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 司法書士の業務のなかで取扱事件も多く、一般の取引に密接な関係のある不動産の登記について、司法書士に依頼をする場合の事項を簡略に記載します。
 
▼所有権保存登記をする場合
 一般に保存登記といわれているのは、所有者の登記がされていない土地、建物、立木、その他工場財団等について、所有者が、初めて所有者である旨を登記簿(登記記録)に記載する手続きを言います。
 建物の保存登記を申請する場合には、不動産登記法により建物新築による表示登記の申請をした上で、さらに所有権保存登記を申請することになります。
 なお、この保存登記の登録免許税は、その建物の価格の0.4%(平成18年3月末日までは0.2%)ですが、一定の新築住宅の保存登記の場合は市区町村長の発行する租税特別措置法72条の2の証明書があれば軽減されます。
 
▼所有権移転登記をする場合
 所有権は目的不動産を全面的に支配できる権利であり、これを移転する原因は売買、贈与、相続、交換、共有物分割などです。登記の申請には、これらの登記原因証明情報(例えは売買契約証書)が必要です。
 また、相続登記を除き、原則として登記権利者(例えば買主)と登記義務者(例えば売主)が共同して申請することになっています。この場合は、つぎのような書面を必要とします。ただし、判決に基づく登記申請の場合は、異なります。
 
@登記済証(登記識別情報)または本人確認情報
 「権利証」といわれているものですが、要するに自己名義に所有権の保存または移転の登記をしたときに登記所から交付された登記済証です。ただし、管轄の法務局が不動産登記オンライン指定庁(徳島地方法務局は平成17年8月29日から指定庁)になった後は登記所から登記済証が交付される事はなくなり、登記識別情報が通知されるようになりました。
 
 もしも登記済証が滅失または紛失して提出できないとき(登記識別情報を提供できないとき)は、登記官の事前通知制度(登記官から事前通知を受けた者は2週間以内にその通知を受けた旨を登記官に申し出なければならない。規則70条8項)によることになりました。
 
 従来の保証書2通を添付して所有権移転登記を申請する必要がなくなった点では、申請人の負担が軽減されたことになりますが、同時決済を要する場合(売買等)には、この事前通知制度によることは困難です。
 同時決済を要する場合(売買等)には、資格者代理人が本人確認情報を提供してこの事前通知制度を省略することができるようになりました。
 
A印鑑証明書
 登記義務者(例えは売主)が個人のときには、住所地の市町村が発行する印鑑証明書が必要です。また、登記義務者が会社その他の法人のときには、その会社等の登記の管轄登記所が発行した代表者の印鑑証明書が必要です。代表者個人の印鑑証明書ではありませんので注意して下さい。
 なお、この印鑑証明書は、発行後三か月以内のものに限り有効とされていることに注意してください。
 
B住所証明書
 登記権利者(例えば買主)の住所を証する住民票の謄本または抄本を必要とします。また、登記権利者が会社などの法人のときは、その法人の登記簿の謄本または抄本を必要としますが、これは、その法人の代表者の資格証明書を兼ねさせることもできます。
 なお、この住所証明書は、前に説明しました保存登記の申請の場合にも同様に必要です。
 
 登録免許税は、平成15年4月1日以降、売買や贈与等の相続以外の原因によるものは2%(平成18年3月末日までは1%)となります。住宅用家星を売買または贈与などにより移転した場合は、租税特別措置法73条により軽減されます。
 
▼相続登記をする場合
 相続登記は、相続人全員で協議が調っている場合は割に簡単に手続ができますが、協議が調わない場合や相続人の中で行方不明の方がいる場合には、大変難しくなります。
 特に、相続人の中で死亡している人がいる場合(数次相続といいます)は、さらに複雑になってしまいます。相続が開始したらなるべく早いうちに手続きされることをお勧めします。
 
 相続人であることを証するために、被相続人が12〜13歳くらいの時代から死亡時までの事項が記載されている戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本などが必要となります。また、相続人全員の戸籍謄本あるいは抄本や登記申請をされる相続人の住民票の謄本または抄本も必要とします。
 
 ですから相続人の一人が相続開始後に亡くなっているとますます複雑になり、戸籍謄本や除籍謄本を揃えるだけでも多くの時間と費用が必要となります。
 
 さらに、相続放棄の場合(民法915条)には、家庭裁判所が発行する相続放棄中速の受理証明書が必要ですし、相続人のある者が、婚姻などの際に被相続人からすでに相続分相当またはこれを超えた財産の贈与を受けている場合(民法903条)、さらには共同相続人間で遺産分割協議が調った場合(民法907条)には、それぞれそれを証する書面が必要となります。
 
 以上のとおり複雑な手続がありますから、相続登記をしようとする場合には、前もって最寄りの司法書士に相談の上、これらの書面を取り揃えることが必要でしょう。
 
 登録免許税は、平成15年4月1日以降、不動産価格の0.4%(平成18年3月末日までは0.2%)です。
 
▼抵当権設定登記をする場合
 抵当権の設定は、住宅ローン等を利用した際に、その債務を担保するために所有者の不動産を担保とする場合に多くとられる手続きです。抵当権設定の登記を申請する場合に必要な書面は登記済証(登記識別情報)、印鑑証明書などですが、所有権移転登記の場合と同様なので省略します。
 抵当権設定登記の原因としては、その被担保債権の発生原因たる債権契約(例えは金銭消費貸借契約)と抵当権設定契約とが存在しなければなりません。登記原因証明情報を作成する場合には、そのことに注意して作成しなければなりません。
 
 登録免許税は、債権額の0.4%です。
 
 また、住宅用家屋の新築もしくは取得をするための資金の借入れの場合は、前述の保存登記や所有権移転登記の場合と同様に、市区町村長の発行する租税特別措置法74条の証明書を取得すれば、軽減されます。
 
 抵当権設定登記の抹消は、抵当権設定登記をした際の登記済証(登記識別情報)を必要とします。なお、登録免許税は、不動産1個につき1000円です。
 
▼仮登記をする場合
 仮登記とは、登記(本登記)をなすべき権利変動が生じていないが、将来物権変動を生じさせる請求権が生じているときにする登記と、当事者間においてすでに権利変動は発生しているが、その登記の申請に必要な手続上の条件が具備していないときにする登記とがあります。いずれにせよ、仮登記は、登記の順位を確保するための登記です。
 
 前者は売買予約のような契約において将来所有権を移転すべき請求権を保全しようとする場合などにするものであり、後者は売買代金を支払って所有権移転登記をしようとしたが売主の登記済証がないといった場合にする登記です。いずれも、将来なされるべき本登記の順位を保全しておくためにする予備的な登記といぅことになります。
 
 仮登記も、原則として、(仮)登記権利者と(仮)登記義務者とが共同で申請しますが、例外として、仮登記義務者の承諾書(印鑑証明書をつけたもの)があれば、仮登記権利者だけでも申請することができます。また、仮登記義務者が、この申請手続きに協力しないときには、その不動産の所在地の地方裁判所に仮登記仮処分命令の申立てをし、仮処分命令の決定を得たうえで、その正本を提出して仮登記権利者だけで申請することもできます。
 
 なお、仮登記申請をするうえで注意を要する点は、右の仮登記の申請事由のうち「手続上の条件不備」には、登録免許税不調達などは当たらないものと解されていますので注意してください。
 
 仮登記の登録免許税は、次のようになっています。
@ 売買や贈与等の相続以外の原因による所有権移転および同請求権保全の仮登記の場合は不動産価格の1%(平成18年3月末日までは0.5%)。
A 地上権や賃借権等の用益権設定の仮登記の場合は、不動産価格の0.5%(平成18年3月末日までは0.25%)。
B その他の仮登記は不動産1個につき1000円。
 
▼郵送で登記できるか
 所有権等の権利に関する登記は、当事者またはその代理人が登記所に出頭し、一定の方式を備えた申請書に、所定の添付書面を添付して申請することを要し、郵便または口頭で申請することは認められておりませんでした。
 今回の不動産登記法の改正により、この出頭主義は廃止され、平成17年3月7日以降は全国の登記所で郵送によることが認められるようになり、さらに管轄の法務局が不動産登記オンライン指定庁(徳島地方法務局は平成17年8月29日から指定庁)になった後はオンラインでも申請ができるようになりました。
 
▼司法書士の報酬
 司法書士の報酬は、政府の規制緩和政策により、平成15年1月1日から司法書士会で定めていた報酬基準額表が廃止され、個々の事務所で報酬規程を作ることになりました。ですから、司法書士の報酬は、個々の司法書士によって異なります。
 ただし、司法書士は事前に報酬を依願者に説明する義務がありますから、必ず報酬の概算等の説明を受けて、納得されてから依頼されるようお願いします。