ミニベロと共に

三峰山〜白髪峠

2004年4月

榛原駅〜大内峠〜栂坂峠〜桜峠/旧〜牛峠(神末峠)〜三畝峠〜三峰山〜新道峠(ワサビ峠)
〜白髪峠(白髪山)〜新道峠〜牛峠〜桜峠/国道〜栂坂峠〜開路トンネル〜榛原駅
日帰り


 2〜3年前から度々訪れた『赤目・倶留尊高原』界隈。 その地図の片隅には、以前からずっと気掛かりだったにも関わらず、何故だか、つい後回しにしてしまっていたラインが残っていた。そこは、標高千メートルを優に越え、しかも等高線の間隔が実に広いということで、山サイ対象として、かなり惹かれる思いがあったのだが、「日帰りで?」となると、交通の便の悪さばかりが先に立ち、タイトな計画しか描けない・・・というのが、今日まで躊躇していた理由かもしれない。
 標高1235.4mにある一等三角点から西に約2km。その僅か2kmの稜線のためだけに、起点の駅から4つの峠を越え、且つ片道約35kmのアプローチ走行を要するのだから、余程の物好きというか、我ながら実に御苦労な日帰り計画だと思う。「その非効率さゆえに訪れる価値が高まる !?」とでも自らに言い聞かせなければ、いつまで経っても実行できそうにない。・・・そんな奥まった所に位置するターゲットが、奈良/三重県境の三峰山・西方稜線である。 さて・・・


 地図の片隅を見つめながら、セッセ セッセ ペダルを回し、神末上村に着いたのが9:55。バス停横の自販機で水分補給して林道を詰めていく。その途中、「みつえ青少年旅行村」に駐車された2台の車を確認し、そして林道分岐を左に取る。標高約750mにある登山口に10:25。朝一番で早発してきたにも関わらず、概ね予想していた通りの到着時刻であり、山頂へは、やはり?・・・おそらく昼飯時と重なってしまうだろう。山サイを楽しむには最も避けたいシチュエーションを想像してしまうものの、幸いにも、下山されてきた熟年ハイカー御夫婦にお尋ねすると、「山中で出会ったのは4人だけでしたよ」とか。
実はこのルートを辿るのに、なかなか積極的になれなかった理由が前述のアプローチ以外にもう一つある。それは、入山者の多さを懸念してのことだった。三峰山は、そののっぺりとした山容こそ見劣りするものの、この界隈では高い山の部類に入るため「かなり人気があるはずだ」と算段していたからである。ここに来るまでに「山サイか?或いは純粋にハイキングに切り替えるべきか?」と、時間を軸とした天秤がどちらへも傾くことがなかったのだが、登山ベースに置かれた駐車台数から察しても、どうやら静かな拘りを楽しむことができそうだ。

 山を前にして、軽くストレッチなどをしていると、後方から若いカップルが現れた。挨拶がてら一つ二つ言葉を交わす。そして先に山へと登って行かれた。「・・・。さっさと登ったほうが無難かな?」と、すぐさま後を追うように階段を担ぎ上げ、ほとんど休むことなく高みを目指す。先行のカップルを追い抜く際、「まさか自転車を担いで !?」といった表情で唖然とされていたようだが、笑顔で「どうも〜!」とお先に失礼させていただく。稜線に出るまでに立ち止まったのは、ほんの2回ほどファインダーを覗いた時ぐらいか。そして特に危険箇所もないまま、ただ黙々と押し担ぐこと約一時間で三畝峠に到着。

そのT字路の左右には、「この樹木がシロヤシロというのかな」・・・芽吹くにはまだ時季早し?といった木々が立ち並び、辺りは非常に明るく、そしてなだらかでウットリするような道が続いていた。三畝峠で一息入れていると、山頂から戻ってこられた方が2名。どうやら地元の方のようで、三峰山にはよく登っておられるとのこと。傍らの自転車に関心の御様子で、「この広い稜線に惹かれたもので」などとお伝えすると、「なるほどね!」と笑顔を返してくださった。さて、山頂へはもうすぐの距離。

 たった一人の全く静かな山頂に着いた。木々の開けた北側からは、倶留尊山や国見山などの山々が一望できる。上空をゆっくりと流れる雲と同じく、ゆっくりとした至福のひとときが流れる。
荷上げしたオニギリを「モグモグ」と頬張り、ボトルから「グビグビッ」と一口二口。そうこうしているうちに先程のカップルも登ってこられた。”無骨な拘り”は目障りだろうから・・・至福のひとときを御二人に譲って、そそくさと山頂を後にする。
一旦三畝峠まで戻り、そして更に西へとなだらかな稜線を行く。「行く」といっても僅か2kmしかないわけで、しかも概ね下り勾配。なだらかな稜線は予想していた通り!乗車が楽しめそうなポイントが多かった。が、しかし、そこにはサドルに跨ることさえ勿体ないと思えるほどの美しい道が・・・。 ステムを持ったまま、いつまでものんびりと散歩していたい・・・そんな道が続いていたのである。このラインを一気に下ってしまうなんて、自分には到底できなかった。山サイ対象として惹かれてきたはずなのに、それは大きな誤算だったのである。何度も立ち止まり、その嬉しい誤算と水平なトップチューブを重ね合わせつつ、ウットリとしながらファインダーを覗き込むこと幾度か。新緑を楽しむにはまだ少し早いものの、足元には、ポツン、ポツンと小さな春が顔を出していた。そして山頂から贅沢な時間を費やして、ようやく新道峠に至ることとなった。


ここまで5時間少々。山を下りてからも走行メニューが残っているため、あまり欲張ると「思わぬしっぺ返しが?」ともなりかねないのだが、稜線を外れて下山するには、まだ少し早いように思えた。そして「非効率を承知で折角ここまで来たのだから」という思いとともに、「躊躇している時間こそ無駄である!」などと、破線ルートを往復覚悟で前進することに・・・

 ・・・ところが、更に西に延びる稜線は、新道峠までのそれとは違い、倒木が目立ち、やや荒れた感じで、ほとんど乗車を楽しめる環境ではなかった。目印があるだけ「まだマシ」という感じである。次なる場所まで2km弱。その途中、前方に「あれはきっと高見山だろう」・・・ピラミダルな鋭鋒を望むことができた。もし「今」が一日の始まり頃なら、その鋭鋒に向かって西へ西へと進み行く意欲が沸き立つことだろうが、日帰り計画では到底不可能な距離感に、「いずれそのうち」などと思いつつ・・・そして白髪峠に到着。帰路のことを考えると、いよいよ時間・体力ともにタイトになってきた感じである。ブナの根元にひっそりと鎮座する大日如来像に手を合わし、ここまで辿り着けたことに感謝する。

 ボトルの中身も残りあと僅かになってきた。あわよくば、下山ルートをシラカミ谷に取れないものか?と、白髪山まで相棒を押し進んだものの、不動橋方面は、どうやらあまり踏まれていない様子で不明瞭な感じがした。それに、すでに疲労度が増した午後であり、滝の在る谷筋を下りていくのは進退窮まりかねない(?)ということで、無難に来た道を引き返すことにする。「無難に」といっても、新道峠までの登り返しは標高差200m近くもあるため、なかなか骨の折れる道程である。ふらふらと、1時間ほどかけて元の新道峠に辿り着いた時には、すでに疲労困憊・・・。そしてよく踏まれた新道ルートを下降し、林道出合に着くや否や、僅かに残っていたボトルの中身を「ゴクリ」と飲み干した。三峰山・西方稜線は、その山頂より西へ約2kmの区間が「楽しい域」と言えるだろう。
結局、山中で出会ったハイカーは、好天にも関わらず6名だけ。
なだらかな稜線を、ひっそりと「散歩」してきた満足感に浸りながら、往路と同様の道程を黙々とペダルを回し、起点の駅へ・・・。  (完)


【追記1】
実は計画段階で、「三峰山脈を越え一旦飯高町側に下り、そして高見峠を越えて榛原駅に戻る」という周回ルートも考えていたのですが、嬉しい誤算もあり、それが可能だったかどうか「ハテさて?」
【追記2】
実走タイムは・・・  榛原駅7:30〜大内峠8:25〜栂坂峠8:45〜桜峠/旧9:25〜牛峠(神末峠)9:45〜神末上村9:55〜登り尾/新道ルート分岐10:15〜登山口10:25〜山小屋11:10〜三畝峠11:25〜三峰山11:30〜新道峠(ワサビ峠)12:45〜白髪峠13:30(白髪山13:40)〜新道峠14:40〜林道出合15:05〜神末上村15:20〜牛峠15:35〜桜峠/国道15:45〜栂坂峠16:25〜開路トンネル16:40〜榛原駅17:10  ・・・でした。


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