音心普通
第20回 木下伸市
もうキミは聴いたか、
力強き津軽三味線の音を!
若い女性を中心に人気を呼んでいる三味線。吉田兄弟、上妻宏光ほか多くの三味線プレイヤーたちが活躍するなか、今回、紹介するのは現在の三味線ブームの先駆者的な存在で、百年に一度の天才津軽三味線奏者と呼び声の高い木下伸市。その圧倒的なテクニックと熱いプレイは聴く者を魅了してやまない存在だ。
そもそも、彼が三味線を始めたのは10歳の時。芸人だった両親の影響で父親から三味線を習い、17歳でNHK邦楽オーディションに合格。その後、津軽三味線の全国大会で優勝を重ねながら様々なミュージシャンとジョイントしてきた。90年代に入って、若い人に津軽三味線を広めたいという思いから"三味線ロック"の木下伸市グループを結成。
ジャズ・ギタリストの渡辺香津美、世界的な和太鼓奏者・林英哲、ハンガリーの名バイオリニスト、ロビー・ラカトシュらと共演し、津軽三味線の音楽表現のポテンシャリティを上げてきたスゴ〜い人物なのだ。
で、その彼が昨年11月に初のアルバムを2枚同時に発表したんだけど、これがめちゃめちゃいい! ひとつは『傳(DEN)』。「じょんから節」「あいや節」「よされ節」の"津軽の三つ物"と呼ばれる民謡の名作を始め、津軽三味線の伝統的な代表曲を三味線のみで演奏した作品だ。情念を感じさせる力強い演奏に魂が揺さぶられるほど。
もうひとつは、前述した林英哲の和太鼓や尺八、パーカッションとの熱いバトルを聞かせる『魁(KAI)』。こちらは、伝統音楽と現代音楽を融合した彼ならではのダイナミックな"ツガル・フュージョン"を十二分に堪能できる。
弾くというより、叩くといった打楽器を思わせる迫力がある津軽三味線。内省と情熱が交錯するこの気迫。CDでこれだけの激しさが出せるんだからライブは相当、白熱したものなんだろうな。私もぜひ見に行きたいと思いマス。 |