セイワコミュニケーションズ 先見経済 「経済最前線」

 新年の日本経済は「ホール・イン・ワン」(2010年1月1日号)

2010年、二つの「サプライズ」に備える(12月1日号)
私の注目している銘柄(11月1日号)

どの産業が今後の日本を支えるか(10月1日号)

持続する景気回復と新しい流れ(9月1日号)

海底探索で「資源国日本」へ(8月1日号)

私の株価予測―来春1万2000円、その後ずうっと高いー(7月1日号)

私がなぜ楽観論を主張しているか(6月1日号)

世界の金融危機はすでに終了、次の景気回復秒読み(5月1日)

金価格の今後は長期上昇相場(2009年4月1日号)

この大不況にとるべき景気振興策とその財源(3月1日号)

2009年世界経済のカギは中国経済(2月1日号)

来るべき超円高再来(1月1日号)


新年の日本経済は「ホール・イン・ワン」(2010年1月1日号)

 方々の講演会で「新しい年はどんな年になるでしょうか?」という質問に対して、私はジョークでお答えしている。

 「2010年とかけて、私はゴルフのホール・イン・ワンと解きます。」
 「そのココロは?」
 「パットしない。」お粗末でした!

 前回このページで私は「鳩山不況」を株式市場が予告している、と述べた。

 鳩山内閣は前政権と違うということを見せ付けようとしすぎて経済面に恐ろしい空白が出来ている。14兆円の不況対策から3兆円を削った。その後このままでは大変、と考えたのだろう。第2次補正予算を7兆2000億円出すことにした。まあそこはいいのだが、問題は『時差』である。

 予算削りがなければ2009年秋から工事に入っていたはずの事業が止まってしまった。第2次補正予算が最も早く2月に成立しても、事業が具体化するのは2010年6月ごろ。半年以上、主に地方の建設業者は立ち往生している。かなり多くのの地方では有力建設業界にお手上げになりそうで、危ないという噂の立っている会社が、いくつもいくつもある。連鎖倒産の不安は、誰も否定できない。

 そこに超円高がデフレと不況色を強める。はじめ不用意な藤井財務相の発言に始まった円高への仕掛けだが、日米関係の悪化でヘッジファンドの円買いは拡大した。それはそうだろう。沖縄県民にはいい顔をしながら米軍基地移転の決定はどんどん引き延ばす、という態度に米国政府は完全にキレた。デンマークのCOP15で鳩山首相はオバマ大統領とサシで話をつけようとしたらしいが、先方から議題にしない、とピシャリとやられた。

 為替市場を支配しているヘッジファンドは有り余る米FRBの余剰資金を、タダ同様の金利で借りて使う「ドル・キャリー・トレード」をフルに駆使している。

 95年に1ドル80円の超円高となったが、その後、日本はデフレで物価はほぼ20%下落している。これに対し米国は15%の物価上昇なので、当時の80円は70円台に当たる。95年の100円が65円という計算だが、ヘッジファンドは75円近辺を目標としているらしい。ドル安のうまみで米国のグローバルに企業の収益は明年には2007年のピーク時の90%に迫る。いっぽう、日本はピーク比30%だ。

 反米政権と評価が決まった鳩山政権の状況を見て、ある米国人の日本政権の事情通が
先日ワシントンからやってきた。帰国直前に結論は?と聞いたら「鳩山は3月までに退陣する確率は70%、参院選は前原か原口が戦うんでは」といっていた。理由は資金スキャンダルではなく統率力不足だ、とか。

      希望の芽も

 つまり円安株高の流れが円高株安に政権交代以来、変化している。ドバイ・ショックの時にはヘッジファンドが慌てて過剰反応し、それが巻き戻しをやって株価は1000円高をやり円安にもなった。しかし基調はまだ円高株安だろう。

 「パットしない、どころじゃなく全然ダメじゃないか」とガッカリしないでほしい。意外なところから結構明るい話がある。

 たとえば円高にもかかわらず、電子部品や自動車部品の輸出が急上昇。それは液晶テ
レビが台数ベースでは1000万台から明年には1500万台に急増しそう。金額ベースでは逆に減少だが電子部品業界への注文は大量に来ている。半導体の市況は急上昇中ですでに半導体製造処置メーカーへの注文は好調。

 やはりバンクーバー五輪や南アのワールドカップなどのイベントと価格急低下で需要が伸びた。日本から部品を出して現地で組み立てるノックダウンの形で、日本勢は韓国や台湾メーカーに対抗している。再びゴルフにたとえれば「チップ・イン・イーグル」になるか。石川遼だ。

 幸いというか、シャープが韓国サムソン電子に対して米国で特許侵害のかどで提訴していたのが勝利で終わった。日本勢はたとえばシャープの亀山工場は一部中国に移し、円高の打撃を軽くする。株式市場では電機株が動き出すと影響力が大きい。株価は2010年1万2000円が上限と見るのがいまやコンセンサスだが「意外高」はありうると思う。電機が良くなると見る向きは少数だからだ。サプライズになるだろう。

 ニューズウイーク誌12月9日号は「世界で技術革新力が最も高い国はどこか」、を世界4800人でアンケート調査を行った。その結果は81%が日本を挙げた。ちなみに米国と答えた比率は73%、中国は50%、ドイツは42%だった。少々高評価過ぎると思うが、これが世界の日本を見る目だ。政治や通貨市場の投機で一時は撹乱されても、まだまだ日本の将来を、私は少しも悲観していない。

 

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2010年、二つの「サプライズ」に備える(12月1日号)

 そろそろ新しい年がどんな年になるのか、気になる季節になった。今回はみんながまだ予想していないが現実に相当に高い確率で起きそうなことを書こう。

 中心はサプライズだが、その前にみなが知っていることをいくつか書くが、ほどほどに。

 第一が中国を中心とした新興国の興隆。もうご存知だ。2010年には購買力平価ベースで算出した世界のGDPの51%が新興国経済で、歴史始まって以来はじめて先進国経済の49%を抜く。

 第二が「鳩山不況」。株式市場を見ればいい。25%のCO2削減は炭素税又は環境税となる見込みで、排出量の多い鉄鋼、電力、化学、セメントなどが下落。また亀井モラトリアムで銀行株特に地方銀行株の下落がひどい。また製造業全体に派遣が禁止に近くなるが、そうなると国内に工場を作る会社はなくなってしまう。環境関連ビジネスはいいだろうが。現在の日経平均を支えているのはファーストリテイリングの力だ。

 そこへドル安=円高で、輸出企業の採算は苦しい。計画的に通貨を切り下げている韓国企業に市場を奪われるに違いない。せっかく@バンクーバー五輪A南アワールドカップなどのイベントがあるのに。

 それでも世界の景気回復で2010年の成長率は2009年より上昇。9月から10月まで景気上昇は続くだろう。子育てなどのバラ撒き政策の効果だが2010年中は出てこないだろう。海底資源開発はまだまだずっと先の話しだし。

 さて、そろそろサプライズに移ろう。

 その一。米国経済は本格回復し、NYダウは恐らく1万4000ドルの新高値を回復する。失業率がふたケタじゃないか、といわれるだろうが、年末には相当良くなる。まあ見ててごらんなさい。

 米国経済の70%は個人消費でその半分はハウジングだ。これが急回復しているのは低金利のおかげで、今回の住宅ブームは信用に不安のあったサブプライム層でなく、低金利のうちに建て替えておこうという中間所得層より上のクラスで、それは本物だ。

 2009年7〜9月期にすでに住宅投資が2005年10〜12月期以来始めてのプラスに転じている。おそらく次の1月1日号が刊行された直後にはケース・シラー指数(代表的な住宅価格指数)は3年ぶりでプラスになろう。またISM(景況指数)は好況ライン55%に達した。ここを突破すると経験的には1年は好況が続く。

 米国の株価に強気なのは企業収益の好調さ。グローバルな企業はドル安のおかげで、20%、30%の増益はザラ。強い株価を見て2010年の秋には、現在ゼロ金利に近い短期金利を引き上げるだろう。緊急時の超金融緩和体制を徐々に解除する「出口戦略」はこのあたりで実現する。

 その直後はまだ発生しないだろうが、主にヘッジファンドの「ドル・キャリー・トレード」の巻き戻しが恐らく年末か2011年春ごろの第二回目の利上げあたりで発生しよう。ドル・キャリーとはドルを短期で借り入れ、金や新興国の株を買う、というもの。たとえばブラジル株を買うかはドルを売らなくてはならない。巻き戻しとはその逆だ。

 当然、世界的な株価、原油、金などの高値はこのあたりで一休みに入るだろう。下落幅は大きいのではないか。ドル高円安は必至だが、日本を敵視している米民主党のバックにある巨大労組が円安を許すまい。第二次プラザ合意が起きるか、又はG20の会議などでドルが安いまま固定化すべく、ドル、ユーロ、円、人民元、金などの合成通貨を合意するなどの荒業をやるかもしれない。まあニクソン・ショックの再現といえるかも。出口戦略に絡めて、ドル安の美味しいところを維持したいのが米国の本心だろう。ともかく、米ドルがらみで何かが起きる。最大のサプライズではないか。

 そして次のサプライズは中国経済の成長減速と上海株式市場の下落だろう。

 2008年の北京五輪、2010年上海万博の二つのビッグイベントが終了すれば、どこの国の例を見ても歴史的に高度成長は一休みに入るもの。2009年の8%を超える成長率から2010年は10%以上。そして2011年には再び8%に戻るだろうが、2010年夏には物価は上昇に転じ、恐らく金利引き上げを余儀なくされるだろう。すでに2009年末で景気は過熱気味だからだ。

 そして第三のオマケのサプライズは、北朝鮮と韓国の間での、将来の連邦についての
合意になるかもしれない。これについてはあまり確信はないが。

 

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私の注目している銘柄(11月1日号)

 今回は私の注目銘柄について申し上げたい。世界的な不況脱出に当たりグリーンニューディールや鳩山首相の25%CO2削減など、今後何年にもわたる大きな材料が出てきた。ご投資に当たってはご自身でご判断ください、という決まり文句とともに、あくまでも長期投資で。

 まず日本も世界も、地球温暖化対策が大テーマで、そのためには@CO2削減を行わなければならない産業が投資に利用する企業A新しいエネルギー発生ビジネスBエコカー、エコ住宅の三つに分けて考えてみたい。

 まず電力会社の温室効果ガス対策加速でメリットのある企業は岡野バルブ(コード6492〉、東芝プラント(1983)。また鉄鋼はじめ重厚長大産業向けは中外炉(1964)、新興プランテック(6379)がいい。銘柄ごとにコメントをつけたいが紙数の関係で省く。原子力関連では日本製鋼所(5631)。みんな地味な企業だが各業務でのシェアが高く、不況抵抗力も円高への抵抗力もある。今期減益決算は多いがみな見通しは悪くない。まあひとつこの中から選べば日本製鋼所か。 次に非石油エネルギーの関連では、太陽光発電で、シャープ(6753)、京セラ(6971)の二つ。それに日本風力開発(2766)。またスマートグリッドでは日本碍子(5333)と住友電工(5802)を挙げなくてはなるまい。

 このグループでの中ではリチウムイオン電池の関連銘柄がすでにひと相場つけている。GSユアサ(6674)、田中化学研究所(4080)は年初比三倍ぐらいになった。今一休み中。もう少し下値があると思うので、この二つは買い場探しだ。その中では日立化成工業(4217)はリチウム電池向け負極材世界首位。他の銘柄に比べると少々で遅れで面白い。

 太陽電池パネルメーカーは本来ならもっと業績がいいはずだがなかなかうまくゆかない。シャープ(6753)は国内シェア40%を誇るが、薄膜太陽電池の立ち上げコスト負担と材料調達戦略の失敗である。また三洋電機(6754)も収益で苦戦している。この2銘柄は恐らく明年度後半から収益がついてくるだろう。それは「スクール・ニュー・ディール」である。

 まだ予算が本決まりではないが、全国公立小中学校3万2000のうち、初年度1万2000校に太陽光発電システムを設定する。国と地方自治体が設定全額の97.5%を補助する。学校側はほとんど負担なく生徒に環境教育が出来るので、希望は全校だろうが、市場の過熱を抑制する意図である。余談だが、新年度では耐震補強が比較的低い8500校を改修。
また電子装備も進展し@タッチパネル指揮の大型電子黒板を全校3万2000に導入A業務用パソコンの装備率を現在の50%から100%へB地上はデジタルTVの装備率を現在の1%から100%にする。

      ハイブリッド車は23倍

 エコカーがトヨタ(7203)とホンダ(7267)のハイブリッド車が最先端の車を出していることはご存知だろう。

 JPモルガン証券はこのハイブリッド車が2020年には昨年の23倍に当たる1128万台に増加すると予測している。電気自動車はまだいろいろな面で制約が多く、エンジンと電動モーターを組み合わせたハイブリッド車の天下が後10年以上続く、と見ているのである。

 CO2削減を目指す民主党政権はエコカー減税をまだ発表していないが、優遇と拡販を目指すことは必至。円高は痛いがコスト削減効果も大きく、また操業率の上昇による増益も見込める。

 実は完成車メーカーよりも、ハイブリッド車に使われる部品はガソリン車に比べて点数は多く、しかも精度の高いものが必要。すべて特許製品で日本企業のライセンスなしには作れない。実はハイブリッド車の躍進で一番トクをするのは部品メーカーである。デンソー(6902)、アイシン精機(7259)はトヨタ原産の影響で減益決算だがすでに底入れし業績は好転し始めた。この2銘柄の株価は高値からまだ半値近いので魅力的だ。ひとつ、といわれればデンソーか。

 もう紙数が少ない。エコハウスつまり太陽光発電システム月住宅は現在32万戸あるが、麻生首相の15%削減でも2020年530万戸とされていた。上方修正必至だろう。

 すでに決まっている優遇措置は国からがKW当たり7万円、地方自治体たとえば東京都10万円、さらに墨田区などは10万円、計27万円の補助金が出る。2010年度から自家消費を超える電力の販売価格は住宅用が1KWH当たり48円。これを前提にすると10年で太陽光システム185万円は回収され、以後は家計にとり4万円の節約となろう。

 太陽光発電システム付住宅のトップは積水化学工業(4202)で、すでに2009年3月期の戸建住宅の52%、2010年3月期には70%に達する見込みだ。第2位のパナホーム(1924)はまだ20%。今後の優遇措置で、高値比半分の積水化学は面白いと見る。

 さて、最後にオマケでひと銘柄。温暖化と並んで世界的大テーマの「水」。海水淡水
ポンプで世界の40%を占める酉島製作所(6363)。これは意外にバケるかも。

 

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どの産業が今後の日本を支えるか(10月1日号)

 私は「100年に一度」の大げさな危機説を信じない。リーマン破綻を放置した米国の大失敗で、グローバルな取り付け騒ぎがあったが、これは4枚の切り札@超低金利A量的金融緩和B公的資金の金融機関への投入C不況対策の公共工事、の効き目が見えてきている。

 サブプライム騒動のきっかけとなった米国住宅市場の不況も、そろそろ終わりが見える。現にOECDの景況指数を見ていると、米国の経済の回復に加え、中国などアジアの興隆がはっきりして来た。

 わが国ではまだ失業率や消費の不調を理由に「2番底」を言う向きが多い。しかし景気指標の中でこれらは遅行性である。トップバッターの輸出と関連産業の増産、企業収益の回復、賃金特に残業代とかボーナスが増えてから、雇用が増加し消費が伸びる。回復は時間の問題で心配要らない。

 そうは言っても、といわれるだろう。政府、日銀の2009年度の成長率予想はマイナス3%強。IMFは暦年が6.5%のマイナスを見込んでいる。不況も不況、大不況の予想だ。

 しかし製造業の生産動向をとらえた「鉱工業生産指数」は、GDPの動きと相関度が高い。この統計は毎月末に前月分の速報が発表され、先行き2ヶ月の予測も公表される。これで暦年の今年の数字はかなりの精度で予測することが出来る。この手法で予想を試みよう。

 まず今年を振り返る。1〜3月期は前記したリーマン・ショックの影響が貿易金融と自動車ローンに出て急低下。鉱工業生産指数は80年代平均を下回る水準に落ち込んだ。自動車、鉄鋼などのウエイトの高い大産業の減産が響いている。

 しかし4〜6月期は@世界的な在庫調整が進展A中国の需要Bドイツをはじめとした自動車の販売促進策が成功。前期比8.1%、年率30%を超える大幅回復を示した。

 続く7〜9月期も予測指数をもとに分析すると前期比8%近辺は固い。10〜12月期、明年1〜3月期もこんなに高い伸び率になるかどうかわからないが、少なくとも前期比3〜4%、年換算でふたケタの生産増が期待できる。自動車の対米、対欧とくにロシア向けが事実上ストップしていたのが再開されよう。中国を含めたアジアの需要増で鉄鋼が減産からフル生産に近いところまで回復する。GNP成長率はこの数字の3掛け程度。この鉱工業生産指数による成長率試算だと2009年度の成長率はマイナス1%を少し上回る。政府、日銀の3%台よりマイナス幅はぐんと少ない。

 それでもマイナスじゃあないか、といわれるかもしれないが、前年度からの「ゲタ」つまり自動的にマイナスになる分が1.5%あるので実質的にプラス。IMFの予想の6%台とは比較にならない、ずっといい数字が出る。

      主役は自動車、鉄鋼

 オマエのいうことは信用できない、といわれるなら、昨年暮れから「2009年2月から3月が景気の底」、と正しく予言したプロの意見をご紹介する。予想を適中させた当たり屋だ。

 三菱UFJ証券循環研究所長の嶋中雄二さんがその人だ。実は私も当たり屋だが「底は4〜5月」と予想していたから2ヶ月間違えた。

 経済予想は当たり屋の言うことを信じるのが再び適中する確率がぐっと高い。その嶋中さんの予想が別図、くわしい数字は右にある。10年に入るとアレレというくらいいい伸びが並んでいる。11年には2004年当時より高い成長率予想ということも分かるだろう。

 では、その鉱工業生産の成長を支えている産業、品目はどこか。これまでの私の説明でお分かりと思うが、自動車(含自動車部品)がもっとも大きく、次いで鉄鋼、電子部品・デバイスである。具体的には乗用車、普通鋼冷延・熱延 鋼板、半導体集 積回路なでである。

 自動車の販売を見るとトヨタのプリウスやホンダのインサイトに代表されるハイブリッド車が急伸していることはご存知であろう。これはガソリン車に比べて使用する部品が超高級で数も多い。自動車本体のメーカーもさることながら日本の部品産業の収益は急成長しそうだ。米国市場は急回復中だし、中国、インドなども市場は拡大一途だ。安いタタ自動車の車が売れるのではという意見もあるが、かつてのクライスラーのネオン(日本勢への対抗超激安自動車)がどうなったか想起するといい。命がかかっている商品だから、安全性が大切だ。ハイブリッド部品がやはり注目される本命だろう。

 鉄鋼は中国での生産コスト上昇によって鋼材価格が急騰している。原材料の鉄鉱石はこの半年でトン60ドルから100ドルへ、原料炭はトン115ドルから160ドルへ上昇。熱延鋼板のコストはトン511ドルから627ドルに23%高騰している。

 世界の需要回復は遊休設備の稼動再開よりずっと早く、最近一部では在庫積み増しも
始まった。

 私はこのページで何回も海底資源の開発による資源国日本の夢を書いた。今後10年、20年を考えればこれが本命だろうが、まだ2012年でやっと調査採掘開始、というといくらなんでも気が早すぎる。やはりグリーン・ニューディールの関連、特にスマートグリッドのからみだろう。編集の方から、もっとくわしく銘柄を、といわれそうだ。それは別の機会に。

 

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持続する景気回復と新しい流れ(9月1日号)

 つい半年ほど前、「百年に1度の」という言葉が必ず前置きに使われ、株価は7000円近辺の安値。成長率も年率10%を大きく超えるマイナスだった。

 米国消費者は長い間消費をしすぎで債務依存型の経済の形になっている。中国初め世界中がこれに依存した成長となっているので、今後の世界不況は深刻―。こうした悲観論が主流、株価は来るべき世界恐慌を予見したものだ、とされた。

 私はこの悲観論に反対だった。過剰債務や住宅価格などに行き過ぎはあったものの、世界経済の成長はバブルではなかったと見ていた。また昨年9月のリーマン破綻を放置したことがブッシュ=ポールソンの大失敗。あのショックがパニック心理を引き起こし、異常な安値が株式市場で発生したと考えている。

 だからこそ3月に米FRBが超低金利と流動性供給などのパニック対策を実施。また実体経済でも中国を含め主要国がすべて公共事業や自動車買い替え促進政策を開始して以来、経済指標が急速に好転し始めた。株価も5ヶ月連騰、NYダウも日経平均も上昇幅は40%を超えた。

 これだけの期間で大きい上昇幅だと、下落の後のリバウンドではない。新しい世界景気回復を織り込んだ長期上昇相場が、NYでも日本でも始まっているーと見るのが、市場に長らくかかわってきた私としては、妥当と思う。

 ところがまだ「2番底が近い」とか「景気が回復してもL字型」という声が高い。まだ不安心理を引きずっているのは、そろそろ終わりにしたら、と思う。

 最近になって、今回の米国発金融危機の根源の住宅販売に底入れ反転の動きが出た。
景気そのものも、はっきりと回復が見える。また中国を中心としたアジアが世界の成長を支えることも明瞭である。

 では、日本経済のほうはどうだろうか。意外なことに鉱工業生産は2月を底に上昇しているが、この間の増加率は世界一である。世の中では個人消費や設備投資の不振が言われるが、これらはもともと景気の遅行指標で、輸出がなんといっても一番回復が早い。たとえば生産活動に直結する輸出数量指数は最近月の6月は前月比9%伸び、4ヶ月連続の上昇エある。四半期ベースでは4〜6月期に前期比12%増とふたケタ伸びた。中国を含めたアジア向けは17%増である。

 この輸出増による生産活動向上は、今後ますます加速するだろう。そのカギは自動車の操業率向上と対米輸出復活である。

 鉱工業生産の中でもっとも比重の大きいのが自動車産業である。自動車の日本のDGPに占める比率は3・2%で米国の0・8%の4倍ある。鉄鋼、化学、ゴム、部品皆自動車生産の影響を受ける。その自動車業界の操業率は2月に40%を切った。現在は70%台で近く85〜90%に回復する。すでに関連会社にその予定が伝えられている。同時にトヨタ、ホンダ、日産などは米国での販売が順調で在庫が適正水準を割り込んでおり、在米工場の生産でも足りないので対米輸出が再開されよう。

     実体経済は急回復中

 サブプライムに端を発した米国発金融不安が実体経済の足をひっぱったのは、リーマンは単によって主に二つの金融のドル不足が急発生したためだ。国際的には輸出入の金融、主要国の内部では自動車ローン資金の不足である。

 このリーマン破綻で170兆ドルのコマーシャルペーパー市場で短期間に23%の現金化が発生、ドルを調達していた欧州、アジアの銀行が資金不足に陥った。これにGMなどの経営危機説で昨年10月以降、世界の自動車需要がほぼ40%ダウンした。

 もうひとつ。日本の大手自動車メーカーは米国市場でビッグスリーの経営危機を自分たちのせいといわれるのをおそれて、販売を自制したと私は見ている。言い方を買えれば、オバマ当選が確実視されていたので米民主党の最大の支持基盤のUAW(全米自動車労組)への配慮である。これで必要以上に減産幅が大きくなった。私は昨年10月と今年3がつぃの2回訪米して調査し、心証を掴んだ。販売を手控えた、なんて当事者がいうわけがないが。

 こうして昨年10月以降、私は「2009年4月ごろから自動車を中心に急回復」と主張し続けた。とくに米、欧、日本の三つの先進国では2010年には日本が最高の成長率とも。私の予想はほとんど適中、同時に「100年に一度」という見方はあたらない、もまあ当たったと信じる。

 唯一の間違いは4月でなく3月がどん底だったこと、まあ1ヶ月だからカンベンしてください。詳しくは2月に刊行した拙著「経済大動乱下!定年後の生活を守る方法(中経出版)」を。

 そろそろ「次の時代に何が起きるか」について簡単に触れておこう。グローバルには先進国に低成長、中国・アジアの興隆、先進国の中では日本が一番早く回復。産業別には@環境関連特に太陽光発電や次世代自動車、スマートグリッド、リチウムイオン電池などA中長期ではメタンハイドレートや海底熱水鉱床などの海底資源開発B高速鉄道関連などが次のテーマだろう。

 

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海底探索で「資源国日本」へ(8月1日号)

 前回のこのページで私は、日本株に長期買い信号が出ていることを指摘した。長期移動平均から見たもので、最近2008年5月に出た。それ以前の戦後第1回目は1949年5月。戦後の混乱がまだ収まらず、GDPが戦前の半分に落ち3000万人も失業者がいた時代。そのひどい時代に長期買いサインが出た。

 「イマは二流国で日経平均は100円だが、成長が続いて40年後は1989年には日経平均3万9000円近く。米国に次ぐ世界第2の経済大国にのし上がる」と、1949年に予言する人がいたら誇大妄想狂扱いされただろう。しかし現実にはそうなった。株価は将来を予見したことになる。

 今回はどうだろうか。日本の閉塞感はメチャメチャに高い。人口は老齢化し、あと何十年かで日本の人口は1億人の大台をも切る。政治は混沌とし官僚支配が強まるばかりで国民は息もつけない。内需は少しも盛り上がらず、中国に世界第2位の座を譲る日はそう遠くなさそうだ。しかも同盟関係を結んできた米国はサブプライム問題以来、特にリーマン・ショックを契機にひどい不況。金融危機は何とか切り抜けられそうだが後遺症はまだ何年も残りそうだ。

 そんな中で、意外にも何十年も続くような長期買いサインが出た。具体的には日経平均の60ヶ月と120ヶ月の移動平均のゴールデンクロスというもの。野村證券金融経済研究所のテクニカルアナリスト山之内正一郎さんが見つけた。

 私は、その長期買い材料は何だろうか、と考えた。

 昭和24年(1949年)の時には「米国による対日占領政策の転換」があった。

 終戦直後、米占領軍は日本が再び強国にならないよう工場などは破壊した。ところが旧ソ連と中国に強力な共産主義政権が出来、冷戦が始まると、防波堤として日本を強くする必要が生まれた。そこで技術供与もしてくれたし、世銀を通じての融資も始まった。

 今回はー。2008年5月の直前に、実は日本列島の周囲の海底資源開発に重要な進展があったのに私は注目した。日本が豊かな資源国になるという夢が生まれたのではないか。それも、今後十年以上かかって達成される夢が。

       メタンハイドレートの夢

 2008年3月に独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOMEC)がカナタの永久凍土の地下1100メートルに存在するメタンハイドレートの産出試験に成功した。減圧法という技術で世界で初めてのことである。

 そのメタンハイドレートとは、天然ガスの主成分メタンが、地下や海底の高圧と低温でシャーベット上の氷になったもの。日本近海に大量にある。

 今年に入って2009年3月にはロシアのバイカル湖の水深400メートルの湖底から、清水建設が北見工業大学やロシアの研究機関と共同で採掘に成功している。この二つのニュースで、日本が火をつけた形で世界中でメタンハイドレートの開発が始まっている。

 関連企業は三井造船が代表的。水中探索機と天然ガスを凍り情にして貯蔵、輸送、ガス化する。一環技術を持っている。このほかメタンハイドレートの採集は三菱重工業、鹿島建設は生産方法。また鉱区は石油資源開発が保有している。別にメタンハイドレート関連の特許では三菱レーヨン、JFEエンジニアリング、IHIなどが目立つ。

 ついでにスケジュールも述べておこう。新年度から「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」が経済産業省の所管  ですでにスタートしている。2009年から7年間で開発技術の実証を行い特に2012年からテスト採掘開始。7年後から本格採掘開始。採掘場所は愛知県から和歌山県沖から四国の太平洋側の「南海トラフ」。その東サイドだろう。採掘テストはバーレル当たり原油換算で55〜77ドル。資源ナショナリズムを考えたるソロバンに合う。

 もうひとつ。日本近海には「海底熱水鉱床」という資源の宝庫がある。これは海底の休火山が活動していた時代に噴出された熱水が冷却される過程で出来る。銅、鉛などの非鉄金属、特に金、銀が鉱床として蓄積されたもの。日本の伊豆半島から小笠原諸島の海域と沖縄近辺に大量の存在。しかも他の国より水域が700メートルから1600メートルと比較的浅く、採取に有利。

 とくに金と銀は表にある通りトン当たり含有香料が高く、採算的に有利。またレアメタルも大量に含まれている。今後3年間でどの程度の鉱床があるかを確定し、2013年からボーリング調査が開始される予定。 メタンハイドレートといい海底熱水鉱床といい、日本再生の起爆剤に違いない。2010年代後半から、つまり中長期の日本の見通しは明るいと私は確信している。

 

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私の株価予測―来春1万2000円、その後ずうっと高いー(7月1日号)

 「イマイ先生、予想通り3月が底で株価は上がってきましたね。もう1万円目前ですよ」
 株価の見通しについてのご質問が増えた。「3月まで1年半ぐらい下げ相場が続いたんですから、まあ半年は上がりますよ。9、10月にいっぺん休んで、また上昇でしょうがね。」
 「では、その先は?」
 「実は私は20年以上続く長期上昇相場を期待しているんですよ。」
 「20年ですか?なぜ?その前に来年は?」
 今回は株式、為替についての、私の見方を申し上げる。

 まず目先。日本株は日経平均採用225種の一株当たり利益と株価収益率から見ると、明年3月の1万2000円をリーズナブルな目標と考える。

 一株当たり利益は2008年3月期では887円。2007年当時の日経平均1万7−8000円は株価収益率20倍。これが2009年3月期は何とマイナス40円まで悪化、株価収益率は計算不能になった。昨年10月と今年3月の2回の7000円近辺の底値は、この欠損を背景にしたものだ。

 問題は2010年3月期。一株当たり利益は上半期が現状では若干黒字、下半期が
300円というのが大手証券系調査機関の見方。下半期は半年だから年間換算で2倍に
すると600円。20倍で1万2000円。腰だめの予想だがー。

 この予想が下回りそうだったら、10月ごろにいっぺん下値調べをするかもしれないが、せいぜい8000円台の上の方。7000円近辺の下値は岩盤なので割り込むことはないだろう。

 それよりも何よりも、昨年5月に日経平均に超長期の買い信号が出たことに注目したい。

 これは野村證券金融経済研究所のテクニカルアナリスト山内正一郎さんが発見したもの。5年(60ヶ月)と10年(120ヶ月)の移動平均値が「ゴールデン・クロス」という買い信号を出した。

 これは実は大変なことで、戦後2回目、というと意味がお分かりいただけよう。つまり第1回目の昭和24年(1949年)5月以来59年ぶりの出来事なのであう。

 戦後の混乱。GNPは戦前の半分になり失業者は1300万人で失業率30%、食べ物を得るのが精一杯。その時代で日経平均100円の時代。

 その時代に「これなら日本は米国につぐ世界第2の経済大国になり、豊かな貯蓄は英、仏、独を合わせたより大きくなる」と予言し「日経平均は3万8900円」といったら、恐らく誇大妄想扱いされただろう。しかし、40年間株価は上昇し、現実に大変豊かな日本になった。その長期買い信号が、昨年5月に発生したのである。

 材料は何だろうと私は考えた。これからのアジアの発展に、地理的にも文化的にも乗れる日本、というのは確かに材料のひとつ。しかしこれだけではヨワい。

 調べているうちに、私は「領海の海底資源開発で、日本が資源国になる」という夢が、近い将来具体化しそうなことを発見した。大発見と自慢するつもりはない。たまたま昨年夏から、すでに国家としての計画が具体化しかけていたことを申し上げる。

 キーワードは二つ。「メタンハイドレート」と「海底熱水鉱床」。前者はエネルギー、後者は金、銀を含んだ非鉄金融、レアメタルの海底鉱山である。

 まず前者だがメタンは天然ガスの主成分、ハイドレートは氷。現物を見るとシャーベット状だ。ガスが深海で低温高圧によって凍ってしまったものだ。これを減圧法という技術で1000メートルの深海から採取する。すでに日本の企業コンソーシアムが昨年シベリアのバイカル湖で水深500メートルのメタンハイドレート層から、世界で初めて連続採取に成功した。

 日本の近海では愛知県から和歌山県、それに四国の太平洋側にある南海トラフ(海溝
)に、公表された分だけで日本の天然ガス消費量の14年分、実際は90〜100年分あるという。

 採掘コストはバーレル当たり原油価格換算で55〜77ドル。将来の資源ナショナリズムを考えたら、2011年採掘開始し、2016年から2020年度本格採掘開始というスケジュールで、十分にソロバンは合う。 日本の対外エネルギー依存度は96%。少しでも下げることは大きな 益だ。

 また海底熱水鉱床のほうは伊豆半島から小笠原諸島にかけての海底休火山の周辺にあ
り、水深1000メートル。こちらの方は2018年まで調査を完了し採掘テストを行い、商業化を検討する計画だ。要するに今後10年のうちにモノにしようとしている。

 驚くべき富んだ鉱床である。ごく一例が金で、南ア中の一流鉱山のトン当たり6−7グラムの倍。また銀に至っては地上の高山の保有する銀の10倍以上ある。

 わが国は国土面積では世界32位だが領海だと世界5位、海底資源は原油にたとえるとサウジには及ばなくてもイラン、イラクと級といわれる。その海底からの採掘技術で日本は世界一だ。

 私は、恐らくこの「資源国になる夢」が具体化すれば、1949年から40年間株価が上昇したと同じように、10年も20年も株価はトレンドとしての強気相場が期待できると思う。

 かつての英国は北海原油の採掘成功で閉塞感に道「英国病」といわれていたひどい状態から活気づいた。私はその再現を期待している。

 −と、ここまで述べてくれば、私の見方は株式だけでなく為替でも円高を見込んでいることは言うまでもあるまい。95年4月についた1ドル79円75戦を割り込み74,5円への円高があと4年ぐらいの間に実現しそうだ。

 

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私がなぜ楽観論を主張しているか(6月1日号)

 ご存知の大変な世界の不況だ。先日発表された米国の1〜3月期の成長率はマイナス
6・1%(前期比年率)であった。これは第二次大戦後2番目の低成長率だった昨年10〜12月期の6・3%とほぼ同じ。また事前の予測値の平均はマイナス4.7%だったから、新聞が「状況は極めて厳しい」と報じた。

 日本経済のほうも、昨年10〜12月期のマイナス12%よりは多少ましだが、1〜3月期のマイナスは確実。だから現時点では悲観論花盛りだ。「これまでの世界経済の高い成長は米国の過大な消費に依存した経済構造によるもの。今後、1929年の大恐慌、大失業時代が再来して、しかもその不況は長期化する。鋭角的な落ち込み、つまりLの字型回復しかないー。

 私はこの悲観論は少なくとも今後は間違いだと考えている。理由はカンタン。弱気になっていたマーケットが、次の時代を織り込んで正常化し始めたからである。

 昨年9月のリーマンショック以降の世界的な株価暴落と実体経済の急悪化は、別に前述した悲観論者が正しかったためではない。従前からこうした説は言われていたが、現実にはリーマン破綻によるパニック心理が引き起こした「逆バブル」である。短期金融市場がマヒし、流動性が急減。世界各国の輸出入が止まり、自動車ローンが停止して鉱工業生産が急低下した。

 金融市場の機能低下が一番大きな影響を与えたのは自動車。どこの先進国でも産業界
での比重は最大だし、高額商品であるのでローンによる購入が普通だ。ところが私が昨年10月に目撃したが、ローンやリースの契約を金融会社が拒否して、せっかく顧客が購入を決めても売買が成立しなかった。通常年間1500〜1600万台の米国の自動車販売が、900万台(年間ベース換算)の大台の下の方に落ち込んだ。これ以上落ち込みようのない極度な低水準である。

 私は3月が米国の経済対策で大事な転換点だったと見る。FRBの長期国債の買い切りオペレーション、財務省の不良債権処理プログラムなどが発表され、特にバーナンキ議長のTV出演は効果的だった。NY株価がその後急騰、同時にさまざまなクレジット市場の指標が急速に正常化し始めた。

 ごく一例を挙げると債券市場のリスクプレミアムという数字だ。戦前の大恐慌時以上の史上空前の高率だったものが、リーマンショック以前の水準を下回っている。シカゴのCBOE取引所の「恐怖指数」も80ポイントから正常な30ポイントに回復した。株価のほうもご存知と思うがNYダウは3月6日の6469・95ポイントを底値に38%以上も上昇している。日経平均は昨年10月28日の6994・90円と去る3月10日の7021・28円の2番底でこれまた35%以上の大幅高だ。30%以上の上昇は、長期の上げ相場のスタートを意味するのが、証券界の常識だ。

 「そうはいってもまだ大不況なのでは」といわれる向きもあろう。実は米国経済の1〜3月期でもすでに明るい兆しがはっきりしている。

      内容が大きく好転

 米国経済の三分の二を占める個人消費が、すでに回復に向かっている。個人消費は昨
年7〜9月期がマイナス3・8%、10〜12月期マイナス4・3%と全く不振だった。しかし1〜3月期はプラス2.2%と好転した。米国の景気は必ず消費が主導するので、これは大きなサインだ。

 一見、これは不思議に見える。1〜3月期の勤労所得は0.2%減少し、貯蓄率も上昇している。それでも消費が好転しているのは失業保険などのその他所得が9%増加しているためだ。4月以降減税効果が出てくるので、今後も個人消費はプラスが続く。

 それよりも何よりも、サブプライム住宅ローン債権の暴落が今回の金融危機の根源だが、そのABX指数が下げ止まりから反転に転じていることに注目したい。これこそ売られすぎの市場のパニック心理の反映だからだ。(図参照)。

          ABX指数の推移



 実はこの価格は、ローンによる債権が100%取り立て不能になるという水準。現実には利払いの延滞と抵当差し押さえを合わせても三分の一しかなく、三分の二はきちんと支払われているそこそこに健全な債権である。

 実はそのうられすぎの価格を拾い続けたヘッジファンドがある。昨年末に確認されているものだけで4兆4000億円の巨大資金が投下されている。運用担当者に私が聞くと、「あと3年で10倍近くに上昇しておかしくない」という。

 金融が正常化すると、次の回復は生産だ。中心の自動車産業の場合、障害となっていたGMとクライスラーの問題は6月にはカタがつく。またドイツが長期保有のクルマをエコカーに買いかえると補助金を出す、というスクラップ・インセンテイブで大成功。これをオバマ政権をはじめ世界主要国がマネしようとしている。昨年末に積みあがった在庫も減少中。遅くとも7〜9月期には回復に向かいそうである。結論。株価を含めて私は強気だ。
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世界の金融危機はすでに終了、次の景気回復秒読み(2009年5月1日)

 全く、どこの書店の店頭でも「大恐慌本」がヤマと積んである。経済雑誌の特集も
「崩壊」「失業」「倒産」――。IMFは世界の成長率を昨年11月の2.2%を1月
に0.5%と下方修正し、さらにマイナス0.5%に下方修正した。マイナス成長は戦
後始めての事態だ。日本も2月の鉱工業生産指数に見られるとおりの大不況。輸出の落
ち込みが痛い。

 先般NYに出張してあるエコノミストと話したが、日本のある財閥グループを訪問し
て「現在の不況は在庫整理なので夏か秋に完了します」と述べたらそのグループのエラ
い人が「とても信じられない。10年ぐらい続く大不況だ」と全然カミ合わなかった、
と笑っていた。

 米国の家計部門は何年も過剰消費を重ねてきた。過剰な消費は債務となってその解消
に時間がかかるし。そしてその債務はGDPの10%とか20%とかともかく途方もな
い巨額と推定して「だからダメだ」と結論付ける。

 私は、この議論は確かに正しいと思うが米国家計部門のバランスシート調整の額を過
大評価している。またいまの実体経済の急悪化が、金融危機とどうつながっているかが
ワカっていないか、実状を見ていないからだと思う。 

 在庫循環で最も注目されるのが、勿論在庫と出荷とのかかわりだが、多くの専門家に
よる予測は早期完了で一致している。減産のスピードが極端に早いためだが、同時にサ
プライチェーン・マネジメントという在庫管理技術の進歩もある。さらに今回の実体経
済の不況が、住宅にプラスして自動車に波及したからである。

  実は私は、自動車産業の急速な悪化を軽視して誤りを犯した。不明を恥じるしかな
い。しかもそれに気づいたのが昨年10月のNY出張時だった。

  その反省は後で再び述べることにして、とりあえず金融危機がどうして世界同時不
況を起こしたかを簡単にまとめよう。

  昨年9月15日のリーマン・ショックの影響はまことに巨大だった。同社の破綻で
コマーシャル・ペーパー(CP)が8000億円ほどデフォールトになった。

 CP残高は170兆円もあり、リーマンがらみは0・5%にすぎなかったが、機関投
資家はMMFを通じて持っていたCPを売却した。大和総研資本市場調査部の牧野潤一
主任研究員によると「1ヶ月の間に45兆円購入した。このMMFの巨額な資金シフト
で、最も困ったのが銀行部門である。米国CP市場で銀行の発行残高は全体の81%に
達しているからである。

 これが米国の銀行だけでなく欧州の銀行にもっと大きな打撃を与えた。欧州の銀行は
預金通貨がドルではないためドルを主にCP市場で調達し、それを国際的なドル建て融
資に当てている。

 牧野さんは「CP市場の機能低下にドル不足が発生した。昨年9月以降のCP発行額
を見ると、米銀の発行は7兆1000億ドル減少したが、欧州を中心とした外国銀行は
16兆8000億ドルも減少した」。ロンドン市場でのドル調達金利は暴騰する。
 当然、ドル調達は困難になり、対民間融資や借り換えに応じることが出来なくなった。

 まず米国は自動車ローンが極端に抑制され自動車販売が激減。また欧米銀行のドル不
足は新興国からの資金引き揚げを誘発し、世界の貿易が激減した。投資ファンドも借り
換えが困難になり商品市場も大幅な下落を見た。

 牧野さんは「この金融危機は投資家心理の起こした取り付け騒ぎに近い状況で”非連
続的変化“が起きた」と結論付けている。私も同感だ。

      金融市場は正常化した

 その後のFRBを含めた各国政府、中央銀行のCPやロンドン金融市場への資金供給
が行われた。
 これを受けて米銀はとりあえず現金保有を増やしたが、オバマ政権発足後の景気対策
などもあり、次第に貸出を増やす。新年に入って貸し出しは容易になり、現金は減少に
向かっている。すでに主要国の購買担当者の景況感は好転しており、良い・悪いの分岐
点の50ポイントには7月に達する公算が大きい。

 そして、ここが肝心なのだが、米国家計のバランスシート調整の先が見え始めている。

 まず可処分所得が意外に底堅い。雇用者数は悪化しているが名目賃金は安定して伸び
ている上、物価の上昇率が低まっている。

 住宅資産額はピーク時から住宅資産の正味部分は4兆6000億ドル低下している。
これを要調整額と見る向きがあるのだが、実は含み益が減っただけの家計も多くある。

 前記した牧野さんは「キャピタルロスは2004年以降に購入したものだけで、52
60億ドル」と推計している。

 これなら家計の貯蓄は昨年5月から今年1月までの9ヶ月間で2331億ドル、キャ
ピタルロスの4割はすでに完了している。

 現在の米国の家計の貯蓄率は5・0%(2009年1月)。年換算で5・55億ドル
の貯蓄が行われている。早ければ8月に完了する。

 すでに自動車・ガソリンを除く小売つまり収入消費は1月から反転しており、残るは
自動車。これについては別の機会に述べよう。要するに再び景気は上昇過程に入った、
ということだ。


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金価格の今後は長期上昇相場(2009年4月1日号)
―5年間の長期目標は1900ドルー

 金価格は2008年3月にオンス1030ドルの歴史的高値をつけた後、瞬間600ドル大台まで調整。この原稿を書いている3月上旬現在、再び新値更新しそうな勢いにある。

 売買量は昨年春よりも多く、投資家の買い意欲の強さを物語る。また金そのものの価格上昇に先立って世界中で金貨の売買量は10倍になっており、鋳造が間に合わず停止した国もある。同時に金ETFを通じての機関投資家の買い意欲は強く、金ETFの保管している金の量は昨年秋には800トンだったが、最近は1300トンに近い。

 では、金価格はどこまで上がるのか。

 私は2006年初春に目標を三段階に分けて述べた。(「ゴールド四季報」創刊号)

 当時の金価格はオンス700ドルを越えて、業者も専門家も、そろそろ上昇相場も終わり、という意見が多かった。

 しかし私は「第一目標はとりあえず1980年についたオンス887・5ドルの歴史的高値の回復。そして第二目標は大台のオンス1000ドル、さらに第三目標は1400ドルが中長期目標」とした。

 その1400ドルの根拠は次の通り。1980年の高値887・5ドルから20年下げて1999年2534・2ドルまで下げた。下げの「倍返し」というチャート上の目標。本当は1521ドルだが少々割り引いた。

 昨年3月のオンス1030ドルがついた近辺で「米国発金融危機が深刻化し、各国政府は金融緩和し景気対策に全力を挙げている。とくに米国FRBは途方もないペースで世界中に金をバラ撒いている。余剰なマネーの行き先は金だ」と判断。長期目標をインフレの再燃を条件に、オンス1900ドルと置いた。2000ドルが皆の信じるような熱い相場になる、という意味だ。また米国の年金などが6〜700ドルで投資を開始しているので、まあ三倍近くなれば利食うのでは、と考えたからだ。

      買い材料は数多い

 では、買い材料は何か。

 第一は「金価格は米国の不快指数」という見方。

 不快指数とはお天気の湿度と温度を掛け合わせたもの。梅雨時のじめじめした気候のときに良く使われる。米国の政治、経済にとりイヤな事態があるとき必ず金価格は上がる。

 1980年のオンス887・5ドルがそうだった。71年はドルと金交換を放棄したニクソン・ショックがあり、ドル安へ。これを不満とした産油国が2度にわたる石油ショックを起こした。金価格上昇はその結果だった。

 今回の金上昇相場のキッカケは2001年9月11日の同時多発テロだった。当時私はTVで金買いを主張。理由は「テロ戦争は普通の戦争と違って終わりがない。カネもかかるので最終的にはドル安」と理由を述べた。私の予想通りに展開したのはご存知の通りだ。

 その後ITバブル期とその崩壊を経て、2007年からサブプライムローンをきっかけにした米国発金融危機の発生となった。危機の拡大と深刻化に伴って空前のスケールで金融緩和が行われ、これが「ペーパーマネーへの不信」という金の買い材料となった。これもご存知の通りである。2008年3月の1030ドルはこうして達成された。

 ところが、原油価格のほうは8月のバーレル147ドルまで上昇に上昇を重ねたが、金価格の方はその後30%以上の下落となった。

 この下落は米FRBの保有する金を品借りして先物市場で売る「金キャリートレード」が行われたためだ。主に米銀と米銀系ヘッジファンドが大量に市場で売った。恐らくドル暴落を懸念して金価格を人為的に下落させようとしたのだろう。

 私は「金の現物の品借りだから必ず買い戻しに入る。それに米国の年金などの金ETF買いは年末に資金配分を決めて年初から買いに入る。新春入りから金価格は上昇する」と買い方針を主張し、年100回の講演会や連載でこれを述べた。これも適中していま1000ドルに。

      では、今後どうなるか。

 やはり金価格は一高一低があっても上昇基調。原油価格のほうは2008年にバブルが終わったが、やはり金の方は何といってもコモデイテイの王様であり、原油と違って実体経済による実需の方はあまりカンケイない。金のバブルはこれからが本番。いつ長期目標が達成されるか。2013年ごろと見る。理由は次の通り。

 今回の米国発世界大不況は住宅価格の下落に発したもので、金融機関の不良資産の根源はここにある。

 現在の住宅の需給関係から見ると2010年一杯で住宅価格の下落は終了。実体経済は回復に向かう。そこで危機が終わったーという安心が生まれるが、巨大な財政赤字が意識され、ドル安の発生は必至だ。2011年から2年か3年の間にドル安、金高の天井がつくという長期大相場を想定する。

 相場の最後に言われるであろう目標値を言うのは簡単。1980年のオンス887ドルにその後30年の物価上昇率4倍をかけて3550ドル。原油がバーレル147ドルのとき200ドル説が言われたように、上昇の中ではオンス5000ドルが掛け声として言われよう。

 私?そこまでは今のところは強気ではない。まずとりあえず1900ドルの第三目標で止めておこう。それが達成されたらまた考えることにする。

 

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この大不況にとるべき景気振興策とその財源(2008年3月1日号)

 まったく予想を超える大不況。企業の収益は今3月期に85%減少という大幅なものだし、雇用激減もご存知の通り。 これに対してみるべき景気振興策がとられていないのもご存知の通り。例の2兆円の分配金にしても昨秋に手早く行われていればそれなりに効果はあっただろうが。つまらない論議を重ねているうちに時期を失した。内需は盛り上がらず輸出は激減。出口が見えないのが現状。  
 もともと金融危機によって始まった不況は、理屈から言えば銀行に信用を供与して、資金が潤沢に産業界に回るようにすればいっぺんに解決する。それを妨げているのがあまりに急激な減産による実体経済の不振だ。  
 不況で経営状態が悪くなれば共倒れと見て銀行側が貸し渋りになってしまう。それほど実体経済は悪い。現在の減産を続ければ10月ごろには鉱工業生産ゼロ。つまり日本は神代の時代に帰ってしまうのだから、減産ペースの激しさが分かる。  
 新日鉄のように「5月から自動車の減産は終わる」と見て高炉を休止させずに調整しながら待っているのが正しいと私は思う。しかし、現時点では自動車の減産を早く解除させるのが、一番いい。  
 日本の自動車の生産はGDPの3.2%、米国の0.8%の4倍。雇用も500万人と一番大きい。生産、販売、それに化学、ゴム、繊維などの関連産業の裾野も広大である。この自動車の内需はここ何年も減少しているが、日本の自動車メーカーはハイブリッド車、つまり燃費が良く排ガス中のCO2も少ないクルマで世界の先頭を切っている。これがもっと売れるように、補助金を1台100万円出せばいい。ついでに自動車関係の諸税もゼロに。今のハイブリッド車の生産は年40万台だから4兆円。3年ぐらいの時限立法で、実現させる。すぐ増産に転じるから100万台になったらやめるゾといえばいい。  
 まだある。今日本海側の港湾は荷捌き量が急増しているのに設備が悪く、港の近くの水深も浅く貨物船の入港に苦労している。太平洋側の港湾は伸びが少ないので、将来の動きの中心を読んで開発する。これも2,3兆円ですむ。耐震能力の高い校舎への建て替えも今の2〜3000億円なんてケチなものでなく、10倍にするといい。地方の建設業者が潤う。雪国では雪おろしが出来なくなった老人のため、マンション建設もいい。  
 [水]の設備の輸出も景気浮揚に役立つ。ODA援助の出番だ。海水のろ過装置の浄水薄膜は世界で5社しかないが、うち4社は日本だ。この強みを生かさない手はない。  
 おまえ、勝手なことばかり言っているが、要するに金を使えということだろう?財源はどうするんだ、というお声が聞こえそうだ。  
 私は一つの案が政府紙幣だと思う。先般渡辺喜美元大臣が麻生首相に「7項目の提言」を出したが、その中に入っていた。かつて米国ステイグリッツ教授が提言があったしー。10年ほど前から丹羽春喜氏や榊原英資氏が提唱していた。海外でも日本の明治時代にも前例がある。  通貨の発行は日銀が政府から委託されるのだが現在の日銀ではゼロ金利にすべきところをしていないし、量的緩和もしていない。そのため円高がひどくなった。政府が紙幣を発行すれば国債と違って国の借金にならないので資金の調達がしやすい。  もと財務省の高橋洋一氏はこういっている。  
 「25兆円の政府紙幣発行で物価は1〜2%上がり、為替も1ドル120円くらいの円安効果が予想される。平時にはインフレや円安を招くからやってはいけない劇薬だが、日本は物価連動債の利率がマイナス2%以下という超デフレが進んでおり、為替は1ドル80円の超円高です。今なら政府紙幣のインフレ効果も円安効果も相殺される経済には有効に作用する。この劇薬の封印を解くことを政治が決断できるかどうかが問われる」。  
 現時点では麻生首相は消極的だが、非常手段なのだから何年かして好況に転じたら回収すればいい。  
 私は25兆円を不況対策とし、同じ25兆円を株式買い上げに充当すればいいと考える。現在の株価資産倍率0.7倍というのは理屈を越えた安値。投資家の恐怖感がなくなれば今の株価は2倍になってもごく当たり前だ。政府は儲かったところで株を放出。結局コストはタダで不況を乗り切れる。私は渡辺代議士に賛成だ。  
 私は次善の案として無利子国債の相続税ゼロというたんす預金の流動化もいいと思っているが、紙数が尽きた。別の機会にまた。

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2009年世界経済のカギは中国経済(2009年2月1日号)

 いきなり人様をオドかすようなことを書くが、この米国発金融危機をずっと前から予想し
現在の事態を警告してきたエコノミストが二人、いる。  
 中前忠氏と伊藤忠商事の北井義久氏。この二人の当り屋が、今年の世界経済のリスク
要因として揃って挙げているのがー。  
 中国経済の崩壊、である。  北井さんは特に上海の不動産市場の暴落を重視、日本の
80年代のバブル時よりひどかったので反動は大きい、といっておられる。勿論(リスク)とし
てアタマの中にいれておけ、という程度だが。  
 米、欧などの先進地域が総崩れの中で、頼みにしている中国まで米国発金融危機の
アオリのためにダメになってしまうのか、と驚かれる向きもあろう。  
 私の一番頼りにしている堺屋太一さんは「短い調整期間で経済の大幅減速はありうるが、
すぐ立ち直って高度成長が続く」と。日本の昭和40年、韓国の1983年のような、高度成長
初期に必ずある短期調整ですむと予想しておられる。まあそんなところかな、と私も思う。
また、期待している。  
 というのは別表にある通り、IMFの昨年11月の予想では、2009年の世界の成長の実に
46%を中国が担うことになっているからだ。  リスクには違いないが、心配し始めるとキリ
がない。そこでジャーナリストで中国に長く住んでいた柏木理佳さんの「西暦で末尾に9の
つく年は歴史に残る波乱が起きる」という説をご紹介する。たしかに「9」にはジンクスがある。
(生活経済ジャーナリストRIKA KASHIWAGIホームページより引用)。  

 1949  中華人民共和国の建国。成立宣言の年  
 1959  毛沢東の大躍進政策が破綻し2000万人の飢餓者が発生。チベットでは中国
支配へ抵抗する暴動が発生しダライラマ亡命。  
 1969  文化大革命を推進した林彪が毛沢東の後継者として指名される。新宝島問題
でソ連と軍事衝突。  1979  中越戦争。中国軍敗北。  
 1989  天安門事件。天安門広場で学生の民主化運動を軍が弾圧。死者が発生した。  
 1999  政治、軍事での事件はなかったが1997年のアジア通貨危機の影響で成長率
は2年連続で7%台に落ち込むなど不安定な年だった。  

 さて、ことし2009年はどうか。  柏木さんは「国内には昨年来の火種がくすぶっている」
としている。天安門事件20年、 建国60周年の年だが、チベット、人権問題は解決していないし、
格差拡大による地方の暴動は増えるばかりと指摘している。  
 たしかに雇用問題は深刻だ。表面上の失業率は4%(2008年7月末)で低水準だが、
2008年末の大学卒の失業率は12%。また北京市の五輪関係の建設ラッシュが終わり、
地方からの出稼ぎ労働者は仕事もなく金がないので帰省も出来ないという状況にある。  
 住宅価格の下落が建設業界や国内消費に与える悪影響も懸念される。  
 中国の建設部門は固定資産投資の25%を占め7700万人を雇用している。その中心の
住宅の販売は1〜11月で前年比20・6%の減少と言う。  
 勿論中国では住宅はまだ足りない。政府の発表では都市部で750万戸、農村部で240
万戸の供給が不足しており、住宅産業への融資の拡大、低価格住宅への助成金至急が
発表されている。  
 柏木さんはこの効果にも懐疑的だ。深刻な雇用の喪失とインフラで生活するのがやっとの
中国で、住宅購入に踏み切る人が増えると思えない、とも。  
 結論として「社会的、経済的にいくつもの爆弾を抱える中国だが、何かの拍子にそれが
爆発する危険性は常にあり、それが2009年になる可能性はきわめて高い」。  
 私の意見は字は前述した堺屋さんと同じで、何とか中国は切り抜けると見ている。
それは中国の高級官僚が実に能力が高いからだ。  ご存知の通り4兆元(57兆円)をこの
2年間に投資するという景気高揚策が発表された。内容を見ると地下鉄、鉄道、鉄橋などの
建設が多く、鉄鋼業界での過剰在庫解消が狙われている。また家庭電器(TV、白物)など
も在庫が多かったが、主に農村地区に補助金を出して地方の生活向上と在庫整理という一石
二鳥の政策がとられている。つれて鉄鋼は減産から増産に転じ、原材料の鉄スクラップの日本
からの輸出価格は上昇に転じた。  世界の実体経済の急速な悪化は住宅に自動車の複合
不況のせいで、背後には銀行のローンなどへの貸し渋りがある。中国は自動車を現金で購入
する消費者が多く販売の減少幅は他国に比べて少ない。
世界経済の中で、やはり中国は最も早く回復する国の一つだろう。

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来るべき超円高再来(2009年1月1日号)

 やはり年の初め、現在進行中の世界の不況がどんな展開を遂げて解消に向かうのか、
について私の予想を述べてみたい。
 まず米国発金融危機と先進国の不況から。2008年10月現在、米、英、ユーロ圏の金融
機関の評価損失がどの程度の規模かをイングランド銀行が調査している。これによると
損失は2兆2961億ドルで4月の1兆1326億ドルの倍になった。うち自動車などの産業界が
ほぼ2兆ドルで、住宅などは7880億ドルだった。
 サブプライム問題に始まった米国発金融危機はいまやGMなどビッグスリーの社債や
借入金が不良資産化。住宅不況プラス自動車不況の複合不況になっている。その後ろに
は自己資本が毀損して貸出ができない金融機関の貸し渋り、貸しはがしがある。
 そこで先進地域の政府や中央銀行は、金融機関に対して政府保証や公的資金の注入な
どを2008年終わりから行い始めた。2008年10月現在、前述のイングランド銀行の調査で
は投下された金額は2兆7581億ドル。損失を大きく上回っている。理屈ではすでに貸し
渋りは解消してもおかしくない。
 にもかかわらずまだ現実には金融機関が貸せるようになっていないのは@BIS(国
際決済銀行)の規制ACDSなど金融商品の性質からどこで何が起きるか分からない、
という不安、からである。

 日本の経験でも1999年3月に公的資金が銀行に注入されたが、その年一杯は融資態度
が厳しい状態が続いた。
 結論。米国や欧州などの銀行が融資方針を緩めるのは恐らく年の後半。前半のマイナ
ス成長がプラスに転じるだろうが、本格反転は2010年だろう。ただし「何でもあり」の
FRBの資金供給で米国内の資金量はメチャ多く供給されている。この余りに余った流
動性はチャートに示したが、必ずどこかでバブルを引き起こすだろう。
       何がバブル投機のターゲットか
 思い起こすと今回のような大型の金融市場の危機には及ばないが、西暦で7とか8のつ
く年には何か危機が発生している。1987年のブラックマンデー。一日で株価は20%以上
も下落しドル安、債権安のトリプル安となった。この時期はジャパンマネーの全盛期で
結局日本の土地と株のバブルを引き起こした。
 つづいて1997年にはアジア通貨危機とヘッジファンドLTCMの経営破綻危機があっ
た。その後2001年の同時多発テロと2002年のITバブル破裂とあり、超金融緩和が続い
て、世界20カ国の住宅ブームとBRICSの興隆を生んだ。米国の一人勝ちが続き、ム
リな貸出だったサブプライムローンの破綻で終わる。
 要するに信用危機が起こると銀行の経営がおかしくなるので、結局政府の公的資金注
入で銀行を助けることになる。これは恐ろしく人気のない政策なので発動は遅れる。そ
こで金利の極端に低くなりマネーの供給は余剰。だからバブルが起きるのである。
 今回はどうだろうか。米国と英国、ユーロ圏経済のここ10年の高成長の40〜50%分は
金融業の寄与。これが今後は期待できないので低成長を余儀なくされる。ドルの地位低
下は確かだが、ユーロが取って代わるには打撃が大きすぎる。現実的でない。
 恐らく日本の円が円高を狙った余剰マネーの投資対象となり、2009年の後半から2010年
には1995年4月の対ドル79・75銭の歴史的な高値に挑戦しこれを抜くだろう。米オバマ
政権もこの円高は放置するだろう。民主党政権はドル安賛成だ。日本近海の資源メ
タンハイドレートも円高材料。
 日本の金融業界は多少の打撃にあっても欧米に比べればずっと軽い。企業の財務状態
は健全で手元資金は豊富。この円高は海外企業を買収して日本企業が世界企業として雄
飛する絶対のチャンスだ。「日本の復活」が起きる。私は期待している。

おカネは途方もなく余りはじめた!


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