会 社 設 立


会社とはなにか
「会社」とは一体なんでしょうか。 大きなビルに事務所があり、大きな店や工場があり、従業員が何百人といるところ...... などと想像する方が多いでしょうが、決してそれだけが会社ではありません。 ご近所の八百屋さんや魚屋さんもひょっとすると会社であるかも知れません。 賃借中の2DKのアパートでも手続きさえすれば立派な会社にすることができます。 つまり、営利を目的として商法に定められた事項を 登記所に届け出たものを会社といいます。

個人事業は、あくまでもその事業主個人の事業です。 売上代金はすべてその事業主個人がもらうべきものであり、仕入代金や諸経費は、 その事業主の責任で事業主個人が支払うものです。事業主の利益(所得)はその差額、 つまり売上等の収益から仕入代金や諸経費等の費用を差し引いたものとなります。

ところが会社は、売上代金も社長個人ではなく、 会社のものとなり、仕入代金や諸経費も会社が支払います。 会社はさらに社長や従業員にその労働の対価として給料を支払います。 この給料ももちろん会社の経費です。そして会社がどのようにしてお金を稼ぐか、 あるいは社長や従業員の給与をいくらにするか、 などについてはすべてこの会社に雇われた社長が決めなければなりません。 また、この会社に雇われる社長は、この会社をつくるために出資したあなたであっても もちろん問題ありません。 むしろ、出資して会社をつくったあなたが社長になって経営するのが当り前なのです。

このように考えてくると、 自分で出資して、自分で会社をつくり、自分が社長となって、 自分で思うとうりに経営し、自分の所得となる給与の額も自分で決める......となると、 個人事業とまったく違わないではないか、ということになります。

しかし、個人事業と会社は決定的に違います。 次にそれについて詳しく説明しますが、要するに、 事業として発展させ、経理をキチンとして節税をはかり、 将来大きな名の通った立派な事業をしようと考えている方は、 ぜひとも「会社」にしたほうがよいということができます。




会社のメリット
個人事業に比べると、会社は法律でいろいろな規制を受けています。
特に、設立手続きは厳格で、手間とカネがかかります。 すなわち、憲法ともいえる定款に、経営方針をきちんと記載し、厳重な審査をパスしなければなりません。
このように、会社経営は、個人事業の自由さに比べて制約が多いようですが、 いろいろメリットもみられます。それは、次のとおりです。
   @ 税負担の軽減措置がある
   A 多額の事業資金を集めやすい
   B 出資者は間接・有限責任である
   C 取引や社員集めにも会社は有利
   D 政府管掌の社会保険に加入できる

この中で、もつとも注目すべきは、@の税負担の軽減措置です。

例をあげて個人事業の場合と会社の場合の税金の額を比較してみましょう。

年間売上高   3,000万円
売上原価     2,000万円
必要経費     400万円(事業用の水道光熱費、消耗品費、雑費等)
事業従事者   事業主および妻のみ、従業員なし
事業主の家族  本人、妻、子供2人(小学生)

≪個人事業場合の税金≫
白色申告(帳簿は十分にはつけていない)
   所得税……約57万円
   住民税……約43万円
   事業税……約16万円

   合  計……約116万円
≪会社の場合の税金≫
代表取締役(事業主本人)の報酬 月額20万円
事業主の妻の給料 月額10万円
   法人税………………約67万円
   法人事業税…………約14万円
   法人住民税…………約16万円
   事業主の所得税……約6万円
   事業主の住民税……約2万円
   妻の所得税…………約2万円
   妻の住民税…………約2万円

   合  計………………約108万円

このように個人に対する税金は少なくなっても、 会社に対する税金が約97万円かかりますので、 先ほどの個人事業として計算した個人の税金とあまり変わりません。 しかし、代表取締役である事業主の給料が余りにも少ないと思われるでしょう。 そこで事業主の給料を少し上げてみましょう。
次の例をみてください。

≪会社の場合の税金(節税対策を行った場合)≫
代表取締役(事業主本人)の報酬 月額43万円
事業主の妻の給料 月額7万円
   法人税………………0
   法人事業税…………0
   法人住民税…………約5万円
   事業主の所得税……約17万円
   事業主の住民税……約9万円
   妻の所得税…………0
   妻の住民税…………0
   合  計………………約31万円
このように会社にし、きちんと節税対策を立てれば、 収入から経費を引いた残りのある部分を代表取締役の役員報酬として、 事業主個人の給与所得の収入額として所得税の適用を受け、 その他の部分を会社の利益として残して法人税率の適用を受けることによって ある程度の所得分散をはかることができるのです。





会社の種類
ここでは法律が定めている会社の種類について説明します。
これによると会社は、商法で定められた合名会社、合資会社及び株式会社、 そして有限会社法に定められた有限会社の4種類です。 この4つの会社は所定の手続さえすれば、誰でも自由につくることができます。
責任範囲を比較すると次の表のとおりになります。

合名会社 直接・無限・連帯責任
合資会社 無限責任社員……直接・無限・連帯責任
有限責任社員……出資額の限度で直接・有限・連帯責任
株式会社 出資額の限度で間接・有限責任
有限会社 出資額の限度で間接・有限責任

現在では、合名会社及び合資会社の設立はほとんどみられないため、 ここからは株式会社と有限会社を比較しながら説明していきます。



株式会社と有限会社の比較
  株式会社 有限会社
出資者の数 1人以上 1人以上50人以下
資本金の額 1,000万円以上 300万円以上
公告の義務 官報または日刊新聞に公告 公告の義務なし
役員の数 取締役……3人以上
監査役……1人以上
代表取締役……1人以上
取締役……1人以上
監査役……任意
代表取締役……任意
役員の任期 取締役……2年  監査役……4年 定款で定めなければ無期限
出資払込金の証明 金融機関の株式払込金保管証明書が必要 金融機関の出資払込金保管証明書が必要
取締役会 開催を要する 開催しなくてもよい
総会の決議 株主が出席して決議 書面決議可
設立費用 約30万円
(印紙、代表印、銀行手数料等)
約20万円
(印紙、代表印、銀行手数料等)
書類作成依頼手数料 約15万円〜20万円 約12万円〜15万円




設立の手順
株式会社の設立の手順 有限会社の設立の手順

会社の基本事項の決定
↓↓↓
類似商号の調査(登記所で類似商号を調査する)
↓↓↓
代表者印の新調(最寄りの印鑑屋)
↓↓↓
定款の作成
↓↓↓
定款の認証(公証人役場で公証人の認証を受ける)
↓↓↓
発起人による株式の引受け
↓↓↓
株式払込金受入委託(銀行へ資本金預入れ依頼)
↓↓↓
株式の払込み(金融機関へ資本金の預入れ)
↓↓↓
取締役・監査役の選任
↓↓↓
取締役開催
↓↓↓
取締役・監査役の調査
↓↓↓
登記申請書の作成
↓↓↓
登記申請(登記所に申請書提出)
↓↓↓
諸官庁への届出(税務署、市役所等に設立の届出)

会社の基本事項の決定
↓↓↓
類似商号の調査(登記所で類似商号を調査する)
↓↓↓
代表者印の新調(最寄りの印鑑屋)
↓↓↓
定款の作成
↓↓↓
定款の認証(公証人役場で公証人の認証を受ける)
↓↓↓
発起人による出資の引受け
↓↓↓
出資払込金受入委託(銀行へ資本金預入れ依頼)
↓↓↓
出資の払込み(金融機関へ資本金の預入れ)
↓↓↓
取締役・監査役の調査
↓↓↓
登記申請書の作成
↓↓↓
登記申請(登記所に申請書提出)
↓↓↓
諸官庁への届出(税務署、市役所等に設立の届出)




会社の基本事項の決定
   @ 「商号」……類似商号に注意
   A 「目的」……営利性、適法性、明確性及び具体性があること
   B 「本店所在地」
   C 「出資者」と「資本金」
   D 「取締役」「監査役」「代表取締役」
   E 「会社の設立日」「決算日」
   F 「払込取扱金融機関」

この会社の基本事項を決定すると、いよいよ申請書の作成です。
しかし、自分で作るとなると専門的な法律知識が必要となってくるためなかなか難しいと思います。 作成の専門家である司法書士又は行政書士に依頼した方が無駄な時間を使わず、 かえって安上がりになるのではないでしょうか。
費用は、株式会社と有限会社の比較の項で説明したとおり、 申請書作成代として株式会社で約15万円〜20万円、有限会社で約12万円〜15万円位です。