第七話『セバスチャンからの便り』
「セルジュ先輩、そしてジルベールも、お元気そうで
何よりです。
僕にだけ居場所を教えてくれてありがとうございます。
先輩達が学院を出てから1週間程は捜索が
行われていたようです。
僕達はみんな息をのんでいました。
ロスマリネはジルベールとあなたを逃がした
総責任者として、生徒総監の座からおろされ、
ジュールが総監になりました。
オーギュストは当然ながら、学院に興味を
なくした様ですが、それでもまだ、寄付は続けている
そうです。いつかジルベールが再び学院に
戻ってくるとでも思っているのでしょうか。
学院長の機嫌はすこぶる悪く、
ラテン語の授業は最悪です。
僕の兄のカールは、あなた方を逃がす手伝いを
したという罪の意識にさいなまれ、
礼拝堂でざんげをしつづけているようです。
勉強はあいかわらずまじめにしていて、
成績のほうは落ちていません。
弟の僕から見ても、かわいくないですね。
パスカルは僕のよき相棒です。
彼はあなたもご存じのように、とても物知りで。
なにかと僕をバカにしますが、
対等に物を言える関係です。
クルトやネカーとも仲良くさせてもらって
ますが、ちょっと物足りません。
時々みんなで論争をするのですが、
やはりパスカルの意見は、正論でなく、
ちょっと変わっていて、いい刺激になります。
セルジュ先輩のピアノがいつも側で聴ける
ジルベールがとてもうらやましいです。
以前の僕なら激しく嫉妬したでしょうね。
そんな僕にも、好きな女性ができたんです。
えっと、僕の相棒、パスカルの妹の
パトリシアなんですが...。
セルジュ先輩がいつかエスコートしていましたね。
僕にもそんなことができたら...と考えたりしています。
時々手紙のやりとりをしています。
パスカルには「おまえみたいなガキにパットは
まかせられん。」なんて言われていますが。
でも、まずはちゃんと兄さんのように勉強して
彼女にふさわしい紳士になれるよう、
頑張りたいです。
セルジュ先輩もジルベールと仲良くしてください。
アルルから応援しています。
いいつけどおり、みんなには秘密にしてありますので
心配無用です。
セバスチャン、マイセより。
(つづく)
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