最新情報(2005年8月)






2005/8/29 年収400万円で残業代なし 小泉内閣・財界が法改悪準備 ホワイトカラーが対象
(2005年8月29日(月)「しんぶん赤旗」)

 年収四百万円になったら帰宅は午前様。残業手当なし―。小泉内閣と財界が、事務系の労働者を対象にこんな制度をつくる準備をすすめています。早ければ来年の国会に法案が出る予定。空前のサラリーマン大増税とあわせて、月給から残業手当がなくなったら生活は大ピンチです。

■帰宅は午前様!?

 残業代を払わずに何時間でも労働者を働かせることができたら、財界にとってどんなにいいか。しかし、一日八時間労働など労働基準法の規制があってやりたくてもできません。規制を超えて平日の残業や休日出勤をさせたら二割五分以上、深夜業の場合は五割増の割増賃金を払わなければなりません。

 労働者が人間らしく働き、生活するための当たり前のルールですが、財界にとってはこれが邪魔。この規制から逃れるために、自己の裁量という名目でいくら働いても残業手当がつかない裁量労働制を導入しました。しかし対象者に制限があるなど使いづらいというのが企業の評価です。

■労基法に新設

 そこで出てきたのが、ホワイトカラーエグゼンプションです。日本経団連が六月に「提言」を出しました。ホワイトカラーは労働時間規定の適用を除外(エグゼンプション)するという項目を労働基準法に設けるといいます。「一定の要件」をつけるとし、それが年収四百万円以上。あとは「地位、権限、責任、部下人数等とは無関係」といいます。

 年収が四百万円を超えたホワイトカラーはすべて、労働時間規制の対象外にされ、定刻になっても帰れず、夜なべしても残業代なし。過労死しても「自己責任」です。こんな働き方になるということです。

 この制度は、アメリカが本家です。アメリカには労働時間を制限する法律がなく、公正労働基準法で、労働時間が週四十時間を超えたら一・五倍の割増賃金を払うという条項があるだけです(七条)。そして二人以上の部下をもっている管理職や運営、専門職で週給四百五十五ドル以上(日本円で年収約二百五十万円程度)を要件に、七条の適用を除外する規定があります(一三条)。アメリカの場合はまだ管理、運営、専門職といった要件があるのに、日本経団連の「提言」は、それさえないひどい内容です。

 二〇〇一年に小泉内閣が財界代表を中心に発足させた「総合規制改革会議」で初めて検討が提起され、〇二年三月の「規制改革推進三カ年計画」に盛り込まれて閣議決定。今年四月に有識者による研究会が発足。年内に報告をまとめ、来年の国会に法案を提出しようという早いテンポです。

■財界なぜ導入急ぐ

 財界が導入に本気になった動機は、厚生労働省が〇一年四月六日付でサービス残業根絶の通達(四・六通達)を出したことです。これを力に労働者の申告が相次ぎ、トヨタなど主要企業が不払い残業代を支払わされました。通達後、四年余の間に六百五億円を超える巨額に達し、財界に衝撃を与えています。

 通達の最大のポイントは、企業に労働時間管理の責任があることを明確にし、タイムカードやICカードなどで労働者の始業・終業時刻を毎日確認し、記録することを義務付けたことです。

 実はこれは、日本共産党が一九七六年以来、国会で二百四十回を超えて主張してきた核心中の核心です。たとえば、通達がでる直近の二〇〇〇年四月の衆院予算委員会での志位和夫委員長(当時=書記局長)の質問です。サービス残業の一番の問題は、企業が実際より少ない残業時間を労働者に「自主申告」させるやり方にあることを指摘し、労働時間の把握と管理を企業に義務付けるよう求めました。

 核心を突いた追及に、「共産党に国会で何度もとりあげられ、参った。通達にはその主張がかなり盛り込まれた」と省内で話題になりました。

■通達直後から

 しかし、財界はこの通達を敵視し、直後から反撃の動きを開始します。「総合規制改革会議」がホワイトカラーエグゼンプションを「早急に検討着手」とうちだしたのが〇一年七月。通達の三カ月後でした。

 労働行政攻撃も激化しました。口火を切ったのが、日本経団連の会長企業・トヨタのある愛知県経営者協会です。通達後、会員企業の35・7%が労基署の指導をうけたと腹を立て、〇四年三月に愛知労働局に、労働時間の把握は労使にまかせよという要望書を提出。このときの要望の一つが、ホワイトカラーエグゼンプションでした。

 日本経団連は〇五年版の「経営労働政策委員会報告」で、「最近の労働行政は、企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著である」と非難し、ホワイトカラーエグゼンプション導入を強調しています。

 通達を力に不払い労働根絶の流れを強めるか、財界が狙う残業手当なしの過酷労働を許すのか。いま大きな岐路にたっています。

■日本共産党の「重点公約」から

 財界の要求をうけて、政府が検討している、サラリーマンを労働時間規制の対象から除外(エグゼンプション)し、残業代を奪うとともに長時間労働を合法化する「ホワイトカラーエグゼンプション」に反対します。


2005/8/10 過労死の責任認め和解成立 会社側が遺族に謝罪
(共同通信)

 過労死と認定された男性会社員=当時(52)、京都府長岡京市=の遺族が、長時間労働を強いられたなどとして、勤務先だった産業機器輸入販売会社「マーテック」(神戸市)と同社社長に損害賠償を求めた訴訟は10日、会社側が過労死の責任を認め、神戸地裁(川谷道郎裁判長)で和解が成立した。
 遺族側弁護士によると、和解条項で同社は「哀悼と謝罪を表明し、再発防止に努める」などとし、社長は同日、遺族に会い謝罪。和解金額は明らかにしていないが、賠償請求額(計約1億円)の半分以上という。
 訴状によると、男性は神戸支店営業課長だった2002年4月に急性心不全で死亡した。死亡前の3カ月間、月平均の超過勤務が約110時間となる長時間勤務を強いられた。遺族側は「会社は健康に配慮する義務を怠った」と主張していた。
(共同通信) - 8月10日19時16分更新


【別の記事】
過労死で遺族と和解 神戸の産業機器販売会社

2005/08/11 神戸新聞

 産業機器販売会社「マーテック」(神戸市)の社員で、在職中に死亡し「過労死」と認定された京都府の男性=当時(52)=の遺族が、「社員の健康に配慮する義務を怠った」などとして、同社と同社社長を相手に慰謝料など総額一億円の支払いを求めた訴訟が十日、神戸地裁で和解した。

 同社の木下洋社長は健康配慮義務を怠った責任を認め、遺族に謝罪。和解の条項では、遺族への慰謝料支払いや再発防止の徹底が盛り込まれた。

 訴えによると、男性は一九九一年三月から同社に勤務。二〇〇二年四月十四日、急性心不全のため自宅で死亡した。死亡前の約三カ月間は、一カ月平均百十時間を超える残業を強いられた上、残業分の賃金が支払われない状態だった。

 〇三年十一月、神戸東労働基準監督署は、遺族側の申請を受けて労災認定。今年二月までに、労働基準法違反容疑で同社と同社長を書類送検したが、起訴猶予処分となっていた。同社は「詳細についてのコメントは差し控えたい」としている。


2005/8/3 元穂高町職員自殺:高山昇さん、公務災害と裁決−−地公災害補償基金県支部審/長野
(毎日新聞)

 元穂高町職員で高橋節郎記念館準備室長を務めた高山昇さん(当時51歳)が02年3月に自殺したことを巡り、地方公務員災害補償基金県支部審査会は2日までに、民間の労災にあたる公務災害を認めなかった同基金県支部(支部長・田中康夫知事)の決定を取り消し、公務災害に当たると裁決した。
 同美術館の建設を巡っては、住民監査請求や住民訴訟が起こされるなど町政が大きく混乱した。高山さんは00年10月から自殺するまでの1年6カ月間、唯一の専任職員としてこの問題に対応し、過重な職務を余儀なくされたという。
 県支部は04年9月の決定で「日常の職務内」「建設事業は順調だった」としたが、遺族らは「過重な勤務が原因で、公務上の災害だった」として同支部審査会に審査請求していた。
 同審査会では高山さんが仕事内容に関して残していた詳細なメモを根拠に「建設賛成派と反対派の板挟みになり、精神疾患を発症される状況にあった」と判断。公務と自殺の因果関係を認めた。裁決を受けて妻の操さん(49)は「夫はまだやろうとしたことがいっぱいあった。このような思いは私たちが最後にしてほしい」と涙ながらに語った。【神崎修一】
(毎日新聞) - 8月3日16時47分更新


【別の記事】
穂高町職員自殺「公務外」決定取り消し 県支部審査会
8月3日(水)信濃毎日新聞

 地方公務員災害補償基金県支部が「公務外」と判断した南安曇郡穂高町の職員の自殺について、遺族から不服申し立てを受けた同支部審査会が、公務外決定を取り消した。遺族と支援者が2日、記者会見し、明らかにした。近く公務災害に認定される。

 同支部事務局の県職員サポート課によると、制度が始まった1967年以降、自殺の公務災害請求は、今回を含めて県内で5件、支部が認めたのは2件だった。「公務外」決定を審査会が覆した例はこれまで3件、自殺の事例は今回が初めて。

 公務災害を請求していたのは、穂高町職員だった高山昇さん=当時(51)=の妻操さん(49)。

 操さんらによると、昇さんは97年ごろから、町出身の芸術家の作品を展示する記念館建設準備を担当。記念館建設は、町や芸術家側が推進し、町議会や住民に反対の動きがあり、昇さんは当時調整役に当たっていたという。2001年2月にうつ病の診断を受けた。02年3月、自殺した。

 操さんは02年7月、公務災害認定を地方公務員災害補償基金県支部に請求。同支部は昨年9月、労働は日常職務を超えることはなかったとし「公務外」と決定した。

 不服申し立てを受けた審査会は、独自に精神科医の意見を聴取するなどした上で「1人で実務を担当し、精神的に過重な負荷があった」と判断。今年7月末に支部決定を取り消した。

 県庁で会見した操さんは「公務による死と認めていただけたが夫は戻らない。私たちのような思いはこれで最後にしてほしい」と話した。

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