高気圧がドドーンと勢力を誇示した数日間が過ぎ、出掛ける予定の土曜日は、あいにく下り坂の天気。どうやら前線を伴った低気圧が通過するとのこと。TVからは「豊岡では明日9時頃には雨が降り始めるでしょう。」と、かなり消沈させられる予報が流れている。すでに慣れきった旅準備だけは済ませて、明朝雨が降っていなければ「とりあえず出掛けるか
!?」と、曖昧な気分で寝床に入る。まずは早く起きなければ。
4時半起床。北の空はともかく、大阪は晴れていた。そそくさと身支度を整え玄関の扉を開く。
京都を発ったのが6:36、そして安曇川駅に7:28到着。曇りがちに思えた此方の空が意外にも明るく嬉しかった。しかしながら、前日の天気図によると崩れるのは確実だから、そう悠長に構えては居られない。自転車を組立てて簡単にストレッチを済ませた後、サッサと走り始めることにした。
途中、コンビニで行動食の調達ついでに、念のため公衆電話で気象通報を聞いてみる。雷注意報など出てはいないか?と。・・・して、その心配は無かったのだが、午後からの降水確率は70%だとか。「急ごっ!」
朽木の山神橋を渡ったのが8:50。市場から延びる「明護坂」なる破線も気になっていたのだが、今回はパスして先を急ぐ。北川沿いの道は結構長い。遡上しているわけだから、当然ペダリングにもそれなりの負荷がかかる。能家辺りでは未だ路肩にある残雪に驚きつつ、そして10:00・・・まさに計った(図った?)ように、ポツリポツリと小さな雨が降ってきた。とにかく先を急ぐ。やや息を切らしつつ急坂を登りきった所が小入谷峠(10:10)。峠には、おそらく百里ヶ岳へ登るハイカーのモノだろう、近県からの車が2台駐車されていた。
小入谷の茅葺民家を見送った先に「百里ヶ岳登山道」の看板がある(10:20)。左を選べばダートながらも林道を走っていけるだろうが、今回は純粋に?鯖街道を楽しむべく落葉の古道を行く。(2.5万図『古屋』には載っていない) 計画当初から地図を見ながら想像していたのだが、「予想通り!」。その道は、初っ端から突出する尾根筋にへばり付くように左へ右へと続いていた。所々雨に洗われたような粗い路面が目立つ、そんな古道である。
さて、押し担ぎが続くかと思えば、突然「ん?」と林道に出くわしたり、そしてまた途中で古道が口を開けていたり。凄まじいエンジン音とともに土埃を上げて走り去るトラックを見送ること数台。そんな目まぐるしく交錯する道の様子に、「人間は愚かなもんだ」と思わず嘆いてしまった。今日の鯖街道/根来坂は、(少なくとも朽木側は)
既にそんな形相を呈している。
尾根の中腹辺りで周囲を眺めると、点在するコブシの白が、まるで残雪の如く新緑の木々の中で美しきを演じていた。・・・ある春の日、古の旅商人も、きっとこのコブシの白色にウットリとしたことだろう。
・・・また再びトラックが眼下を通り過ぎていった。
「道は衰退し成長もする」。それは最近よく感じること。 |
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峠間近には「これが本当に古道?」と疑問を抱かせる、そんな荒々しく削り取った真新しい道があった。おそらく、林道建設のために古道もろとも山肌を崩した後、無理やり峠への道として補ったかのような・・・?。
ポツポツと、ごく小さな雨が降ったり止んだり。そんな中、根来坂峠、11:30到着。峠には、あたかも風雪を耐え凌いできたかのように、ブナの老木が幹を厳らせ立っていた。 |
祠に保管されているノートに「百里ヶ岳、往復してきます」とメッセージを書き込み、自転車をデポして山頂を目指す。上空の雲は重く垂れ込め、今にも本格的に泣き出しそうな気配である。が、ここまでハイペースでやって来たツケがいよいよ表れ始めたようだ。軽荷とはいえ、稜線上のアップダウンは結構厳しく足腰がだるい。
縦走路では、根来坂峠よりも更に低い鞍部があるというのに「何故こちらに道を通さなかったのだろう?」などと素朴な疑問を抱きつつ、また、随所に咲く可憐なイワウチワに心癒されつつ進んでいく。
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登っては下り、登っては下り、そして急峻な坂を登りきった先が頂上だった(12:05)。晴れた日なら白山が遠望できると聞くが、本日は生憎の眺め。この天気の中、3人組と5人組のハイカーに出会う。「お独りですか?好きですねぇ!」などと声をかけていただくと、思わず眉間の皺も緩むというもの。ひょっとしたら、先の小入谷峠に駐車されていた方々だろうか。
それはさておき、簡単に写真撮影を済ませ10分ほど休憩した後、慌しくもと来た道を辿り、再び根来坂峠に着いたのが12:45。ここまで本格的に降られることなく、今日の仕事(?)は一応片付いた。早朝、湖西線でサンドイッチを頬張って以来ようやく、遅い昼食に「ホッ」と。 |
ブナの老木に歩み寄り、繁々と仰いでみたり、触ってみたり・・・そんなことをしているうちに、レオナルホドさんがMTBを駆ってお見えになられた、「お疲れさま!」。私と同様に小入谷側からのアプローチで、久多に車をデポして丹波越(経ヶ岳)にアタックされてこちらへと。しかしながら丹波越は大変な難路だったとか。鯖街道を走破するのはそう簡単ではないらしい。
とにかく、峠でのランデブーに喜々とする。談笑しながら若狭側からアプローチされているoookaさんの到着を待つ。が、標高差のある若狭側から、まして残雪にも苦戦を強いられているのでしょう・・・、レインウェアを着込んでしばし狭い祠で待機するが、雨はいよいよ本降りとなってきた。名残惜しくも・・・峠を発つことに(13:40)。 |
帰路はダート林道を下って行く。つい先程まで、土埃がモクモクと上がっていたその道には、すでにタップリと泥水が流れていた。保水力を失った山の現状をまざまざと見せ付けられつつ、効きの甘いブレーキレバーを握りしめて下っていく。途中、遥か京都へと続く山並が、本格的に降り出した雨の向こうに煙っていた。
林道沿いでは、土埃を被っていたはずのコブシの白が、雨に洗われ一際明るく映えているのが印象的だった。若狭から越えてくるはずの『もう一人の旅人』には、これらの光景がどのように映るのだろう?。土産話は明日の楽しみとして、降り続く雨の中二人して下っていく・・・ (完) |
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