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大誘拐 RAINBOW
KIDS
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| 製作国・製作年度 日1991年 | ||
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| 製作 岡本よね子 田中義巳 安藤甫 監督 岡本喜八 原作 天藤真 脚本 岡本喜八 撮影 岸本正広 美術 西岡善信 加門良一 編集 鈴木晄 川島章正 音楽 佐藤勝 |
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| 出演 北林谷栄 風間トオル 内田勝康 西川弘志 緒形拳 神山繁 水野久美 岸部一徳 田村奈巳 松永麗子 岡本真実 奥村公延 天本英世 |
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岡本喜八 ・肉弾 緒方拳 ・魔界転生 |
レビュー
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| ある日、資産家の老女が3人の若者グループに誘拐される。誘拐の報に老女を生涯最大の恩人と慕う凄腕の警部が捜査に乗り出す。一方、誘拐犯が要求しようとしていた身代金が5千万と知った老女は激昂、百億にしろと言い放ち、3人を従えて自ら身代金強奪の指揮をとり始める。はたして老女の意図は・・・?日本推理作家協会賞を受賞した天藤真の原作を岡本喜八が監督・脚本した痛快な犯罪コメディ。
なにはともあれ、この映画を支配しているのは明治41年生まれの北林谷栄のパーソナリティだ。この泰然自若として品がよく、可愛らしくて、それでいて肝っ玉の太いお婆ちゃんは日本映画史上最高のお婆ちゃんだと思う。また、このお婆ちゃんに振り回される風間トオル、西川弘志、内田勝康の間抜けな誘拐犯3人組も初々しく素直な演技で好感がもてる。この面子に挑む警部の緒方拳も凄みと人情味を滲ませた好演。老女の世話をしていた女中の樹木希林も個性を十分に生かしており、岸部一徳扮する老女の三男も出番は少ないが飄々とした味でよろしい。この人が元タイガースのメンバーで、日本屈指のベーシストだと最近知ってひどく驚いた。 こうした芸達者の演技を観ているだけでも気持ちがいいが、お話の方も抜群に面白い。誘拐するまでのリアルな展開から、老女が主導権を握り始めるにつれて次第にコメディタッチになっていき、テレビを通しての警察との丁々発止のやり取り、現金受け渡しのダイナミックな描写、そして、老女の人間性に打たれて3人組が改心するまで、良く練られた脚本と小気味良いテンポの演出でエンターテイメントの王道といえる出来栄えだ。生涯アメリカナイズされたスマートな娯楽作品を撮り続けた岡本喜八の才能が遺憾なく発揮されている。 と同時に岡本喜八の作家性もはっきりと刻印されている。それは国家に対する抵抗だ。老女が百億円という途方もない身代金を要求したのはただの酔狂じゃない。誘拐される直前、老女は死期が近いことを悟る。死ねば自分が生涯住み暮らしたお山が相続税として国に取り上げられる。戦争で国に息子と娘を奪われ、またしても愛するお山を奪うのか?それが、百億円の身代金に繋がる。百億を作るのにお山(幾つもあってそこに木々がたくさん生い茂っているから資産価値が高いのだろう)を次男たちに指示して売り払うことで、国が手にするはずの相続税を逆に取り上げるのだ(僕は税制には無知なのでよくわからないが、大体そんな感じ。資金繰りに奔走する老女の子供たちの描写も楽しい。)。 こうした国家へのささやかだが大掛かりな抵抗が、ただのエンターテイメントに終わらない感銘を与えてくれる。TVの司会者よろしく国に対してアンチの姿勢を気取るのは簡単だ。それが2ちゃんねるのように匿名ならなおさらだ。しかし、そんなものには何の力もない。なぜならそれはただのセンセーショナリズムに過ぎないから。こうして映画なり音楽なり書物といった半永久的に残る形で自身の態度を表明出来る人間がどれだけいるだろうか。さらに、それを万人が楽しめる一級の娯楽として提供できる才能を持っている人間がどれほどいるのか。その1点だけでも僕は岡本喜八をリスペクトする。 一応犯罪ものの体裁は取っているけれど、基本的に悪人は1人も出てこないということも、後味を清々しいものにしている。とにかく観ている間も見終わった後もスカッとさせてくれる日本映画屈指の娯楽作品。 |