
〜〜〜〜〜免疫学用語の説明〜〜〜〜〜
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○サイトカイン(cytokine)とは?細胞間のシグナル伝達の方法には,直接接触して伝達する方法(接触型)と細胞が液性の伝達物質(=サイトカイン=タンパク質=言葉のような役割)を産生・放出し,それが受け側の細胞表面の受容体に結合して伝達する方法(非接触型)がある。後者の方法(非接触型)で細胞が産生する伝達物質のうち,免疫グロブリン以外の物質をサイトカインと総称している。リンホカインとはリンパ球が産生するサイトカイン,モノカインとは単球・マクロファージが産生するサイトカインをいう。「サイト」は「細胞」,「カイン」は「作動物質」のラテン語。(P32 やさしくわかる皮膚免疫学 医薬ジャーナル社 2004より引用,一部改変)
炎症性サイトカイン(pro-inflammatory cytokine)=TNF-α, IL-1, IFN-γ,IL-6, TNF-β,IL-8
TNF-α:他のサイトカインと異なり,アポトーシスを誘導するなどして生体に直接傷害を与える。
IFN-γ:@エンドトキシンの作用を増強する。A線維化は抑制←線維芽細胞を抑制とTGF-βを抑制(⇔IL-4は
線維化を促進)。BQFT(結核の免疫学的診断法)は,結核菌特異抗原の刺激により,末梢血リンパ
球(Th1細胞)が産生したIFN-γの量を測定している。⇒Th1/Th2バランス
プライマリーサイトカイン(初期反応性サイトカインearly response pro-inflammatory cytokine)=炎症性サイトカインの中でTNF-α, IL-1α, IL-1βは活性化されたマクロファージから産生され,炎症の引き金(トリガー,
惹起)となり,二次的なサイトカインの産生放出を誘導するので,このように呼ばれる。
●ケモカイン(chemotactic cytokines):特定の細胞に対して特異的に遊走活性を持つサイトカイン。
IL-8:標的細胞である好中球を介して組織障害作用を発揮する。
RANTES(regulated on activation, normal T expressed and secreted)は,T細胞や好酸球に対して遊走作用を
持つ。
エオタキシン(eotaxin):ケモカインの中で最も強い好酸球遊走活性を有する。
○インターロイキン(interleukin, IL)=白血球の相互作用をつかさどる物質群。
○抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC):樹状細胞(dendritic cell:DC),マクロファージ,B細胞などが
ある。もっとも強力な抗原提示能力を有しており,抗原提示のスペシャリスト集団というべきは,樹状細胞と呼ばれる
一群の細胞集団である。表皮のランゲルハンス細胞もこの樹状細胞に属する。
『肺胞マクロファージ』=肺胞と気道に存在するマクロファージの総称。20%が気道(気道上皮 lining fluid中)に存
在する。肺胞マクロファージの抗原提示能力は他の部位のマクロファージと比較して低い ので,肺における抗原提示は樹状細胞が主である。細胞膜表面分子として,Fc受容体,
CD14, TLRやサイトカイン,ケモカイン受容体を有している。抗原提示よりもサイトカインや
活性酸素などを産生して,アレルギー性炎症や気道リモデリングに関与。肺胞マクロファ
ージの寿命は数ヶ月だが,喫煙により寿命が延び,2年に渡り肺局所に存在しCOPDに関与。
○T細胞は非自己をいかに認識するか?T細胞はその表面に,特定の抗原情報と一致する抗原受容体(T細胞抗
原受容体)を持つ。ところで抗体は直接抗原と結合できるのに反して,T細胞抗原受容体は抗原と直接結合でき
ない。抗原提示細胞の細胞膜上に表現されている,『MHC』+『非自己由来の抗原ペプチド』の2つを同時に認
識し結合する。しかし,T細胞抗原受容体の結合力は弱いので,CD4とCD8分子による補助機構を必要とする。
一方,MHC分子にはクラスT分子とクラスUがある。CD4はクラスUMHCと,CD8はクラスTMHCと結合してT細胞抗原受容体の結合を補助する。

CD8陽性T細胞(キラーT細胞orCTL〔cytotoxic T lymphocyte:細胞障害性T細胞)=
『クラスTMHC+内因性抗原ペプチド』を認識し,非自己由来のペプチドであると認識すると直ちにアポトーシス
により細胞を破壊=細胞性免疫。
CD8陽性T細胞は,Th2サイトカイン環境下でIL5産生の方向に分化し,気道の好酸球性炎症を増悪させる。
CD8陽性T細胞の一部にIL-4, IL-5, IL-10を産生するTc2と呼ばれているTh1のsubtypeが存在する。
Tc2は IL-4の存在下にIL-13を産生し好酸球性炎症と気道過敏性をを誘導する。
@喘息死群ではCD8陽性T細胞数が多い。A1秒量の低下とCD8陽性T細胞数が相関する。
CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞orCD4T細胞orTh)=
『クラスUMHC+外来性抗原ペプチド』を認識し,サイトカインを分泌=液性免疫
●
抗原の種類によって処理経路が2つに分かれる。
内因性抗原(ウイルス)ならクラスTMHCを介してキラーT細胞が処理
。
外来性抗原(細菌)ならクラスUMHCを介してヘルパーT細胞が処理
。
クラスTMHCはほとんどの細胞に発現する。ウイルス感染細胞や癌化した細胞にも発現する
。
クラスUMHCは限られた細胞(樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞)にしか発現しない
。
第1の経路:抗原が自己成分(=細胞が作り出す成分=内因性抗原=ウイルスや一部の寄生虫の様に本来
は外来抗原だが細胞内や遺伝子の中に入り込んであたかも自己成分の如く振る舞う抗原も含む)
の場合;
⇒”不要になった自己成分”を処理する経路に入る。⇒ウイルス感染した細胞や悪性転化した細
胞内で外来抗原を分解処理して『自己成分やウイルスペプチド+クラスTMHC』を作って細胞
表面に提示 ⇒CD8陽性T細胞(キラーT細胞)が認識して結合して,これが非自己由来のペプチ
ドであると認識するとキラーT細胞lによる細胞障害性の免疫反応が起こし,ウイルス感染細胞や
癌細胞を速やかに破壊する(=細胞性免疫)。
以下に示す3つのメカニズムにより細胞をアポトーシスに誘導して殺す。
@キラーT細胞のFas受容体を介する細胞死
A細胞膜に穴を開け(by パーフォリン),細胞内タンパク質を分解して(by グランザイム)。
Bby IFN-γ
第2の経路:抗原が細菌などに代表される外来性抗原の場合;
⇒細胞内で外来抗原を分解処理して『外来性抗原ペプチド+クラスUMHC』を作って細胞表面
に提示 ⇒CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞,Th)が認識して結合,
⇒さらにTh1とTh2の経路に分かれて処理される。
貪食細胞内で増殖する細菌(細胞内寄生菌)の排除には⇒Th1
細胞外の細菌や寄生虫の排除には⇒Th2

<Th1/Th2バランス>には”腸内細菌”が大きく関与している。=腸内細菌のうち,ラクトバチルス菌やビフィズス菌などのグラム陽性菌は,Th1細胞を誘導する(よってTh1優位になる)ことにより,Th1細胞を通じて「間接的に」アレルギーを抑制している。結核菌もグラム陽性菌であり,感染するとTh1細胞を強く誘導する。⇒結核QFT検査

●CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞,CD4T細胞,Th)は,更に2つに分かれる
@Th1細胞(Th1CD4T細胞,1型CD4ヘルパーT細胞)は,主として細胞性免疫を誘導するサイトカイン,
IL-2, インターフェロン(interferon:IFN)-γ,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-βなど(Th1
サイトカインと呼ばれている)を産生して,
遅延型アレルギー(ツベルクリン反応や結核・サルコイドーシス・
Wegnerの肉芽腫形成など)や
臓器特異的自己免疫疾患に関与。
マクロファージやキラーT細胞を活性化(標的細胞のアポトーシスを誘導することによって細胞を殺す)
細胞内寄生菌(ウイルス,結核菌,リケッチア)を排除
ATh2細胞(Th2CD4T細胞,2型CD4ヘルパーT細胞)とは?
主として液性免疫を誘導するサイトカイン,インターロイキン(interleukin:IL)-4, IL-5, IL-6, IL-9, IL-10, IL-13
(Th2サイトカインと呼ばれている)等を産生して
T型(or即時型)アレルギー:
B細胞(←IL-4)(『即時型アレルギー急性期反応』を参照),肥満細胞,
好酸球(←IL-5)(アトピー型喘息『即時型アレルギー慢性反応』を参照)の活性化,
および
全身性(=臓器非特異性)自己免疫疾患=膠原病(←自己抗体産生促進)に関与。
アルツス型炎症(IgG, IgM)
Th1サイトカインはTh2の分化を,Th2サイトカインはTh1の分化を抑制する。
B〈Th2サイトカインと気道過敏性〉
気道過敏性発現の為にはTh2細胞と好酸球が必須。Th2細胞はIL-13によって気道過敏性を誘導する。
(以上,動物実験)
C 〈Th2サイトカインと気道分泌亢進〉⇔Th2サイトカイン阻害薬(IPD)による治療が有効
Th2サイトカインのうち IL-4, IL-9, IL-13が粘液細胞増生による粘液産生亢進,さらにIL-13は単独で
(イ)線毛細胞の減少,(ロ)Clイオン輸送亢進による水分分泌の亢進,(ハ)上皮細胞間透過性亢進によるア
ルブミンの漏出と上皮剥離を来す。その結果,粘液線毛クリアランスの低下を来す。
<Th1/Th2バランス>
●Th1優位では臓器特異的自己免疫疾患(たとえば,インスリン依存性糖尿病,慢性関節リウマチ,多発性硬化症)が起こりやすい。それぞれ膵臓β細胞抗原,自己滑膜抗原,ミエリン塩基性蛋白によって活性化されたTh1がマクロファージを活性化して起こる。
●Th2優位ではアレルギー疾患(喘息,花粉症,アトピー性皮膚炎)になりやすい。活性化されたTh2がIL-4産生→B細胞がIgE産生細胞となりIgE産生→以後は『即時型アレルギー急性期反応』を参照
抗サイトカイン抗体療法
失敗に終わったもの(=ヒトにおいて気道過敏性の抑制が認められなかったもの):
@抗IL-4抗体
A抗IL-5抗体(ヒトにおいて,好酸球は抑制されたが,2相性の喘息反応や気道過敏性は抑制されなかった)(但し
,動物実験では成功していた)。
B抗IL-12抗体・・・Th1優位にして喘息を治そうと試みた。『Th1 vs. Th2』という単純な拮抗理論では解決出来ない。
今後期待されているもの:
抗TNF-α抗体・・・好中球の活性化や気道浸潤を抑制する。∴中等症および重症喘息に対して特に有用。
関節リウマチやクローン病では既に臨床効果をあげている。
抗IL-2抗体
抗IL-18抗体・・・Th1型喘息(好中球主体の喘息≒感染型喘息)では気道抵抗上昇と好中球浸潤を著明
に抑制(動物実験)。Th2型喘息には無効(動物実験)。吸入ステロイドはTh1型喘息に
は無効(動物実験)。(兵庫医科大免疫学教室)
ヘルパーT細胞の分化
・Th1型気管支喘息(IL-18,IFN-γ,IL-13)=Th1だけでも喘息が起こる(兵庫医科大免疫学)
⇔Th1型免疫応答は喘息(Th2型免疫応答)を抑制する(従来の定説)。
・Th17(IL-17)
・

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(J Douwes et al. Non-eosinophilic asthma: importance and possible
mechanisms
Thorax 2002;57:643-648 のFig.1から一部引用)
TLR4:
背景イ)ウイルス感染や細菌感染によりアレルギー性炎症(喘息やアトピー
性皮膚炎)が増悪する,ことが臨床的に知られている。
ロ)TLR同定後より,自然免疫とアレルギー性炎症との関連が注目され
ている。
@a signal transducer of LPS(lipopolysaccharideエンドトキシン), that is
a component of Gram-negative bacterial endotoxin and ubiquitously
distributed in the environment, including household dusts。正確には
TLR4/MD-2複合体がLPSの受容体である。気道上皮,肺胞U型上
皮細胞,血管内皮細胞や自然免疫系の免疫細胞である樹状細胞,
マクロファージ,白血球(好中球)などに強く発現している。CD14が
LPS-LBP複合体に結合することで,これをTLR4/MD-2複合体に提示
する。
LBP:LPS結合蛋白(LPS-Binding Protein)
MD-2:Myeloid Differention protein-2
TLR4/MD-2複合体は,LPS以外にウイルス蛋白や結核菌なども
認識する。
Aヒト肺マスト細胞はTLR4を発現する。
(1st report about ヒトの肺マスト細胞)
(
Okumura S et al.
Identification of specific gene expression profiles
in human mast cells mediated by Toll-like receptor 4 and Fc
RI.
Blood 102 : 2547-2554, 2003)
Bヒト肺マスト細胞の80%以上が気道内や周囲に存在し,
主に末梢気道に存在している。
(岡山吉道 マスト細胞と自然免疫 呼吸 28巻 2号, 2009)
Cマスト細胞は骨髄由来であり,気道,腸管,皮膚といった外界と接触
する場所に多く存在し,細菌,結核菌,ウイルス,寄生虫などの感染
に対し防御的に働いている。
(岡山吉道 マスト細胞と自然免疫 呼吸 28巻 2号, 2009)
Dヒト好酸球にも TLR4は発現している。

@AD⇒『TLR4(自然免疫)が,マスト細胞・好酸球(アレルギー性炎症)や
好中球(好中球性炎症)を直接活性化する』経路
が存在する。
<気道の慢性炎症と気道過敏性との関係>
NFκB(nuclear factor kappa B):
・その制御下にある遺伝子発現を誘導する。通常はIκB(Inhibitor of NFκB)により
不活化されているが,TNF-α(tumor necrosis factor α)やIL-1βなどによりIκB
が分解されると活性化される。
・炎症作用や抗アポトーシス作用がある。
・TLRはNFκBを活性化し,炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-α, IL-6, IL-8, G-CSF,
GM-CSF, M-CSF)を産生する。
・NFκB活性化の阻害(byステロイド,アスピリン,シクロスポリン)は,炎症の治療
になる。
・ステロイドホルモンの作用機序:
グルココルチコイドは非活性型の受容体と結合し,活性型となって核内に移行し
遺伝子レベルで作用する.また,多くのサイトカイン産生を誘導するAP-1 やNF-κBな
どの転写活性を抑制することによって作用を発現する.
<3.ミックス型> Q.今の年になってなぜ又喘息?
大人になって発症する喘息の大半7割は感染型であり、アレルギー(アトピー型)の
関与は高々3割です。
このミックスタイプの場合、小さい頃は小児喘息があったが”良くなってい
た”(正確には自分で自覚できる程の症状が無かったという意味でしょう。
本物の喘息なら小児喘息であっても治る事は無いですので。)のに、
『今の年になってなぜ又喘息』と言われる方が多い。