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■「親学」を学ぼう、広めよう
2007.4.16 <目次> |
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私は、「親学(おやがく)」を喫緊に振興すべきだと考える。親学とは、親になるための学習、親が親らしく子育てをできるようになるための訓練である。昨年(平成18年)12月から、いよいよ親学の展開が活発になってきた。教育改革の一環として、親学を学び、広めることを呼びかけたい。 |
第1章 親学の提唱とわが国でのはじまり
平成13年(2001)、5大学学長会議において、イギリスのオックスフォード大学ケロッグ・カレッジのジェフェリー・トーマス学長が、次のような発言をした。「学校でも大学でも教えていないのは、親になる方法だ。‥‥親としての教育にもっと関心を向け、向上させることには、大きなメリットがあるのではないか」と。 この問題提起がきっかけとなって、欧米諸国では、親教育が盛んになり、アメリカ、イギリス、ニュージーランド、カナダ等の諸国では、国を挙げて親教育に取り組んでいるという。 わが国でも、トーマス氏の発言に触発されて、同年3月に「親学会」(Society for
Educating Parents=SEP)が発足した。親学会は、さまざまな専門家・教育者が集まって親学の研究・教育を行なっている。『親学のすすめ』『続・親学のすすめ』(モラロジー研究所)等を発表している。
親学会の副会長をしている高橋史朗明星大学教授は、次のように書いている。 「「親学」の基礎・基本の第一は、教育の原点は家庭にあり、親は人生最初の教師であって、教育の第一義的責任を負うということである。(略)第二は、胎児期、乳児期、幼児期前期、幼児期後期、児童期、思春期という子供の発達段階によって、家庭教育で配慮すべき点が異なるということである。(略)第三は、父性と母性の役割を明確にすることである。父性とは「切る」特性で「義愛」であり、母性とは「包み込む」特性で「慈愛」である」と。(『続・親学のすすめ』) (ページの頭へ) |
第2章 教育基本法を再改正し、親学の振興を
親学の展開に触れる前に、まず私の基本的な考えを述べたい。 子供の問題のほとんどは、親に問題がある。子育てに自信がなく、子育てがうまくできない。または子供をつくることに関心が無く、育てることにも関心のない若い人たちが増えている。
学校教育・社会教育を挙げて、親学の振興を真剣に行なうことが、日本の教育の改革、そして日本国の再建に欠かせない。 そこで、私は、教育基本法を再改正して、親学の振興をより明確な形で盛り込むことを提案している。現在の教育基本法(平成18年12月改正)は、家庭教育に関する条項を新設した。画期的なことである。
第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
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青少年の道徳心・公共心を育てることを怠ってきた結果、自己中心・利己主義が横行している。私利私欲が自由や人権という言葉で粉飾される。そういう世代が親となり、まともな子育てができずに周囲に迷惑をかけるのみならず、子供が食べている給食費を支払わずに、開き直っている。その大人の態度がまた他の純真な子供たちに悪影響を及ぼす。
日本を立て直すには、憲法の改正と、教育全体の改革が急務である。それを大前提として、私は、もっと直接的な方策を親に対して実行しないと、現状は改善されないと考える。
ここで私が喫緊に振興すべきだと考えるのが、親学である。つまり親となり、親として子育てをするための学問・教育である。 改正教育基本法の第2項は、「保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策」と記しており、私の趣旨に通じるものがあるが、さらに教育基本法を再改正して、親学の振興をより明確な形で盛り込むことを、私は提案している。
第六条 教育の原点は家庭にあり、親は子の教育について第一義的責任を有する。父母その他の保護者は、人生最初の教師であることを自覚し、自らが保護する子供に、しつけを行い、生活のために必要な習慣を身に付けさせ、自立心を育成し、心身の調和の取れた発達を図るよう努めるものとする。 2 国及び地方公共団体は、家族の絆を育成及び強化し、家庭教育の充実を図るため適切な支援を行う責務を有する。 3 国及び地方公共団体は、国民の家庭の形成と家庭教育を支援するため、親となり、子育てをするための学問及び教育を振興することに努めるものとする。 ――――――――――――――――――――――――――――――― (ページの頭へ) 関連掲示 |
第3章 教育再生には、親学をもっと重視すべき
次に、教育改革に取り組んでいる教育再生会議の報告書について私見を述べたい。教育再生会議は、本年(平成19年)1月に第1次報告として、「教育再生は社会総がかりで」を提出した。この報告書に、親学が盛られた。報告書は、4つの緊急対応と7つの提言を掲げている。提言の第7は、「「社会総がかり」で子供の教育にあたる」であり、四つの領域における対応を求めている。求められている対応の第1は、家庭での対応である。 関連掲示 ・拙稿「教育再生は、社会総がかりで」 ・拙稿「しつけあっての教育」 |
第4章
「親学推進協会」が始動
次に、親学の具体的な展開について述べたい。まず親学推進協会について紹介したい。 産経新聞平成19年4月3日号の「正論」に、木村治美氏が「親となるための「親学」のすすめ」という文章を寄せた。木村氏は、共立女子大学名誉教授で、教育問題について、常に良識ある意見、また女性ならではの意見を述べている人である。 http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/seiron/070403/srn070403000.htm
木村氏によると、親学推進協会は、「「親学会」「PHP親学研究会」での研究・提言を踏まえ、その理念を実践・普及拡大する組織として活動を開始した」という。日本の教育改革の旗手の一人、明星大学教授の高橋史朗氏が理事長となって、同協会の活動を推進している。木村氏は高橋氏に請われて会長に就任した。
木村氏は、「親学(おやがく)とは「親が変われば子供も変わる」という考え方のもと、家族からの教育再興を目指すものである」という。 http://www.nayd.or.jp/ 木村氏は、改正教育基本法について、「新しい教育基本法でもっとも注目すべきは、家庭教育が条文化されたことである」と言う。先に私見を述べたが、内容がまだ弱い点はあるものの同法が家庭教育に関する条項を新設したことは、画期的なことであり、重要な前進である。
旧教育基本法は、家庭教育については、第七条の社会教育の条項に、「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」とあるだけだった。この規定の不十分さが反省され、同法の改正において、独立した条項が定められたのである。
木村氏は、この点に関して、次のように言う。「いや、かつては家庭教育は当たり前だったので言及するに及ばなかった、との見方もできる。三世代家族、健全な地域社会、そしてなによりも恥の文化が、しつけの機能を立派に果たしていた。それらが失われたあと、親は知識もなく、しかるべき機関による対策も講ぜられないまま、子育てに従事させられていたに等しい。親学とは、この空白を埋め、親の教育力を高めるための学習である」と。 木村氏は、親学について、「多種多様な生涯学習の中でもこれほど必要性があり、学びがいがあり、あとあとまで親子の幸不幸を左右する勉強もあるまい。」と述べる。実に適切な意見である。
改正教育基本法は、生涯学習という考え方を盛り込み、第三条に、その理念を定めた。しかし、その理念が同法の全体を一本の柱として貫いているかというと、明確さが不足する。私は、生涯学習の基礎は、家庭教育、なかんずく胎教を含む幼児教育にあると考える。それは、教育の体系において土台をなすだけでなく、一個人の人生においても基礎となる教育である。そして、家庭教育の核心となるのが、親学なのである。学校教育を終え、社会教育を受け、大人として、また親として、自らが学習し、また教育を施す立場になった人は、生涯にわたる学習の中核に、親学を置くことが望まれる。このように考えることで、生涯学習の理念は、一層明確になる。先に書いたように、改正教育基本法は、理念を鍛えなおした上で、再改正する必要があると私は考える。 木村氏によると、親学推進協会は埼玉県を拠点とし、埼玉県より活動を開始したという。わが埼玉県は、同協会理事長・高橋史朗氏が、教育委員を務めた自治体である。高橋氏を教育委員にと懇請したのは、現知事の上田清司氏である。親学の実現が、埼玉県で始まったのは、こうした人脈が背景にある。 親学推進協会には、日本財団が当初3年間、助成事業として援助をしている。同財団の支援のもと、本年(平成19年)2月3日、親学推進協会の設立記念シンポジウムが、「さいたま市民会館おおみや」で開かれた。内容は、以下のページに掲載されている。
http://www.nippon-foundation.or.jp/arts/topics_dtl/2007944/20079441.html
木村氏は、「同じ志をもつ全国の大小さまざまな組織、たとえば親学会、日本家庭教育学会などが連携して、民間主導の親学推進国民運動ともいうべきものを創設し、「社会総がかり」で子育てに参加する環境づくりを進めたい」と述べており、今後の運動の展開が期待される。 (ページの頭へ) |
第5章 親学の教科書が登場
親学に関心を持たれた方は、もっと身近に自分が直接学べるものはないだろうかと思われるだろう。 そうした人向けに、誰でも、家で、地域で、「親学」を学べる本が、本年(平成19年)1月に刊行された。その名も『「親学」の教科書』(PHP)。画期的な本である。 この会でも活躍している高橋史朗氏は、本書のあとがきに次のように書いている。
「2005年10月、「PHP教育政策研究会」は、「活力ある教育の再生を目指してーー学校・教師・親・教育委員会を元気にする提言――」を発表しました。
そしてその中で、提言12として「学校を、地域や親や子どもが集い、親としての育ちを図る「親学の拠点」として活用できるよう施設、制度の整備を進める」、提言13として「親への情報提供や指導、親と学校・教師の協力関係構築の支援を行なう『親学アドバイザー』を育成し、各学校に配置する」を掲げました。
本当に親を元気にし、家庭教育を充実させるためには、親に対する経済的・社会制度的支援のみならず、親自身をも教育し、成長を促していく必要があると考えたのです。
そして同年12月、これらの提言を具体化するための第一歩として「PHP親学研究会」(ともに主査は筆者)が発足」しました、と。
「今後『「親学」の教科書』をテキストにして、「親学講座」や「親学アドバイザー養成講座」「親学勉強会」を全国で開催し、推進母体である「親学推進協会」(略)を核にして、PHP総合研究所、日本財団、親学会、モラロジー研究所、倫理研究所、日本青年会議所、PTA協議会、私立幼稚園連合会、保育協会、師範塾等の連携のもと、「家庭からの教育再興」プロジェクトを一代国民運動として展開していきたいと考えています。
本書が全国各地で活用されることによって、混迷を深めるわが国の教育界をよい方向に転換する一助となれば、これにまさる喜びはありません」
内容は、目次を見ると、画期的なものであることがわかるだろう。 <目次> ■親が育つ子どもが育つ 〜 まえがきに代えて ・親と子どもがともに育つということ ・親学の普及と親学アドバイザーの養成 ・親学研究会発足の経緯と目標 ・本書の使い方・学び方 【第1章】親学とは 1.親学の必要性 ・子どもの心の問題 ・生活習慣の乱れ ・親の教育力の低下 ・家庭と地域の役割の低下 2.親学の理念と基本 ・親学の誕生 ・親心の育成 ・親学の理念 ・親学の基本的な考え方 3.親学の目指するもの ・子どもの心の育成 ・親の成長 ・父親の子育て参加 【第2章】親学の基本的な考え方 1.親について ・親は最初の教師 ・親に託された使命 ・親の責任とは ・子育てを通して人間として成長する ・母性的かかわり・父性的かかわり ・地域とのかかわり 2.子どもについて ・子どもとはなにか ・子どもの成長と脳の発達 ・親の影響力の大きさ ・子どもに求められる能力 3.家族・家庭について ・家族とはなにか ・家庭は人格形成の基礎 ・家庭は文化継承の場 ・コミュニケーション能力をつちかう 4.子育てについて ・三つ子の魂百まで ・しっかり抱いて、下におろして、歩かせる ・守破離の精神 【第3章】親学の実践 1.親自身が成長するために ・まず、現在の自分を肯定する ・客観的に自分を見直す ・健康的な生活を送る ・自らを磨く 2.子どもの人間性をはぐくむために ・子どもにもっと関心をもつ ・子どもとのかかわり方 ・他者とともに生きる力を養う 3.愛のある家庭をつくるために ・家族との絆と愛をはぐくむ ・心のぬくもりを伝えあう ・ルールを築き守る ・食事を大事にする ・睡眠をきちんととる ・5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を大事に ・あいさつができる家庭をつくる 【第4章】子どもの発達段階に応じた特徴と、親へのアドバイス 1.胎児期(誕生まで) ・胎児期の特徴 ・胎児期の子どもをもつ親へのアドバイス 2.乳児期(0歳から1歳ごろ) ・乳児期の特徴 ・乳児期の子どもをもつ親へのアドバイス 3.幼児期前期(1歳から3歳ごろ) ・幼児期前期の特徴 ・幼児期前期の子どもをもつ親へのアドバイス 4.幼児期後期(3歳から6歳ごろ) ・幼児期後期の特徴 ・幼児期後期の子どもをもつ親へのアドバイス 5.児童期(6歳から12歳ごろ) ・児童期の特徴 ・児童期の子どもをもつ親へのアドバイス 6.思春期(10歳から22歳ごろ) ・思春期の特徴 ・思春期の子どもをもつ親へのアドバイス この本は、書店で販売していない。直接出版社に申し込む必要がある。関心のある方は、下記のアドレスへどうぞ。 なお、私は、上記諸団体の会員ではなく、また何の利害関係もない。日本の再建のために親学の振興を願う者として、紹介したまでである。(ページの頭へ) |
http://www.php.co.jp/manabica/detail.php?id=65731&PHPSESSID=e95156c270cefddd3ddb39e440aac5be
第6章 「家庭からの教育振興プロジェクト」も設立
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