RING

 

「どうしてしないんだ?」

「洗い物をするときに外したら、なくしちゃいそうで」

妻は指輪をしていない。

俺は結婚式の日から一度も外したことがないのに。

結婚指輪が気に入らないのかと思い、誕生日にデザインの違ったものをプレゼントしてもそれも着けたのは数回だけだ。

結婚前からアクセサリーをあまりつけないタイプだとは知っていたが、結婚指輪は違うだろうと思っていた。

 

結局は束縛したい、その気持ちが俺をイライラさせている。

「みー、なくしてもまた買えばいいんだから」

「そんな。もったいない」

そうだった。妻はケチなのだ。というより物欲がない。

何も欲しがらないし、買い物もあまりしない。

それは周りが与えすぎたからだと、両親、祖父母、兄たちは分かっているんだろうか。

そういう俺もすべてを与えたいと思う。

妻はそう思わせてしまう人間なのだ。

 

「先生、指輪をしてほしいの?」

相変わらず鈍い。そこもかわいいと思っている自分が時々情けなくなる。

「ああ。出来ればずっとつけていてほしい」

「わかった。じゃあ、外に出るときはつけるようにするね」

いつもこの笑顔に負けている。

「無理しなくていいから。邪魔なら外していい」

結局いつも俺が譲歩してしまう…

 

 

開設4周年記念に。今回のポイントは彼女から妻に変わったところ(笑)