している。長時間労働が社会問題となり、過労死などの労災認定が急増する中、民営化による労働者保護の後退を危惧(きぐ)する声が労働団体などからも上がっている。【東海林智】
総合規制改革会議が打ち出した改革の方向性は(1)労災保険の民営化(2)(保険料を納入しない)未届事業所の一掃(3)業種リスクに応じた適正な保険料率の設定(4)労働福祉事業の原則廃止の4点で、柱になるのが民営化だ。
同会議は民営化が必要な理由として、労働保険法で原則加入が義務付けられている労災保険に加入している事業所269万2000件に対し、未加入の事業所が59万8000件(01年厚労省推計)あり、現行制度が使用者のモラルハザード(倫理欠如)を助長していることを挙げる。さらに(1)製造業などに比べ事務などの保険料率が高すぎるなど、料率が業種別リスクを反映していない(2)労災保険の収支が01年度で2687億円の黒字になっている――などを指摘している。
同会議は「労災保険は民間の自賠責保険と多くの共通点があり、使用者の強制加入の原則と保険者の引き受け義務を維持しつつ、民間保険会社に運営を委ねる方式が可能だ」と提案している。民営化による企業間の競争で、保険料率の値下げや業種ごとに異なるリスクに基づいた保険料の算定が行われると指摘している。
厚労省の大塚義治事務次官は11月27日の定例会見で、「労災保険には労働者保護という理念がある。単純に自賠責の方向が取れないかというだけでは労働者保護に欠ける恐れがあり、賛成し難い」と批判した。
同省は(1)未加入、未納事業者が増大し、労働者が補償を受けられないケースが増える(2)営利目的の民間保険会社が自ら労災認定を行うことになり、公正、的確な認定は困難(3)経営破たんのリスクがあり、制度への信頼感が欠如する――などを反対の理由に挙げる。
自賠責保険には車検制度と対にして加入を担保する仕組みがある。だが労災保険には加入を担保する仕組みがなく、製造業などリスクが高い事業は保険料率が引き上げられ、民間保険会社、事業者の双方が加入をためらうケースが予想される。
規制改革会議は未加入の多さを民営化の理由に挙げるが、ペーパー会社や倉庫なども事業所に数えられているため、現実にはすべてをカバーするのは難しい。また、未加入事業所で労災が発生した場合でも、現行では使用者から保険料や保険給付額の一部を徴収し補償しているが、民営化されればそれもできなくなる。
同省は、監督行政との一体化の意義も強調する。労働基準監督署の監督官は「労災が発生したらすぐに現場に入り、原因を調べ改善を促す。同じ役割が民間で素早くできるのか。事業者は労災を隠しがちで、スピード勝負になる」と指摘する。労災死亡者数は、ピーク時の61年には6712人だったが、安全指導などで01年には1790人にまで減少した。保険業務は民間、監督・指導は厚労省と分離されれば「労働者保護の後退につながる」と警戒する。
突如浮上した民営化論に、同省幹部は「保険の黒字額に目を付けたのだろう」と推測したうえで、「黒字は遺族補償など後年度負担のための積み立てで、もうかっているという話ではない。国の責任でやる仕事だ」と補足した。
使用者、労働者委員などで構成する厚労省の審議会「労災保険部会」(会長・保原喜志夫北大名誉教授)でもこの問題が取り上げられた。労働者側だけでなく、使用者側からも「民営化が先行し、具体的なスキーム(枠組み)も示されていない。認定は公平か、破たんはどうかなど不安が多く、結論を急ぐべきではない」(久保国興委員)と批判の声が上がった。
同部会は「民営化という結論を性急に出すことには反対だ」とする意見書を坂口力厚労相に提出し、総合規制改革会議の姿勢にクギを刺した。元労基署長の井上浩さんも「改革会議は自由競争は善だと言うが、命や職場を奪う過当競争は悪い競争ではないか」と疑問を投げかける。
労働組合も反発を強めている。規制改革に積極的で労組のトップとしては「異色」の鈴木勝利・金属労協議長は「私は改革論者だが、やってはならない事がある。労災保険は営利目的で民営化する性格のものではなく、絶対反対だ」と断じる。
「反民営化」を主張する厚労省などの反対陣営に対し、規制改革会議専門委員の稲葉清毅・群馬大名誉教授は同省との公開討論(11月10日)で「(反対は)『官から民へ』との首相方針にも反する。市場原理に任せるべきで、癒着構造があるから厚労省は労働福祉事業を守ろうとしているのではないか」と批判した。
月内にも出される答申。労災保険を巡る両者の攻防は、最終段階を迎える。(毎日新聞)
[12月7日3時10分更新]
12月4日 2審も住生職員の労災認定/労基署と会社側の控訴棄却
(労働政策研究・研修機構)
共同通信によると、住友生命の営業職だった男性=当時(42)=の急死は過労が原因として、妻(56)が岡山労働基準監督署の遺族補償年金不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁岡山支部は4日、処分を取り消した一審判決を支持、労基署側の控訴を棄却した。
妻ら遺族が住友生命に求めた計5,000万円の損害賠償も、全額支払いを命じた一審判決を支持、同社の控訴を棄却した。
前川鉄郎(まえかわ・てつお)裁判長は判決理由で「死亡直前の業務は過重。心身に大きな負荷を生じさせた」と認定した。
判決によると、男性はバイク事故で骨折するなどして入院した1986年12月、同社の指示で松葉づえをついて顧客宅40軒以上にカレンダーを配布。帰宅後に倒れ急性心不全で死亡した。