〜 私の「風木」体験 −男の子の視点から− 〜
2000.1.18



 私が風木という作品があることを知ったのは今から20数年 ほども前の小学6年のときであった。

 小5のころから三原順「はみ出しっ子」シリーズを読み、自 分と年齢の近い少年たちの活躍する話にあこがれていた私は、 雑誌「小学6年生」に載っていた風木のコミック紹介の1ペー ジが印象に残っていた。
 そこには「セルジュとジルベールの絆は...」いうコピーで 2人が向かい合って立つ絵とが描かれていた。もちろんどちら がセルジュでどちらがジルかはわかるはずもなく、一方は服装 から考えて女なのかもしれないという不安はあった(私はまだ まだ幼く、男女の恋愛物語でなく、少年たちの友情物語を読み たいと思っていたので、2人とも少年であって欲しかったのだ)

 中1になって、偶然、本屋で風木のコミックがあるのを見つ けた私は「あのマンガだな。はみ出しっ子のような作品ならい いな。」と願いつつ、とりあえず第1巻だけを購入したのであ った。

 ページをめくって衝撃であった。ジルとブロウのベッドシーン である。物語は私の期待した少年たちの友情物語ではなく、愛情 物語の様相を呈していた。「買ッテハイケナイ本ヲ買ッテシマッ タ...」。読み進めずに捨ててしまおうかと思ったが、とりあえず 読み終えた。ジルが美少年という設定に違和感があった。セルジ ュの方がりりしいきれいな顔をしている、セルジュの方こそ美少 年だと思った。セルジュのファンになり、ラコンブラード学院の 寄宿舎生活に憧れた。
 ほどなくして第2巻を買った。この前買ってはいけないと思っ たではないかという後ろめたさと、本屋の店員はこのマンガの内 容を知っていて、私のことを冷ややかな目で見ているのではない かという恥ずかしさがあったが、半ば怖いものみたさの心境で買 ってしまう。
 セルジュがジルの誘惑に負けて、彼にキスしてしまうシーンに ショックを受けつつも、ジルが美少年という印象が薄い私は今ひ とつセルジュの行動に納得がいかなかった。

 しかし、その印象はその後、コミックを買い集めるにしたがっ て変わっていった。ジルは美しいというイメージが定着し、しだ いに彼に惹かれていく自分に気づく。中学時代、ジルについて考 えない日はなかったといえるだろう。自分とほとんど同じ年齢で ありながらこんな生活を送っているジル!! 実際の中学校生活でも 同性に対する見方が異性へのそれと変わらなくなってしまう。

 大学のときに物語は完結した。後から考えれば予想できていな い方がおかしい夭折による幕引きであった。

 今、30半ばで風木を読み返し、性についての印象ばかり強か った中学、高校時代とは別の見方ができていることに気づく。ス トーリー、心理描写、画力などに凄さ、うまさを感じる。特に、 ジルがオーギュストによりボナール・ショックから立ち直る場面 、その後次々に家庭教師を誘惑していく場面は絶品だと思う。ま さに「花咲き誇る春」である。

 現在の自分より遥かに若くしてこの物語の着想を得、現在の自 分とほぼ同じ年齢でこの作品を描き終えた竹宮女史に感服するば かりである。今後、50歳や70歳になったときも読み返してみ たいと思う。そのときも感動できる自分であればよいと願う。

 「風と木の詩」は私の人生に決定的影響を与えた作品である。

(by 高葉さん)

(壁紙原画 by ななお)

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