06/7/22 和歌山カレー事件・第三回林真須美さんを支援する会


7/22林眞須美さんを支援する会の三回目の集まりに参加した。最高裁へ上告するその趣旨を説明するということが目的としてあり、具体的に事件のこと、これまでの裁判の何が問題なのかが話された。
林眞須美さんを犯人とするために行われてきたことの問題点は三点ある。

●類似事件の積み重ね
一点目。林眞須美さんがカレー事件をやったという直接的な証拠がないから、疑わしい証拠をドンドン積み重ねる。夫・健治さんをヒ素で殺し保険金詐欺をしようとしたとか周りの知人への睡眠薬事件、マーボードーフ事件、中華丼事件など20件近くある。
しかし、健治さんは自分から飲んだのであり殺人未遂なんかではない。他の件については起こったかどうか分かっていない。犯罪として認知もされていない、起訴もしていない。曖昧な、被害者と称する人が出てきて、私はこんなひどい目にあったと言うだけ。そういうものを重ねていくことで、カレー事件やるのも当たり前との印象付けていくことになる。色を塗って色を塗って最後に黒にしていこうという捜査官、検察官の意図がある。
●マスコミ報道ビデオの証拠採用
2点目。二人が逮捕される前、マスコミによる猛烈な報道があった。そして二人はマスコミにたいしてこたえている。それを警察が全て録画して都合のいい部分だけを抜き出して証拠として提出した。これは、報道の自由への侵害。

●「ヒ素」 
三点目はヒ素。三箇所のヒ素が問題とされた。
1.林さん関係から出てきたヒ素、
2.カレー事件のカレーから出てきたヒ素、
3.祭会場のゴミの中から出てきた青色紙コップに付着していたヒ素
●異例の裁判所の介入
この三つのヒ素が同じものかを裁判のなかで科学者が鑑定した。はじめ、同じではない疑いがあるとの鑑定書が提出されたが裁判所が異例の介入があり、その鑑定結果をひっくり返すことになった。
●ヒ素の同一性は証明されていない
三つのヒ素の同一性を証明するために「スプリング8」という世界でひとつしかないという超微量分析機器を使う。それはしかし、ヒ素が同一だといっているのではなく、三つのヒ素に含まれている不純物(錫、アンチモン、ビスマス)が同じだから同一なのだと言っているにすぎない。三つのヒ素の同一性は証明されていない。

●つくられた証拠
「犯行」は林さん宅にあったヒ素を紙コップに移しカレーを作っていたカーポートのカレー鍋に入れたとされている。
眞須美さんと健治さんは10/4に逮捕され、その日から家の検証が行われた。一日90人、三班30人ずつに分かれて行われた。4日目の10/7に、林さん宅台所の流しの下、シンクからタッパウェアが見つけられそこからヒ素が検出した。
90人がかかって、それも4日目になって見つかったということだが、そんなことがありえるやろうか。長女は学校に弁当を持っていっており、しょっちゅう開ける場所。長女はそんな入れ物は見たことがないという。眞須美さんも健治さんも見たことがないという。狭山事件で万年筆が出てきたことを思い出す。警察によるでっち上げであることが考えられる。

●警察ーなんでもありの世界
 この日、松本サリン事件で容疑者とされた河野義之さんが自分の経験から「警察はこの人と思ったとき、何でもありの世界になってくる」と話された。河野さんのことで、捜査員が「河野さんじゃないんじゃないですか」と捜査本部で言うとその捜査員は外されていく。お前らの仕事は河野が黒だという証拠を持ってくること、それが仕事だ、と。一つの方向性、河野さんがやったという方向へ向かっていく、と。

●矛盾する証言は潰す
「なんでもありの世界」はカレー事件でも見られる。
  近所の人たちの話として、最初はそれぞれの人で矛盾していた。必ずしも眞須美さんは(カレー鍋のあるカーポートに)一人でいたわけじゃない。お嬢さんもいた。一人になったこと無い。そんな話があったという。当日は黒い服を着ていて白い服ではないよ、とか。しかしそういう発言は潰されていった。
  別働隊の特命班があったという。彼らは目撃者を集めてきて目撃状況の内訳を全部作って矛盾するものを一つ一つ潰していった。矛盾するものについてはあなたは間違っていると、修整化していった、という。最後の法廷の場面では全員を完全に同じ供述に変えた。証人の証言の指導をして法廷まで一緒についていって励ましたという。

●脆弱な証拠による死刑判決
 眞須美さんが犯人だということが、脆弱な証拠の中でこの裁判が作られている。 
ヒ素が同一だと決めるのに不純物で決める事ができるとしている。
眞須美さんを犯人とするために、多くの詐欺事件とか殺人未遂事件をいう。葛湯を健治さんに飲ませ殺そうとしたと言う。でも、健治さんは自分で飲んだ。そして飲んだのは葛湯ではなく抹茶片栗だった。
一人で40分カーポートにいたというが、次女が最初から最後まで一緒にいた。
自宅からヒ素のタッパウェアが出てきたと言うが、長女はそんなのは見たことがないと言っている。しかし、裁判では身内の証言は信用できない。全員がウソをついているという。無理をして無理をしてこの有罪判決を作り上げている。これがカレー事件の中身だと安田さんは語った。

●マスコミについて
この日の発言者の一人、浅野健一さんは98年事件直後から、マスメディアの取材のあり方に関心を持って現地に行った。二百人ぐらいが林さんの家の周りを取り囲んでいた。集団的取材による人権侵害のはしりだと。8/25朝日新聞で、別件の保険金のことがスクープされてから堰をきったような取材が始まった。眞須美さんを犯人視した報道。イメージが作られていった。そして、メディアに流されたものを警察が録画し裁判に使われた。この日の集まりには百人が参加しマスコミの関係が多くをしめていた。
眞須美さんの裁判に関わることでありマスコミについて話になった。その中で石塚弁護士の言葉をそうだという思いで聞いた
 報道の自由に対する重大な侵害があったのにそれをボーと見てる。そういう態度に問題がある。 何でメディアの方は報道の自由が侵害されていると思わないのか。それぞれのパーツにいる人がそれぞれにやれる最大限の事をやればいいのではないか。裁判所は事実認定でひどいとこだということはある。しかし、どこかで裁判は正義を実現してくれる、真実だったらそれをとってくれると思うから頑張るんであって、矛盾するかもしれないけれど最大限の努力はわれわれはする。メディアの方はメディアの方で努力すればいいではないか。メディアの報道が証拠に流れるときもあるかもしれないけど、それを戻す力だってメディアにあるわけだから、メディアはダメだという性悪説の言い方もできるかもしれないけど、期待せざるをえない、と。

●眞須美さんに続く嫌がらせ
眞須美さんの近況について面会した安田さんから話があった。
眞須美さんは大阪拘置所の中できつい立場に置かれていて、いろんな嫌がらせを受けている。差し入れた本がなかなか手元に入らない。先日は、水道管の破裂で中のものが全部水浸しになった。ふとんや記録や手紙までぐちゃぐちゃになった。今でも自殺防止房に入れられている。終日監視カメラで見られ窓にはプラスチック版がはめられ風も通らない、陽も射してこないところに入れられている。それで時には不安定になることもあるが、だいぶ落ち着いてこられている。それは、自分一人ぼっちではなくて皆に支えられているということがあるから。面会ではこれまで、堰をきったように話がでたが、じっくりと話ができるようになった。
  三浦和義さんも発言した。やっていかなければならないのは、眞須美さんを支えること。一人の女性が罪を犯してないのに死刑の判決を言い渡され独居房に拘禁されている。それも自殺防止房といって苛酷なところ。水道の蛇口さえない。トイレを使った後、流すのもいちいち看守に頼まなければならない。顔も洗えないし頭も何も洗えない。きつい中でも最もきつい舎房に彼女は入れられている。14年間東京拘置所に拘留されていたのでいかに大変かということがぼくにはわかる。

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●何とか勝たなければ
この日の集会の最後に安田さんは、最高裁判所、その判事のことが話された。何とか勝たなければと思っている。それには、よほどの努力をしてよほどのいい証拠を手にする、裁判所も手を抜く事ができないというようなところまで突きつけない限り、裁判は勝てないだろう、そのためには無限の努力が必要だろうと思う、と。そういう状況だからこそ是非多くの方に分かってもらう必要がある、と。

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●マスコミー問題にすべきは自分自身では
7/22の後、テレビ朝日の番組で「カレー事件」のことが取り上げられた。相変わらず、眞須美さんがカメラに向かって放水するシーンが映されていた。前回の集会で、あれは、記者が郵便受けから郵便物を、鳥もちを使い取り出し封を開け読みまた糊付けして戻していたことや脚立を使い2階の子供部屋をのぞき見るとか、あまりにもひどいマスコミの「取材」に対して夫の健治さんが怒り「水でも撒いたれ」ということで眞須美さんがとった行動だったと健治さんから説明されていた。朝日の人も来ていて聞いた筈なのに、一方的な眞須美さんのイメージを流すだけだった。番組として三つあったと思うがそのうちの一つ。健治さんの発言とかのあと、最後に、レポーターとコメンテーターの一人が、「自分が犯人でないのならなぜ真犯人への恨みの言葉がないのでしょう。それからしてもおかしいと思う」とのコメントでまとめて終わった。死刑になるかもしれないと追い詰められた人は、それを何とかしたいと思うことで頭が一杯なのではないのかな。真犯人が誰なのかなんて考えられないのではと思う。そう考えないからおかしい、ということに対して腹立たしく思った。
 マスコミとしてもっと考えるべきことがあるだろうと思う。前述した眞須美さんを犯人視した取材、報道で流したものを警察が録画して都合のいいところを抜き出して裁判に使う。そのことへの抗議もしない。そういうマスコミのあり方は今も何も変っていない。秋田の事件で、逮捕される前から犯人視した女性に対するマスコミのあり様はカレー事件の時と同じことを繰り返している。カレー事件を言うのなら、マスコミは、自分たちのしてきたこと、今をまず問題にすべきではないか。

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●それぞれが、それぞれの最大限のことを
自分はカレー事件というものを本当に何も知らなかったと思う。ここにあげられた矛盾や疑問はまだ一部なのだろうと思う。もっともっと隠されてきたものがあると思う。
一つの方向性を定めることで、眞須美さんを犯人とすることで、潰され隠されていった事実、住民の人たちの「記憶と体験」それこそが有力な証拠だと安田さんは言われた。
 石塚さんが言われたように、 それぞれのパーツにいる人がそれぞれにやれる最大限の事をやればいいのではないか、を考えます。ぼくにやれることは、ぼくが集会ではじめて知ったことを廻りの人たちに知ってもらうこと、矛盾や疑問に気づいてもらうことだと思いました。
最高裁への上告趣意書提出を10/31に行われようとしています。
10/21午後1時より「第四回林眞須美さんを支援する会」の集りが行われます。「エル大阪」(京阪・地下鉄 天満橋)
ぜひ、参加してください。
※獄中の林眞須美さんと家族との往復書簡集「死刑判決は『シルエットロマンス』を聞きながら」が講談社より発売。
※獄中の林眞須美さんに励ましの手紙を書いてください。絵はがきが嬉しいようです。
  〒534−8585 大阪市都島区友淵町1−2−5  林 眞須美さん宛てで届きます。


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