「Naked and True」を聴く
リリースから いいタイミングで盆休みになって、あっちこっち
出かける場面に いつもこのアルバムがあった。
家にいても 常に手の届くところに このアルバムがあって
結局いつも「Naked and True」があった。(笑)
この曲は好きだとか、どうもこれは・・という第一印象から
もっともっと聴きたいと耳にしているうちに、どんどんなじんできて
そして一つ一つ新しい発見をする喜びがあって。
今日は結局、一人 仕事場に出て、休み明けのスタートを楽にしようと
細かい仕事を片付けた。
テレビをつけても良かったんだけど、持ち込んだMDに携帯スピーカー
を接続して、アルバムを何周も回した。
説明されてわかるんじゃなくて、自分の気持ちで感じ取りたい。
音楽に正解なんてない。
〔01.ME AND YOU(Riding Waves)〕
単純に「英語詞=カッコいい」などという発想をする年齢でも
ないんだけど、もう どうしようもなくカッコいい。(笑)
逆に言うと、なんで英語詞なのに ここまで伝わってくるんだろうと
大人になってから洋楽を聴かない自分には、不思議でさえある。
イントロのじらし方、欲しい時に欲しい音が来るタイミング
ボーカルの色のつけ方、全てが好き。
余計なものが無く、足りないものが無い。
掲示板で、簡単な訳を拝見したことはあるけれど、特に その言葉を
一つ一つ読んで解釈しようとか全然思わなくて、ただただ彼女の
歌声を通して聴こえるものを身体に受け入れたい。
「ドラムンベース」という言葉は、もちろん知らなかったけど
このドラムの刻む音が、理屈じゃなくて気持ちよくて、ほとんど
本能に働きかけられているという感じ。
そして、その「ノリ」の上に流れるメロディのなじみやすさ。
特に終盤の「There will always・・・」からのメロディが
効いていて 、ボーカルのニュアンスが、これをさらに強烈に「深く」
している。すごいよねえ、これは。
それで、さあ、これだけの曲が出来上がってみると、「惜しい」と思う
方も多いはずで、だから「In Season」の時しかり、アルバムで いい曲が
できちゃうと、いろいろと悔しいことも多いんだよね。(笑)
正直、これに彼女作詞の日本語詞をはめてシングルカットしたらどうだ?
とか人並みに考えた瞬間もあったし、実は巷でこの曲が話題になるのを
待って何か動こうとしていないか?などと ひねた発想をしたこともあった。
でも、素直に、これはこれで大事な財産として歌い継いでいくべき
なのかもしれないね。
アルバムというのは「実験の場」でもあるわけで、そこで こういう曲に
出会うと、「なんとかシングルで こういう曲を」と思ってしまいがち
なんだけど、ここで拓いた可能性は「まだまだ いろんな可能性がある」
という意味で生かす方向に行くべきなんだろう。
〔02.Confession〕
いい具合に彼女がテレビで歌っている絵の記憶が遠くなっていて
だから純粋に耳で聴く音楽として感じるのは、妙に迫力のある
曲だな、ということ。静かに燃える、溢れる情感。
「Treasure」の夢よ再び、という意識があってリリースされたことは
当時のプロモーションでの言葉からもわかるけど、決して「Treasure」の
ように淡々ときれいに流れていなくて、ぶつけてくる感じがある。
だから、この曲を「踊るか踊らないか」というのは、本当に当時 議論を
重ねたんだろうなと想像する。
〔03.Notice my mind〕
これがまた、彼女のパフォーマンスが全くイメージの邪魔をしないと
いうか、「Bright Daylight」同様、全て込みでの良さがあるんだけど
その上で、曲だけでも十分手ごたえがあるところが成長なんだろうなあ。
いざアルバムが出てみたら、あまりにも予想以上の世界が展開していて、
だから、先行シングルが「Notice my mind」であったことを物足りなく
感じたり、リリースしたことによってチャートでのhiroを「下げて」
しまったことを嘆いたりされるわけだけど、私は、「Eternal Place 」で
区切られてアルバムリリースになってしまった場合を想像する方が恐い。(笑)
それほどに「Notice my mind」の彼女は、続けざまのリリースのために
「工夫」しか「変わる」術が無いという状態の中で、あれほどまで新鮮で
魅力的な存在として私たちの目の前に登場してくれたのだ。
〔04.Day After Day〕
千家和也的な(笑)くすぐり方が、気持ち良くなくて、もちろんSPEED
みたいな くすぐり方は大好きだったんだけど、これは一体何だろうなあ。
歌い手が18才になって、言葉そのものが生々しくなってしまいがちなのに
さらに、詞が彼女の年齢に近づこうと媚びてしまっている?
「BRILLIANT」以降、彼女の歌う世界がどんどん広がってしまって
それに伊秩さんの世界がついていけてない感じ?
ついていこうとする時点で曲の負けなんだろうなあ。
伊秩さんが創り上げた世界に、SPEEDなりhiroがポンと はめられると、
歌っている生の本人とは別の存在みたいなものが生まれて、それが
強烈な吸引力があったわけだけど、もう「創り上げる」ことさえ
困難な存在にhiroが成長してしまった。
伊秩さんの戸惑いがわかるような気がする。
自分にとってどんな難解な音楽に彼女が向かおうとも、彼女の歌声で
ある限り、ものすごくなじみやすいものになる。
これが、この人のボーカルの力なんだと思うけど、そういうことを
繰り返しているうちに、伊秩さんによるR&Bというのが
物足りなくなってしまったということもあるかもしれない。
アレンジも、もう何度も何度もやりつくした感のある音で退屈かなあ。
サビのメロディ、詞だけは耳に残るのが惜しい。
〔05.Seaside Holiday&The Sun〕
この曲の方は、気持ちよくBGMとして流せる感じで、この時期の
アルバムに一曲はあってもいい曲調。
ただ、財産にするには、「Bright Daylight」のC/Wはじめ
似た傾向の作品がけっこうある。
全然聴き込んでない「Eternal Place 」のC/W「Can you〜」も
こんな感じだったっけ?
「GIRL POP」ライターの竹内さんが、「Can you〜」は、最後の
フェイクに尽きる、というようなことをリリース当時に書いて
おられたけど、結局のところ曲自体に引っ掛かりが無いというか
心地よいBGMとしての価値しか感じなかったということでは
ないのだろうか。
この曲には、またBrand-Newというフレーズが出てくる。
伊秩さん、好きなんだろうなあ、Brand-New。
〔06.Naked and True〕
ラジオで聴いていた時点では興味の範疇外、ついていけないという
印象だったのが、やっぱり ものすごい勢いで なじんできて、
特に彼女がやったというコーラスとか終盤のフェイクの入り方を
聴く余裕ができてからは相当ハマッた。
高い音をぶつける時のブレイクする感じのボーカルだけは いまひとつ
なじめないんだけど、他で補って余りあるというか、とにかく自分は
彼女の「歌声」が好きなのだと思う。
リリース前から彼女が何度も言っている「女の子同士でワイワイ」
という表現は いまだ理解できずにいて、いえ、私に理解されようとは
思ってないんだろうけど(笑)、本人の意図とは うらはらに、私には
この曲の「ハジけてない具合」が、とてもしっくりくる。
たぶん、後半のメロディの力が大きいんだろう。
BOUNCEBACKというのが この曲含めて すごくいいんだけど
特定個人ではないということなので、次に期待するとかいう類の
対象には なりえないのかな。
〔07.CRAZY〕
「Naked and True」とともに、アルバムを手にし、何度か耳にするうちに
段々と好きになった。
難しいことはわからないけれど、たたみかけるように情感だけを
送ってきて、それでいて軽く、また引いていく感じがいい。
これも彼女の希望に沿って採用された作品のようで、NO.30のオリコンで
語っている「少なくとも私と同世代のコには」から始まる
「カラオケで歌いたくなる歌」とか「他の歌手の人の曲としても
聴きたい曲」と意識している曲の代表曲なんだろうと思う。
hiroへの思い入れとか、歌声の特性とか、そういうものを特に考慮せずに
作られて、曲本位で採用された曲。
それなのに、私にとっては、彼女が歌わなかったら何の意味も無い曲の
代表曲。
彼女で聴いてこそ意味のある曲。
そうでなくっちゃ、avexから わらわらと出てくる女の子ボーカルと
何が違う?ってことになってしまうよね。
〔08.Your innocence〕
アルバムを手にした当初、どうしても新しい曲聴きたさにシングルは
とばすことが多かったんだけど、不思議と この曲は流れるままに
聴いていた。
リリース時の本人の歌のコンディションは決して良くなかったと
思うんだけど、一年を経て、シンプルに楽曲の良さが伝わってくる
ようになって、素直に いいなあと思う。
今の歌声で聴いてみたい。
そう思える曲が多いのも、彼女の成長に、ファンとして自信があるから
なんだろう。
hiroには、まだ 広いライブ会場で爆裂盛り上がりする持ち歌
---それは会場が広ければ広いほどシングルである必要があるんだけど---
が無く、それは決してライブに不可欠なわけでは無いんだけど
最終的には「Bright Daylight」や、この「Your innocence」で文句なく
気持ち良くなることになるんだろう。
時間がたてばたつほど、財産になる曲だという気持ちが強くなってきた。
〔09.For a Long Night〕
前半の2曲もそうだけど、なぜだか伊秩さんは伊秩さんで2曲ずつ
続けて並んでいて、これはやっぱり「幅の広さ」をギクシャクとした
直線の振り幅ではなくて、少しでも流れに沿ったスムースなものに
したかったからかな。
頭とサビのファルセットの使い方が、唐突でしっくりこない。
それ以外のSPEEDっぽい・・としか表現しようのないメロディの進み方
アレンジは生理的に好き。気持ちいい。
でも、メッセージ色が強い曲のはずなのに、気持ちに「残らない」のね。
もちろん これは受け手である私の問題なんだろうけど。
「Seaside Holiday&The Sun」に通ずるところがあって、
彼女の声の良さばかりが印象に残る。
〔10.Eternal Place〕
そんな(笑)伊秩さんだけど、文句無くメロディメーカーとしての
本領発揮の曲だと思う。
たとえ本人の趣味と はずれていても(;^^)こういう路線は捨ててほしくない。
本当は、もっともっと売れてほしかったし、hiro−伊秩さんの絆を
深めるべき曲だったと思うんだけど、世間的な印象は あまりパッと
しなかったようで残念だ。
そして もう一つ惜しいのは、ここでは彼女のボーカルの方が 今ひとつ
消化しきれていない感があることで、それはまた、時間が経つほどに
新しい歌が聴けるんじゃないかという楽しみでもある。
〔11.love you〕
ネット的にも すごく思い出が多くて、タイアップのこと、本人の
作詞曲であることや、作曲が大谷さんという方だということを
知った時の興奮、あの頃のワクワクした一日一日を思い出す。
とてもエキサイティングな経験だった。
CMでのサビの、まったりカワイイ印象から ややずれて
出来上がったものは、せつせつと訴えかける内容になっていたけど
これもスタンダードになりえる、いい曲だと思う。
大谷さんは詞を書かない方のようなので、本人作詞の方向には
沿った方だと思う。また機会があるといい。
「初作詞」のメモリアルとして、大切に思える作品なので
詞にまつわる裏のエピソードは、あそこまで言わなくてもよかったかな。
〔12.ナミダ〕
「Naked and True」とともに、自作詞であるために、7月からの
各雑誌で語っている言葉が多く残っていて、よく使われていたのが
「暗い」「落ちている時」「ここまで書いちゃっていいのかな」等の言葉。
ただ さらりと詞を耳にしたなら、普通に一つの歌詞の世界であって、
だから あまりにも彼女の「思い入れ」を感じさせるコメントに
違和感さえ覚えた。
それほどの ためらいや勇気が、この詞の中のどこに必要だったのだろうか。
彼女は その言葉で、何を指して、何を吐き出そうとしていたのか。
そういう意味で引っかかるのが
>体は正直だから異常を訴えてる
あまり無い表現なだけに、最初から耳にとまった。
無理やりな妄想と笑われるだろうけど、これを彼女の言葉と合わせて
思い浮かぶのは、思春期にありがちなこととして、もしかしたら ある時期
心身のバランスをくずし、それなりの対処をして、自分の状態を客観的に
見つめる経験があったのではないかということ。
そして、詞に書いて世にさらせるほど それは過去となり、決して
目をそむけることもなく、自らの一部として表現し、歌おうという
ところにまで到達したのだということ。
〔13.見つめていたい(DJ Hasebe remix)〕
沖縄で一度披露されているわけで、話に聞く限り そこでの評判が良くて
みなさん口を揃えて14才当時の歌の入ったCDよりも良かったと仰る。
「Channel a」では、もう一度レコーディングし直しても良かったけど
「あえて」、というようなことを言っている。
正直 きちんと今のボーカルで勝負してほしかったなという思いが強い。
相変わらずオリジナルからの音程の変化が心地よくないんだけど
今 持てる力を出し切って歌ったのだったら、一度正面から受けた上で
何か言えたのにと思う。
14才の時の歌声がイイ感じならば、お宝ならば、それこそボーナストラック
にすべきだったんだと思う。
〔14.しあわせの道(Album Version)〕
オリジナルも、今聴けば それなりではあるんだけど、当時は退屈で
あまり聴き込まなかった。
結局は こちらのタイミングの問題で、今ここでアルバム曲として聴けば
案外いいなあと好んで聴いている。
ボーカルの抜け加減も間奏のアハンウフンも 何か「来た」感じがあって
やっぱりライブの一コーナーが これになる予感がしてならない。
〔15.ON MY WAY〕
どんな歌手でも一曲、ライブのラストに歌う曲というのを持っている。
ファーストアルバム後にライブができなかったこともあって、
「Close My Eyes」は、その座を得ることができなかった。
ライブの最後の最後、軽く前に進む意味での「サヨナラ」として
この曲を歌うことができるんだろうか。
歌としては、
>私には愛する歌があるから 信じたこの道を私はゆくだけ
という、定番「マイ ウエイ」の時代から変わらぬテーマなんだろうけど
素直に自作詞でない この曲を、「自分の気持ちをそのまま表している」と
評しているところが おもしろい。
歌の詞って、そういうものでいいんじゃないのかな。
もしも自分の気持ちと違うなら、それはシンガーとして、「表現をする人」
として歌を創り上げるという、大きく素晴らしい作業があるのだし
それを偽りの自分とは言わないだろう。
そして、自分を出すだけが自作詞のあり方でも無いのだろうと思う。
■2002/08/06 (火) 「Naked and True」を買う
今週、オマケで有名なCDショップの近くに行く予定があって
そこで買おうかなどという気持ちがあった。少し。
昼休みにネットを見た時、すでに購入した方がカキコしてらして
ボーナストラックが、どうも ちゃんとした歌、それもカバーらしいと
察すると、どうにも聴きたくなって、結局いつもの店に車を とばした。
実は この時、私は浅はかにも、カバーというのはてっきりSPEEDモノ
だと思っていた。
「White Love」 だったらどうしよう(;^^)とか。
CD店に入って、迷わずアルバム新作コーナーへ行き
ジャケットが表向きになったオススメコーナーに無いことに落胆し(;^^)
棚に並ぶたくさんの細い背の中に「hiro」を探す。なんて弱気なんだ。
だから、実はCD店に入ってすぐの中央、もっとも良い場所と思われる
スペースに、「BRILLIANT」やシングルとともに平積みされていたことに
気づいた時には、うれしかったね。
昼のカキコで曲名を上手に伏せてくださった方々に、本当に
感謝してます。
いや、ネタバレを避けたい人間は、この手のネットをやるべきでなくて
それは昔からの考えだし、今も変わらないけど、そう、私は運が
良かったのだなあ。
16曲目のイントロを聴いた瞬間の、突然目の前が開けるような
爽快な震えを体験できたのだから。
その低音の突き放し方、ファルセットを駆使したコブシ回しの妙・・・
ときて、誰でも思うのは、なぜこれがボーナストラックだったのか、
もっと宣伝に使ってもよかったんじゃないか、ということ。
答えは簡単。
この曲には力がありすぎるから。
アルバムでの、さまざまな冒険や手間や工夫を、一瞬にして
どこかにやってしまうほどの危険があるから。
■2002/08/15 (木) メッセージ
テレビ朝日系で「ウミガメと少年」というアニメ映画を放送していて
時期的にも沖縄戦を扱ったものだったので 見るとは無しに見ていたら
ラストに主題歌として「花」が流れていた。
喜納昌吉さんの、叫びにも似た歌唱に比べ、hiroの「花」は若い女性と
いうこともあって さらりと聴こえる。
実際、何も知らない世代なら「コブシも回るし歌がうまいじゃん」としか
受け取れないんじゃないかと思う。
だけど、どうだろ。
メッセージというのは、意図し、与えられたものを受け取れば正解なのでは
なくて、そこから何を感じたか、極論を言えば、そこに何も無くても
自分が「何か」を感じられたなら、それはメッセージだという気がするんだ。
沖縄民謡風な発声、節回しのテクニックが上手い人などご当地に たくさん
いらっしゃるだろうし、今までCD、テレビ番組等でカバーした方たちと
カラオケ的に言う「上手さ」を競えば、どうということは無いのかもしれない。
でも、彼の地に生まれ、「島袋」という独特の姓を背負い、常に「沖縄」
の二文字とともに芸能界を生きてきたシンガーだからこそ、私は そこから
淡々としてはいるけど、時間を越えたメッセージを受け取ることができる
のだと感じている。
彼女は沖縄にさほどの こだわりが無いようなことを よく言っていた。
「沖縄が好き」と言う時の「沖縄」は、単に家族等を含めての生まれ育った
土地という意味が大きかったような気がするのだが、アーチストとして
大人になるにつれ、少しずつ奥底に眠っていたものが意識せざる意識として
育っていくということがあるんだろうか。
それが、18才の今、アルバムのシークレットトラックとして生まれたことが
なんだかとっても ふさわしい気がして、大切な大切な宝物が また一つ。