真空管[撮像管]物語
                                                              (第7版;平成20年11月29日)
1.同調指示管(マジック・アイ)

 同調指示管(マジック・アイ)は、主として自動音量制御(AVC)付受信機が受信電波に同調してるか否かを指示するために使用された特殊真空管です。3極管部の上に小型の陰極線管部が組み合わされている。陰極線管部には、3極管部から延長したヒター、3極管部のプレートに接続された電子ビーム制御用電極および蛍光塗料を塗布した擂り鉢状のターゲット電極により構成されている。
 プレートとターゲット電極の間に抵抗Rを挿入して、ターゲット電極にプラス電圧を加えるときは、電子ビーム制御用電極の電位は、プレート電流による抵抗R内の電圧降下分だけターゲット電極の電圧より低くなる。その電位に応じて、ヒターからターゲット電極に向かう電子を偏向させる。この様にして、制御電極の背後のターゲット電極には、扇状の蛍光を発光しない部分が生ずる。

                  
                             (写真は、TOYO 12Z−E8 同調指示管 マジック・アイの開閉を示す)

 3極管部のグリット・バイアス電圧を負の方向に増していくとプレート電流が減少して、その分だけ電子ビーム制御用電極の電位が高くなり電子ビームを偏向し、扇形の角度が減少する。 充分にバイアス電圧を高くすると遂には、陰の部分は消滅する。
 同調指示管(マジック・アイ)を自動音量制御付受信機の同調指示に用いるには、コントロール・グリットのバイアス・電圧を自動音量制御回路から取ればよい。受信機が受信電波に同調すれば、自動音量制御電圧が増大するから扇形の陰の部分が減少する。角度の最少状態が同調点を指示することになる。

 一木吉典著、”最新版 全国日本真空管マニュアル”より同調指示管(マジックアイ)の特性表より抜粋です。尚、手元にある海外の同調指示管(マジックアイ)の規格を付け加えました。

名  称 全長x最大径 VxI 表示方法 備 考
AM2 70mmx28mmφ 4.0Vx0.32A 同町指示 TELEFUNKEN
EFM-11 90x36 6.3x0.2 同調指示 TELEFUNKEN
EM4 73x25 6.3x0.2 同調指示 PHILIPS
EM81 65x20 6.3x0.3 同調指示 6DA5相当、GE
1H3 ?x? 1.4x0.025 同調指示 1N3相当、電池用
1N3 1.4x0.025 同調指示 1H3相当、電池用
6AF6-G 60x30 6.3x0.15 復同調 RCA
6AL7GT 65x32 6.3x0.15 同調指示 GE、FM用
6CD7 6.3x0.2 復同調 EM 34相当
6DL7 6.3x0.3 復同調
6E2 70x21.5 ?x? 同調指示 (中国製)
6E5 6.3x0.3 同調指示 6ZーE1、6Z-E3相当
6E5-M 65x20 6.3x0.15 同調指示 6M5相当
6G-DE2 6.3x0.3 同調指示 mTテレビ
6G-E7 6.3x0.3 復同調指示
6G-E12 6.3x0.3 同調指示
6M-DE1 6.3x0.15 同調指示 mTテレビ
6M-E2 6.3x0.3 同調指示
6M-E4 6.3x0.2 同調指示
6M-E5 65x20 6.3x0.15 同調指示
6M-E10 6.3x0.3 同調指示
6R-E13 75x20 6.3x0.2 同調指示 GE
6U5/6G5 105x28 6.3x0.3 同調指示 SYLVANIA
6Z-E1 100x28 6.3x0.3 同調指示
12Z-E8 100x28 12.6x0.15 同調指示
1629 98x29 12.6x0.15 同調指示 6E5相当、RCA

        
 現在の手持ちの同調指示管(マジック・アイ)は、次の通りです。

2.国産の同調指示管(マジック・アイ)

マツダ 6E5 マツダ 6Z-E1 Toshiba 6MーE5 TOYO 12Z-E8
TOYO 6R-E13 TOYO 6E5 FUTABA 6E5 HITACHI 6Z-E1
LIGHT 6E5 OLDON EZ-6E5 ナショナル 12ZーE8 トーキョー EZ6E5
RODIN EZ-6E5 TOYO 6E5-M PRC 6E5-M注1 ナショナル 6M-E5
Unknown

注1 PRC 6E5-Mは、石橋義雄氏のご厚意による寄贈品です。

3.外国産の同調指示管(マジック・アイ)



 左の写真は、原田直記氏の寄贈品でSYLVANIA 1629(VT-138)をDELICA Model 1001 真空管試験器により測定したものです。周知の通り、マジックアイの蛍光面は、経年変化と共に蛍光面の発光が弱くなり、中々良品の入手が難しいのが現状です。今回、原田直記氏からの寄贈のマジックアイ、SYLVANIA 1629は、極めて良好に蛍光面が発光するものでした。

 同調指示管(マジック・アイ) SYLVANIA 1629(VT-138)は、6E5相当品でヒター電圧・電流は、12.6V・0.15Aです。因みに、真空管のオクタル・べースの接続を右に示します。













GE 6AL7GT MAXAY 6E5 RCA 1629 RCA 6AF6G
SYLVANIA 6E5 SYLVANIA 6U5 TELEFUNKEN AM2 TELEFUNKEN EMF11
GE EM81(6DA5) 海(中国製) 6E2 PHILIPS EM4 SYLVANIA 1629
RCA 6E5

4.FM放送用同調指示管(マジック・アイ)

 ラジオ受信機のAM放送を正しく同調するための装置として同調指示管(マジック・アイ)が広く一般に採用されています。このため、ダイアル同調時に受信信号の電圧を最高に設定することができます。しかし、FM放送の場合には、多少様子が異なり、受信信号の電圧と基準電圧とを比較し、しかも2つの電圧が等しくなったことを表示する装置が必要になります。標準的な同調指示管(マジック・アイ)を使用してこのような動作をさせるためには、追加の真空管と付属の回路が必要となり高価なものとなります。 ZP-601の開発により、FM放送放送用同調指示をさせることができる電子的システムの実現が可能となりました。(商用に製造されたのは、6AL7-GTです)
この開発は、電圧の変化の大きさ表示することに加えて、2つの電圧の大きさを比較し、FM放送の信号が過った同調の方向を表示する電子的同調指示が出来るようになりました。

  6AL7-GTは、特殊な電子線管(electron-ray tube)です。この真空管は、FM受信機の同調指示器として使用され、この同調指示器により初期の受信機でも良好なFM放送の受信をすることができました。この真空管は、研究対象には極めて興味のある真空管です。左の図面に示すとおり、この真空管の上部には、2本バーの緑色蛍光面により構成されています。内部の電極構造は、ガラス管を通して観察ができて断面図は左のスケッチのとおりです。この真空管のカソードは、水平配置で、(真空管を垂直にした場合)電子は上方向への放射のみが利用されます。カソードの両側に電子ビーム成形用の電極、DJ1〜DJ3があり、グリットの下側のDJ3は2つの表示バーの全体を覆うように配置されていますが、DJ1およびDJ2は別々に2つのバーを制御します。これらの電極は、よく知られているビーム 電力用真空管(例えば、6V6-GT)の内部のビーム形成用の電極と同じ様な動作をしますが、構造は表示部の蛍光面を通して観察できます。グリッドは、通常の空間電荷制御用グリッドと同じで、陰極線管と同様に蛍光面の輝度制御のために使用されています。ターゲット・アノード TAは、電子を加速、集束します。TA電圧は、220〜350Vと比較的高いですが、ビーム電流は少なくて、0.1mAのビーム電流で目で確認ができますし、1mAですと明るい蛍光を発光しますが、この数値を超えない方がよいようです。制御電極の電圧は、負電圧(正電圧の場合には、ビームは短絡します)であることが必要で、また、バイアスの負電圧を変えた場合、蛍光面のバーに対する影響は研究することができます。明らかにDJ3は、両方のバーの片側を制御します。その一方でDJ1DJ2は、別々にバーのもう1つの片側を制御しています。しかしながら、DJ1DJ2の制御間で可成りの相互作用があるようです。深い負電圧のバイアスは、ビーム電流を流さないようにできます。 このことは、本質的に2つの電圧により制御されたバーが巧く狭い間隔を作ると言うことです。

 この真空管は、TAと言うプレートのある3極管です。グリット電圧がー1からー6Vに対する特性は、μ=43、rp=370kΩおよびgm=120 μSでした。電子放射の一部分だけが使用されるので、低い相互コンダクタンス(transconductance)が期待され、ビーム電流は小さいです。



参考資料
(1)”An Electron-Ray Tuning Indicator for Frequency Modulation”、F.M. BAILEY,MEMBER、I.R.E. 、PROCEEDING OF THE I.R.E.-Waves and Elecrons Section、Oct.1947,Vol.35,No.10,page1158-1160