【資金】
M型ライカを購入することにしました。
いずれは、入手するつもりではいました。
ただしそれは、ずーっと先、老後の楽しみにとっておこうと思っていました。が、よく考えて
みたら、長生きするとは限らないし、また、早く手に入れれば、その分、長いあいだ、操作する
楽しみを味わうことができる、と思い、購入時期を繰り上げたのです。
まずは資金が問題。
そこで、今年の1月から「M型ライカ購入資金貯金」を始めました。
毎月の状況にあわせて5千〜1万円を積み立てて、また、稼働率の低いカメラやレンズを
委託販売することで、10月時点で約11万円まで貯まりました。
【どのM型か】
ひとくちに「M型ライカ」といっても、複数あります。
この選定には悩みました。
まず予算面から、高額であるM5とM7は除外。
次に、実際に中古カメラ屋で触らせてもらって、M6を除外。ちまたでのウワサ通り、
M3やM2やM4と較べて、操作の感触における精密感が劣る気がしたためです。
あとは、残りの3機種。
悩んだ末、M2に決めました。
M3のファインダーは50mmです。50mmレンズを多用するかどうか分からないし、コドモの
スナップが中心なので、35mmを使うことが多いはず。とすると、M3は不便。また近接撮影に
おいて1mまでしかピントが合わせられないことにも不満がありました。
また、M4は、M3やM2よりやや高価であることと、35mmのファインダーフレームに
135mmのフレームが同時に出てしまうのがうっとうしい。
これらの理由から、M2を選定しました。
【購入】
新橋の中古カメラ屋で、11万円台のM2を見かけました。M型ライカとしては、底値です。
いちおう、妻に相談して、
「現在のM型ライカ購入資金の額で買えそうなライカがあるんだけど、買っていいかな」
「いいよ」
さんきゅです。ありがとです。
で、件のカメラ屋に行き、件のM2を見せて貰いました。が、よくよく検分してみると、
ファインダーの二重像がぼやけてます。店員さんに見てもらうと、
「あー。これはハーフミラーが曇ってますねえ」とのこと。だからこの値段なのだそうです。
がっかり。
でも、いちおう購入資金が手元にあるので、銀座にも行ってみました。
スキヤカメラではすべて予算オーバー。レモン社で13万円くらいのM2があったのですが、
やはりファインダーが曇ってました。
あきらめて帰ろうと思ったのですが、以前、
すえさんの
サイトで、銀座より新宿の方が相場が安い、といったようなことを読んだことを思い出し
ました。
じゃ、念のため。というわけで、新宿へ。
カメラのきむら新宿店。
M2は3台ありました。
1つは9万円。だけど、一部グッタペルカが剥がれてぼろぼろ。これじゃあんまり。
あとは11万円と12万8千円。前者ならちょうど予算内です。
で、いちおうチェック。両方とも機能的には問題なし。ファインダーはクリアだし、シャッターも
全速走ります。
だけど、わずかですが、12万8千円の方が、ファインダーが明るくて、シャッター音が低い。
店員さんにも見てもらったところ、
「こっち(12万8千円の方)は、ファインダーがすごくキレイだし、普通のM2に較べて
操作の感触がなめらかですねえ。最近、内部を交換修理かなにかしているんじゃないかな」
とのこと。
ちょっとだけ迷って。
やはり、12万8千円の方を買いました。
予算オーバー。
ま、そんなもんです。
【帰途】
自宅へと向かう地下鉄の中。緩衝材に包まれたM2を入れたカバンを抱えて。
私は、嬉しかったか。わくわくしていたか。
いや。
むしろ、不安な気持ちでした。
M型ライカの購入に関しては、チェックする項目やその確認方法、店員さんに訊いておくべき
ことなど、すべて頭の中でシミュレーション済みでした。
実際の購入においては、それを予定通り行っただけ。
あとは、実際に使うこと。
使いこなせるのか。
所有しているバルナックライカや一眼レフでは撮れないような写真が、ものにできるのか。
1台のカメラとして(私にとっては)過去最大の出費に見合うだけの。
不安。
【試写】
感触は、さすが。極めてなめらかです。
巻上げはスムーズで、かつ、小刻み巻上げが可能なのは便利。
シャッター音も低くまろやかで、うっとりします。
私のバルナックライカIIIc(オーバーホール済み)と較べると、IIIcは「工芸品」という感じが
するのに対し、M2は「精緻な工業製品」という感じ。ただし、劣っているという意味では
なく、単に質感の違いです。
でも。
期待が大きすぎたのかもしれません。
フィルム装填は、バルナックライカのようにテレフォンカードが要らないのは便利だけども、
普通のカメラほどは簡単でない。
ファインダーはクリアで見易いけれど、コシナフォクトレンダーなどの外付けファインダーを
見慣れてしまっていると、さほど感動はない。
パララックスが自動補正されるのも、一眼レフだったら当たり前(ていうか一眼レフに
パララックスはない)。
そもそも、なぜM型ライカが欲しいと思ったのか。
それは、バルナックライカに35mmや50mmのレンズを付けてコドモのスナップを撮ろうとして、
ピントを外しまくったから。
バルナックライカを使ってコドモを撮る場合。
ピントを合わせるファインダーから構図を決めるファインダーに目を移す、その間にコドモが
動いてしまいがちであり、きちんとピントを合わせるのが難しい。
「ピントを合わせる」→「構図を決める」→「シャッターを切る」
この一連の動作を、少しでも素早く行いたい。
これが、私をバルナックからM型ライカに向かわせた、最大の理由だったのです。
で。
M2でコドモを試写。
コドモは動きます。コドモですから。
ピントを合わせます。合わせようとします。コドモは動きます。
駄目です。ピントを合わせるのは無理です。
でも、これって、どんなカメラでも無理だよな、と思い直して、
コドモを窓辺に立たせます。
「おとうさんの、大事なカメラのテストをするから、ちょっとじっとしてて」
訳のわからない説得をして。
定石通り目にフォーカス。そしてフレーミング。シャッター。
撮れました。
でも。
気付いてしまったのです。
コドモのスナップには、レンジファインダーより一眼レフの方が向いているのではないか。
MF一眼レフなら、
(1)ピントを合わせる
(2)構図を決める
(3)表情を捉える
が同時にできるんです。
例えばAF一眼レフはどうか。
持っていないのでよく分かりませんが、ファインダーの中央部のみにフォーカシングエリアが
あるタイプならは、上記(1)(2)(3)を順番に行うことになり、どれかが犠牲になりがちだと
思います。
フォーカシングエリアが複数あるタイプならば、(1)(2)(3)を同時に行えるとは思いますが、
複数あるといっても当然いくつかの場所に限定されているので、なんか、「(2)構図を決める」に
ついて、カメラに決めさせられるような気がして、嫌です。(このへん、実際はどうなのか、
AF一眼レフをお使いの方からコメントをいただけると嬉しいです)
で。
M2を含め、レンジファインダーカメラは、前者のタイプ(ファインダーの中央部のみに
フォーカシングエリアがあるAF一眼レフ)と同等なのではないかと思います。
つまり、(1)(2)(3)を順番に行うことになり、どれかが犠牲にながち。
例えば、ピントを合わせて、構図を決め、そのままファインダーを覗きながらいい表情に
なるのを待ち、そうなった時にはピントがずれている、そんなことになるケースが
多いのでは。
【とまどい】
ならば、ストリートスナップではどうか。
普段、めったにやらないことですが、M2を持って一人で街に出かけました。
駅のホームで本を読みながら電車を待っている女子高生をパシャリ。でも気付かれるのが
怖くてピント合せは目測。
それって、M2を使っている意味がない。IIIcでも同じことができます。
ならば、と、今度は少し離れた距離で、携帯電話を使っている女の子にピントを合わせて撮影。
でも、考えてみたら、これもIIIcで可能。
なんのために、M型ライカを手に入れたのか。
次第に分からなくなってきました。
精緻でなめらかな操作感、それを楽しむためだけに、私は10万円以上も払ってしまった
のでしょうか。
そもそも。
思っていたよりもピント合せに時間がかかる。
なぜ?
【気付き】
しばらく使っているうちに。
気付きました。
一眼レフの要領でピント合わせをしていたのでした。
つまり、いきなりファインダーを覗いて、レンズのフォーカスリングをぐりぐり回して
いました。それだとフォーカスエリアの二重像を合わせるのに時間がかかります。
そうではなくて、まず、被写体までのおおよその距離を目測し、それをフォーカスリングに
セットして、その後にファインダーを覗く。すると、わずかにずれた二重像が見えます。
それをフォーカスリングを少し回して合致させる。
慣れてくると、かなり素早くピント合わせができます。一眼レフよりも早いかもしれない。
IIIcでは無意識のうちにそうやっていたのですが、M型ライカのファインダーが一眼レフ的
なので忘れていました。
もうひとつ気付いたこと。
人を撮る場合、カメラを縦に構えた方が目にピントを合わせやすい。
ピント合せは二重像での輪郭を合致させるのですが、目の輪郭は、左右より上下の方が
はっきりしています。なので、縦の方がピント合わせが、早く、正確に行えることが
分かりました。
ピント合せに関して、一眼レフが早いかM型ライカの方が早いか、私の中でまだ結論は
出ていません。
これから使っていく過程で、徐々に見極めていこうと思います。