いよいよ山サイ・シーズン到来!。
・・・ということで、シーズン開幕早々”ミニベロな山旅人”
oookaさんとの計画が持ち上がりました。二つ三つ挙がった魅力的な候補の中で、まず最初に選んだターゲットは、福井/滋賀県境に位置する約20km(?)もの山越えの古道・近江坂です。事前に入手した情報によると、「ブナの林が実に見事である」とのことで、落葉期を迎えた一面の広葉樹林とは?一体どのような雰囲気なのだろう・・・と非常に惹かれる思いがありました。しかしながらそこは長大な尾根道ゆえ、天候や体調不良などによるエスケープ・ルートもしっかりと考慮すべし(
!? )と、綿密な打ち合わせを要することになりました。
長時間の行動が予想される今回の山岳サイクリングは、前夜「テント泊」を前提として、翌日早朝からアタック開始、という周到な計画です。が、しかし、高い降水確率や寒気の流入など微妙な天気予報により、三連休の直前まで頭を悩ませ、出発日を決めかねることになりました。そして当初の予定を一日ずらして、家を出たのが連休中日の午後。天気を上手く判断したつもりではありましたが、それでも、どうやら天気の移り変わりが早過ぎるようでした。 さてさて・・・
JR近江今津駅から走り始めたのが15:00頃だったろうか。まずは遅い昼飯と、食料の買出しを兼ねてコンビニに立ち寄る。北よりの風が思った以上に冷たい。お腹を満たした後、ゆっくりする間もなく湖岸を離れて山へと向かう。酒波寺の周辺では、今が紅葉真っ盛り!といった感じで真っ赤な彩りが美しかった。集落から延びる林道を登っていると、突然サルが2匹、奇声をあげて私の前を駆け抜けたのにはビックリさせられた。動物達も冬支度に忙しい時期を迎えているのだろう。底冷えするような心寂しい山懐ではあるが、こちらは重たいキャンプ装備でヒートアップしきり( !? )。夕闇迫る赤坂山付近からは、琵琶湖を挟んだ対岸にピンク色に染まる伊吹山が見渡せた。キャンプ場のある『ビラデスト今津』に到着したのが16:50。何とか明るいうちに着くことが出来て「ホッ」とする。少し休むとすぐに身体が冷えてきたので、そそくさとテントを設営する。三連休の中日というのに、やはりこの時季の利用者はかなり少ないようだ。ほどなくしてoookaさんが到着。ドーム型テントを2つ並べ、蝋燭の灯りを囲んでの楽しい宴会が始まった。 ---その様子は御想像にお任せします--- 外は満天の星。今夜はかなり冷えそうだ。
未だ夜が明けやらぬ4:20に起床。ラジオで聞いた予報によると、午後には確実に雨が降るとのこと。しかしながら未明の空は快晴で、沢山の星が輝いていた。「この天気が崩れるなんて、信じられん」と一言ポツリ。慌しく即席ラーメンを啜り、熱いレモンティをテルモスに入れる。身支度を整え、明るくなったのを見計らってキャンプ場を後にした。近江坂の入口(登山口)に着いたのが6:50。さて、長大な尾根との対話が始まる。
ジグザグと、小刻みな九十九を切って標高を稼ぐ。まず序盤は、昔から良く踏まれてきたのであろう、見事にU字状に抉れた道が続いていた。踏みしめる落ち葉が「カサコソ」と鳴り、同時に肺からは白い息がこぼれ、そして背後からは朝陽が昇ってきた。静寂な時間の中で、今、自分達が自然と共に在る・・・久々に味わうそんな感触が嬉しく思えた。
尾根伝いに付けられた山道は、起伏の多さはあるものの、高みに上がってしまえば概ね良好な環境となり、サドルに跨るポイントもあって喜々とする。また、ブナなどの落葉樹が辺り一帯を占め、緑を感じるのは所々に確認できるシャクナゲと、ほんの僅かな杉林だけ(?)。故に周囲は実に明るい雰囲気で、鬱蒼とした印象を微塵も感じないのだから、これまた喜々と。
尾根から急斜面を下り、粟柄河内林道に出て大休止(8:30)。携帯食を少しばかり齧り、暖かいレモンティをひと口含む。
空模様が気になる。朝のうち快晴だった空が徐々にグレーに変わってきた。予報で聞いた通り、南から天気が崩れてきているのが見て取れる。地図と時計を見比べながら、以後の行程を思案する。「まずは山頂へ何時に着けるか?」だ。そこでまた様子を見るとしよう。
大御影山へと続く道は概ね緩やかで、平坦なところもあり乗車が楽しめる。ルート最高地点に近づくにつれ、ニ日前に降ったのであろう・・・薄っすらと残る雪がチラホラと。冬の到来間近の尾根道を進んで行く。その先々には「グニャリ」と曲がった幹も現れて、あたかもそれは動物のようにも見え、風雪に耐え凌ぎつつ長い時を経て形成されたその様は、まさに自然が造りあげたオブジェとでも言えようか。
9:30、大御影山 山頂に到着。この山の名は現在の地図には載っていない。『950.1』と記されたピークが大御影山である。
まだ雲底は高く、遠くを望むこともでき、決して大崩れするようには思えないのだが、時々、ほんの僅か、頬に「ポツリ」と冷たく当たるものがある。ここまで2時間40分。まだまだタップリと時間はあるものの、尾根道は長い。果して本降りになるのは何時間後だろうか?。今シーズン初の山サイを
”ピークハント”として割り切ったとしても、まずまず納得ゆく内容なのかも知れないが、・・・どうも決断には至らない。そんな時、「ブナの巨木は・・・」とoookaさんが一言。これで決まり!。そして新庄方面を示す案内板に誘われ、急斜面を下って行った。
さて、この長大な近江坂の核心部は、大御影山から一気に730m辺りまで標高を下げて、再びピーク858付近まで登り返す区間と言えるだろう。エスケープルートから離れた中間地点。疲労度も増してきて、精神的にも辛く感じるところである。来たし方を振り返れば、深い鞍部を挟んで大見影山が見える。その途中で出会った登山者に、「ほ〜、こんなところでマウンテンバイクに出会うとは思わなかった。」と。 「・・・。」 登山者にすればミニベロもMTBも同じということか?。山歩きも自転車も愛するが故に考慮してきたスタイルなのに・・・少々「ガクッ」とするとともに苦笑い。

【左】枝の張り具合に、風雪厳しいこの地域の冬を想う。
【右】「そっと」もたれてみたくなった、静かな森の巨人。
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ブナをはじめ、ほぼ100%といっても過言ではない・・・そんな辺り一面広葉樹の尾根道からは、すっかり葉っぱを落とした枝越しに、周囲の地形が透けるように見渡せる。多少ルートが不明瞭なところがあっても、なんら戸惑うことなく進んで行けるのが実に愉快で堪らない。いつ降りだしても不思議ではない空模様に変わってきたというのに、周囲が明るく感じるのは、落葉した木々のおかげと言えよう。若葉が芽吹く季節には、さぞかし新緑が眩しいことだろう。押し担ぎしつつも喜々とする道がまだまだ続く。
ピーク858北のジャンクションピークに10:55、巡視路を左に見るピーク784付近に11:25。大人二人が手を繋いでも囲いきれないような、そんな巨木にも出くわす。「いよいよ本降りか?」と慌ててレインウェアを羽織る場面もあったが、雨は一時的なものとして過ぎ去った。そして大きく展望が開け鉄塔基部に飛び出した。周囲を見渡すと、如何に広葉樹に包まれた山であるか、というのが良く判る。杉の木が「ポツン」と寂しげに立っているのが滑稽にすら思えた。
ブナの巨木が林立する、まるで絵画のような世界を通り抜けてきた。そして最後の急坂を担ぎ上げ、ピーク726に到着したのが12:00ジャスト。早朝に取り付いて、5時間以上もかけて縦走してきたことになる。長い尾根道で出会った登山者は僅かに四人。何故かブレーキ音が気になる二台ではあったが、連休の山としてはずいぶん静かな山旅を楽しめたようだ。しかしながら天増川林道の終点と接するピークでは、ショベルカーが「ガシガシ」と賑やかに稼動中であったのには、少々心痛い思いがした。
ようやく風切る乗車の林道に出てきて颯爽と下る。二日前に降った雨によりドロドロ状態のダートではあるが、無事に山サイ・ルートをクリアした身にとって、この上ない快感を覚えるダウンヒルである。林道を下ってくる途中、ハイカーが異常に多かった。どうやらこの辺りの廃村を訪ねるツアーが催されているとのこと。林道上部には人工的に造られたであろう広いスペースが確認できた。おそらく其処が能登郷跡だろう。また機会があれば能登野へと越えてみたいものである。興味深げに「自転車で何処から?」などと訊ねられると、ついニンマリしてしまった。何せ私達は近江坂を越えてきたのだから。天増川の集落、12:55着。
国道303号線に出て、水坂トンネルを潜り抜け、再びキャンプ場まで標高差300mもの登り返しとなる。長い山サイ区間をこなした後、しかも疲労の蓄積した午後としては、かなり気が滅入るというものだが、石田川沿いの角川林道では、「今が旬!」とばかりに赤や黄色の彩りが美しきを競い合っていたのだから有り難い。舗装された林道を進んで行くと、崩落箇所に遭遇し、思わぬ担ぎを強いられもしたが、辺りの紅葉を食後のデザートのように味わいつつ、15:00、無事キャンプ場に戻ってきた。心配していた天気も、行動中は本格的に崩れることなく、長い一日がようやく終わる。満足感に浸りながらテント撤収時に一言、「やっぱり山頂で妥協しなくて良かったですね!」と。 (完)
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