message from 虔十の会


「お母さーん」と何もかもが津波に流された荒地で
声を震わせながら泣き叫ぶ少女の声が耳から離れません。
 
亡くなった飼い主が戻ってくることを信じて
つぶれた家の前から離れない犬の話を聞き
胸が痛くてたまりません。
 
防護服に身を固めた人にガイガーカウンターで
調べられている小さな女の子の不安気な姿、固い表情が頭から離れません。
 
被ばくした娘さんが、ガラス越しで母親と手を合わせた姿に
涙する以外に何もできない自分を憎く感じます。
 
きっとついさっきまで子どもと笑い合っていた家族、
微笑みあいながら見つめあっていた恋人たち、
友だちや飼っている犬と遊んでいた子どもたちもいたかもしれない。。。
 
連日報道される震災の爪痕と新たな恐怖である原発の様子。
これ以上、大切な人を失う悲しみを広げてはいけないと思っています。
 
わたしたち虔十の会は、高尾山を守る活動をしてきましたが
わたしたちが、いくら山を守っても、
トンネル工事を止めることができたとしても
原発の事故が起きて高尾山に放射能の雨が降るようなことになったら
すべてが無意味になってしまうと考え、これまで原発の問題にも取り組んできました。
そして、恐れていたことが現実に…
 
さまざまな情報を得て考え、冷静に何をすべきか自分に問うています。
 
国や東電の言うことをわたしたちは、簡単にうのみにできません。
だって、これまで高尾山で、六ヶ所で、山口県上関で
国や企業が、お金のためならどれほど平然と嘘を語り、
裁判所の中でさえごまかしを続けてきたことを
あまりにも多く見てきてしまっているから。

 
それでも、国や企業を敵視することはしません。
彼らが、本当に一人でも多くの命を救おうとするなら助力を惜しみません。
残念ながら、まだ国や東電は、電気とお金の方が命より重いと
考えているようですが…
それを変えていくことができるのは、わたしたちと彼らの間に
新たなコミュニケーションを作ることだと痛感しています。

 
多くの友人が、現地に入り支援・救援活動を行っています。
 
わたしは、関西の実家に戻り、疎開する人のために家を開放しています。
それでも、ほんの少しの人の助けにしかならない。
悔しい…
 
まだまだできることがあるはず、と思っています。
大切な人を失って泣きくれている現地の人々のために、
放射能がわが子にどんな影響を及ぼすのか不安でしょうがないお母さんたちのために、いっしょに悩み考えたい。
 
自然の猛威と原発を盲信してきた大人たちの無知
子どもたちやこれから生まれくる命は、
まだ、どんな未来も選んでないというのに
道連れにしてはいけない!ということは確信しています。
 
そして、人だけではなく
すでに放射能に汚染されているかもしれない高尾山をはじめ
東日本の山、川、海に生きる多くの命のために、
わたしたちができる最善のことは何のか、
その方法を必死で求めようと思っています。
 

こずえにそよぐ風を感じ、思わず歌を口ずさむ。
豊かな川のせせらぎの音に、優しい気持ちになる。
穏やかな海に身を任せたくなる。
鳥たちが、虫たちが、木が、花が、たくさんの命が
わたしたちの周りを取り囲む。
あぁ、しあわせ…
 
そう感じる瞬間を
わたしとあなたが取り戻すために
自分のすべてをかけたいと思っています。
 
 
虔十の会代表 坂田昌子