
〜〜〜〜〜免疫学用語の説明〜〜〜〜〜
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○サイトカイン(cytokine)とは?細胞間のシグナル伝達の方法には,直接接触して伝達する方法(接触型)と細胞が液性の伝達物質(=サイトカイン=タンパク質=言葉のような役割)を産生・放出し,それが受け側の細胞表面の受容体に結合して伝達する方法(非接触型)がある。後者の方法(非接触型)で細胞が産生する伝達物質のうち,免疫グロブリン以外の物質をサイトカインと総称している。リンホカインとはリンパ球が産生するサイトカイン,モノカインとは単球・マクロファージが産生するサイトカインをいう。「サイト」は「細胞」,「カイン」は「作動物質」のラテン語。(P32 やさしくわかる皮膚免疫学 医薬ジャーナル社 2004より引用,一部改変)
炎症性サイトカイン(pro-inflammatory cytokine)=TNF-α, IL-1, IFN-γ,IL-6, TNF-β,IL-8
TNF-α:他のサイトカインと異なり,アポトーシスを誘導するなどして生体に直接傷害を与える。
IFN-γ:@エンドトキシンの作用を増強する。A線維化は抑制←線維芽細胞を抑制とTGF-βを抑制(⇔IL-4は
線維化を促進)。BQFT(結核の免疫学的診断法)は,結核菌特異抗原の刺激により,末梢血リンパ
球(Th1細胞)が産生したIFN-γの量を測定している。⇒Th1/Th2バランス
CTh2 細胞の機能を抑制する結果,アレルギー性炎症を抑制する。
IL-6: 抗IL-6抗体(トシリズマブtocilizumabアクテムラ)により,
炎症所見(発熱,CRP↑,白血球増多,血小板増多,血清アミロイドA↑,α2−グロブリン↑,フィブリノーゲン↑)
(慢性化するとγ−グロブリン,IgG↑,低アルブミン血症,浮腫,血沈亢進,血清鉄減少による慢性貧血,フィブリン
分解産物=FDP -EやD-dimerの増加)が抑制される。
『若年性特発性関節炎』の小児に福音。ただし,発熱,CRP↑,白血球増多等が消失するので,感染症を見
逃さぬ様,注意。
炎症とは?様々な側面から捉えることができるが,病理学的には,『組織への細胞浸潤と浮腫』と定義される。
プライマリーサイトカイン(初期反応性サイトカインearly response pro-inflammatory cytokine)=炎症性サイトカインの中でTNF-α, IL-1α, IL-1βは活性化されたマクロファージから産生され,炎症の引き金(トリガー,
惹起)となり,二次的なサイトカインの産生放出を誘導するので,このように呼ばれる。
●ケモカイン(chemotactic cytokines):特定の細胞に対して特異的に遊走活性を持つサイトカイン。
IL-8:標的細胞である好中球を介して組織障害作用を発揮する。⇒ Innate Immune
RANTES(regulated on activation, normal T expressed and secreted)は,T細胞や好酸球に対して遊走作用を
持つ。
エオタキシン(eotaxin):ケモカインの中で最も強い好酸球遊走活性を有する。
○インターロイキン(interleukin, IL)=白血球の相互作用をつかさどる物質群。
○抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC):樹状細胞(dendritic cell:DC),マクロファージ,B細胞などが
ある。もっとも強力な抗原提示能力を有しており,抗原提示のスペシャリスト集団というべきは,樹状細胞と呼ばれ
る一群の細胞集団である。表皮のランゲルハンス細胞もこの樹状細胞に属する。
『肺胞マクロファージ』=肺胞と気道に存在するマクロファージの総称。20%が気道(気道上皮 lining fluid中)に存
在する。肺胞マクロファージの抗原提示能力は他の部位のマクロファージと比較して低い
ので,肺における抗原提示は樹状細胞が主である。細胞膜表面分子として,Fc受容体,
CD14, TLRやサイトカイン,ケモカイン受容体を有している。抗原提示よりもサイトカインや
活性酸素などを産生して,アレルギー性炎症や気道リモデリングに関与。肺胞マクロファ
ージの寿命は数ヶ月だが,喫煙により寿命が延び,2年に渡り肺局所に存在しCOPDに関与。
○T細胞は非自己をいかに認識するか?T細胞はその表面に,特定の抗原情報と一致する抗原受容体(T細胞抗
原受容体)を持つ。ところで抗体は直接抗原と結合できるのに反して,T細胞抗原受容体は抗原と直接結合でき
ない。抗原提示細胞の細胞膜上に表現されている,『MHC』+『非自己由来の抗原ペプチド』の2つを同時に認
識し結合する。しかし,T細胞抗原受容体の結合力は弱いので,CD4とCD8分子による補助機構を必要とする。
一方,MHC分子にはクラスT分子とクラスUがある。CD4はクラスUMHCと,CD8はクラスTMHCと結合してT細胞抗原受容体の結合を補助する。

CD8陽性T細胞(キラーT細胞orCTL〔cytotoxic T lymphocyte:細胞障害性T細胞)=
『クラスTMHC+内因性抗原ペプチド』を認識し,非自己由来のペプチドであると認識すると直ちにアポトーシス
により細胞を破壊=細胞性免疫。
CD8陽性T細胞は,Th2サイトカイン環境下でIL5産生の方向に分化し,気道の好酸球性炎症を増悪させる。
CD8陽性T細胞の一部にIL-4, IL-5, IL-10を産生するTc2と呼ばれているTh1のsubtypeが存在する。
Tc2は IL-4の存在下にIL-13を産生し好酸球性炎症と気道過敏性をを誘導する。
@喘息死群ではCD8陽性T細胞数が多い。A1秒量の低下とCD8陽性T細胞数が相関する。
CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞orCD4T細胞orTh)=
『クラスUMHC+外来性抗原ペプチド』を認識し,サイトカインを分泌=液性免疫
●
抗原の種類によって処理経路が2つに分かれる。
内因性抗原(ウイルス)ならクラスTMHCを介してキラーT細胞が処理
。
外来性抗原(細菌)ならクラスUMHCを介してヘルパーT細胞が処理
。
クラスTMHCはほとんどの細胞に発現する。ウイルス感染細胞や癌化した細胞にも発現する
。
クラスUMHCは限られた細胞(樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞)にしか発現しない
。
第1の経路:抗原が自己成分(=細胞が作り出す成分=内因性抗原=ウイルスや一部の寄生虫の様に本来
は外来抗原だが細胞内や遺伝子の中に入り込んであたかも自己成分の如く振る舞う抗原も含む)
の場合;
⇒”不要になった自己成分”を処理する経路に入る。⇒ウイルス感染した細胞や悪性転化した細
胞内で外来抗原を分解処理して『自己成分やウイルスペプチド+クラスTMHC』を作って細胞
表面に提示 ⇒CD8陽性T細胞(キラーT細胞)が認識して結合して,これが非自己由来のペプチ
ドであると認識するとキラーT細胞lによる細胞障害性の免疫反応が起こし,ウイルス感染細胞や
癌細胞を速やかに破壊する(=細胞性免疫)。
以下に示す3つのメカニズムにより細胞をアポトーシスに誘導して殺す。
@キラーT細胞のFas受容体を介する細胞死
A細胞膜に穴を開け(by パーフォリン),細胞内タンパク質を分解して(by グランザイム)。
Bby IFN-γ
第2の経路:抗原が細菌などに代表される外来性抗原の場合;
⇒細胞内で外来抗原を分解処理して『外来性抗原ペプチド+クラスUMHC』を作って細胞表面
に提示 ⇒CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞,Th)が認識して結合,
⇒さらにTh1とTh2の経路に分かれて処理される。
貪食細胞内で増殖する細菌(細胞内寄生菌)の排除には⇒Th1
細胞外の細菌や寄生虫の排除には⇒Th2

<Th1/Th2バランス>には”腸内細菌”が大きく関与している。=腸内細菌のうち,ラクトバチルス菌やビフィズス菌などのグラム陽性菌は,Th1細胞を誘導する(よってTh1優位になる)ことにより,Th1細胞を通じて「間接的に」アレルギーを抑制している。結核菌もグラム陽性菌であり,感染するとTh1細胞を強く誘導する。⇒結核QFT検査

●CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞,CD4T細胞,Th)は,更に2つに分かれる
@Th1細胞(Th1CD4T細胞,1型CD4ヘルパーT細胞)は,主として細胞性免疫を誘導するサイトカイン,
IL-2, インターフェロン(interferon:IFN)-γ,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-βなど(Th1
サイトカインと呼ばれている)を産生して,
遅延型アレルギー(ツベルクリン反応や結核・サルコイドーシス・
Wegnerの肉芽腫形成など)や
臓器特異的自己免疫疾患に関与。
マクロファージやキラーT細胞を活性化(標的細胞のアポトーシスを誘導することによって細胞を殺す)
細胞内寄生菌(ウイルス,結核菌,リケッチア)を排除
ATh2細胞(Th2CD4T細胞,2型CD4ヘルパーT細胞)とは?
主として液性免疫を誘導するサイトカイン,インターロイキン(interleukin:IL)-4, IL-5, IL-6, IL-9, IL-10, IL-13
(Th2サイトカインと呼ばれている)等を産生して
T型(or即時型)アレルギー:
B細胞(←IL-4)(『即時型アレルギー急性期反応』を参照),肥満細胞,
好酸球(←IL-5)(アトピー型喘息『即時型アレルギー慢性反応』を参照)の活性化,
および
全身性(=臓器非特異性)自己免疫疾患=膠原病(←自己抗体産生促進)に関与。
アルツス型炎症(IgG, IgM)
・IL-4 はIgE 産生の誘導に必須である。IL-13 もヒトB 細胞に作用してIgE 産生を誘導したり,杯細胞を
刺激してムチン産生を亢進したりする。
・IL-5 は好酸球の活性化,増殖・分化,浸潤に必須。好酸球の増殖分化因子であり,IL-5 で活性化され
た好酸球はさまざまな物質を産生し,炎症を誘導する.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
IL-4、IL-13 はIgE 産生
IL-5 は好酸球の活性化,増殖・分化因子
IL-13が好酸球浸潤を誘導
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・IL-9はマスト細胞を増殖する
・IL-4, IL-9, IL-13が粘液細胞増生による粘液産生亢進
・IL-13やIFN-γが気道過敏性を誘導する
・IL-13が好酸球浸潤、肺線維化を誘導する
Th1サイトカインはTh2の分化を,Th2サイトカインはTh1の分化を抑制する。
しかし近年,Th1 細胞は好中球を活性化することで気管支喘息を誘発するとの結果や,喘息患者の中に
はTh1優位な免疫応答を示す症例も混在することが報告されるに至り,気管支喘息の発症における
Th1Th2 細胞のバランス説に対して疑問が投げかけられている.⇒『Th1型気管支喘息』
B〈Th2サイトカインと気道過敏性〉
気道過敏性発現の為にはTh2細胞と好酸球が必須。Th2細胞はIL-13によって気道過敏性を誘導する。
(以上,動物実験)
C 〈Th2サイトカインと気道分泌亢進〉⇔Th2サイトカイン阻害薬(IPD)による治療が有効
Th2サイトカインのうち IL-4, IL-9, IL-13が粘液細胞増生による粘液産生亢進,さらにIL-13は単独で
(イ)線毛細胞の減少,(ロ)Clイオン輸送亢進による水分分泌の亢進,(ハ)上皮細胞間透過性亢進によるア
ルブミンの漏出と上皮剥離を来す。その結果,粘液線毛クリアランスの低下を来す。
<Th1/Th2バランス>
●Th1優位では臓器特異的自己免疫疾患(たとえば,インスリン依存性糖尿病,慢性関節リウマチ,多発性硬化症)が起こりやすい。それぞれ膵臓β細胞抗原,自己滑膜抗原,ミエリン塩基性蛋白によって活性化されたTh1がマクロファージを活性化して起こる。
●Th2優位ではアレルギー疾患(喘息,花粉症,アトピー性皮膚炎)になりやすい。活性化されたTh2がIL-4産生→B細胞がIgE産生細胞となりIgE産生→以後は『即時型アレルギー急性期反応』を参照
抗サイトカイン抗体療法
失敗に終わったもの(=ヒトにおいて気道過敏性の抑制が認められなかったもの):
@抗IL-4抗体
A抗IL-5抗体(ヒトにおいて,好酸球は抑制されたが,2相性の喘息反応や気道過敏性は抑制されなかった)(但し
,動物実験では成功していた)。
B抗IL-12抗体・・・Th1優位にして喘息を治そうと試みた。『Th1 vs. Th2』という単純な拮抗理論では解決出来ない。
今後期待されているもの:
抗TNF-α抗体・・・アダリムマブadalimumab(ヒュミラ),インフリキシマブinfliximab(レミケード)
TNF-α阻害薬・・・エタネルセプトetanercept(エンブレル)
好中球の活性化や気道浸潤を抑制する。∴中等症および重症喘息に対して特に有用?
関節リウマチやクローン病では既に臨床効果をあげている。副作用に注意。
抗IL-2抗体
抗IL-18抗体・・・Th1型喘息(好中球主体の喘息≒感染型喘息)では気道抵抗上昇と好中球浸潤を著明
に抑制(動物実験)。Th2型喘息には無効(動物実験)。吸入ステロイドはTh1型喘息に
は無効(動物実験)。(兵庫医科大免疫学教室)
ヘルパーT細胞の分化
『Th1型気管支喘息』(IL-18,IFN-γ,IL-13)=Th1型アレルギーだけで喘息が起こる
=非IgE性の炎症(=アレルゲンとIgE複合体による肥満細胞の活性化の機序によらない)
(善本知広 兵庫医科大学免疫学・医動物学講座 http://jams.med.or.jp/symposium/full/126028.pdf 参照)( 中平雅清 中西憲司 SuperTh1細胞/IL-18による非IgE炎症と気管支喘息 呼吸 29巻 2号:115-121,2010 )
⇔Th1型免疫応答(=Th1型アレルギー)は喘息(Th2型免疫応答)を抑制する(従来の定説)。
=”気管支喘息=Th2病”(従来の定説)。⇒@Th1優位の気管支喘息の病態を説明できなかった。ATh2型免疫応
答を直接惹起しない刺激(=細菌やウイルス感染)で気管支喘息が増悪する機序が説明できなかった。
・感染(細菌やウイルス(ライノウイルス、RSVなど))が原因で増悪する非IgE性(=non-atopic)喘息のモデル
になると考えられる。
・『SuperTh1細胞(from Th1 by stimulation with both antigen and IL-18)はTh2サイトカイン=IL-13およびTh1サイ
トカイン=IFN-γを産生する。』
・IL-18はIFN-γ 誘導因子として兵庫医科大学で発見,クローニングされたインターロイキンであり,IL-1ファミリー
に属する。
・IL-18 は肺胞マクロファージや気道上皮細胞の細胞質内で生理活性を持たない前駆体として産生・貯蔵されており
,LPS 刺激やウイルス蛋白刺激(←細菌由来のLPSやライノウイルス、RSVなどのウイルス蛋白がマクロファージ
や樹状細胞上のTLR4に結合することにより)を受けて活性化されたcaspase-1(システインプロテアーゼ) によって切
断され,活性型IL-18となって肺胞マクロファージや上皮細胞の細胞外に分泌される。
●もう1つの経路がある=『自然型気管支喘息』=その発症に抗原を必要とせず,かつSuperTh1細胞を介さない
,かつIFN-γを産生せず,IL-2+IL-18投与によりIL-13産生を誘導して喘息を発症するタイプがある。
●喘息の分類(私見)
@IgE性の炎症・・・・・・従来言っているアトピー型(抗原は当然必要)
アレルゲン+IgE=Th2免疫応答(Th2サイトカイン)を誘導=T型アレルギー
A非IgE性(=non-atopic)の炎症・・・・従来言っている感染型(=大人の喘息)
(イ)Th1型気管支喘息(=SuperTh1細胞経由で抗原が必要):非IgE性
TLR+IL-18+SuperTh1細胞=Th1免疫応答(Th1サイトカイン=IFN-γ⇒好中球増多とAHRの上昇)+Th2免疫
応答(Th2サイトカイン=IL-13⇒好酸球増多)を誘導
(ロ)自然型気管支喘息(=抗原は不要,IL-2が必要):非IgE性
TLR+IL-18+IL-2+CD4陽性T細胞=Th2免疫応答(Th2サイトカイン=IL-13)を誘導
Th17(IL-17)
・

B細胞

『即時型アレルギー急性期反応』
‖
IgE産生
【肺樹状細胞、肺DC細胞】(権 寧博, 橋本 修 気管支喘息の病態におけるTLRの関与 Annual Review 呼吸器
2011 : 84-90, 2011)
<TLRを介する気道上皮−樹状細胞の相互作用>
・少なくとも5つのサブユニットが肺には存在する。
・『肺DC細胞の所属リンパ節への遊走』(=肺DC細胞は気道において頻回にサンプリングを行い、捕捉した抗原
をリンパ節に搬送している)は、肺への何らかの侵襲(=TLR刺激)が加わらなければ生じない。
・気道上皮バリア : TLR刺激や他の活性化シグナルがなければ、気管支上皮細胞のタイトジャンクションによっ
て 吸入抗原からシールドされているので、樹状突起は気道内に出れない。
・肺DC細胞は、気管支上皮細胞のTLR4依存的に、LPSに応答して所属リンパ節へ遊走する。
<アレルゲンによるTLRシグナルの活性化>
・アレルゲン(=吸入抗原)はプロテアーゼ活性を有するものが多い。=プロテアーゼにより気道上皮のタイトジャ
ンクションを破壊=気道上皮バリアorシールドを破壊⇒気道上皮内、または粘膜下に存在するDC細胞に捕捉され やすくする。
・アレルゲン(=吸入抗原)は気道上皮細胞のTLRシグナルを活性化する作用を有している可能性が高い。
←・TLR欠損マウスではOVAによる経気道感作が成立しない。
・OVA中に含まれる微量のLPSがTh2型のアレルギー性炎症(=好酸球性炎症)を誘導するのの重要である。
⇔ 高容量のLPSとOVAの感作では、好酸球性炎症ではなく、好中球性炎症が惹起される。
・TLR欠損マウスではダニ抗原による経気道感作が成立しない。
・ハウスダスト中には多量のLPSが含まれている。
・吸入抗原中に含まれるLPSが、アレルギー性気道炎症を増悪させる。
・LPSはTLR4に結合する。
・外来抗原(=アレルゲン)はTLR4を介して気道におけるアレルギー感作に積極的な役割を果たしている。

<ウイルス感染による喘息増悪の機序>
松倉 聡、 國分二三男、 足立 満 気道上皮細胞における Innate Immunity と
気管支喘息の病態について アレルギー・免疫 Vol.13,No.4 : 48-55, 2006

●RSV,ヒトライノウイルス,インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,コロナウイルスなどはすべて
RNA(ribonucleic
acid)ウイルスである。これらのRNA ウイルスは,感染した細胞内で増幅する際に,二本鎖RNA(dsRNA)を形成する。以前より,dsRNA には免疫賦活作用があり,リンパ球に作用すると,type I FN(interferon)の産生を誘導することが知られていた。そして,近年そのレセプターがTLR3 であることが判明し,その
シグナル伝達機序が詳細に検討されている。
NF-κBおよび,IRF-3 が活性化され,DNAに結合する⇒RANTESその他の炎症性のサイトカインやケモカイン の
転写がこの2つの転写因子により活性化され⇒RANTESほか炎症性のサイトカインやケモカインを発現
●気道上皮細胞は“壁”として外界と生体を隔てているばかりではなく,SLPI(Secretory
leucocyte protese
inhibitor),IL-1R(interleukin-1 receptor)antagonist,defensin,SP(surfactant protein)-C,SP-D など,Host
Defens に関わる因子を発現しInnate
Immunity の機能を果たしていると考えられている。
●また,気道上皮細胞は,TLR family を発現しており,TLR のサブタイプと局在に特徴がある。TLR1,2,
9 は上皮
細胞の気道腔側表面に発現されている一方,TLR5 は基底膜側に発現されている。また,TLR4 やTLR5 はリガンド
との反応により,気道腔側に移行すると云われている。気道上皮細胞において,TLR3 は,おもに
細胞質内に発現
され(細胞質内レセプター),dsRNA のシグナルを伝達している。

”IL-33”・・・Th2型にも自然型BAにも関与する。
(善本知広 呼吸 29巻 4号:364-372,2010 )
”IL-33”(善本知広 アレルギー・免疫 18巻 3号:124-135,2011)
上皮細胞や血管内皮細胞の細胞核内に存在し、danger signal(=花粉粒子などのアレルゲンはpossible)による 細胞傷害により、受動的に活性型IL-33となって細胞外に放出され、炎症を誘導する(danger modelという)。
・IL-33 はIL-18やIL-1β と共にIL-1ファミリーに属するサイトカインである。
・IL-33受容体のうちST2(Il-33Rα) はIL-18RやIL-1βR と共にToll様/IL-1受容体(TLR/IL-1R)フ
ァミリーに属する.
・ ST2(IL-33Rα) は
@ Th2細胞やアレルギー(性炎症)担当細胞(好酸球、好塩基球、マスト細胞、NKT細胞)上に発現し、IL-
33に反応してさまざまなTh2サイトカインとケモカインを産生することで「Th2型アレルギー疾患」の「誘導
または増悪因子」として作用する。
更に、
ALin(-)c-kit(+)の自然免疫系細胞(naturalhelper(NH)細胞、Nuocytes、innate type-2細胞) 上に発現し、少量のIL-33に反応して大量のIL-13を産生する=「自然型アレルギー」の「誘導因子」として 作用する。⇒下図の経路2
・ST2(IL-33Rα) はTh2細胞の識別マーカーであり、IL-18Rα鎖はTh1細胞の識別マーカーである。
”自然型アレルギー”の定義=Th2細胞とIgE分子を必要としない。
”IL-18”→Th1型アレルギー(感染を契機に増悪するBAやアトピー性皮膚炎etc)
と自然型アレルギー(BAetc)
”IL-33”→Th2型アレルギー(BAetc)
と自然型アレルギー(BAetc)

B細胞 
『即時型アレルギー急性期反応』
‖
IgE産生
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(J Douwes et al. Non-eosinophilic asthma: importance and possible
mechanisms
Thorax 2002;57:643-648 のFig.1から一部引用)
TLR4:
背景イ)ウイルス感染や細菌感染によりアレルギー性炎症(喘息やアトピー
性皮膚炎)が増悪する,ことが臨床的に知られている。
ロ)TLR同定後より,自然免疫とアレルギー性炎症との関連が注目され
ている。
@a signal transducer of LPS(lipopolysaccharideエンドトキシン), that
is a component of Gram-negative bacterial endotoxin and ubiquit-
ously distributed in the environment, including household dusts。
正確にはTLR4/MD-2複合体がLPSの受容体である。気道上皮,
肺胞U型上皮細胞,血管内皮細胞や自然免疫系の免疫細胞で
ある樹状細胞,マクロファージ,白血球(好中球)などに強く発現
している。CD14がLPS-LBP複合体に結合することで,これを
TLR4/MD-2複合体に提示する。
LBP:LPS結合蛋白(LPS-Binding Protein)
MD-2:Myeloid Differention protein-2
TLR4/MD-2複合体は,LPS以外にウイルス蛋白や結核菌なども
認識する。
Aヒト肺マスト細胞はTLR4を発現する。
(1st report about ヒトの肺マスト細胞)
(
Okumura S et al.
Identification of specific gene expression pro-
files in human mast cells mediated by Toll-like receptor 4 and
Fc
RI. Blood 102 : 2547-2554, 2003)
Bヒト肺マスト細胞の80%以上が気道内や周囲に存在し,
主に末梢気道に存在している。
(岡山吉道 マスト細胞と自然免疫 呼吸 28巻 2号, 2009)
Cマスト細胞は骨髄由来であり,気道,腸管,皮膚といった外界と
接触する場所に多く存在し,細菌,結核菌,ウイルス,寄生虫
などの感染に対し防御的に働いている。
(岡山吉道 マスト細胞と自然免疫 呼吸 28巻 2号, 2009)
Dヒト好酸球にも TLR4は発現している。

@AD⇒『TLR4(自然免疫)が,マスト細胞・好酸球(アレルギー性炎症)
や好中球(好中球性炎症)を直接活性化する』経路
が存在する。
<気道の慢性炎症と気道過敏性との関係>
NFκB(nuclear factor kappa B):⇒ Innate Immune
・その制御下にある遺伝子発現を誘導する。通常はIκB(Inhibitor of NFκB)により
不活化されているが,TNF-α(tumor necrosis factor α)やIL-1βなどによりIκB
が分解されると活性化される。
・炎症作用や抗アポトーシス作用がある。
・TLRはNFκBを活性化し,炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-α, IL-6, IL-8, G-CSF,
GM-CSF, M-CSF)を産生する。
・NFκB活性化の阻害(byステロイド,アスピリン,シクロスポリン)は,炎症の治療
になる。
・ステロイドホルモンの作用機序:
グルココルチコイドは非活性型の受容体と結合し,活性型となって核内に移行し
遺伝子レベルで作用する.また,多くのサイトカイン産生を誘導するAP-1 やNF-κBな
どの転写活性を抑制することによって作用を発現する.
Toll様受容体(TLR):細胞外ドメインにロイシンリッチリピート(leucin-rich repeat : LRR)を
もち、細胞質ドメインにTIRドメイン(Toll/interleukin-1 receptor domain)をもつ受
容体のファミリー。
・細菌と真菌の細胞壁成分を認識するTLRは細胞表面(=細胞膜)に局在し、
・ウイルスあるいは微生物の核酸を認識するTLRは細胞内の膜(=ファゴゾーム
またはエンドゾーム)に局在している。
<3.ミックス型> Q.今の年になってなぜ又喘息?
大人になって発症する喘息の大半7割は感染型であり、アレルギー(アトピー型)の
関与は高々3割です。
このミックスタイプの場合、小さい頃は小児喘息があったが”良くなってい
た”(正確には自分で自覚できる程の症状が無かったという意味でしょう。
本物の喘息なら小児喘息であっても治る事は無いですので。)のに、
『今の年になってなぜ又喘息』と言われる方が多い。