伝統と革新 新世紀の出発点
尺八の土井啓輔らとスーパーセッション
即興の魅力表現
圧倒的なテクニックとパワー、そして邦楽というジャンルにとらわれない自在な音楽創りと、伝統を重んじる熱いスピリットの中から津軽三味線の新たな魅力を開拓し続ける木下伸市。気心の知れた尺八の土井啓輔、神戸を拠点に活躍する和太鼓松村組とのセッションを通じて、伝統と革新の両面から新しい世紀のスタートに、これからの邦楽の在り方を問う「木下伸市コンサートSuper "HOGAKU" Session」が3月16日午後6時半から、大阪・サンケイホールで開かれる。
津軽三味線は、ライブに足を運ぶ若者の数も増え、ブームといってもいい。吉田兄弟ら若手の奏者も育ってきた。和歌山県出身ながら、幼少から津軽三味線を手にし、1986年と翌年の全国大会で2連続優勝を果たした気鋭の若手だった木下も、今や中堅。ステージを中心に、そんなムーブメントを引っ張る原動力となってきた。「津軽三味線の教室に通う人の数も、とても増えたようです。一般の人に接して貰う機会が増えたことは、とてもうれしい」と顔をほころばせる。
しかし、その一方で「ブームとはいいますが、まだまだ津軽三味線の本当の魅力は知られていない。若い人たちは、どうしても、いま風の新しい試みばかり目が行きますが、伝統があって、はじめて新しいことがあると思うんです」と表情を曇らせる。
「個人芸で、即興性が重んじられ、奏者によって違った魅力が表現できるというのが、津軽三味線の本来の魅力。僕が新しいことに取り組むのは、そんな魅力を、最終的には聴き手に分かってもらうため。つまり、幅広い層の人たちに向けた、伝統への橋渡しとなるためなんです。多くの人に、どれだけ伝統がすばらしく、大切なものかを知ってほしい。それができたら、他ジャンルとのセッションをやめても構わない、とさえ思っています」とまっすぐな視線を向けた。
今回は第一部で伝統的な津軽三味線のソロ、第二部では土井と松村組を交えての「スーパー邦楽セッション」という構成に。「いい意味で尺八界の異端児(笑)。邦楽はもちろん、民族音楽やジャズ、クラシックにまで精通しています。林英哲さんとのステージも一緒だし、気心もばっちり知れています」と土井を評する。一方で松村組は「個人的に共演するのは、実は初めてで、楽しみなんです。若手二人は最近、すごく腕を上げたし、何よりリーダーの松村さんはマリンバと和太鼓を融合させるなど、洋楽の視点を併せ持ったユニークなサウンド創りをする人。おもしろいステージがつくれそうです」と熱く語る。
4000、4500円。tel.06-6345-5062サンケイ企画。 |