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津軽の峠と海と山 その2
( 岩木山 )
2004年8月
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3日目
七里長浜では、イメージしていた通りの青い海が私を迎えてくれた。夏の盛りを過ぎた静かな浜には、誰一人いない。目の前に広がるのは・・・まるで、水平線の彼方から秋の風を運んでくるような・・・そんな海。「久々に、こんな海が見たかった」。気紛れに立ち寄った海岸に、遅い夏休みの一コマがあった。
フロントバッグの前に落ちる「自分の影」と対話しながら、黙々とペダルを回す。まっすぐな道を、黙々と。 十三湖、12:40着。そこで食した「しじみラーメン」には、なんと36個ものしじみが入っていた。このところ草臥れきった肝臓も(?)これで元気になるだろう。岩木川からの肥沃な栄養分がそうさせるのか、湖の水は俄かに土色を帯びていた。しじみを捕る小舟がゆらゆらと浮かんでいる。湖岸では、つい今し方捕ってこられたのであろう・・・「ガサガサ、ゴリゴリ」・・・と、網の目を通してしじみを分別する作業が行なわれていた。興味本位に「一回の漁でどのくらい捕れるのですか?」などとお尋ねすると、「それはマチマチだよ」と返ってきた(もちろん津軽の言葉で)。単純な問に単純な答えが返ってきて、当り前のこととは判っていながらも、それが何故だか妙に嬉しかった。特に飾るわけでもなく、垣根も感じさせない応対に、何となく「ホッ」と。こちらもそれ以上のことは何も尋ねず、向こうもそれ以上のことは何も喋らず、しばらくの時間が流れた。脈々と続けてこられたその作業を見ているだけで、それで充分だと思った。そして黙って頭を下げて、踵を返し、再びペダルを回す。(13:20)
リラックスするつもりが、ずいぶん遠くまで来てしまった。明日のことを考えると、やはり無理した感がある。ハイピッチでペダルを回さないと、日暮れまでに山懐のキャンプ場に着けそうにない。しかしながら広域農道に沿って綿々と広がる金色の稲穂や、岩木川のゆったりとした流れを見ていると、「まぁ、のんびり行くか !?」とも思えてくるし・・・。そしてまた、ここに来て改めて「なるほど!」と思った”津軽富士”を仰ぎつつ、「この山は津軽の人々に愛されている山なんだなぁ。」とか思ったりもして。きっと津軽平野の何処からでも仰ぐことが出来るのだろう・・・そんな岩木山は、午前中の雲を脱ぎ掃い、ほぼ全容を見せようとしていた。平野から見るそれは、1625mの山とは思えないほど裾野が広くて大きな山である。あとほんの少しだけ、山頂に雲が掛かっているのが心憎かった。その演出の意味は「明日までお預け」ということか?。(板柳16:10) 弘前市に入ってから幾度か道を間違えたこともあり、時間・体力ともにかなり消耗してしまった。今日はよく走った。平地ながらも150km近くは走っただろう。ミニベロに乗るようになって、一日でこれだけの距離を走ったのは初めてかもしれない。「ちょっと身体をほぐしに・・」というつもりが、余計に疲労を生むこととなった。
スキー場を抜け、しばらくの間は鬱蒼とした樹林帯を行く。・・・カラスの休場 5:35、・・・焼上りヒュッテ 6:25、・・・それまでは穏やかだった道が、沢筋を行くようになると、急にゴロゴロとした岩だらけの道となり、場所によっては、ごく僅かではあるものの攀じ登るような場面もあって面白い。あのオーバーユースな山にありがちな(?)整備され過ぎた道ではなく、自然をそのまま活かした道であることが嬉しく思えた。途中の水場・錫丈清水でノドを潤す。まだ朝が早いゆえ周囲には誰もいない。一人で黙々と山道を行く。種蒔苗代 7:00、いよいよ山頂が目の前に大きく近づいてきた。
急斜面のガレ場を登りつめ、誰にも会うことなく山頂に着いた(7:20)。眼下には、昨日走った津軽平野の広がりが。そして反対側には、一昨日走った白神山地の幾重もの連なりが見渡せた。思い返せば・・・、旅の序盤から天気との睨めっこを繰り返し、タイトな旅程の中で津軽に触れて、そしてようやく辿り着いたこの山頂で、運良く上天気に恵まれたことに感激してしまい、柄にもなく、山頂の風に吹かれながら独りで「熱く」なった。
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| 【装備一覧】 20インチ・ミニベロ、マット兼用フロントバッグ、中型ウェストバッグ、水筒(2)、輪行袋(ストラップ5)、工具一式、チェーン錠、折り畳み式リュック、ツェルト(ポール&ぺグ)、シュラフカバー、エマージェンシーシート、レインウェア、長袖アンダーウェア(上下)、ラグジャ、膝用サポーター、速乾Tシャツ、手袋、レーサーパンツ(実はスイミングパンツ)、Tシャツ・パンツ・靴下(各2セット)、薄地もんぺ、短パン、帽子、タオル、バンダナ、ちり紙、コッヘル(1)、コンロ、ガス燃料缶、お箸、ナイフ、ライター、細引き、洗濯バサミ(4)、石鹸、歯ブラシ、ヘアブラシ、蚊取線香(少々)、ロウソク(少々)、医薬品、ヘッドランプ、カメラ、レンズ(20mm/35〜70mm)、フィルム(2)、三脚、地図(5万図8枚・他)、熊除け鈴、サンダル、防水袋、ボールペン、ラジオ。 持参した食料・・・米3合、パスタ300g、ふりかけ。 現地で買い足した食料(合計) ・・・カレーレトルト(3)、スパゲティレトルト(2)、即席ラーメン(4)、ピーマン(1袋)、チョコレートなど携帯食を少々。(他は食堂などで) |