今なぜ、源氏物語の歌?
源氏物語は歌物語の最高峰。アリアを中心にオペラ鑑賞がされるように
歌を中心に据えて源氏物語を読み通してみようと思いました。
「散歩」のような気持ちで54帖を読破するつもりです。
「源氏物語」 (2012.1.20)
三条の隠れ家を訪れた薫の歌
(「東屋」第3回)
さしとむる葎やしげき東屋のあまり程ふる雨そゝぎかな
古典文学大系 五 190頁
(口語訳)
中に入るのを妨害する雑草が生い茂っているのだろうか。外で、長すぎるほど雨を受けて待たされることだ。
(解説)
秋も深まり、いつもの事ながら、薫大将は、宇治のことが気になって仕方がありません。御堂が完成したとの報告を受け、急いで宇治へと出かけたのです。山里の秋の風物の中でも思い出は、故宮、大君へと沈潜してゆくのです。
悲しみを語り合うことのできる辨の尼のもとへ立ち寄ります。昔を語り合いながらも、浮舟の話へとなっていくのです。辨の尼は、浮舟が三条の隠れ家で生活していることを伝えます。それを聞いて、薫は、浮舟を宇治の山荘に住ませることを実行に移す絶好の機会と考えたのでした。
三条の隠れ家に行くことを渋っている辨の尼に、今回ばかりは厳しく命じたのです。薫の今まで見せた事のない強い口調に、辨の尼も京へ行かないわけにはいきません。薫の手配した牛車で、三条の隠れ家を訪問した辨の尼は、浮舟に薫の気持ちを伝えます。
そのとき、出し抜けに、「宇治より、人参れり。」との声がするのです。驚いた辨の尼が戸口に出てみると、雨が少し降っていて、吹き入る風に薫の香が漂ってくるのです。有無を言わせぬ薫のすばやい行動に、返事のしようがありません。辨の尼、浮舟、その侍女の右近はあわてて、なす術もありません。空は暗くなり、雨は一段と激しくなってきます。
そんな家の中の様子が伝わってくる濡れ縁の端の方に腰を下ろして歌った薫の歌が今回の歌です。
続きは、最新の歌(東屋巻)でご覧ください。