『夏への扉』のご紹介


マリオン、リンド、ジャック、クロードの個性的な四人組みは男子校内だけでなく、町の娘の間でも有名な存在でした。
特にリーダー格のマリオンは殊更。
彼は流行の合理主義をとなえていましたが、それは単に傷つきやすい自分の心を守る術にすぎませんでした。
もちろん、本人はそんなことは思っているはずもなく、上級生のケンカさえも合理主義をふりかざし、得意げに解決していたのです。

そんな彼らに夏休みがやってきました。

マリオンは性に関してかなりの潔癖症でした。
男性と女性が、つまり自分の父親と母親がSEXして産まれたのが自分だということに耐えられなかったようです。
(もしかすると、みなさんも少なかれ同じように感じたことがあるかもしれませんね。)
彼は恋をすることさえ拒んでいました。

ある日マリオンは、彼に恋するレダニアと言い争い、雨の中をかけだしていき、行き倒れのようになります。
そこを丁度見ていた高級娼婦のサラ・ヴィーダは彼を助け、愛情を与えます。
たった一晩で、彼は変わりました。もう、以前の合理主義をふりかざすマリオンはどこにもいませんでした。
産毛が抜け落ちて美しくなった白鳥のようでした。
父親と母親さえ認めることができたのです。

ジャックとリンドはそんな彼をからかいつつも認めましたが、クロードだけは違いました。悲しい結末を迎えます。

そのうち、サラのパトロン、クリュニー伯が帰宅し、マリオンの恋は結末をむかえるのでした。

夏が終わったのです。

そのうち、ジャックとリンドのレダニアをめぐっての決闘がはじまります。
「夏の初めの頃に戻りたい」そう、言ってマリオンは彼らの決闘を止めに入りますが・・・。

誰しも何をも知らなかった頃には戻れないのです。
みなさんはマリオン達が、夏のはじめに戻れたほうがいいと思うでしょうか?
私はそうは思いません。こんな風にして人は成長を繰り返し大人になっていくのだから。

『夏への扉』は短編ですが、登場人物ひとりひとりに注目していただきたいと思います。
それぞれがじつに人間くさく、魅力的に描かれていますので。

(by ごてん)

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