2002/12/01 彼女の住む街〜国立を歩く
■2003/01/10 (金) 彼女の住む街(1)
デジタルドリームライブ観覧の待ち合わせまでに、一人で東京半日という
時間が空くことになった。
10数年前の喧騒、そして暴漢侵入事件からも かなりの年月がたち、いつも
心の片隅にあった ささやかで幼稚とも言える夢は、それなりに形を変えて
生き続けていたらしい。
その朝、東京駅構内でコーヒーを飲みながら、SPEED・hiro関連の名所めぐりも
し尽くしたなあと あれこれ考えていた。
そして、何の用意もなく、土地勘もなく、ただ、すっかり観光名所化して
「駅前のタクシーに乗れば連れていってくれるらしい」という噂と
長年の報道で漠然と頭に入っていた周囲の状況だけを頼りに、百恵ちゃんの
暮らす街を歩いてみようと思い立ったのだった。
で、どう行くんだ?(;^^)
そこから悠長に路線図を確認するところから始まった。
新宿経由でしばらくいくと、車窓の景色が都会からタダの街、そして
とんでもない山奥のようになっていく。一体どういうところなんだろう。
東京23区の狭さを実感する。
そして いつかの週刊誌記事にあったように30分ほどして、目指す駅に到着。
降りたのは数人もいない。なんとまあ こじんまりとした静かな駅。
その外観は、これも見慣れた「百恵さん記事」に何度も出てきた通りの
三角屋根の可愛い駅舎だった。
数えるほどの自動改札に、妄想ふくらむ。
息子さんたちが通学に通るだろう改札。(笑)
ほんの小雨。そう寒くもない。
駅前から続く大通りの景観に惹かれ、歩くことにした。
学園都市というらしいのだが、なんて落ち着いた、それでいて洒落た
街なんだろう。
車道ときれいに分けられた歩道、自転車道、長く続く並木。
国立大学の活気ある正門前を過ぎ、しばらく行くと、これも普通に
当時の週刊誌に書かれていた地域に着く。
ところが、ここからがわからない。当たり前だが。(;^^)
さあ、どうしよう。
■2003/01/12 (日) 【彼女の住む街(2)】
まあ散歩だからと ところどころにある街の案内板を頼りに目印ポイントを
求めて歩き回り、ある官庁の出張所というのは わかったのだが、そこからが
全く不明。さんざ見慣れた、それらしき家はない。
でも、適当に便利そうなお店はあるし、学校は多いし、それでいて自分の
街でさえ消えかけているような昔ながらの商店も生き生きと商売が続いて
いるという、なんとも住みやすそうな街だ。
まさか地元臭(笑)がしたのだろうか、それとも 差し障り無い顔をしている
からだろうか、またまた人に道を聞かれたりしながら(わからんて^^;)
気がつくと けっこう時間がたっていた。
もう二度と来ないだろう街。
半径僅かのところに あの(笑)百恵ちゃんの家があるというのに、見学も
できずに帰るなんて悔しいざますーっ。
しかし、商店街で聞くほどの度胸も無い。なんて中途半端な性格。
個人宅のような、手作り感あふれるリサイクルショップがあって
庭で子ども用の鉄棒ブランコが濡れていた。
もう何度も前を通ったことになる。
運良く、女性が買い物袋を下げて帰ってきたところに遭遇した。
「すみません」
「はぁい」
「この辺に俳優の三浦友和さんの お家があると聞いたのですが」
「三浦友和の家・・って、山口百恵の家のことでしょ?」
「はい」(街の空気にふれた思い・・友和さんの立場無い・・^^;)
「もっと向こうの方。ここ まっすぐ行って、大通りを左にずっと行って
そこで また聞いたらわかりますよ・・で、なんで また?」
「昔ファンだったもので、ちょうど こちらに来る機会があったので
ぜひ見たいと思いまして。」
「そぉ〜、でも、大した家じゃないわよ・・な〜んて言ったら怒られちゃう
かな。(笑)」
女性は笑って首をすくめた。
礼を言って、教えられた道を行く。
「大した家」という言葉がツボった。
つまり奥さんは見に行ったことがあるんだ。(;^^)
そりゃ見にいくわなあ。
【彼女の住む街(3)】
大通りを ある程度行ったところで、誰かに聞けばよかったのだが、これまた
性格で(笑)とりあえず例の「ご近所のガソリンスタンド」を探しさまよう。
ますます大きな素敵な家が多くなり、つまり三浦邸が「大したことがない」
わけではなくて、周囲に「大した」家が多すぎるのだよ。
そうこうしているうちに迷って(;^^)自転車屋さんのお兄さんに大通りへの
道を聞くと、親切に教えてくださる。
本当に素敵な街だ。
そして通りに出たものの、いい加減 誰かに聞かねば見当がつかないのだが
意外と人通りは少ない。
そこに、横断歩道の向こうから、70代とおぼしき、足取りの軽い おばさんが
一人やってくる。出会い。なのだと思う。
「すみません、この辺の方ですか?」
「・・用は何だね?」足早に怪訝そうに聞き返す。
「このあたりに三浦友和さんの家があると聞いたのですが・・」
「三浦・・って、百恵ちゃんの家でしょ?」足が止まり、表情が柔らかくなる。
「ええ」(そうとも言う・・っていうか、この街の空気、ここで決定)
「口で言うと わかりにくいから、一緒に行ってあげる」
と、さかさかと歩き出し、思わぬ展開に感謝しつつ ついて行くと
なぜ、どこから来たのかとか、いろいろ聞かれる。
正直に話すと、自分は そういう人に よく道を聞かれる、実は百恵ちゃんの家の
すぐそばに友人が住んでいるのでよく知っているのだ、あの騒ぎは、うちの孫の
保育園の送り迎えをしている頃で、その孫も もう成人式だ、等々 話は続く。
おばさんには けっこうな道のりだったと思うのだが、たまには友人宅に顔を
出したいから ついでさ、と言ってくださって、楽しい時間だった。
百恵ちゃんは、近所でも ほとんど外では見かけないそうで、でもクッキーを
焼いて届けてくれたこともあるとかで、その友人宅に呼ばれてご相伴に
あずかったこともあるとか、自分には現実感の無い、でも そういう街なんだなあと
不思議な気持ちで話を聞いていた。
【彼女の住む街(4)】
「せっかく遠くから来たんだから、玄関のベルでも押していくか。(笑)」
などと冗談も言われ、それは事件のこともあるし考えていない、ただ
見てみたいんですよぉ(笑)などと話していると、郵便局の前に止まる。
「ここで友和さんが一日局長をやったことがあるんだよ」
ということ。
そして指差す方向に・・・
ああ、あの家だ。一目でわかった。
10何年、テレビの中のこととして見続けていた風景が、そこにあった。
本当に閑静な住宅街に そびえたつ、やはり「大した」(笑)家だった。
見れば、例のガソリンスタンドらしきものも視野に入る。
おばさんの友人宅は、本当にご近所さんで、三浦邸は よく言われる通り
ご両親と同居をされている今になっても要塞のように他者を寄せ付けない
風情で、たった一つ、奥の駐車場にごつい車が見えているだけだった。
まるで関所のような玄関前に立った おばさんに、「百恵ちゃんに会えれば
よかったんだがねぇ」と冗談ともつかぬことを また言われ
「いえ、連れて来ていただいて本当に運が良かったです。満足です。」と
感謝すると、「これも何かの縁だからさ。」と笑顔。
この日偶然すれ違った、遠く離れた、何の接点もない人と人が、ただ
「百恵ちゃん」というキーワードだけで道連れとなった不思議。
山口百恵が残してくれたものが、また一つ。
大通りへの出方を再度説明してくださり、おばさんは、友人宅へ寄るという
ことで、三浦邸前で お礼を言って別れた。
そこには、結局3分もいただろうか。(笑)
でも、彼女の住む街というのに、本当にふれた思いだった。
帰りは さすがに通りからバスを使い、窓の外を眺めながら思ったのだが
あの やりとりは、もしかしたら三浦邸内部に聴こえていなかっただろうか。
12月の日曜日の昼。
最近はさすがに少なくなっただろうけど、嫌というほどあっただろう
うっとおしい「ファン」の訪問。
あれから過ぎた たくさんの時間は、それを「また なんか来てる(笑)」と
誰かと苦笑して終わる出来事にしてくれただろうか。
それを信じたくなるような街、そして人たちだった。