原風景

原風景(げんふうけい)

2001年
45×33cm
油彩

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幼い頃、家のそばに神社があって近所の子どもたち数人と
よくそこに集まってはあそんでいた。

夏になると、昆虫採集に行ったりもした。
昆虫採集というのは男の子の習慣のようなもので、
当時はたいていの男の子はやっていた。

ぼくは昆虫は好きだったが「採集」となるとヘタクソで、あまり身が入らなかった。
根気が続かなくて、すぐに別の遊びのほうに向かってしまう。
まわりの子どもたちが、全員夢中でやっている時には、一人で手持ち無沙汰になってしまう。そんな時に、多分見た光景だったろうと思う。

神社には、ぼくの家のそばにはないような大きな木が、しかもたくさんあった。
少し薄暗い林の中を行き、小高い神社の裏手から木々の間に見える眼下の風景を眺めた。それまでも多分何度か見たはづの景色だったのに、その時は何故か別のものに見えた。

そこは、自分の立っている小暗い場所とは対照的に明るくて、
どこか別の方向から射して来る光の中にあるようだった。
そこにぼくが見たものは、土の道だったと思う。

だったと思う、というのは、残念ながら見たものを正確には言えないからだ。
切り通しのように、左右に小さな崖があって、ゆっくりとした登り道になっていたみたいだ(ぼくの立っているところが、ちょうどこちら側の崖ということか?)。
人も何も動いているものはなかったが、ぼくは突然、妙にその道のほうへ行きたい衝動にかられた。

しかし行かなかった。
行く方法がわからなかったのかも知れない(崖を降りる方法?)。
友だちと離れてはいけない、と思ったのかも知れない(はぐれる?)。
とにかく行った覚えはない。

その時のことはそれほど心に残ったわけではないが、数年たってから(中学生になったぐらいの時に)急に思い出して現場に行ってみようとした。思い出したことを確かめてみたくなったのだ。

神社はまだあったものの、全体の様子が変わってしまっていて、記憶の中の風景と結びつく手がかりはなく、その場所を特定できなかった。急激な土地造成のおかげで、風景が変わってしまっていたようだ。

今ではすべて記憶のいたづらではなかったか?とさえ思える。