06/6/12大阪拘置所面会


質問状

大阪拘置所長 中山 厚様                2006年 6月 12日

                       質  問  状

 2004年9月2日、私たちは当時大阪拘置所長・松野孝治氏との面会を行いました。その際、私たちは前もって「要望書」を提出しその日の話はその要望書に沿って進められ所長からの回答をお聞きしましたが、回答をいただけなかったものもあり、私たちは再度の面会を望んでいましたが実現しませんでした。新しく大阪拘置所所長に赴任された中山厚所長に直接にお会いしあらためて私たちの要望に関して、大阪拘置所所長としての回答をお聞きしたいと思います。


@死刑執行の残虐さと同時に、執行に携わる刑務官の苦悩ということを考えます。大阪拘置所の元看守長の手記に「罪を犯した人間を立ち直らせるのが本来の職務である刑務官にとって、生きている人間を殺してしまう死刑は正反対の職務である」「死刑というのは人殺しなんです」と書かれています。このような思いを刑務官の人たちがしてきていることに対して、拘置所の最高責任者である中山所長はどのように考えられますか。
●執行にあたる人たちはどのようにして選ばれていますか。決められたもの、システムはありますか。
●所長が選び決めるのですか。
●家族に出産や重病人がいる場合、執行の任から外される、そういう配慮がされると面会時に言われましたが、それは何故ですか。
●前回の面会のときに花岡調査官が全職員から上司が面接をして思い悩んでいる事はないかと聞いた事があると言われました。
いつ、どのようにして面接(時間、人数、状況)は行われたのですか。

A法務大臣が拘置所長に、所長は刑務官に命令し死刑の執行が行われています。自分は上からの命令で執行〔の命令を刑務官に下〕しているのであり、自分には責任はないと考えられますか。
しかし、命令により行ったことであり、そして、法律上は問題にならないとしても、執行に携わる刑務官の人たちが「苦悩」する事実は、法律などで問題にしえない刑務官個人の心の問題として、執行は「あってはならないもの」として受け止めているからではないでしょうか。
 直接、執行にはあたらないけれど、刑務官に執行命令を下す所長ご自身も同じ思いではないでしょうか。
 恩赦法施行規則第一条の二に
「〔特赦等の上申〕左に掲げるものは、職権で、中央更正保護審査会に特赦、特定のものに対する減刑又は刑の執行の免除の上申をすることができる。
一 在監者については、その監獄の長      」とあります。
 刑務官の人たちに自分のしていることを「本来の職務ではない」と思わせたり、自分のことを「人殺し」と言わなければならないということは、死刑制度そのものの存在が間違っていることを示しているのではないでしょうか。
刑務官にそのような思いにさせないために、上記したように、死刑執行させないためにできること、恩赦法で執行の免除、減刑の上申を行ってください。
●そういう要件がある方がいた場合に所長としてそういう権限を行使する気持ちがありますか。

質問状ー2

B拘置所長から死刑囚の健康状態や心身の安定状況、再審や恩赦、訴訟の有無を法務省へ報告しておりその内容が死刑執行する死刑囚を選び出す要件となっていると聞きます。
Aと同じように、死刑執行命令を出させないためにもそのような法務省への報告はしないでください。
●確定者の情報を法務省に伝えている事を前々所長松野氏は認められました。確定死刑囚の行う再審請求、恩赦請求、民事裁判について、拘置所側から法務省への報告は、請求や訴訟を行ったその都度報告されているのでしょうか。それとも半年に一度など期間を区切り行われるのでしょうか。請求や訴訟を提起したけれど法務省がそれを認知していない期間はないのでしょうか。
●死刑囚の健康状態について拘置所は定期的に医師に診てもらっていると前回述べられましたが、ひと月に一度のときもあるとも言われていましたが、定期的とはどれ位の期間で行われているのですか。そして、その結果は、法務省に報告されていると思うのですが、その都度報告されているのですか。期間を区切って行われているのですか。

C大阪拘置所元看守長の手記の中に次のようにあります。
〔ある朝、いきなり房から連行された死刑囚に拘置所長が言う〕
「実は、かねてから君のために恩赦の手続きをとっておりましたが、このたび却下の通知を受けました。まことに残念ながら今日、君とお別れすることになってしまいました。」
 この直後に死刑執行が行われたのですが、このようなことが現実に行われているのでしょうか。
「恩赦不相当」の通知を受けた直後に死刑執行が行われれば、「不相当」に対する不服申し立てや再審査など、法的な手続きができる機会、その権利を奪ってしまうことになると思います。あってはならないことだと考えますがいかがですか。
●執行通知やその他の通知がそのような形でくるようなケースはありえないと松野所長は答えられました。もしそうしたケースがあった場合、所長として抗議していただけますか。誰でもが、法的救済を受ける権利があると思いませんか。
●死刑の言い渡しが、その直前に行われている事について、それは「死刑に直面しているものの権利の保護の保障の履行に関する国連決議」に違反していると思われますがどうですか。

D死刑制度や大阪拘置所の人権問題について、外部から考えるところなどを指摘し共に考える場を持つことが、より大阪拘置所の「人権意識」を高めることに繋がると考えます。前回も提案させていただいたことですが、共に話し合う場、「懇話会」を定期的に行うことを再度、要望します。
                                                              

死刑廃止フォーラムinおおさか
 

中山 厚大拘所長からの回答

すべてにお答えできる形になるのかわかりませんが、すでにいただいたご質問に対して、私なりに考えたことをお答えさせていただきます。

@まず、今回の最初の方の、拘置所長としてどのように考えているのか。死刑制度そのものについて千々様々なご意見やお考え等があることは事実と、十分に承知しておりますが、ただ拘置所長としては少なくとも現時点では各法律、刑法、刑事訴訟法、あるいは刑事手続きにおける    という形で、そういうものに基づきまして、命令があれば所長として職務を果たすつもりでおります。
また、現実に私の命を受けて執行に携わる職員、その刑務官につきましても、この刑務官の死刑執行というのは厳粛な職務であると考えております。
また、ここの職員の心情もあまるものがあると思われます。
その中で、死刑執行に従事する職員にたっては、その職務につくにあたって、彼らは彼らなりの苦労があるものと思われますが、職員として果たして行き、困難な職務に取り組んでいるものと所長として理解しています。
次に執行に当たる人についてのシステムが、当日のチームから指名していますので、特にそういうことで決めるというものはありません。
さきほどから申しあげてますように、厳粛な職務と考えておりますので、それを果たすうえで相応しい職員を指名することにしております。すべての拘置所の人選は具体的に拘置所長の責任として行われます。
それから花岡調査官が    ということですが、どういう話の流れで出たのかわかりませんが、今申しあげましたように当所の取り決めとして、こういうのははずすとかいうのはございません。ただ、私の勝手な推測なんですが、彼自身が彼のチームの中でそういう配慮をして彼なりにやったのかなあと、これは推測ですので、本人に聞かないとわかりませんが。
それから、花岡調査官が全職員から面接して思い悩んでいることはないかということで、結局どのように面接が行われたのですかということですが、これにつきましては一般的にですが、どこでも大体は年一回程度全職員から、いろいろ誰が誰に対して聞くかというのは、施設それぞれで違うと思いますけれども、当所のほうでも年に一度、職員が制度として、職員から公務から私的なことまで聞いております。これのことを言っていると思います。これも人によってバラバラですけれども、当初の場合としてはあまり結果をまとめて報告する方法をとりますと、結果として職員が自由に言えないということで、うちのほうとしてはその結果をまとめた形で報告をあげるというシステムはとっておりません。そういうことで、花岡調査官が言ったのはその件かと思われます。

中山 厚大拘所長からの回答ー2

A次に、私に執行に対する責任はないと考えているのかということですが、さきほど申しあげましたように、血も涙もない所長と思われるかもしれませんけども、私としては自分の職務として部下、職員に執行を命じております。また、当然、死刑そのものについて各     私自身については少なくとも刑法で見ますと当然な、正当な業務行為と考えておりますので、私としては自分の職責として命じております。
次に、恩赦についてですが、      現実にこういう形で死刑囚から在監者     それに対する、そういう制度があるわけなんですが、恩赦そのものは確定したファイルの内容にのっとって確定されたものであって、決して軽く扱われるべきものではないと考えております。多様な意見による社会通念を考慮しながら、慎重に処理しなければならないというふうに考えております。
それから前回ですか、松野元所長が確定囚について書かれたことがみとめられたということでどういうやりとりがあったのかわかりませんが、その件について申しあげますと松野元所長がみなさんにどのように説明したのかわかりませんけども、皆さん方でそういうことをしないでほしいというご要望ですが、これは                     これで私に対する命として正確なところはここに書いてあると思うのですが、再審請求、あるいはそれについての決定もしくは審理、死刑確定囚に   対する   または決定、恩赦の出願あるいは決定、その他
あとにも関係しますけど、心身の現状、   言論等、一定の条件があう場合については、私、量刑施設長、それから矯正局長、矯正幹部宛にその都度、遅滞なくするものというふうに定められておりますので、これは松野であろうが、私であろうが、この   に基づいて処理しております。
B次に健康状態についてですが、前回もご質問を受けているのでお答えしているので、そのときと重複するあるいは説明したかもしれませんが、私なりに調べましたので申しあげます。現在、これは     に関する法律、規則というのがございます。この170条で少なくとも3ヶ月に1回、医師による定期の健康診断をしなさいということで実施しておりますが、死刑確定者については、自分の健康状態を考えてみて、多くの方については1月に1回程度による医師の診察を実施しております。また、週に2回、準看護師の免許を持っている職員がおりますので、本人の健康状態についてきいております。もちろん、それ以外に本人からの健康面、健康状態について要請があった場合にはその都度対応しております。

C(飛行機の音がすごくて聞き取れませんでした)

D「懇話会」ですが、これについては、今回議員先生の申し出があって、こういう形で申し出があればその都度ご検討させていただきたいと考えております。

以上、すべてに答えたかはわかりませんが、私なりに前もっていただいた意見についての、中山として、所長として回答させていただきました。

所長面会報告


06/6/12 中山 厚大阪拘置所長面会
 大阪の辻元清美議員によって所長面会が実現した。昨年ぼく達とだけでは会おうとしなかった。
ぼく達は、中道弁護士も含めて10人。辻元さんと事務所の方3名が同行してくれた。9時50分に正門前に集合。10時少し回って受付を通り中に入る。僕たちが獄中の人と面会するときは、金属探知機をくぐらされ、ブザーが鳴ればかばんの中を調べられた。この日は、国会議員の辻元さんが一緒(というか、ぼくのことも、先生と言ってた)ということでカバンの中までは見なかった。3階の会議室に案内される。僕たちが通ってきた階段の扉は、閉じられカギがかけられた。ぼく達は2列に設えられた席についてしばらくして、中山大拘所長、副所長?、大橋調査官、オサダ、サカイ庶務課長の5人が出てきて向かい側に座る。はじめに辻元さんから話された後、自己紹介。声が小さくて聞き取りにくい。
アムネスティからの「要請書」、おおさかフォーラムからの「質問状」を読みあげる。質問状にそって所長からまとめて話す。これがまた声が小さい。その後、各自からの質問に所長を中心として答えたものを参加した各自がメモしたものを以下にまとめてみた。
 
●死刑を執行するということについて
 「血も涙もないと思われるかもしれないが法律がある以上、正当な業務行為であり、命令があれば職務を全うする。厳粛な職務としてそれを果たす。それに携わるものは様々な思いがあるのは承知している。多大な苦労をしている。執行にあたるものの選ぶシステムのような取り決めはない。その当日の当直者から、果たす上で厳粛な職務にふさわしい職員を選んでいる。こういうものはその職務からはずすという取り決めもない。拘置所の職員がどういう悩みを持っているか私的なことも含めて年に一度程度聞く機会を設けている。」

●執行を命令された刑務官の苦悩を思うなら「恩赦法」などにより減刑、執行の免除を上申できるということについて
 「恩赦は、いろいろなことを考慮に入れ慎重に行うべきで、軽々しく扱われるべきものではない」こちらから何度も食い下がるが意図的にか話が通じない。執行命令がなされたとき、減刑、執行免除の上申を慎重にその都度行ってもらいたいものだ。結局は「そういうご意見があるということを聞いておく」ということに。

●「確定死刑囚の健康状態や再審、恩赦の出願や決定はその都度遅滞なく行っている」「また、健康診断については(これまで)、「監獄法施行規則」107条にあるように医師により三ヶ月に一度、死刑確定者については月に一度、外科、内科、歯科精神科の検診、治療を行っている。また、週に一度準看護士に健康について聞いて貰っている。

●元大拘看守の手記によれば、恩赦却下の通知の後すぐに死刑執行しているということについて、そういうことをしているのか、との問いに対して
「事実か承知していません」との返答。そしてまた、そういう決定が来た場合、ただちに通知している、とも。(矛盾)

●死刑の言い渡しが、その直前に行われているのは「国連決議」に違反していることについて
 「国連決議違反かどうか勉強不足で答えられない」

●所長との面談をこれからも持って欲しい、国会議員が出席できないときにも所長はぼくたちと会っていただけますか、と聞くと、
「議員同席と言うことで日程が折り合えばやります」

所長面会報告ー2

●新法について、中道さんから聞かれたけれど、まだ見ていないようなことを言ってた。それこそ「インターネット」でも検索できるのに。うそばっかし。届いていないはずがない。面会など、親族、弁護士以外に「死刑確定者の心情の安定に資するとみとめられるもの」とあるが、結局は言われたように、「心情の安定に資するもの」というのが明文化されたことが、これまで「所長の裁量」で行われたものを明文化しただけであり、ワクは何も拡大していないということになるんやろうなあと。

●今、大阪拘置所には、未決2943人、既決138人、死刑確定者21人(今年4月)がいる。
大拘職員数は470名。

 この日の面談、もうちょっと細かく聞いていかなければ、何か大雑把に流れてしまったなあという感じ。例えば、拘置所での医療がきちんと行われているとはとても思えない。現に「胃潰瘍」を訴えているのに十分な治療が行われない事をかたつむりに手紙をくれた人もいる。きちんと反論すべきだったと思う。
所長などからの声が小さく聞き取れないのはみんなが感じていたようで、それならやっぱし、机を近づけるとか、提案すべきだった。結論として「血も涙もないと思われるかもしれないが、命令があればやる」ということをハッキリと言った。
       



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