相続問題相談室〜大阪の弁護士による解説〜相続人、相続分、遺言、遺留分、遺産分割、相続税等      相続人・相続分
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被相続人が死亡し、相続が開始した場合、誰が相続人になり、そして全相続財産に対して取得できる割合はどの程度になるのか、という問題が相続人相続分の問題です。
相続人・相続分〜大阪の弁護士が語る実務(相続問題相談室)
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目次
 第1 相続人
  1 法定順位
  2 代襲相続
 第2 相続人
 第3 相続人の廃除・欠格
  1 推定相続人の廃除
  2 相続欠格

第1 相続人
明治憲法の下では、前近代的な家族制度思想が残って、長男1人が家督相続人になっていましたが、いまの民法では、配偶者(妻または夫)に常に相続権を認めたほか、嫡出子はすべて平等の立場で相続人とされました。現行民法での相続人は、配偶者と血族の2系統です。養子縁組届をしていない事実上の養子や連れ子は相続人となることはできません。また内縁の配偶者も相続人となることが認められていません。これらの者は、特別縁故者として相続財産を貰う場合もありますが、あくまでも例外的なケースです。


1 法定順位
民法では、次のような順位で相続人となることが決められています(886条〜890条)。

第1順位
子と配偶者です。養子は養親と実親の両方について相続人となることができます。もっとも、特別養子縁組が行われた場合は、実親と子の関係は法的に終了しますので、実親が死亡しても、子はこれを相続しません。養親を相続するのみです。
嫡出でない子も相続人となれますが、相続分は嫡出子の半分です。最高裁は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としたことは、法律婚の尊重と非嫡出子の保護との調整を図ったものであり、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するとはいえないとして、この規定を合憲としています。(最大決平7・7・5民集49-7-1789)。

「娘は他家に嫁いで姓も変わったから、相続する権利はない」などというのは戦前の「家」制度の考えであり、現行民法では、このようなことはなく、子である限り、相続権があります。

第2順位
直系尊属(親・親の親)と配偶者です。直系尊属は親等の近いものから相続人となるので、父母と祖父母があれば、父母だけ、母と祖父があれば、母だけ、が相続人となります。

第3順位
兄弟姉妹と配偶者です。父母のどちらかが違う兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)も相続人となりますが相続分は父母双方を同じくする兄弟姉妹の半分となります。兄弟姉妹が被相続人より先に死亡しているときには、兄弟姉妹の子(被相続人のおい・めい)が代わって相続人となります(代襲相続)。

なお、以上の場合、胎児も、相続人の仲間に加えられていますから(886条)、相続財産の分割については注意が必要です。例えば、夫が死亡し、夫と妻の間に子がいない時は、妻は夫の兄弟姉妹とともに相続することになりますが(妻4分の3、夫の兄弟姉妹4分の1の相続分)、夫の死亡時、妻が妊娠していた時は、妻が2分の1、懐胎中の子が2分の1で相続することになり、兄弟姉妹に回る分はなくなるわけです。ただし、胎児が死産となった場合には、胎児は相続しなかったものとみなされます(同条2項)。

以上の順序に従い、最優先の順位である相続人を推定相続人といいます。


2 代襲相続(だいしゅうそうぞく)
相続開始(被相続人の死亡)前に、相続人たる子または兄弟姉妹が死亡していたり、欠格または廃除によって相続権を失っているときには、その相続人の子(被相続人の孫またはおい・めい)が代わって相続人となります(なお、相続を放棄した場合は代襲相続はみとめられていません)。

これを代襲相続といい、被代襲者の株分けの形で相続することになります(887条)。

直系尊属と配偶者には代襲相続は認められません。代襲相続人となれる子は、被相続人の直系卑属(親等上、子と同列以下にある血族を卑属といい、そのうち、子・孫・曾孫・玄孫などの血すじのことを直系卑属といいます)でなければなりません(887条2項但書)。したがって、養子縁組前に生まれていた養子の子(養子の養子も含む)は、養子の代わりに相続することはできません(養子縁組後、出生した養子の子や、養子の養子になった者は代襲者となります)。

代襲者が被相続人より先に死亡していた場合は、その代襲者の子がさらに代襲することになり、これを再代襲といいますが、昭和55年の改正により、兄弟姉妹の代襲相続人は、その子すなわち被相続人のおい・めいまでに限られることになり(889条2項)、再代襲は認められないことになりました。


第2 相続分
共同相続の場合、各共同相続人が全相続財産の上に持つ承継の割合のことです。
もっとも、その割合に基づく具体的な持分を相続分ということもあります。

相続分は、まず被相続人の遺言によって指定されます。これを指定相続分といいます。指定相続分は、相続人の遺留分を害さなければ、どのように割りふることもできます。

次に指定のないときは、法律の規定で相続分が決まります。これを法定相続分といいます。法定相続分は、昭和55年に改正になり、相続人が、
(1)子と配偶者のときは各2分の1ずつ、
(2)配偶者と直系尊属のときは配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1、
(3)配偶者と兄弟姉妹のときは前者が4分の3で後者が4分の1です。
(4)子、直系尊属および兄弟姉妹が数人いるときは、原則として(非嫡出子や、半血の兄弟姉妹など例外があります)、上記の割合を数人で均等に割ることになります(900条1項4号)。
(5)代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分をそのまま株分けの形で受け継ぐことになっています。

なお、相続人の中で、被相続人から遺贈を受け、あるいは婚姻や養子縁組のため、または生計の資本として贈与を受けた者を特別受益者といい、その者の相続分は、生前贈与分を相続財産に加算して法定相続分を算出し、それから、贈与または遺贈額を控除したものになります。ただし、贈与・遺贈の額が多くても返還する必要はありません(903条)。


第3 相続人の廃除・欠格

1 推定相続人の廃除
被相続人の意思により、遺留分を有する推定相続人(現状のままで相続が開始されれば,直ちに相続人となるはずの者のこと)の相続権を奪うことです。本来なら当然相続人となれる者のうち、特に遺留分を持つ相続人(配偶者、直系卑属、直系尊属)が、被相続人を侮辱したり虐待したとき、または著しい非行があったときには、被相続人は家庭裁判所に、相続人の資格を奪ってもらうための請求をすることができます(892条)。
生前の廃除と遺言による廃除が認められています(遺言による排除の場合は、遺言執行者が家裁に請求して行います)。廃除されたときには、その子が代わって相続人となります(代襲相続)。また、家庭裁判所の廃除の審判がまだ決まらないうちに、相続が開始しても審理は継続しますが、そのときには、家庭裁判所は親族らの請求で、遺産の管理に必要な処分を命ずることができます。なお、廃除は、被相続人の意思(遺言でもいい)でいつでも取り消すことができます。

この推定相続人の廃除については、判例は、比較的厳格な態度を示しており、老齢の尊属親に対しはなはだしい失行があったけれども、それが一時の激情に出たものである場合は、重大な非違とはいえないとして、廃除を認めていません(大判大11・7・25民集1-478)。


2 相続欠格
一定の事由(欠格事由)により法律上当然に相続の資格がないとされること。本来なら当然相続人となるはずの者でも、次のような、被相続人に対してひどい仕打ちをした者については、法律で相続人としての資格を奪っています(891条)。
(1) 故意に被相続人、先順位の相続人または同順位の相続人を死亡させまたは死亡させようとしたために、刑罰を受けた者。
(2) 被相続人の殺害されたことを知りながら、告訴・告発をしなかった者。
(3) 被相続人が、遺言をする際、詐欺・強迫をした者、または遺言書を偽造・変造・破棄・隠した者。

ただし、欠格者の子は、欠格者に代わって相続人となること(代襲相続)が許されています。また、相続開始後の場合も欠格とされます。

なお、最高裁は、遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたにすぎない変造行為は、相続欠格事由にはあたらないとし(最判昭56・4・3民集35-3-431)、また、遺言書の破棄隠匿が、相続に関する不当な利益を目的としない場合は、相続欠格事由にあたらない(最判平9・1・28民集51-1-184)としています。

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