さらなるチューンアップ
調弦を極めたいという方がもしいれば,次のことにも注意してみてください。
ギターは平均律(注1)の楽器ですが,ハーモニクスの音程は自然音階(注2)なので,平均律の音程と微妙に異なります。7フレットのハーモニクスは,開放弦からみて完全5度の位置にあります。この音程は平均律と自然音階との差が最も小さい音程ですが,ハーモニクスの方が少し高くなります(注3)。ハーモニクスを使って第4弦,第3弦と合わせていくと,ハーモニクスで高くなる分が2回重なり,第3弦がかなり高めになります。第2弦も同じ理屈で高めになります。調整が完璧なギターだと,ハーモニクスを使った場合と実音の場合とで,調弦の差がはっきりわかります。ハーモニクスは大雑把な調弦に使い,正確な調弦は実音で行うのが正解だと思います。
さらに突っ込んで調弦をする場合には,聞かせどころを意識した調弦にもトライしてみると面白いでしょう。平均律の響きは,場合によってはあまりきれいではないし,これにギターの癖が加わって響きがにごる場合があります。そこで,ここぞという聞かせどころできれいに響くように調弦するのです。ただし極端に平均律からはずれると,他の部分の響きがおかしくなってしまいますから,そこはバランスを考えながらの調弦となります。ギターの方をしっかり調整するのが基本と思いますが,自分でやらない限りお金がかかりますし,予想通りの成果がでるとも限りません。調弦でやりくりするのも一手かと思います。
(注1) 平均律………1オクターブを対数分割した音階。第Nフレットの音PN(Hz)は,開放弦の音をP0(Hz)とすると,次の式であらわされます。
(注2)自然音階………和音の響きがよい(周波数比が簡単な整数比になる)分割による音階。
(注3)平均律(実音)では開放弦周波数×1.4983となりますが,自然音階(ハーモニクス)では開放弦周波数×1.5となり,ハーモニクスの方がわずかに高くなります。第5弦(440Hz)の場合は,実音659.252Hz,ハーモニクス660Hzとなり,なんと0.75Hz(!)の差となります。無視できない差ですね。