大地監督の新作「くろみちゃん」/2000.10.10.
「こどものおもちゃ」や「おじゃる丸」の監督・大地丙太郎(だいち・あきたろう)が今、新作アニメを制作中だ。タイトルは「アニメーション制作進行・くろみちゃん」。アニメ制作スタジオを舞台とした“業界モノ”だという。
アニメで“業界モノ”というのは見てみたい気持ちもあるものの、これまでまともな作品を見たことがない。世間一般向けに作られるテレビアニメなどでは、どうしても話が一般向けになってしまって、アニメの世界をもっと知りたいというマニアにとっては物足りない内容になってしまうのだ。
だいぶ前に「こちら葛飾区亀有公園前派出所」でアニメ業界をネタにした話があった。(第141話「アニメで儲けろ!」)主人公・両津勘吉がアニメ制作会社とスポンサーとの間に入り、スポンサーの要求に応えてアニメの内容を、どんどん作品本来の姿からかけ離れてものに、変えていってしまうという話だった。
原作(97巻「アフレコ見学会)にあったアフレコに関するネタ(「線どり」や「広川太一郎ネタ」)がなくなり、スポンサーへの配慮なのか、アニメの内容を商売優先の作品へと改悪していく原因を、両津勘吉の金儲け根性ゆえとして描くなど、いささか内容がトーンダウンしてしまっていた。
とはいえ、スタッフ会議の場面で、アニメのスタッフをゾロゾロ登場させて、「アニメは沢山のひとたちの手を経て作られている」ということを見せたり、純粋な少女漫画の世界を描いた内容が、魔法変身モノ、戦隊モノ、巨大ロボットモノへと変貌し、最後は穴埋め企画のギャグ漫画へと変わっていく様は、それはそれで可笑しかったが。
「くろみちゃん」はアニメ制作会社(作画・仕上げ・撮影)の「ゆめ太カンパニー」が自主制作アニメとして企画したもの。同社に実在する制作進行の女性をモデルに、アニメ制作現場の実体を描くというものらしい。監督は「妖精姫レーン」「こどものおもちゃ」「おじゃる丸」「十兵衛ちゃん」「今、そこにいる僕」「風まかせ月影蘭」と、寝る間も惜しんで働き続ける大地丙太郎監督、キャラクターデザイン・作画監督は「こどちゃ」「おじゃる」でもコンビを組んだ渡辺はじめ氏、主役のくろみちゃんを演じるのは大地監督のテレビシリーズ初監督作品「ナースエンジェル・りりかSOS」の麻生かほ里嬢。
今月の「アニメージュ 11月号」にて発表された内容では、自主流通のOVAとして販売を検討しているようだ(未確定)。スポンサーもテレビ局の規制もなく、作品本位のアニメ“業界モノ”が作られそうなので、大いに期待している。
制作進行……アニメーションづくりを支える重要なパートのひとつ。アニメーションの素材(原画・動画・背景・セル画等)を集めたり、次の行程へと渡す運び屋さん。裏方。雑誌の編集者のようなものか。