ちとせちゃん

小次郎

●●●●● 小次郎 ●●●●●

ちとせさんが子供の頃のことです。
ある日、川で遊んでいると、海から川に迷い込んできた海亀がいました。ちとせちゃんは、いつものように家で育てようと思い、その海亀に小次郎という名前をつけましたが、お父さんに「かわいそうだから海に帰してあげなさい」といわれました。ちとせちゃんは、海亀と離れたくなくて泣きだしてしまいました。困ってしまったお父さんは、ちとせちゃんをなだめるために「小次郎がおまえのことを忘れないようにしてあげるから」と、白いマジックで海亀の甲羅に「今日ぬほこらしゃや、いてぃよりむまさり、いてぃむ今日ぬぐぅとぅに、あらちたぼれ」と書いて、小次郎を海へと帰してあげたのでした。
それから10年とすこし経ったころ、ちとせさんが、成人式のために故郷の家に帰って来ると、子供たちが川原で海亀を取り囲んでいました。ふと、その海亀の甲羅を見ると、ところどころ消えかけてはいましたが、白い文字で「今日ぬほこらしゃや……」と書かれていました。

これで、小次郎のお話は、おしまいです。でも、また10何年か何10年か経ったころ、ちとせさんのところに、小次郎はやって来るような気がします。

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