月下の旅
1997年 34×19cm 油彩
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月の光の下を足早に歩き過ぎて行く犬。
彼を見つめる一本の木。
夜はしっとりと彼のまわりにある。
こういう風景を悲しく寂しいものとして思いながらも、 どこかに密やかな喜びを感じていた。 夜の光のなかで、はっきりとした輪郭を持たない存在となった事物に囲まれて、自分もまた 境界の定まらない形を持つ。
自己の広がり、世界の広がり、自己への浸透力、世界への浸透力。
社会とのつながりのない、一匹のノラ犬(これは自分か)が、その時、夜の闇のなかで、世界と繋がっているという幻想。
2001.5.22.記