チューナーで調弦
「調弦入門」では音叉を使う方法を中心に解説していますが,私は反チューナー主義ではありません。むしろチューナーの出現によって調弦で悩む必要がなくなり,ギターを楽しみやすくなったという点でチューナーを高く評価しています。しかしより高いレベルの演奏を目指したとき,チューナーでは調弦しきれない壁が存在すると思うのです。それは音程の聞き分け能力というよりも,音に対する感受性だと思います。その感受性を磨くためにも,耳を使った調弦にトライしつづけてほしいと思います。
音が合ったかどうかをチューナーに頼る場合には,いくつかの注意点があります。また,限界もあります。できれば耳で調弦することを勧めたいですが,チューナーでやりたいという場合を考えて,以下まとめてみます。
1.静かなところで使う
チューナーはギターから出る音を電気的に処理して,その周波数を測定します。たとえばA=440Hzに合わせるなら,ギターの音の周波数がそれにほぼ一致したときに「合いました」という意味のランプが点灯したり,針が中央で止まったりします。チューナーはある音量を越えた音が鳴っていれば,それを処理して結果を表示します。それで周りで他のギターなどの音が鳴っていると,結果が安定しないことがあります。できるだけ静かなところで使いましょう。最近ギターの側面にぺたりとくっつけて使うチューナーが製品化されました。これならギターボディの振動を直接ひろうので,周りがうるさくても調弦できます。アンサンブルの練習などには有用でしょう。
2.音程の誤差が大きい場合がある
「合った」と判断できる範囲がせますぎると,調弦作業が難しくなります。そこで,チューナーはある程度の範囲内の音なら「合った」と表示します。私が使った経験では,0.2Hz程度のずれは「合った」とみなしているものが多いようです。独奏の場合はこれでもよいのですが,アンサンブルの場合は0.2Hz高い人と0.2Hz低い人がいれば,結局全体で0.4Hzの差になってしまいます。これは無視できない「ずれ」です。アンサンブルのコンサートでは個々のギターをチューナーで合わせるのは避けるべきです。アンサンブル調弦の前に個人が調弦しておくのにチューナーを使う程度にとどめておいたほうが無難です。
3.耳で合わせるより時間がかかる
耳で調弦する場合,5台のギターをならべて伝言ゲームみたいに音を順送りに合わせていくと,コツをつかめば5台目のギターの音程のずれは0.1Hz以下にできます。1回の音合わせでは0.02Hz以下の精度を出すことが出来るのです。耳はこれほどに敏感なので,0.1Hz以下に合わせるのは,たやすいことです。それゆえチューナーよりも格段に早く調弦できます。チューナーを使うと思った以上に時間がかかるので,調弦作業が時間内に終わらないということもありえます。気をつけましょう。