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ブリット
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| 製作国・製作年度 米1968年 | ||
| 上映時間 114分 | ||
| 製作 フィリップ・ダントニ 監督 ピーター・イエーツ 原作 ロバート・L・パイク 脚本 アラン・R・トラストマン ハリー・クライナー 撮影 ウィリアム・A・フレイカー 音楽 ラロ・シフリン |
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| 出演 スティーヴ・マックィーン ジャクリーン・ビセット ロバート・ヴォーン ドン・ゴードン サイモン・オークランド ロバート・デュヴァル |
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スティーブ・マックイーン ・大脱走 ジャクリーン・ビセット ロバート・ボーン ・荒野の七人 ・タワーリング・インフェルノ ロバート・デュヴァル |
レビュー
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| サンフランシスコの敏腕刑事フランク・ブリットは、政界の実力者チャーマース上院議員から、司法取引によって組織壊滅のための証人となったギャングジョニー・ロスの護衛を依頼されるが、組織の殺し屋によってロスは殺され、若い同僚も重傷を負ってしまう。そこから始まるブリット刑事の活躍を描く、ポリスアクション及びカーアクションの嚆矢となった傑作。
この映画、どうも話が回りくどい上に意味不明の展開が多い。ジョニー・ロスの偽者はどうしてチェーン・ロックを開けて殺し屋を部屋の中に入れたのか?プロのはずの殺し屋がどうして偽者をショットガンで撃った後死んだかどうか確認しなかったのか?また、幾ら金を積まれたのかは知らないが、果たして大金のために普通の市民(車のディーラー)が公聴会に出席する犯罪者の偽者役を買って出るだろうか?まともに考えれば証言などできるはずがなく、状況から組織に狙われる可能性も高く、設定に無理がありすぎる。本物のジョニー・ロスがいちいち偽者を仕立てた理由も不明。殺し屋に殺させて死んだことにするという目論みがあるのは間違いないが、ロスは組織から200万ドル横領している。殺す前に金のありかを吐き出させるに決まっている(実際には有無を言わせず殺しているが)。となれば、金で雇われた偽者が真相を暴露するのは目に見えている。ならば、偽者など雇ってないでとっとと国外逃亡したほうが良い。偽者のパスポートを利用するというアイデアも、最終的に偽者の名義ではない別の偽名で渡航しようとしていたから意味がない。要するに、この脚本は凝ってはいるけれど不備だらけなのだ。 それにもかかわらず、この映画は間違いなく傑作。というのは、全編に亘って素晴らしくシャープでパンチの効いた場面が展開されるからだ。まず、映画のオープニングタイトル。ジョニー・ロスが組織に追われる場面にキャスト・スタッフの名前が白字のゴシック体で浮き上がる。その白が透明になって字の中に次のカットが映り、それが画面いっぱいに大きくなる、という秀逸な場面転換からして非常にシャープ。2人の殺し屋がホテルに押し込み問答無用でショットガンをぶっ放す場面の迫力や、病院内のブリットと殺し屋の追いかけっこのサスペンスも見事。そして、何と言っても有名なカーチェイス。ラロ・シフリンのサスペンスフルな伴奏が流れる中、ブリットの乗る車を尾行する2人の殺し屋が市街地でまかれ、気がつくとブリットに逆に尾行されている。この時殺し屋の乗る車のバックミラーにブリットの黒のムスタングが映るカットはいつ観てもゾクゾクさせられる。さらに、殺し屋がシートベルトをはめる短いカットを挟んでタイヤのきしる凄まじい音と共に加速、ブリットも一気に加速して跡を追う。静から動へのこの呼吸のよさが鳥肌の立つほど素晴らしく、サンフランシスコのアップダウンの激しい坂道をバウンドしながら暴走する場面はロングショットと運転する殺し屋の仰角ショット、ブリットの肩越しからのショットが見事なテンポで繋がれていて観ているこっちも思わず体が上下に揺れる。また、市街を抜けてハイウェイに出てからは、対向車を避けながらのスピード感一杯の展開で、こっちに向ってくるオートバイが転倒するカットも迫力満点。高速での一騎打ちから殺し屋の車がガソリンスタンドに突っ込んでお陀仏になるまで、音響効果も臨場感タップリで息もつかせぬ興奮が盛り上がる。個人的には殺し屋がショットガンを撃とうとするのに気付いてムスタングが減速するシーンが、美しささえ感じさせるほどの滑らかな動きで気に入っている。また、このカーチェイスほど有名ではないがラストの空港での捕り物の場面も名場面で、強烈な照明効果や音響効果の中、走っている旅客機の下を潜り抜けながらの追いつ追われつのサスペンスが展開される。ついにブリットがジョニーを追い詰めて射殺し、ジョニーがガラスをぶち破って倒れる描写も圧巻だ。 この映画には2つの大きな特色がある。ひとつは極端にセリフが少ないこと。特に主人公であるブリットのセリフは極度に切り詰められている。そのために説明不足が起こり分かりづらくなったりもするのだが、一方で主人公の心理を言葉でなく行動で示すハードボイルドタッチが良く出ていてる。もうひとつは治療や検死、押収物の検査の場面に必要以上に尺数を割いて丁寧に描いていること。これもまた映画のテンポを減速させるマイナス面があるが、一方で非常にリアルな質感を生んでいる。 そして、この2つの特色から浮かび上がるのは、自分の任務を黙々と遂行するプロフェッショナルの姿だ。ブリットはジョニー(偽者)の護衛に失敗してチャーマース上院議員に責められる。しかし、ブリットは言い訳もせずに黙々と犯人の捜査を進める。その過程でチャーマースの横槍や恋人キャシーとのいざこざもあるが、ブリットはそんなものに左右されずひたすら自分の信念を貫く。そして、最後にはチャーマースなどクソ喰らえといわんばかりに本物のジョニーを射殺する。これぞまさしくプロフェッショナル。また、優秀であるのに黒人だという理由でチャーマースから重傷のジョニー(偽者)の担当を外される医師も、自己の任務に専心するプロとして描かれるし、この黒人医師とブリットが互いに敬意を払っているのも見逃せない。2人の殺し屋もジョニー(偽者)に止めを刺さないボーンヘッドもあるにはあるが、描き方は紛れもないプロフェッショナルだ。 というわけで、この映画はその道のプロが自己の誇りをかけて戦う映画であり、そうしたテーマが醸し出すストイックさ、ソリッドさが絶大な魅力になっているのだ。 それにしても、こうした映画の主役をはれるのは、やはりスティーブ・マックイーンをおいて他にない。この映画では吹き替えなしでカースタントに臨んだらしいが、いくら俳優と平行してプロのレーサーもしていたといっても、やはり自らハンドルを握るのはリスクの伴うものだったと思われる。しかも、レース場ではなく市街地でだ。それを敢えてするところにマックイーン自身のプロフェッショナルぶりが伺えるし、こうした姿勢は彼が演じるブリットと被る。空港でジョニーを射殺した後で、ジョニーに銃を向けながら落ちている拳銃を蹴る仕草などバッチリ決まっていて、まさにブリットそのもの。寡黙でクールな男という役もマックイーンの個性にぴったりだし、病院で夜食を勧められて思わず表情を崩したり、売店の新聞をちょろまかしたりする茶目っ気も捨てがたい。まさにマックイーンの個性が全開した映画といえるし、また、後続の主演作におけるキャラクターのイメージを決定した映画ともいえる。 |