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実技編(独奏)
さーて,いよいよ実技です。軽くこなしてしまいましょう。まず基本となる独奏の場合について書きます。アンサンブルの調弦はこちら→実技編(アンサンブル)
構え
普通にギターを弾くときのように,左足を足台にのせてギターを構えます。調弦といえどもギターを弾くことに変わりありませんから,当然のごとく演奏する時の姿勢と同じです。演奏と異なるのは,右手の親指と人差し指で音叉をつまんでいるという点です。
音出し
左足のひざ頭で音叉を軽く叩いて音を出します。あまり強く叩くと,キーンという金属音が出るので,調弦には不適当です。だいたい,そんなに強く叩いたら痛くてひざ頭にアザができてしまいます。ひざ頭をちょっと丈夫な卵だと思って,その卵が割れない程度に叩いてみてください。5cmくらいの距離から軽くコンと当てる感じです。
音叉を振動させたら,すばやく第5弦を弾きます。その後音叉をギターブリッジの駒に軽く当てます。こうすることで,ギターから第5弦の音と音叉の音が一緒に出ます。この音が一致するように5弦の糸巻きを回して音程を調整します。このとき,どちらの音が低いのかわからない場合は,第5弦の音がはっきり低いとわかるまで,いったん糸巻きをゆるめてください。およそ1/4回転くらいつまみをまわせばいいと思います。そうしてから徐々に糸巻きを巻きあげながら,音程を合わせます。
調弦の基本は,「音程を上げながら合わせる」ことにあります。なぜかというと,ナイロン弦は調弦したあとでも少しづつですが伸びます。その結果,なにもしなくても徐々に音程は下がります。それに加えて,緩めながら合わせた場合,ナットと弦との摩擦などでひっかかっていた分が演奏中の振動で緩み,よりいっそう張力が下がることがあるのです。音程を上げながら合わせた場合,今度は摩擦でひっかかっていた分の張力が上がりますが,ある程度は弦の自然の伸びと相殺して音程の下がりを抑制します。この結果,長持ちする調弦になります。
音を聴く
音叉の音と第5弦の音を両方鳴らしながら弦を巻き上げていくと,音程が近くなったところで「うなり」が聞こえてきます。初めは速い周期のうなりですが,音程が近づくにつれてうなりの周期が長くなります。このうなりの周期は,音叉の音の周波数440Hzと,第5弦の周波数との差になるという法則があります。音叉が442Hzの場合でも同じです。あくまでも2つの音の周波数の差がうなりの周期として聞こえてくるのです。うなりの発生メカニズムはこちら
調弦の基本は,この「うなりを聴く」ことにあります。うなりを聴き,その周期が気にならないくらい長くなれば調整完了です。第5弦の音を音叉に合わせたら,次の弦(第4弦など)を第5弦に合わせます。順次ほかの弦も合わせていきます。どういう順番で合わせるかというバリエーションは,後で詳しく書きます。
一般に2つの音の周波数差が0.1Hz以下になると,うなりは気にならなくなるといわれています。この場合,うなりの周期は10秒です。10秒間かけてゆるやかに「ウワ〜ン」とうなっている音であれば,うなりというよりも味わいと重厚感のある音として聞こえてきます。
ただし,冒頭でも書いたように,ギターは音程が狂いやすい楽器ということを思い出してください。弾き初めに誤差が0.1Hzであっても,弾いている途中に0.1Hz以上に狂ってしまうこともあります。それにギターのフレットの精度も完璧ではありませんから,押さえるフレットごとに多少音程がばらつきます。ギターの癖を考えなければ,0.1Hzを目安として開放弦の状態で出来る限り精度良く合わせておいたほうがいいでしょう。
合わせる弦の組み合わせ
どの弦のどこを押さえてどの弦と合わせればよいか諸説ありますが,実音を使った次の方法が最も単純で覚えやすいと思います。
(1)第5弦 5フレット−第4弦 開放
(2)第4弦 5フレット−第3弦 開放
(3)第5弦 開放−第6弦 5フレット
(4)第5弦 7フレット−第1弦 開放
(5)第6弦 7フレット−第2弦 開放
5フレットの音程が狂っているギターはあまり見かけなくなりましたが,2フレットの音程が正確に出ていないギターは時々見うけられます。これはギターの弦高調整が悪い場合がほとんどですが,調弦するときになってギターの調整を始めるのでは遅すぎます。5フレットや7フレットの音は,ギターの弦高調整の影響を比較的受けにくいので,調整不充分のギターでも調弦が合いやすいと思います。
ハーモニクスを使った次の方法も一般的かと思います。(arm)はハーモニクスを表します。
(1)第5弦 5フレット(arm)−第4弦 7フレット(arm)
(2)第4弦 5フレット(arm)−第3弦 7フレット(arm)
(3)第5弦 7フレット(arm)−第6弦 5フレット(arm)
(4)第5弦 7フレット(arm)−第1弦 開放
(5)第6弦 7フレット(arm)−第2弦 開放
ハーモニクスはコツさえつかめば簡単です。次の特徴があるので,いつもこれで合わせているという方も多いことでしょう。
●音を出したあと,左手を弦から離して糸巻きをまわせる
●雑音が少なくて音が聞き取りやすい
●余韻が長いので,ゆっくり調弦できる
●弦高調整の良し悪しやフレット位置の誤差にかかわらず,同じ音程が出る
ここで注意しなければいけないのは,フレットを押さえて出す音階は平均律であり,ハーモニックスは自然音階であるということです。この二つの音階は微妙にずれています。したがって平均律の楽器であるギターを自然音階であるハーモニクスによって正確に調弦することはできません。あくまでも補助手段だと考えましょう。でもハーモニクスは余韻が長いので,すっかりずれてしまった調弦を大雑把に合わせるのには適しています。
次に参考までに私が実践している方法を書いて見ます。この組み合わせのよいところは,第5弦と第4弦を基準にしてすべての弦を合わせるので,音程の誤差が累積しにくいという点です。ただし2フレットや3フレットの音程が正確に出ていることが前提です。私の場合,自作の強みでかなりの時間をかけてナット,駒の高さと駒の位置を調整したので,この方法でほとんどの場合OKです。他のギターだと残念ながらダメなことも多いです。
(1)第5弦 5フレット−第4弦 開放
(2)第5弦 開放−第3弦 2フレット
(3)第5弦 2フレット−第2弦 開放
(4)第4弦 開放−第2弦 3フレット
(5)第4弦 2フレット−第1弦 開放
(6)第5弦 開放−第6弦 5フレット
ハーモニクスを除いて,いずれの方法で調弦してもよいのですが,複数の方法で確認することをお勧めします。なぜなら楽器や弦にも個性があるので,一つの調弦方法ですべての場合にOKとはならないからです。いくつかの方法で同じくらい合っているように(同じくらいずれているように)調弦するのがいいでしょう。
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