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| 希望の体験記 葛西臨海公園にて Woman's Interview (バスケットのインタビューより) |
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Woman's Interview(バスケットのインタビューより) |
***こんな私が紹介されるのには驚きました。雑談をしながらいろいろな話をしました。
「世界が広がりました」 体で表現する喜びを知った希望さんは、専門クラスに入 門、プロを目指す決意をする。そして、吉田先生とのマンツーマンの稽古が繰り返さ れ、5年後、初めてのソロ公演を果たした。
”覚えていない頃から足につけていた” という重い装具を脱ぎ、舞台の上を自由に、力強く動きまわる彼女の姿に、観客はみ な息をのんだ。
「終わった後の、お客さんの反応が励みになります。福祉施設で公演 することも多くて、私と同じ障害者の人たちの笑顔が何よりも嬉しい」 さらに、”障害をもつ子どもたちにパントマイムを教えてほしい”との依頼が舞い 込み、半年間、吉田先生の補佐として指導にあたった。「夢のような出来事でした。 そのとき集まったのは、小学1年から20代ぐらいまでの知的障害の人たち。最初は みんな暗い顔をしていたけど、だんだん、いい笑顔になっていきました」と嬉しそう に話す。
***この思いを伝えたい…
この11月、希望さんは、これまでの歩みを一冊の本にまとめて出版した。
本の名前は『希望はいつか現実になる』。これは彼女の大好きな言葉であり、彼女自身の生 き方を表現した言葉でもある。だが、出版までの道のりも、決して楽ではなかった。 「ずっと本を出してみたかった。メール仲間にそのことを書いたら、だったらボーッ としてないでやってみたら、と何人もの人に励まされました。それで書いたものを出 版社に持ち込んだけれど、どこへ行っても、読んでもらってそれで終わり。もう何社 も断られました」
”メールも含めると全部で50社ぐらいかな”と笑って答える希望 さん。「断られるのは慣れっこ、でもさすがに諦めようと思った」という。これが最 後、と持ち込んだ出版社で、本にしましょうという返事が返ってきた。
本のなかで希望さんが伝えたかったのは、かけがえのない人たち−−パントマイム やアルバイト先の郵便局、2年前から始めたダイビングサークルの仲間、そして家族 −−これまで自分を支えてくれた、みんなへの感謝の気持ちだ。それから、もう一 つ、学校の先生にぜひ読んでもらいたいと彼女は言う。
「普通学級にいたいとずっと頑張ってきました。でも、学校の先生はいつも養護学級 に入れようとしました。行きたいのに行けない、私と同じ思いをしてる子が今もたく さんいると思う。そんな子が少しでも減って、普通学級でみんなと同じように勉強で きる機会が増えたらいいな。先生にこの気持ちをわかってほしいです。」
***体いっぱいで伝えたい!”希望はいつか現実になる”
自分の足で立つこともままならなかった一人の女性が、ある日、多くの観客の前で スポットライトを浴び、舞台に立った。つまずいても転んでも、あきらめなかった彼 女が、自分の世界にしっかりと足を踏み出した瞬間だ。そこまで彼女をつき動かして いったのは、一体、何だったのだろう。その女性は、”希望”という名前のパントマ イマーだった。
***佐々木希望さん「運命的な出会い…でした」
少したどたどしいながらも、全身を震わせるように体いっぱいで話してくれた希望 さん。彼女がパントマイムと出会ったのは、十七歳のとき。それまでは、体を支えて じっと立つこともできないほど体が不自由だったと聞いて驚いた。
生まれて2日目に高熱にみまわれ、熱性けいれんが1週間続いた。1年後、医者か ら告げられた診断は「脳性マヒ」。それでもリハビリで通った訓練所やマザーズホー ムでは、”ガキ大将”と呼ばれるほど、明るくてやんちゃな女の子。足に重い装具を つけ、頭にはヘッドギアをつけていた小学校時代、わざと足を引っかけて転ばせるい じめっ子に、泣きながら向かっていく強さがあった。
***希望が見えてきた…
高校2年のとき、水泳で足の筋力を鍛えるために通っていたスポーツセンターで、 母親が1枚のポスターを見つけた。パントマイム講座。”問い合わせてあげるから、 やってみない?”の言葉に、胸がときめいた。「面白そう、でも私にできるか な…」。講座を主催する側も、障害者からの問い合わせは初めてだったという。
祈るような気持ちで待っていた希望さんに、”お母さんと一緒に来てください”と いう返事。「歩けなかった私に、こんな希望が見えてくるとは思わなかった。母は、 私にパントマイムはぴったりだと言います。リハビリになるし、希望は目立ちたがり やだからねって。実は中学のころ、プロの劇団に憧れて応募したことがあります。見 事、落ちましたけど…(笑)」
***世界が広がった…
教室では吉田明美先生はじめ、50人ほどの生徒さんが迎えてくれた。「初めて教 わったパントマイムは『カベ』。立つこともできない私には最初から無理でした。先 生の案で、横に椅子を置いてそれを支えにして、転びながら何回も何回も練習しまし た。そしたら驚いたことに自然と少しずつ自分の足で3分ぐらい立てるようになって いました。
みんな驚いていました」 先生は一切特別扱いせずに教えてくれた。グループごとにテーマを作り、練習を重 ねるうち仲間との連帯感も深まった。
11月9日、新浦安で開いた出版記念のソロ公演を見事、演じきった。「障害者で もやろうと思えば何でもできる、それをパントマイムを通して伝えたい」と満足そう に語った。「これから稽古に行ってきます」インタビューを終え、さっそうと自転車に乗り走っ ていく希望さん。夕日をバックに浮かびあがるその姿は、彼女自身が切り拓いた道に 向かって、スポットライトを浴びたようにキラキラと輝いていた。 |