(交差反応性を示す)およびNSAIDs非ステロイド性解熱鎮痛剤(COX-1阻害薬)の内服、注射、
坐薬、貼付薬、湿布薬によって引き起こされる喘息です(COX:サイクロオキシゲナーゼ)。
=COX-1阻害薬過敏症とも言える(PG合成COX阻害力と発作強度が相関)。
服用後2時間以内(30分以内が多い)に前駆症状{鼻炎症状(鼻閉、鼻水)、
結膜炎症状
(眼球結膜充血,流涙)、咳、顔面紅潮感、稀に皮疹、嘔吐、下痢}に続いて、 喘息発作を起
こします。1〜5時間をピークにして,半日〜1日で終息する。2相性反応や単独の遅発反応
はない。軽症の場合は、軽い咳や鼻汁、眼の痒みだけの事もあり,
成人喘息患者の約10
%に存在します。(小児には希)。
<発症機序>
・臨床症状はT型アレルギーに類似するが,T型アレルギーの検査は陰性であり,抗原特異的IgEも検出されない
。アスピリンの薬理学的作用であるCOX(サイクロオキシゲナーゼ)活性阻害による非アレルギー性機序が考えられている。
・アスピリン(COX-1>COX-2阻害薬)過敏症ではあるが,アレルギー学的機序にはよらない。
従って,通常のアレルギー検査(IgE抗体,皮内テスト)では診断できない。
ロイコトリエンLT(from 肥満マスト細胞,好酸球,好塩基球)が病態の中心的なメディエーターである。
体内のロイコトリエン産生の指標としては代謝産物の尿中LTE4が用いられる。LTの主な産生源は好酸球性
鼻茸である。
COX-2の選択的阻害薬は,アスピリン喘息のある人に安全に使用できる。ただし,血小板凝集抑制
作用はないので,血栓性疾患に対する効果は期待できない or 血栓症(心筋梗塞など)リスクを
高める可能性がある。この点,従来の非選択性のCOX阻害薬にも血栓症(心筋梗塞など)リ
スクは否定できないとの報告を受け,FDAはすべてのNSAIDsに警告表示を指示した。(妊娠末期
8週間におけすNSAIDs投与は動脈管閉鎖のリスクあるので禁忌。已むを得ない場合はアセトアミノ
フェンを最小限投与,ステロイドで代用可能ならステロイドを選択する。)
アスピリンはCOX-1とCOX-2の両方の阻害薬である。当然ながらトロンボキサンA2(TxA2=血小板
凝集,気管支収縮作用)合成酵素阻害薬の投与では気道収縮はおこさない。
NSAIDs過敏症(or不耐症)気道型と皮膚型が合併する(=混合型)頻度は少ない(稀)が,
アスピリンは両方を引き起こす代表的な薬である。
・COX-1:血小板凝集作用(TXA2=血小板由来=低用量高用量アスピリンで阻害される),胃粘膜保護
作用,血小板凝集抑制作用(TXI2=血管内皮細胞由来=高用量アスピリンで阻害される)を持つ。
∴『COX-1阻害すると胃腸障害や血小板凝集抑制作用』が出る(ただし低用量のアスピリンは血小板
のCOX-1を阻害することでTxA2の生合成を阻害し,血小板凝集抑制作用を示す⇔高用量の場合は
血管内皮細胞のCOX-1をも阻害するためTXI2の生合成をも阻害され,其の分血小板凝集抑制に
対する効果は減弱する。∴血小板凝集抑制作用を目的とする場合には低用量アスピリンを用いる)。
・COX-2:炎症に関与するPG(PGE2)を産生∴『COX-2阻害すると炎症を抑える』
【NSAIDs過敏症(or不耐症)皮膚型=NSAIDs過敏蕁麻疹・血管浮腫】
・慢性蕁麻疹の20〜30%。
・NSAIDs内服により蕁麻疹が誘発or出現したり,増強or悪化したりする。
・NSAIDsは,食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIA; food dependent exercise
-induced anaphylaxis)や食物依存性アスピリン誘発アナフィラキシー(Food dependent aspirin induced anaphilaxis: FAIA)や即時型食物アレルギーの発症を誘発・増強する。
すなわち,アスピリンやカレー(ライス)摂取後にFEIAや即時型食物アレルギーが陽性に出る。

〈 アスピリンによる即時型アレルギー増悪の機序 〉 (P70 アレルギーの臨床29(8), 2009)
アスピリン(低濃度=0.1〜0.3mM)は,抗原刺激によるマスト細胞のLTC4産生を増強することにより炎症を増悪させる。アスピリンは,L型カルシウムチャンネル(L-type Ca2+channels LTCCs)を活性化することにより細胞外Caの細胞内流入を増強し,細胞内Ca濃度が上昇することにより,マスト細胞のLTC4産生を増強する。
・ロイコトリエン受容体拮抗薬で抑えられない症例がある。ヒスタミンH1受容体拮抗薬の有効例が多い。
・・・>発症機序としては,「COX-1阻害→PGE2産生抑制によるヒスタミン遊離促進」説>ロイコト
リエン過剰産生説=皮膚型と気道型とで発症機序に違いあり!?
即時型アレルギー急性期反応
IgE抗体はその量が少ない時は,組織中にのみ存在する(tissue-fixed IgE pool=組織中の肥満細胞や好塩
基球のFCε受容体と結合)。抗体産生量が増えると飽和して血中に出てくる(circulating pool)。この組織結
合IgE抗体との反応が食物アレルギー症状やSPT陽性としてみられるのではないかと考えられている。
食物アレルギー症状
SPT(skin prick testプリックテスト)
血中IgE抗体(RAST)の順に
陽性化していくことが予想される。すなわち,SPTの方がRASTより早く陽性化する。SPTの方がRASTより
感度が高い。
(P25 アレルギーの臨床29(10), 2009)
SPT(skin prick testプリックテスト):(P23 アレルギーの臨床29(10), 2009)
・皮膚組織に存在する肥満細胞mast cell上の抗原特異IgE抗体と滴下した抗原との反応により,肥満細胞か
らヒスタミンを主とする化学伝達物質が放出される。この化学伝達物質による膨疹,発赤反応を15〜20分後
に測定する。
・陰性適中率が高い=SPT陰性であれば,95%以上の確率でその食物に対してIgE依存性のアレルギー反応
を示さない。すなわち,SPTは「食物アレルギーでないこと」の診断に有用である。
・SPT陽性は,アレルゲンに対する特異的IgE抗体の存在(=感作が成立していること)を示す。
・SPTは感度は高いが特異度は低い。すなわち疑陽性が多いと報告されているが,強陽性は食物アレルギー
を強く示唆する。


炎症や組織障害
『アレルギー慢性化(慢性アレルギー)⇒アトピー型喘息』の原因に興味あられる方は
即時型アレルギー慢性反応へ
〜〜〜〜〜〜 「食物アレルギー即時型に関する全国疫学調査」 厚労省〜〜〜〜〜〜〜〜
アレルギー物質を含む食品に関する表示についてhttp://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/s0723-12.html
・・・平成12〜14年度厚生労働科学研究「重篤な食物アレルギーの全国調査に関する研究」
(分担研究者:飯倉洋治昭和大学医学部小児科教授)・・・
●特定原材料5品目(鶏卵、牛乳・乳製品、小麦、そば、ピーナッツ):
これらを原材料として含む旨を記載することを法令で義務づけ、平成13年4月1日より施行している。
●
特定原材料5品目(鶏卵、牛乳・乳製品、小麦、そば、ピーナッツ)で全アレルギー発症数の約70%(2702/3840)、全ショック発症数の約75%(318/424)を占めている。
●
発症数の視点からみると,@ 鶏卵、A牛乳・乳製品、B小麦、Cそば、Dえび及びEピーナッツについては、それぞれ全アレルギー発症数の@ 鶏卵約39%(1486/3840)、A牛乳・乳製品約16%(616/3840)、B小麦約8%(311/3840)、Cそば約5%(179/3840)、Dえび約4%(161/3840)、Eピーナッツ約3%(111/3840)であった。
●症状の重篤性の観点からみると,@鶏卵、A牛乳・乳製品、B小麦、Cそば、Dピーナッツ及びEえびについては、それぞれ全ショック発症数の@鶏卵約26%(109/424)、A牛乳・乳製品約22%(93/424)、B小麦約17%(70/424)、Cそば約7%(28/424)、Dピーナッツ約4%(18/424)、Eえび約3%(14/424)であった。
〜〜〜〜〜〜end of 「食物アレルギー即時型に関する全国疫学調査」 〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜小麦タンパク質とアレルギー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
香西はな,矢野博己,加藤保子 川崎医療福祉学会誌 Vol.16, No.1, 2006 11-19
●小麦アレルギーとその原因タンパク質(=アレルゲン)としては,
@Baker's asthma(製パン職人にみられる。職業性喘息の一つ)
・塩溶性タンパク質,
・グリアジン及びグルテニン=α−グリアジンに特異的なIgE が検出された.またω−グリアジン特異IgE も
高い割合で検
出された.α−,ω−グリアジンは他のグリアジンより
も高いアレルゲン性をもつことが示され,
α−,ω−グリアジン及びグルテニンは塩溶性の小麦アレルゲンと非常に近い関係にあること示された.
Aセリアック病(=日本ではあまり知られてい
ないが,ヨーロッパなど諸外国では1,000人に1人,
また,最近で
は約 300人に1 人が発症.長期にわたるグルテン感受性の腸疾患であり,栄養素の吸収不
良や小腸の組織学的損傷によって特徴づけられる.)
・『グリアジンが腸管上皮細胞間にあるタイトジャンクションの形成に与える影響』について報告している:
グリアジン由来のペプチドを管腔側へ添加すると,タイトジャンクションの形成は非添加時の4割にとどまった.
=この結果はグリアジン由来のペプチドが腸管上皮透過性を亢進させる原因の一つと考えられる.
このようにグリアジン関与の免疫システムと小腸粘膜上皮組織の形状変化を明らかにすることがセリアック病
の発症機序解明につながるのではないかと研究者の間で注目を集めている.
B小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis:WDEIA)
(ある特定の食物摂取後に運動負荷が加わった場合に限り発症するという疾患であり,症状としては,吐き気,
蕁 麻疹,血管性浮腫,鼻炎,呼吸困難,喘息,意識障害などのアナフィラキシーショック症状が報告されてい
る.)
・小麦アレルゲンと運動との関わり:
食後3〜4時間までに運動をしたことでアナフィラキシー症状がみられたことから,運動が食品の消化・吸収に
何ら かの影響を及ぼしたのではないかと考察されている.
@Palosuoは,ω−5グリアジンのペプシン消化物はトランスグルタミナーゼの働きで複合体を形成し,分子量
の大きな重合物を形成する.この重合物はペプシン分解物より顕著にWDEIA患者血清IgEと結合すると報告
した.
ここで彼らは,トランスグルタミナーゼはストレスによってカルシウムイオンレベルを上昇させるという文献を
引用しながら,運動によってもカルシウムイオン濃度が上昇しトランスグルタミナーゼが活性化され,
ω−グリアジンは消化酵素による分解後でも大きなペプチドを形成するためアレルゲン活性が高くなる,と
考察し
ている.
(Palosuo et al. J Allergy Clin Immunol, 111, 1386-1392, 2003
)
・主要アレルゲンに関して:
@ペプシン消化後のグルテンは未分解のグルテンと比較してアレルゲン活性が同等またはそれ以上に
上昇し
た(1985年,Kushimotoら).
AWDEIAの主要アレルゲンはグリアジンであることを報告した(1997年,Varjonenら).
更に,1999年,Palosuoらは,運動前に小麦を含んだ食品を摂取してアナフィラキシー症状を起こした18人
の患者全員に,小麦に含まれるγ−グリアジンに対するIgEの上昇を認め,そのうち13人はα−グリアジン
に対するIgEの上昇も認められたと報告している.
C2003年,LehtoらはWDEIA患者においてω−グリアジンに対するIgE,IgAの上昇,IL-10mRNA発現の抑
制が認められたと報告した.IL-10は免疫反応を抑制的に調節する調節性T cellに関与しており,経口免疫寛
容を促進する.即ちIL-10mRNA発現抑制は経口免疫寛容を抑制する⇒ω−グリアジンに対するIgE,IgAが
上昇する,と考えられる.
DB10.Aマウスを用いた実験結果からグリアジン以外にグルテニンもWDEIAの主要アレルゲンである可能性が
示唆された.<・・・小麦より溶解度の違いを利用して抽出した三分画,即ち,塩溶性タンパク質画分,グリア
ジン画分及びグルテニン画分でB10.Aマウスを免疫すると,グリアジン画分で免疫したマウスの特異IgEが
最も上昇した.
しかし,WDEIA患者のIgE が上昇するとは限らないとの報告もある.そこでアレルゲンの体内浸入を肝臓
組織の蛍光免疫によって観察すると,各小麦タンパク質を投与・運動負荷後のマウスの肝臓へのアレルゲン
の浸入は,塩溶性タンパク質群と比較しグリアジン群次いでグルテニン群で高かった.さらに,小腸粘膜上皮
組織の損傷はグリアジン群で最も激しく,この損傷箇所からより多くのアレルゲンが体内に浸入した,と
考えられた.
・一般に食物の主要アレルゲンとしては卵のオボムコイド,牛乳のβ−ラクトグロブリンなどが報告されており,
これらは塩溶性タンパク質である.しかしWDEIAの原因タンパク質はグリアジン及びグルテニンのような不溶
性タンパク質である可能性が高く,何故不溶性タンパク質がアレルゲンと成り得るのか更なる検討が必要と
なる.そこでペプシン及びパンクレアチン消化後の可溶化グリアジン量を比較すると,胆汁を加えたことで,
より多くのグリアジンが可溶化される傾向にあった.即ち,in vitroでほとんど可溶化されなかった不溶性グリア
ジンは,胆汁存在下で消化酵素との親和性が高まり,消化を受けて可溶化され易くなると考察された.
<経皮感作型小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis:WDEIA)>
( 千貫祐子 加水分解小麦と小麦依存性運動誘発アナフィラキシー アレルギーの臨床31(6) : 23-27
, 2011 )
・加水分解小麦が経皮的または経粘膜的に吸収され感作され、後に小麦蛋白の経口摂取によってWED
IAを発症する。
・加水分解小麦は石けん、化粧水、シャンプーなどの化粧品やパン、ハムなどの加工食品に含有されて
いる。
・石けんの使用開始からWEDIA発症までの期間は、数ヶ月から数年である。
・経皮感作型の臨床症状の特徴は、小麦摂取後の運動時の眼瞼浮腫である。
・多くは、WEDIA発症前に、洗顔時に局所の小麦接触蕁麻疹を発症。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜end of 小麦タンパク質とアレルギー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜アナフィラキシー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
⇒即時型アレルギーのうち,最も急激に複数の臓器に症状が現れ,全身症状を呈している場合を『アナフィ
ラキシー』という。
さらに意識障害,血圧低下があれば『アナフィラキシーショック』という。狭義のアナフィラキシーは下記@のIgE依存性のもの(IgEを介して肥満細胞を活性化する)を,広義にはAのIgE非依存性のもの,も含める:
IgE(=抗原特異的IgE抗体)を介するT型アレルギー反応によるもの(=IgE依存性)・・・食物,ラテックス,
蜂毒,ペニシリンアレルギーなど
・・・魚アレルギー(=IgE依存性)と鑑別が必要なもの・・・
(イ)ヒスタミンによるアレルギー様反応:鮮度の落ちた魚肉中に含まれるヒスタミンによるアレルギー様反
応。特に赤身の魚=サバ,サンマ,カツオ,イワシ,カジキ,マグロ。摂取直後から3時間後に吐気,
顔面紅潮,発汗,頭痛,蕁麻疹などを引き起こす。ヒスタミンは加熱処理しても不活化されない。
また,
ほうれん草やトマトにはヒスタミンが多く含まれるので,ほうれん草やトマトなどを食べたときに
口の周りが赤くなったりする。
(ロ)アニサキスアレルギー:アニサキス自体が死滅していても起こしうる。加熱処理後も起こしうる。
IgEを介さない"アナフィラキシー様反応"anaphylactoid reaction(=IgE非依存性):
(イ)直接肥満細胞(マスト細胞)の脱顆粒を惹起する反応・・・X線造影剤,MRI造影剤
(ロ)アラキドン酸代謝異常が関与する反応(COX-1阻害による)・・・アスピリン喘息
(ハ)免疫複合体形成・補体の活性化による反応・・・γグロブリン製剤,血液製剤,輸血
IgG型アナフィラキシー:古典的経路(IgEを介する経路=マスト細胞⇒IgE⇒ヒスタミン)の他に
IgGを介する経路(好塩基球⇒IgG⇒PAF)が存在する。実際のアナフィラキシーでは,両経路が
混在している,と考えられている。
下図。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜end of アナフィラキシー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・運動・NSAIDs・・・
⇒『運動負荷やNSAIDs内服』は食物アナフィラキシーの『誘発・増強因子』になる。たとえば,
食物依存性アスピリン誘発アナフィラキシー(FAIA; food dependent aspirin-induced anaphylaxis)
では,運動では誘発されずにアスピリン内服で食物アナフィラキシーが誘発される例もある。また,多量の小麦摂取で小麦アナフィラキシーが誘発されるが,何のアレルギー反応も誘発されない少量の小麦摂取においても,運動負荷やNSAIDs内服により小麦アナフィラキシーが誘発される例もある。
・・・運動・NSAIDs・・・
・・・『食物依存性運動誘発アナフィラキシーFEIA』の診断法・・・
(P41 アレルギーの臨床29(10), 2009)
@「特異的IgE抗体」の有用性には限界がある。甲殻類では有用性が高いが,小麦の場合には陽性率が低い。
A「皮膚試験(prick test, SPT)」は,特異的IgE抗体よりも陽性率が高い。皮膚試験の30分前にアスピリ
ン(5−10mg/kg,Max.500mg )を前投与することにより皮膚反応の増強効果を示し診断に有用な
ことがある(ただし,事前にアスピリン不耐症でないことを確認しておく)。
B確定診断には最重症例を除き,誘発試験の実施が望ましいが,陽性率が低いのが問題点である。
=同じ食物と運動の組み合わせであっても必ず誘発される訳ではない。⇒そのため,誘発試験陰性の場
合は繰り返し実施する必要がある。また,アスピリンの前投薬(前述)+食物+運動が原因食物の確定診
断に有用な症例がある。誘発試験が可能な最低年齢は6才である。
・・・『食物依存性運動誘発アナフィラキシーFEIA』の診断法・・・
<食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIA; food dependent exercise-induced anaphylaxis)>即時型食物アレルギー(摂取直後〜1時間以内に出る)の特殊なタイプ。すなわち
食べただけでは症状が出ず,食べて運動(食物摂取後4時間以内、多くは直後〜2時間以内)しないと症状が出ない。
運動しないと症状が出ないため,食物アレルギーとしての認識が遅れたり,喘息が合併している場合
は運動誘発喘息EIAと混同されたりする。原因食物としては,成人では小麦,小児ではエビ,カニなどの
甲殻類が多い。アナフィラキシー症状としては,流涙,鼻閉,蕁麻疹,呼吸困難,血圧低下,意識消失。多くは皮膚症状(皮膚の痒み,蕁麻疹,眼瞼浮腫,顔面紅潮)を伴う。
治療は,
@原因食物の除去。

A原因食物を食べてしまった場合は,食後4時間(最低でも2時間)以内の運動(入浴も)を避ける。
B運動をする場合は、COX1選択阻害薬NSAIDs(解熱鎮痛剤,風邪薬)は使用しない。
C関連食品添加物の除去・回避
ヘアトリートメント液で食物依存性運動誘発アナフィラキシーFEIAを起こす。
ヘアトリートメント液を髪に噴霧する際,液に含まれる加水分解小麦に経気道的に感作され,パンや
パスタetcと交叉反応してアナフィラキシーを起こす=小麦依存性運動誘発アナフィラキシー・・・美容師の方
は注意。
Dエピペン(携帯のエピネフリン製剤)。
EDSCGインタールの内服が有効な例もあるので,試す価値はある。
花粉症で食物依存性運動誘発アナフィラキシーFEIAを起こす。
◇小麦小麦wheat⇔カモガヤ
カモガヤ orchard grassは交叉反応を起こす(下図)。
grain穀物(穀物用植物.例えば,トウモロコシcorn,コムギwheat,大麦barley,ライムギrye,小麦・米・トウモロコシは世界三大穀物 ),ハルガヤ(sweet) vernal grass,オオアワガエリ
チモシー timothy
<イネ科 >
イネ(米)、コムギ(小麦)、トウモロコシ、オオムギ、ライムギなど、狭義の穀物はイネ科に属する。その他サトウキビやタケなど馴染深い資源植物が多く含まれる。ススキやパンパスグラスもイネ科に属する。
イネ・
コムギ・
オオムギ・
カラスムギ・
ライムギ・
キビ・
アワ・
ヒエ・
トウモロコシ・
シコクビエ・
モロコシタケ(新芽)・
マコモ(新芽)・
サトウキビ(髄)・
ハトムギ(果実)
タケ・
ヨシ・
ススキ・
タケ・
ササ・
ダンチク・
シロガネヨシ・
シバ
・そのほか飼料・牧草
◇ジャガイモpotato(ナス科)、リンゴ(バラ科)で症状が出る場合は、イネ科の花粉症pollinosisを起こしやすい。
さて,交叉反応とは?下の図の意味は?(花粉症と
食物依存性運動誘発アナフィラキシー )
例えば,Aさんがカモガヤのイネ科花粉症があったとします。Aさんは,お昼にパンを食べ,その後徒歩にて帰宅途中に突然アナフィラキシーショックで倒れてしまいました。これは,食物依存性運動誘発アナフィラキシーです。
Aさんにはカモガヤの花粉症があるので血中にはカモガヤの抗体があります。このカモガヤの抗体と交叉反応する抗原=交叉抗原(=共通抗原)=小麦(パン)(下図)を食べ,かつ運動した(=徒歩にて帰宅)ので食物依存性運動誘発アナフィラキシーを起こしたと考えられます。

<即時型食物アレルギー>
食物摂取直後から1時間以内(2時間以内)に起きてくる症状を即時型反応ととらえられている。即時型反応は,
蕁麻疹,口唇浮腫,oral allergy syndrome(OAS),喘鳴,アナフィラキシーショックが代表的な症状である。血液
検査で抗原特異IgE抗体が証明されやすい。
食物を摂取後2時間以降から起こってくる症状は,アレルギー性好酸球性胃腸症による嘔吐,腹痛,下痢などの消化管症状,アトピー性皮膚炎がある.。
〈
平成9年度厚生労働省食物アレルギー対策検討委員会報告での年齢別の三大アレルゲン〉3歳児から中学2
年生まではいずれも鶏卵・乳製品・魚介類の順番で,成人ではエビ・カニ・魚貝・鶏卵の順。
(イ)クラスT食物アレルギー(通常の食物アレルギー):
抗原(感作抗原)は消化酵素耐性で腸管に達し,腸管で感作が成立する。感作後に抗原(誘発抗原)が
経口摂取されると腸管から食物抗原が吸収されてアレルギー症状が誘発される。感作抗原と誘発抗原は
同じ。この抗原はクラスT食物抗原(完全食物抗原)と呼ばれる。
(ロ)クラスU食物アレルギー:花粉(感作抗原)の吸入感作(吸入抗原)やラテックス(感作抗原)との接触感
作(接触抗原)後に,交叉抗原性のある食物の摂取(誘発抗原)により,誘発される。よって感作抗原と誘
発抗原とが異なる。花粉症の増加に伴い増加して いる。たとえば,
・口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome, OAS)=野菜や果物などを摂取後15分以内に
口腔・咽頭粘膜,口唇の異常感(掻痒感,ピリピリ感),浮腫を認め,時に鼻炎,結膜炎,喉頭浮腫
による呼吸困難。まれに全身症状として下痢・腹痛などの消化器症状,蕁麻疹や喘息,アナフィラキシー
ショックを呈することもある。
<OASと通常の食物アレルギーとの違い>
OASにおいては,誘発抗原が消化管に達すると消化酵素により抗原性が失活するので,一般的にはクラ
スT食物アレルギー(通常の食物アレルギー)のような全身症状は少ない。except下記
。
花粉症,ラテックスアレルギーで口腔アレルギー症候群OASを起こす。
OASの原因となりやすい花粉症:本方で最も一般的なスギ花粉症ではなく,カバノキ科植物(シラカバ),
ハンノキ属(オオバヤシャブシ,ハンノキ),ヨモギによる花粉症である。
<交叉抗原性のある食物>
=重症化しやすい=全身症状までいき易い
@花粉症に伴うOAS;
⇒下記表1を参照(足立厚子 アナフィラキシーショックを起こす新しいアレルゲン
アルルギーの臨床27(13), 2007 表1より引用)
●シラカバ花粉症,ハンノキ花粉症,オオバヤシャブシ花粉症 vs バラ科の果物,豆乳
●スギ花粉症 vs トマト
●ヨモギ花粉症 vs セロリ,ニンジン,スパイス
(=セロリ−ニンジン−ヨモギ−スパイス症候群)・・・セロリのOASは喉頭浮腫をおこすので危険。
カレー粉にも注意(∵セリ科のスパイスが含まれている。)
BLTP(Lipid Transfer Protein)が原因のOAS=花粉症を伴わないバラ科果物摂取で起こるOAS
である。 抗原であるLTPは消化酵素で壊れない(ペプシンに耐性ゆえ)為,腸管に到達しアレルギー反応
を起こす。よって,全身症状を起こしやすいので注意。
Aラテックスアレルギーに伴うOAS;
バナナ,栗,アボガド,キウイと交差反応する(=ラテックス・フルーツ症候群)。
(キウイはシラカバともラテックスとも交差反応する。)
誘発抗原は腸管に達し吸収された場合は,全身症状を引き起こす頻度が高い。
⇒ラテックスアレルギー:天然ゴムの材料であるラテックスが,ゴム製品の製造過程で十分に洗い流されていない為に手袋などに残留し,皮膚などを通してヒトに感作することでラテックス特異IgE抗体が産生され即時型アレルギー反応を起こすもの。
ラテックスアレルギーの典型的な症状は,接触蕁麻疹である。ゴム製品に接触した直後から数分後に,痒み,紅斑,膨疹などの即時型アレルギー反応が出現する。重篤な症例では全身症状に進展し,アナフィラキシーショックに至ることもある。
ゴム製品=日常の炊事用手袋,衣類,靴,テープ,タイヤ,玩具,家具,ゴム風船,コンドーム/医療用手袋,カテーテル,テープ,麻酔用マスク・バッグ,歯科用ラバーダム
