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予防歯科 むし歯を予防する
 本当の虫歯の治療とは、虫歯が出来ていくプロセスを改善することです。ここでは、「脱灰」と「再石灰化」のしくみを解説し、虫歯予防のために加藤歯科医院が実施しているリスク検査についてご紹介します。
 ちょっと前の虫歯予防
虫歯の原因は、食事時に摂取された糖分を虫歯菌が分解して酸を作り,その酸が歯を溶かして穴が開いていくと説明されています。左の図では三つの輪が重なった部分に虫歯ができると説明されました。

 そのため、虫歯予防の原則は『歯磨き』『砂糖を摂らない』『早期発見・早期治療』でした。残念ながら、この三大原則による虫歯予防は大きな成果をあげることはできなかったのです。ところが、虫歯の学問・カリオロジーの研究が進むにつれ、いろいろなことが解ってきました。
 歯の表面では,脱灰と再石灰化が起こっている
脱灰とは、細菌などによって作られた酸によって、歯の表面のミネラル分であるカルシウムやリンが解けていく現象です。

 再石灰化とは、唾液の中のミネラル分が再び歯に戻ってくる現象です。唾液の酸性度pHは中性の7程度です。糖分を摂取すると、虫歯菌が酸を作り歯の表面のpHが下がり5.5くらいになると歯の表面の脱灰がおこります。そして、唾液の力によって酸が中和されたり、洗い流されたりするとpHが中性に戻っていき再石灰化が起こってきます。溶ける分の脱灰と戻る分の再石灰化のバランスがとれていると虫歯は起こりません。
再石灰化>脱灰 の環境を作れば初期の虫歯は自然に治癒する

ダイアグノデント
『虫歯は自然治癒することがないので、できたらすぐに削って治さなければならない。』といわれてきましたが、再石灰化が起こりやすい環境を作ることにより初期の虫歯は自然に治癒します。歯の表面にできた小さな穴であれば進行を止めることができます。ただし、ある程度進んでしまった虫歯は削って治療する必要があります。最近は、ダイアグノデントというレーザーを使い虫歯を、削って治療すべきかどうか診断する器械も作られました。当院でも、定期検診の時に使用しています。
虫歯を予防するために唾液が大きな役割を果たしている
上記のように、再石灰化を起こすためのミネラルの供給源になっているほかに
  1. 口腔内でできた酸を洗い流す働きがある
  2. 唾液自体に、酸を中和する緩衝能という力がある
という虫歯予防のための大きな力があります。
 このため、唾液の分泌量が少ないと、虫歯ができやすくなってしまいます。
 眠っている間は、唾液の分泌が少なくなっています。そのため、食べた後歯を磨かないで眠ってしまうような習慣の方は虫歯ができやすくなります。歯が生えているのに、母乳やほ乳瓶に入っているミルクやジュース、スポーツ飲料を飲みながら寝せていると、子供さんの虫歯の大量発生につながります。
『早期発見・早期治療』だけでは、歯は無くなってしまう
残念ながら、治療をしても虫歯のリスク(なりやすさ)を下げなければまた虫歯になってしまいます。詰めたり、かぶせたりした人工物は虫歯にはなりませんが、その周りの歯質にまた虫歯ができるのです。治療を繰り返すたびに、大切なご自分の歯が少なくなり、最終的には抜歯になってしまうということが頻繁に起こっています。
この図は、平成11年度の歯科疾患実態調査の結果をグラフにしたものです。グラフの横軸が年齢、縦軸が歯の本数になっています。赤い部分Dは未治療の虫歯の本数、黄色い部分Fは治療済みの歯の本数、青い部分Mは抜歯した本数になります。折れ線グラフDMFはその合計になります。
 治療済みの歯を示す黄色い部分Fは年齢がすすむにつれて多くなりますが、35〜40歳くらいをピークにして減少を始めています。これは治療を繰り返し受けているうちに、保存できずに抜歯になってしまう歯が出てきていることを示しています。
 年齢が上がるにつれて、歯周病の方も増えていきますので40歳くらいから抜歯になる本数青のMが急激に増加していきます。残念ながら、80歳では数本の歯が残っているだけというのが現状です。
 本当の治療とは?
いわゆる、一般的な虫歯の治療とは、できてしまった虫歯の穴を詰めたり被せたりといったイメージですね。でも、これは虫歯の結果の後始末にすぎません。(もちろん、これも大切です。出来てしまった虫歯は治さなければどんどん進行してしまいます。)
 脱灰が多く起こったために出来てしまった穴を処置するだけでは、脱灰を減らすことは出来ません。本来の虫歯の治療とは、脱灰を減らし再石灰化を促進して虫歯の出来にくい環境を作ることだと思われませんか?
 たとえば、あなたが手や足が腐っていく病気に感染してしまって,病院に行ったとしましょう。病院では悪くなった部分を切り落として人工の指や腕をつけてくれるが、肝心の病気には何もしない。また悪くなったら来てください、もっと切って新しい手をつけてあげますから。これは大変!これでは、ブラックジョークですが、虫歯の結果の修復処置だけではこれと変わらないと思われませんか?
 たとえば、水道の蛇口から注いでいる水がバケツからあふれて床を濡らしています。このときにあなたは、雑巾で床を拭くだけでいいと思いますか、それとも蛇口を絞って水を止めるべきだと思いますか?
あなたのお口の中の虫歯の蛇口は、閉じていますか?
本当の虫歯の治療とは、脱灰と再石灰化のバランスを治し、虫歯が出来ていくプロセスを改善することだと思われませんか?
 虫歯の予防のためにはリスクを調べ、それを低くすることが必要
虫歯のリスクを調べるために、臨床診査とサリバテスト(唾液検査)が必要です。
  1. 臨床検査で調べること
    • 問診(患者さんへの質問)でわかるリスクとして、家庭環境、ブラッシングの習慣、食生活、既往歴、現病歴、服用している薬剤の有無、などがわかります
    • 視診(目で見て、お口の中を調べること)でわかるリスクとしては、プラーク(歯垢すなわち虫歯菌)の付着状態、お口の中の治療経験、虫歯の数
  2. サリバテスト(唾液検査)で調べること
    • Mutans streptococci(虫歯菌、虫歯の発生に関与、以下MSと略)の数
    • Lactobacilli(虫歯菌、虫歯の活動性を示すとされる、以下LBと略)の数を培養して調べます
    • 唾液の分泌量の測定
    • 唾液緩衝能(酸を中和する働き)の測定
上の図は患者さん説明用のパソコンの画面を撮影したものです。右側が虫歯のリスクのレーダーチャートです。(赤いところほどリスクが高い)左側が歯周病です。このようにパソコン上で分かりやすくリスクの説明をいたします。
さらにカリオグラムというソフトを利用して、虫歯をさける可能性を増やすには、どうしたらよいかの分析を行います。
 あなたのための虫歯予防プログラムを分かりやすく説明いたします。結果はプリントアウトしてお渡ししています。
 サリバテストは保険がききません。検査と診断、説明すべてこみで3000円で実施しています。
 虫歯の予防にはセルフケアと定期検診:
              プロフェッショナルケアが必要
さあ、虫歯のリスクがわかりました。今度は、それを下げる番です。
  • セルフケアとは、ご自分が主役です。毎日の歯磨きの他に、フッ素洗口や食事の取り方など相談して決めた予防処置を行いましょう
  • プロフェッショナルケアとは、定期検診の時の、検診や歯ブラシ指導、お口のクリーニング、フッ素塗布を指します
 特に、ご自分の歯ブラシでは磨き切れていない部分を専用の器具で洗浄するPMTCは、痛くなく、歯がつるつるぴかぴかになり爽快です。すべての処置は、いつも決まったあなた担当の衛生士が行います。歯についての悩みや、相談など気軽に声をかけてください。
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